2011年03月17日



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人類が獲得した「予知できない」能力



黒い雲と強風の中で

昨日(3月17日)、子どもの幼稚園の終業式で、この日は私が迎えに行く日でした。
午前11時30分くらいです。

その時、空を見ると、今まで見たことのないような黒い雲が空の中心部に現れていて、それはよく見ると、たくさんの蛇や龍のようなものがとぐろを巻いているように見える雲で、まあ、いわゆる不吉な感じのものでした。

地震当日から翌々日くらいまで、東北もそうだったようですが、東京でもいわし雲のような雲が空全体に出ていました。どうやら、地面での自然現象が空にそのまま表れているような感じがします。

その「黒い雲」をしばらく眺めていて、最初は「また地震でもあるのかなあ」と考えていましたが、しかし、そのうち、「しかし・・・」と考えは別の方向へと動いていきました。まあ、大体次のように考えていました。


「まあ・・・お前みたいな黒い雲も、ずっと不吉だ不吉だと言われてきて、まあ、オレなんかもそう思っていたわけだけど、そのへんはお互いの考え違いという面もありそうだわな。まあ、お互いあんまりトゲのない程度に行こうぜ」


そんなことを考えながら、幼稚園へと向かいました。

ふだんは迎えに来たお母さん方もすぐ帰っていくのですが、今日はみんなが幼稚園の前で話し込んでいました。「○○が手には入らない」という話題が多いようです。

私はお母さん方と話すのは苦手なので、すぐ帰りましたが、道で幼稚園の先生とすれ違ったので、挨拶がてらに少し話すと、休んでいる子どもが多いようです。

私の奥さんの幼稚園の親仲間でも、地震以来、ストレスで体調を崩している人が多いようです。高層マンションなどの上階での揺れはものすごかったようで、それ以来、寝込んでしまっている人もいます。そういうマンションでは余震も大きく感じられるそうで、なかなか休まる時がないようです。


見だしの「黒い雲と強風の中で」の「強風」は、その黒い雲を見た30分後くらいから始まりました。お昼の12時くらいからではないでしょうか。

すでに自宅に戻っていて、部屋にいたのですが、同じ頃に、千葉で震度5くらいの地震があり、その後に強烈な風が吹き始めました。

強風に気付いたのは「音」でした。「ゴゴゴ・・・」という音が建物の周囲に響き渡り、「地震?」と思ったのですが、ベランダの外から見える大きなヤシの木を見ると、倒れそうなほど煽られている。外でガシャーンと音がするので、出てみると、外にあるいろいろなもの(コンクリートみたいなものまで)飛ばされている。

「なんだこりゃ?」

とりあえず、部屋の窓などを閉めて、外の様子を見ていたのですが、その風の音は台風などの時でもあまりないようなすごいもので、かなり長く続きました。

うちの奥さんからメールが来て、自転車に乗っていたのだが、煽られて飛ばされてしまって、近くのファミレスに避難しているとのことで、その後、帰ってきた時にも体が震えていました。風は2時間くらい続いたのではないでしょうか。

今はニュースでも天候のことなどはあまりやらないでしょうから、関東全域でどのような状態だったのかわかりませんが、それはそれはすさまじい風でした。


さっきの黒い雲のことを思い出しましたが、しかし、風が出たころにはすでに空にはあの黒い雲は消えていました。

それにしても、気弱なはずのうちの子どもは相変わらず何だか強く、私がしきりに外を見に行っては、「すごい風だなあ」と言っていると、

「風なんか気にしなくていいんだよ」

と私に言います。

実は私はあまりにすごい風に、どこかの何かの施設が大爆発を起こしたか、あるいは、富士山でも噴火したんじゃないかと本気で考えていました。

その後、子どもとこんな会話をしました。

わたし 「どこかの火山とかが噴火したのかもしれないよ」
子ども 「火山が爆発したら熱い風が吹くんだよ。冷たいから関係ないよ」
わたし 「そうなの?」
子ども 「富士山だとそうだよ」
わたし 「富士山って知ってるの?」
子ども 「知ってるよ」

というような、どっちが親だか子どもだかわからないことになっていますが、このやや予言癖のある彼に対して、「まだまだ、この子はその程度のものだ」と昨日気付いたのです。


何しろ、私たち人類、そして大人は「未来を予知できない」という、宇宙にも例のない能力を獲得している生命であることに気付いたからです。


脅威の超能力を獲得していた人類

たとえば、あなたが「明日死ぬ」とわかったとします。

今やっている仕事、研究、興味などに対して、今日どうするでしょうか。

もちろん、人によって様々でしょうが、中には「それならやめよう」と思う方もいるのではないでしょうか。あるいは悲嘆して、仕事どころではなくなる人もいるのではないでしょうか。

しかし、幸いなことに私たちは「未来を予知できない」

だから、仕事も研究も続けられる。
悲嘆せずに生きていられる。


この未来を予知できない能力のおかげで、明日死ぬ宿命だとしても、それとは関係なく人類は文明のために仕事をして、時代を前に進めることができた。

世界で一日に何人の方々が亡くなっているかは知らないですが、その人たちの多くがギリギリまで地球の何かのために何かをしていたはずで、それはその多くの人々が「未来を予知できない」という、生命としてあまりに優れた特性を持っていたからだと思います。

なぜ、「生命として優れた」という書き方となったかといいますと、他の動物たちは未来を予知している気配がある。すべての動物かどうかはわからないですが、人類以外のかなり多くの生物が未来を予知して行動している。

もし人間が同じ特性を持っていたら、今の文明はまったく進まなかったでしょうし、どうせ地球は滅びると明確に知っていたら、生き方も今までの人類とは違ったものとなっていたかもしれません。

前回の記事で、「人類は宇宙史上の生命の進化の中での最高の存在である」というようなことを書きましたが、この「予知できない」という特性も、他の生命から見ると、憧れ以外の何物でもない。


蝶や鳥や蟻たちも、「その力をほしい」と切に願っていると思います。


長い年月の末についに登場した人類という生命が獲得した脅威の「超能力」。
それが「未来を予知できない能力」なのだと思います。

文明だけではないです。

恋愛だって、「私は、あるいはこの人は明日死ぬ」とわかって始まる恋愛と、そんなことはわからないで始まる恋愛はどちらがハッピーか。

その人の未来を予知できないから、その時の感情だけで人を好きになれる人類。

そして、言うまでもないですが、「恋愛という、本来なら単に生殖活動でしかないはずの行為を、人生で最大の娯楽と楽しみに昇華させた人類」。

なんでも楽しみにできる生命。

ものを食べることをただの生命維持ではなく、娯楽にした生命。
目に見える風景、耳に聞こえる音を絵や音楽として楽しみにした生命。


本当に、なかなかこういう生命はいないと思います。


広い宇宙には未来を予知できる知的生命もいると思いますが、それはつまらない毎日だと思います。


「あなたと今日出会うことは知っていた。子どもは来年生まれるけど、3年後にあなたは死んじゃうから、私は再婚して、そして、この国が滅びるのは・・・」


こんな毎日が楽しいわけがない。


その余分な能力をついに人類という生命はそぎ落とすことができたのです。

まったくすごい。


つーか、こんなことをほとんどその場だけの考えでテキトーに書き殴っている自分もすごい(こういうことを自画自賛するバカ思考もすごい)。



シュタイナーの言葉

ところで、ある方からメールをいただいて、私が最近書いていたことと、シュタイナーの言っていた意義がほぼ同じだと教えていただきました。

私はシュタイナーが何を言っていたかをまったく知らないので、それが本当がどうかもわからないのですが、そのメールに書かれている内容はとても理解できるものでしたので、ご紹介したいと思います。

転載してもいいかどうかを、メールを下さった方にまだお聞きしていないのですが、状況が状況ですので、とりあえずその場の判断で動かせていただきます。
これを書かれたご本人はこの分野に大変お詳しい方です。

(ここから転載)




現代人の知性とその可能性

人間の知性はいまや他の存在たちにとっての希望です。自然のなかに生きていた神々はもういません。自然は、もはや自動的に運行する機械に過ぎないのです。科学によって自然を観察しても生命は見つかりません。自分を探してのぞき込んでも、見つかるのはただの影にすぎません。

今や人類はそれ以前とは異なります。神々は人類に運命を委ねたからです。
宇宙の知性は、ある時期から人間の側に移行しました。以前のように自然を探すことによって見いだせるのは死んでしまった法則だけです。人間は、自分が宇宙の意志であるという事実を自覚するとき、やっと宇宙と自分自身の本当の姿を見つけます。それは神々が与えてくれるものではなく、人間の判断行為の中にのみ見いだされるものです。

宇宙は最終的な結論として人間を選びました。

この奇跡の只中にいる人間自身がこのことに気づいていません。空に輝く物質的な太陽とおなじ力が人間の内部にも働いているという事実をです。自分自身の知性がこれから大きく変容する可能性があることに人間は気づかなければなりません。宇宙の命運が掛かっていることを知らなくてはなりません。

過去の光は人間の内部に移行しました。自分の思考が宇宙の意志であることを自覚すると、想像をはるかに超えた数の存在たちが闇から救出されます。動物たちは大気圏の外から人類を見守ってくれます。植物たちはこの地上で人類を助けてくれます。鉱物たちは自らを思考の材料として提供してくれるはずです。

だから宇宙に生きる全ての存在たちのために、人間は、今、行動しなければなりません。





(転載ここまで)



ここにある「行動しなければなりません」というのは、多分、「人間は、自分が宇宙の意志であるという事実を自覚する」と「ひとりひとりが考える」だけということのようにも思います。違うかもしれないですけれど、今はいろいろとできない状況ですので、単にそう考えていくのもいいかもしれません。


ちなみに、全然関係ないですが、お子さんのいらっしゃる方は、一緒にいる時はできるだけ楽しくいたほうがいいように思います。テレビをつけても暗い場面ばかりですし、被災していなくとも今が一種の異常な事態であることは察知できると思いますし、東北と関東では停電などもあり、子どもといる時は不謹慎なくらいに楽しく過ごしてもいいかと思います。

うちの子どもは、どこで覚えたのか地震対策をよく知っていて、揺れた時に行く場所を私たちに指示する一方で、避難用のバッグにいろいろと詰めて、むしろふだんより生き生きとしています。

無意識での経験なのか、いわゆる過去世というやつなのか、地震と噴火には妙に詳しいです。まあしかし、彼も早く「進化」して、予知などできなくなるといいのですけれど。
タグ:人類