昨日の記事「宇宙線が雲を生成に関係していることを証明しようとするデンマークでの実験」は久しぶりに長い翻訳でしたが、わりと問題ないようですので、好きなニュースを見た時にまた翻訳しますね。
今回のは今朝見だしを見て「へえ」と思ったニュースです。
米国のラトガース大学の研究グループによる DNA のゲノム解析によって、氷河期の終わりだった1万2000年ほど前に北米大陸で住んでいた人の数が「たった 70人」だったことを突き止めたというニュースです。
「人類の文明の始まり」については、世界のどの地域にしてみても非常にわからないことが多いですが、最近のこういう研究では、1万年くらい前までは本当に地球には人類は少なかったようです。
ちなみに、現在の科学では、今地球にいる人類のほとんどすべては、20万年前くらいにアフリカにいた女性(俗称ミトコンドリア・イブ)の子孫とされていて、その女性が「全人類の最も近い共通の女系祖先」ということになっています。
「この女性がすべての人類の祖先」というようなふうに言われることがありますが、厳密にはそういう意味ではないようで、このページのこの部分が正しいようです。ウィルソン博士がこの説を発表したのは 1987年のことです。関係ないですが、太陽黒点の最大期でした。
この説は分子生物学者であるアラン・ウィルソン博士らのグループによって提唱され、無作為抽出した147人のミトコンドリア DNA の塩基配列を解析した結果から、全人類の共通の祖先がアフリカにいたことを示唆する系統樹を作成したことによる。
博士自身、人類がたった一人の女性から始まったと言っていたわけではなく、最低でも数十〜数百人規模のコロニーから始まったと見ている。世代を重ねて単一のミトコンドリアDNAを持つに至ったコロニーから各地に分散していったのではないか、というのが本来の説。最近ではミトコンドリア・イブを7人とする説もある。
とはいえ、今の瞬間の現時点では「人類すべてのお母さんが彼女ひとり」という言い方でも特別には問題ない感じもいたします。
おもしろいのは、この人類すべてのお母さんともいえる彼女につけられた名前にある「ミトコンドリア」という存在そのものが、以前書いたこともある「地球存在自体が女性である」ということにもつながる部分は感じます。
ミトコンドリア・イブから抜粋します。
■ミトコンドリアDNA
ミトコンドリアDNAは必ず母親から子供に受け継がれ、父親から受け継がれることはありません。したがってミトコンドリアDNAを調べることで、母親からその母親への家系を調べことができます。父親をたどることはできません。
これはつまり、「女性の存在がこの世になければ、人類はどれだけ科学を進めたところで自分たちの祖先を探ることはできない」という仕組みを人類は自分たちの体の中に持っているということにもなります。
▲ ミトコンドリア。ミトコンドリアは細胞の小器官で、この中にあるDNAをミトコンドリアDNAというそうです。
これは「生物学的にはすでに消滅が「確定」している男性の染色体」という記事で書いた、消えていく男性染色体の話と合わせると、とても面白い「男性の存在」を感じます。
女性の遺伝子は永遠に存在の証拠を伝承し続けて、人類創造の痕跡を残している一方で・・・。
男性の遺伝子は、「飛ぶ鳥あとを濁さず、旅の恥は掻き捨て」という存在であることがおわかりかとも思います(笑)。
何も残さず、何も生まない、そして、最終的には消滅していく存在。
それが男性なのだなあと、最近次々と明らかになる DNA 解析と遺伝子の正体の研究を見ていると、しみじみと感じます。
だから、男性ってのは刹那的なのかも。
私などにしてみれば、生きていてそこが楽しいところですが。
それでは、ここからが翻訳です。
なお、文中に「クローヴィス文化」という言葉が出て来ますが、これは、「後期氷河期の終わり、放射性炭素年代測定によると13000年前から8500年前とされる時期に北米を中心に現われた、独特な樋状剥離が施された尖頭器を特徴とするアメリカ先住民の石器文化」とのことです。
Only 70 people lived in N. America
Press TV 2011.05.15
北米大陸の人間生活はたった 70人により開始された
DNA研究により、専門家は 12,000年から 14,000年前の間に北米大陸の最初に住んでいた人類の数は 70人以上はいなかったと結論づけた。
米国ラトガーズ大学のジョディ・ヘイ教授は、新しい DNA の研究として、新たに9つのゲノム領域の調査をおこなった。それにより、北米大陸の初期の人間生活は 約70人の個人によって始まったことをつきとめたと教授は語る。
教授の DNA 調査の方法の特徴は、実際に存在する遺伝子のデータから過去の推移を予測するところにある。研究では、北アメリカの3つの主要言語グループのひとつであるアメリカインディア(アメリンディアン)固有の言語を話す人々の遺伝子データを付け加えた。
「この方法の素晴らしさは、アジアの人々とネイティブアメリカンの人々から集めた実際の DNA のデータを使用できることにある」と教授は言う。
今年3月の初旬、米国の考古学者チームが、テキサス州オースティン近辺において、 15,528点にのぼる石器や人造品を発見した。
これは、それまでの米国の先史についての研究と理論をすべて否定するものとなった。
考古学者チームの代表者であるテキサスA&M大学のマイケル・ウォーターズ教授は、この石器や人造品の発見について「聖杯を見つけたようなものだよ」と語る。
「私たち米国の考古学者すべてが頭をバットで殴られたかのような衝撃を受けているんだ」。
考古学者の間で長年定着していた理論では、アメリに定住した最初の人々は、クローヴィス文明と呼ばれ、後期氷河期の終わりである 13,000年から 13,500年前に北米で登場した先史時代の人種とされていた。
このクローヴィス文明の消滅に関しては、多く理論や研究があるが、クローヴィス文化は時代と共にアメリカ全土に広まり、最終的に他の文化に吸収されていったとする説が有力だ。
ここまでです。
この「クローヴィス文明」ということ自体、私は初めて知ったのですが、「クローヴィス文明は隕石によって消滅した」という説などがあるのですね。
そのひとつをご紹介します。
クローヴィス文化を滅ぼした災厄の星はでっちあげかより。
隕石説が最初に登場したのが2007年、科学者らが大規模な天体衝突の痕跡は約12900年前のものであると発表したときである。隕石説では北米大陸の気候を急激に寒冷化させたと言われており、マンモスやその他の大型動物が死滅したという。
またこの説はクローヴィスの人々の明白な消滅も説明できるという。衝突が起きたと推測される時期からほどなくして、彼らの文化の特徴たる石鏃が考古学的記録から消え失せてしまったのだ。
クローヴィスの急速な人口減少の証拠としては、隕石説の論者らはクローヴィス文化の遺跡にはその後に人が住んだ痕跡を示すものはほとんど見られない点を指摘している。
その痕跡が見られるわずかな遺跡においても、クローヴィスとその後継たる文化の遺物は考古学的に不毛で何も出ない堆積層によって分かたれており、二つの文化の間には年代のギャップがあることを示している。
実際、隕石説論者らは、この地層が北米における人類の考古学的記録に刻まれたデッド・ゾーンであり、天体衝突にともなって始まり約500年にわたり続いたと主張している。
上の記事の要旨は「そういう証拠はない」ということで、クローヴィス文明は隕石で滅亡したわけではないだろうという話が紹介されています。
それにしても、過去にはいろんな文明が滅びていますが、「きれいに消滅」しているものも多く、わからないことが多いです。
「飛ぶ鳥あとを濁さず」と、上のほうに書いた言葉を思い出します。
何となく思ったんですが・・・「地球という大地が女性性」なら、「文明というのは男性性」なのかも。
だから見事に消滅する。
まあ、それは今の文明の先行きを見ていればわかることなのかもしれないです。
個人的には過去同様だとは思いますが・・・。
つまり今の文明(氷河期後の 13000年くらいの文明)もやはり跡形もなく消え去るという方に一票。
それが悲劇だとか不幸だとも考えていませんが。