2011年03月10日



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朝鮮半島発のアルマゲドンを懸念する米国: 北朝鮮の EMP (電磁パルス)兵器の完成が近い



終末戦争として米国が恐れている小国からの「電磁パルス攻撃」




(訳者注) いろいろなジャンルで、まったくいろいろなことが早いペースで起こり過ぎていて、興味のあるもののごく一部しか紹介できないようなことになっているように思います。今日もしアップできれば、後にでも、最近の数日で気になっている記事の報道リンクと、その概要などをピックアップしてみたいと思います。


今回は、戦争関連の中では個人的にもっとも懸念している「 EMP 」(電磁パルス)兵器を北朝鮮が開発したかもしれないという報道のご紹介です。この EPM は、一般人が受ける被害規模の大きさでいえば、戦争での攻撃での最大級だと思われます。「武器により殺されるのではなく、国のインフラの停止によって人が生活できなくなる」という感じでしょうか。

意味は違いますが、その効果としては「超巨大な太陽フレアや CME のような状態を人為的に発生させる」という言い方でもいいのかと思われます。これは起こり得ることとして、たとえば、過去記事の「NASA が発表した「2013年 太陽フレアの脅威」の波紋 (2010年09月23日)」という記事にあるようなことを「起こせる武器」ということになります。

たとえば、太陽フレアの直撃の最悪の場合の想定としてですが(いくら何でもここまでは起こらないだろうと思いますが)、


・電力送電網のクラッシュによる完全な停電
・通信システムの崩壊
・放送網(テレビ、ラジオ)の崩壊
・飛行機の墜落
・コンピュータシステムの停止
・移動手段(車、電車等)の停止
・コンピュータに依存する軍事システムの停止
・コンピュータに依存する政治システムの停止
・コンピュータに依存する医療システムの停止
・あらゆる物流の停止
・食料供給へのダメージ
・インターネットシステムのシャットダウン
・電気システムに頼るインフラ(上下水道、ガスなど)の停止



などです。

その電磁パルス兵器を北朝鮮が完成しつつあると、昨日の米国 ABC ニュースで報道されました。報道自体はタイトルに「北朝鮮、EMP兵器完成間近か」とあるだけで、内容的には先日、米韓連合軍と北朝鮮軍の間でおこなわれた「GPS 撹乱戦」のことについてなのですが、この EMP という響きが米国のいろいろなブログで一斉に取り上げられました。

なぜ、遠い北朝鮮でのことが米国でそんなに話題かというと、EMP 攻撃なら北朝鮮が米国を狙うことも可能だからです。北朝鮮のような小さな国が他の方法で米国のように離れている上に高度な防御システムを持つ国家を狙うことは、ほぼ不可能ですが、EMP 攻撃なら可能だと言われています(米国はイランがそれをおこなう可能性を想定していたようです)。漁船か民間船が一隻から数隻あれば、北米大陸の一部の文明機能をシャットダウンさせられるとされています。

その感心の高さは、たとえば、Google ニュースで「North Korea EMP weapon (北朝鮮の EMP 兵器)」という検索では、下の通り、関連記事 1122件などと表示されます。

nk-weapons.gif

関係ないニュースも含まれているでしょうが、少ない関連項目数とは思えません。

今回はその ABC ニュースをご紹介します。

なお、EMP に関しては以前、このブログでも何度か翻訳記事として取り上げておりますので、記事下にそちらのリンクを記しておきます。

EMP 攻撃による文明の崩壊からの復旧までの日数(規模により数日から、場合によって数ヶ月)の間がサバイバルになると想定しているアメリカ人が多いです。

ちなみに、軍事については「北朝鮮にはそれほどの軍事的威力はない」とか「飢えなどによる人民の造反が始まっている」というようなことを目にすることもありますが、「だからこそ」 EMP の存在がクローズアップされるのだと思います。

昨年の5月に韓国紙ニューデイリーの「北朝鮮は初めから水素爆弾を研究してきた」という記事をご紹介したことがありますが、そこで、故ファン・ジャンヨプ元北朝鮮労働党秘書はこう言ってました。



「北朝鮮の実態を知らない人々は水爆を作ることを不可能と指摘しているが、その人々は北朝鮮の技術力をどれだけ知っているというのか? 北朝鮮は初めから水素爆弾を研究していた」



たとえば・・・もし、私自身が、食糧も燃料もない今の北朝鮮のトップの立場だったとしたら・・・ひたすらに EMP 兵器の開発だけに軍部の開発班を専念させるはずです。ロケットや核実験などで国際社会の目をそちらに向けて、でも、実際はそんなことはどうでもよく、ひたすら、EMP の完成を目指す。

それだけで、北朝鮮のような小国が、米国とも中国ともロシアとも台頭に戦える国家になり得ます。それらの大国が信じないなら、周辺国家(韓国とか日本とか)に EMP 攻撃を行い、国家機能を麻痺させる光景を見せつければいいだけです。

EMP 攻撃を防御する方法は「まったくない」(高高度での核爆発なので防げない)とのことです。

ここから翻訳記事です。





North Korea Nears Completion of Electromagnetic Pulse Bomb
ABC (米国) 2011.03.09

電磁パルス爆弾の完成に近づつつある北朝鮮

n-korea-1.jpg


北朝鮮は、GPS (全地球測位システム)への妨害電波を送ることにより、米韓合同軍事演習に抗議しているかのように見える。これによって起きた韓国での電波障害は、携帯電話やコンピュータユーザにとっては迷惑というだけの話だったかもしれないが、しかし、ここにはあるひとつの「脅威」のヒントが隠されているのかもしれない。


北朝鮮軍は、3月4日から、韓国北西部で GPS に対しての妨害電波を送信し、軍事演習で極めて重大な韓国軍の通信システムを崩壊させようと画策した。5〜10分おきに、断続的に北朝鮮軍側から強い妨害信号が送られた。実際の被害は最小限で済み、 GPS で使用する携帯電話と軍の機器の一部が故障した以外は大きな損害は出なかった。

韓国の首都ソウルやインチョンなど韓国の都市部では、妨害電波の影響を受けたが、ひどい障害や被害は報告されていないという。


しかし一方で、この妨害は、私たちにひとつの懸念を提示する。
それは、朝鮮半島が「新しい電子戦」に直面しているのではないかということだ。

n-korea-3.jpg


専門家たちは、北朝鮮が電磁パルス攻撃兵器の完成に近づいていると考えている。電磁パルス攻撃とは、高高度での爆発攻撃によって、電話通信網、コンピュータ、ラジオやレーダーなどに復旧不能なダメージを与えることのできる攻撃だ。

3月7日、韓国の国防機関「国防科学研究所」のパク・チャンキュ氏は、議会で、「北朝鮮の開発はかなりのレベルに達していると思われる」と述べた。パク氏は、韓国軍が実践の際に配備できる最新の電子装置の開発をしたことも確認した。

伝えられるところでは、北朝鮮では、2000年前半に GPS を満載したシステムをロシアから輸入し、修正した最新型の2つの種類の GPSシステムを持っている。パク氏の言う韓国軍の電子装置はこの北朝鮮の GPSシステムに干渉できるものだということだと思われる。


北朝鮮は GPS 妨害によって、さらなる不吉な脅迫をしている

韓国の新聞の社説は、最近の電波妨害を「モーニング・コール」と呼び、今回の妨害技術が成熟して完成したものになった場合、その被害は厳しいものになる可能性があると指摘した。

通信妨害の影響は軍事に限らない。

それは、無線信号に依存しているあらゆるシステムに影響する。たとえば、銀行などの金融システムから航空機の飛行にまで及ぶ。そして、通信ツールの崩壊というのは、それらの崩壊をも意味する。


韓国最大手の新聞である中央日報は、「現在の我々の軍のシステムの GPSへの依存が高すぎるという事実が問題を悪化させているのだ」と書いた。

北朝鮮は昨年8月にも GPS への妨害をおこなったと見られている。その際には、航空機の GPS レシーバーが使えなくなった。

その際、韓国の国防相は、「北朝鮮が最高で 100キロメートルの距離からの遠隔操作での爆弾攻撃とミサイル攻撃が可能となっている」と警告した。

最新のミサイル兵器は GPS の代替の誘導システムを備えており、衛星との接触を断たれたとしても、攻撃目標を探しだし到達することが可能だ。しかし、韓国軍の現状の兵器は GPS撹乱信号に弱いままだと、国防専門家は言う。

在韓米軍のスポークスマンは韓国軍の兵器の評価についてのコメントを避けた。
「米軍は複数の予備のナビゲーションシステムを用いて軍事行動をして、広範囲での電子戦に備えるための訓練をしている」とだけ述べた。




(訳者余談) それにしても、金正日は今では「アメリカでもっとも顔も名前も有名なアジアの指導者」であることは間違いないのではないでしょうか。中国がだどうだ、インドがどうだと言っても、多くのアメリカ人は中国人のトップの顔と名前は一致しないし、他のアジアの国などさらに知らない。日本のトップを知っている人などむしろマニアだけでしょう。

しかし、今では金正日はネットを通して、多くのアメリカ人がその顔も名前も知っている。

n-koria-2.jpg

私は、金正日の父親である金日成(キム・イルソン)が死亡した際に、突然、「もしかしたら、金正日ってオヤジを越えてしまうのでは?」と直感と似た戦慄が走った時がありました。

それでも、親父の葬式でメソメソしている彼からは、やはりそんなことは到底想像できなかったのですが、北朝鮮国内や韓国、中国での知名度ではなく、「欧米」ということに目を向けると、確かに父を(悪い意味を含めて)越えた可能性を感じます。


ilson.jpg

▲ 1994年、金日成の死去の翌日の映像。金日成像にすがりつき、泣き崩れる少年兵(金日成軍事総合学校の生徒)たち。この子たちも元気に育っていれば、今は二十代後半の青年将校だと思います。


昨年、韓国に対して北朝鮮が砲撃をおこなった時、非常に多くの欧米のブログやホームページで、「アルマゲドンは北朝鮮から始まる」といった口調が飛び出していました。英国のテレグラフの記事もご紹介したことがあります。

英国紙が使う「朝鮮半島は第三次世界大戦の最前線」というフレーズ (2010年11月30日)

ハリウッドの近未来映画では、様々な場所が「第三次世界大戦の始まる場所」として描かれてきた。延坪島はそれに相応しい場所かもしれない。11月23日の午後、北朝鮮軍が延坪島から双眼鏡で見える砲撃基地から、この島へ直接砲撃を開始したのだ


どんなに父親の金日成の存在を大きく伝えられても、彼はこれほど欧米の人々にまで心理的影響を与えることはなかったと思います。
しかし、その子の金正日に欧米人たちは「異常な恐怖」を感じている。

私たちはいろいろな意味で大変な人物の隣に住んでいるのだと思います。

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[電磁パルス (EMP) 兵器]の関連記事:

米国の保守系シンクタンクが「米国は電磁パルス攻撃で壊滅する」と報告
2010年11月30日

「 EMP 攻撃シミュレーション」だったとすると完全な成功を収めたように見える北朝鮮のミサイル実験
2012年04月17日


北朝鮮はスーパーEMP兵器を完成させたのか?
2011年06月27日
タグ:電磁パルス

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