2011年05月07日



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宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験



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宇宙塵自身が生命であることの発見

宇宙塵(うちゅうじん)というのは、宇宙空間全体に漂っている物質の正体で、Wikipedia から説明を書き写しますと、こうなります。

宇宙塵は、星間物質の一種で、宇宙空間に分布する固体の微粒子のことである。(中略)

その密度は極めて低く、実体としては、1立方mの空間に塵の一粒があるかどうかという、地上の実験室ではとても到達しきれないほどの超高度真空状態である。しかし、宇宙はあまりにも広大なため、これほどの希薄な密度でさえ、何光年、何十光年とわたれば十分な質量を持った天体となる。



つまり、宇宙空間全体を組織しているのがこの宇宙塵だといえるのだと思うのですが、 英国のカーディフ大学の天文物理学研究部門では、1970年代からこの宇宙塵についての観測とデータ検証が行われてきました。

研究主任は、昨日も取り上げた天文学者のフレッド・ホイル博士で、ホイル博士は当時すでにイギリス王立協会で、元素合成の理論の発展に貢献したことでロイヤルメダルを受賞していた英国科学界きっての天文科学者でしたが、この1980年代の「発見」によって、むしろ、ノーベル賞などの栄光から離れていくことになります。

その「発見」とは、チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士らと共に、

・宇宙塵そのものがバクテリアである

ことをデータから突き止めてしまったのでした。

この研究は 英国のカーディフ大学では執拗に行われ、また、ハレー彗星などの組成も執拗に分析され続けました。宇宙空間には一定方向から常に赤外線が放射され続けており、宇宙空間にある物質の「透過などのスペクトル」というものを分析すること(赤外線を物質に通した時に出る成分の分布グラフで物の性質がわかる)で、かなり遠方のものであっても組成の推測をすることは可能となっています。


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▲ これは1986年のハレー彗星の際のスペクトル分析データ。ハレー彗星がばらまいた物質と一致した成分は、地球の大腸菌でした。彗星全般かどうかはともかく、少なくとも、ハレー彗星に関しては、「大腸菌とほぼ同じもの」をばらまきながら宇宙空間を進んでいるということになります。



物理学者アレニウスが100年前におこなった実験

このあたりの西洋の観測科学というのは、かなり早くから進んでいて、実は一世紀くらい前にはその「宇宙空間を生命のようなものが飛んでいるかもしれない」という最初の発見が、スウェーデンの物理学者のアレニウスという人によってなされています。アレニウスという人は、1903年に「電気解離の理論」というもので、ノーベル化学賞を受賞しています。この「電気解離の理論」の意味は私にはわからないですが、彼はパンスペルミア説の最初の提唱者のうちのひとりのようです。


エピソードで知るノーベル賞の世界」というページにこのように書かれてあります。

アレニウスは、化学の分野のみならず、あらゆる科学にも通じていた。彼が貢献しなかった科学の分野はほとんどなかったとも言われているのだ。

彼は、宇宙空間を漂っている「生命の種子」を想定し、これが太古に地球上に降り注いだ可能性もあり、地球上の生命の発生にもつながったのではないか、とする「パンスペルミア説」(汎宇宙胚種説)なども提唱。

彼は、そうした生命種子は、「太陽風を受けて、秒速100Kmの速度で宇宙を旅してきた」とまで計算していたのだ。



この 100年前にスウェーデンの科学者が想定した概念は、1970年代頃から続々とデータ上で実証されていきます。

ところが、地上の科学の世界には以下の3つの概念が強固に定着しており、これらの「宇宙空間から地球などに生命のようなものが飛来している」ということは、データ的に確証がとれていると考えられるにも関わらず、基本的に科学界で無視されてきました。
地上に定着していたその3つの見識とは、

・生命は地球の原始スープの中で無機物から生まれた
・ダーウィンの進化論


そして、

・宇宙はビッグバンで誕生した



の3本です(サザエさん風)。

ビッグバンについては、このブログでも過去に何度か記事(ビッグバン理論では説明できない古い巨大な銀河が多数発見されるなど)を紹介しましたが、ビッグバンのほうはについては今回はふれません。


上のスウェーデンのアレニウスが1世紀前に行ったバクテリアに対しての実験については、やはりフレッド・ホイル博士の「DNA は宇宙を流れる」という著作でふれられていますので、抜粋しておきます。

この「DNA は宇宙を流れる」という本は、ホイル博士最晩年の著作で、前回紹介した「生命はどこからきたか」と比べると、科学的な立証部分が少なく、わりと平易なエッセイ本のような内容なのですが、理論的な部分とは別に

・宇宙塵が宇宙を作っている


ことと、そして、

・その宇宙塵は生命(バクテリア)である


ということが繰り返し書かれています。
そこからの部分的な抜粋です。

結構長くなりますので、要点を先に書いておきます。

・バクテリアは宇宙空間で想定されるあらゆる苛酷な条件を生き延びた

・宇宙空間の極端な低温はむしろバクテリアの胞子の保存には適した空間

・生体物質が無酸素状態の中で分解されてできるグラファイトは生命をX線や紫外線から完全に保護する


などです。

3つめのグラファイトの問題は、著作にそう書かれているわけではないですが、「宇宙空間で生命が死ねば死ぬほど(グラファイトが生成されて)他の生命が助かる」ということになると思います。




生命( DNA )は宇宙を流れる
著者/フレッド・ホイル
翻訳/小沢元彦


バクテリアは星間空間で生きてゆけるか より

 1世紀あまり昔に、スウェーデンの物理化学者スヴァンテ・アレニウスは、バクテリアの胞子のような微小な粒子なら、光の圧力を受けて宇宙空間を旅することが可能であると計算した。もちろん、この仮説には、バクテリアが宇宙空間の苛酷なコンディションに耐えられることが前提とされる。

 この前提に問題がないことを示すために、アレニウスは、バクテリアの胞子が信じがたいほど強靱であることを強調した。彼は、ロンドンのジェンナー研究所で、バクテリアの胞子をマイナス252度の液体水素の中で 20時間保存しても発芽能力を失わないことが証明されたこと、および、マイナス200度の液体空気の中で微生物の繁殖能力をそこなうことなく6ヶ月のあいだ保存できることを実験的に証明したことを根拠に、バクテリアの胞子が星間空間なみの低温にも耐えられると言った。

 さらにアレニウスは、生物を消耗させる生化学的なプロセスは、低温では非常にゆっくりとしか進行しないことを挙げ、宇宙空間の極端な低温は、バクテリアの胞子にとって最も効果的な保存法として作用するだろうと言った。そうであるなら、常温下の活動状態にある場合にはとても不可能な、長い、長い旅を終えた種子が、新しい環境のもとでふたたび繁殖し始めると考えても、おかしくはない。

 彼の仮説に対しては、バクテリアがいかに丈夫であったとしても、宇宙空間のX線や紫外線には耐えられないだろう」という批判がなされるのが常である。

 アレニウスは宇宙空間にX線が存在することは知らなかったが、太陽光線に含まれる紫外線が生物の細胞にダメージを与える可能性については気付いていた。彼は、この点につき、楽観説をとったが、そこがオパーリンらの猛攻撃を受けた。

 確かに、X線や紫外線は、生物の遺伝子を破壊する。しかし、ある種のバクテリアにはX線に対する高い耐性があることが知られている。マイクロコッカス・ラディオフィリオという単球菌の仲間のバクテリアに強力なX線を照射する実験を行ったところ、その DNA 分子は1万以上の微小な断片になってしまった。ところが、そのバクテリアは、このすさまじい破壊から回復し、蘇生してきたのである。

 また、グラファイト状の物質からなる厚さ1万分の数ミリメートルの、きわめて薄い外殻をバクテリアのまわりにつければ、紫外線による破壊から内部を完全に保護することができる。そして、生体物質が無酸素状態の中で分解されると、最終的にはグラファイトになることは、よく知られている。いくつかのバクテリアが塊になって宇宙を漂うなら、内側のバクテリアは、ほぼ完全に保護されるだろうし、バクテリアの胞子が暗黒星雲の中にある場合や、彗星や隕石の中に埋もれた状態でいるなら、生命の危険はさらに軽減される。

 われわれの実験でも、バクテリアは、0気圧にも、1平方センチメートルあたり 10トンの圧力にも耐えた。極低温にも、600度までの瞬間的な加熱にも耐えた。

 銀河を旅するのに、バクテリアほど適した形態はない。

 いや、バクテリアの数々の驚異的な性質は、宇宙を旅するために発達したような気さえしてこないだろうか?







ここまでです。

この最後のホイル博士の問いかけ、「バクテリアの数々の驚異的な性質は、宇宙を旅するために発達したような気さえしてこないだろうか?」に関しては、その問いかけ通りだと思います。

つまり、

・バクテリアはもともと宇宙空間を旅するものとして生まれた

のだと私は思います。

そして、何度かふれましたが、「どうしてそうなのか、そして、どうしてそういうものが宇宙に存在するのか」は永遠にわからないことだと思います。単に過去の実験結果がそれを示しているということで、理念も理想も何もない現実の話です。


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