2011年05月20日



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衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化



個人的にかなり強烈な報道記事で、日本の地震と関係した海外の報道記事としては、今まで見たものの中で個人的に最も興味深いものです。

米国の科学技術系サイトのテクノロジー・レビューの5月18日の記事として掲載されていたもので、その内容は、

マグニチュード9の地震があった前日までに日本上空の赤外線量と電離層の電子量が増大したことがデータ上で確かめられた

という記事です。

今回紹介するのはその報道記事ですが、元となったカーネル大学のライブラリーにある学術論文(英語)はこちらにあります。


私はずいぶん以前から「地震の直前に地球の高層圏(地上から非常に高くて宇宙から観測するような場所)で発生事象の数々が起きる」ことに興味を持っていました。


下の図は今回の報道のもととなった研究発表文書にある図の中の「3月10日から3月12日」までのOLRと呼ばれる赤外線のエネルギー量の変化です。

・3月10日から3月12日までの赤外線のエネルギー量の変化

3-11-orl.gif


また、下の図は、3月8日の TEC値と呼ばれる、GPSでの解析による「電離層全電子数」の分布です。

・3月8日の電離層全電子数

3-11-tec.gif


赤い部分が電離層中の電子の数の多い場所です。日本周辺の真っ赤ぶりがおわかりでしょうか。これと、上の赤外線のエネルギー量の変化を見ると、ここから地震に関しての何らかの研究が導き出される可能性は「非常に高い」と感じます。


うーむ・・・。

ところで、翻訳記事に出てくる DEMETER衛星観測 とは、こちらのサイトによると、

DEMETERは地震電磁気観測と地球電磁環境観測を目的としたフランス宇宙研究センター(CNES)の小型衛星プロジェクトで、2004年6月29日に打上げられ、マグニチュード4.8以上の地震 9000回との統計解析の結果、地震4時間前に夜間VLF帯電波強度が顕著に減少することを報告しています。

とのこと。


ところで、ずいぶんと昔ですが、こちらのブログの記事で、銀雲というものについてふれたことがありました。

これは「地球の表面の地平線の上の高度およそ60kmないし70kmでしか見ることができない雲」で、つまり宇宙からしか見えないのですが、ロシアの宇宙飛行士たちは「これが見えると必ず地上で地震が起きる」と言っていて、宇宙飛行士たちはこの高高度にある雲と地震の関係を確信していたという話があります。

私は地震の発生の原則についての推測に関しては今後も含めて書くつもりはないですが、地球で起こる多くのことに関して、宇宙線の関与が大きいとは考えています。書くとしたら日記で「娯楽として」書くと思います。

それでは、ここから記事の翻訳です。






Atmosphere Above Japan Heated Rapidly Before M9 Earthquake
Technology Review 2011.05.18

マグニチュード9の地震の前に急速に加熱された日本上空の大気

震源地上空の赤外線放出が東北大地震の前に急激に増加していたことを科学者が突き止めた

japan4.jpg


地質学者たちは、これまで、大地震の前に報告され続けていた奇妙な大気の現象についての理解に戸惑っていた。これらには確証がなく、また、これらの大気の状態と地震の関係を物語る上での裏付けとなるデータを手に入れることも難しかった。

しかし、近年、世界中の様々な研究チームが、地震地帯に監視ポイントをを建設し続けており、そして、そのいくつかの監視ステーションからは、すでに地震が発生した前後の高層大気の状態と電離層のデータを衛星に送っており、そこからのデータを入手することが可能となってきている。

2010年1月にハイチで発生したマグニチュード7の地震の前に、DEMETER宇宙船から得られたデータでは、超低周波無線信号の大きな増加を示していた。

そして、今回、 NASA のゴダード宇宙飛行センターが 3月11日に日本を荒廃に追い込んだ超巨大地震に関してのデータを提示した。

このデータの結果には多くの人々が驚くと思われる。

日本の東北でのマグニチュード9の地震の数日前より、電離層全体の電子量が劇的に増加したことがわかったとゴダード宇宙飛行センターの研究スタッフは言う。そして、この電子量は地震の3日前に最大限に達した。

同時に、衛星は巨大な赤外線放出を観測した。この赤外線の放出は、地震直前にピークに達した。

これは言い換えると、空気が加熱していたということになる。


これらの観測は Lithosphere-Atmosphere-Ionosphere Coupling メカニズムと呼ばれる考え方と一致している。

この考え方は、地震の前日には、実際には与えようとしている断層の大きなストレスがラドンの大量の放出を引き起こすという考えだ。

(訳者注) この「Lithosphere-Atmosphere-Ionosphere Coupling メカニズム」は「地圏 −大気圏−電離圏結合」という日本語になるようです。下に説明ページのリンクを示してありますので、ご参照ください。


このガスからの放射能は大規模に空気をイオン化し、いくつかの影響を与えると思われる。水分子が空中でイオンに引きつけられるので、イオン化が水の大規模な凝結を誘発するのだ。

しかし、結露のプロセスも熱を放つ、そして、赤外線放出を引き起こしている理由はこれだ。

NASA の研究チームは、 「3月8日赤外線の急速な増加が衛星データから観察されたことを、我々の最初のデータが示している」と言う。

これら赤外線の放出は、電離層とその全体の電子の含有量を増加させる。
そして、これは確かに、岩石圏、大気と電離層がひとつの方向として不安定にさせられるという意味を持つと思われる。

問題は、今回得られたこの証拠が、どの程度まで一般化した意見となり得るかだ。

日本で発生した大地震は、世界で起きた地震の中で最も大きなもののひとつであり、今後においても研究されるべきトップクラスの現象であり続ける。

今回のデータを最大限に活かすチャンスを作らなければ、地震研究に明日はないかもしれない。


--

(訳者注)

Lithosphere-Atmosphere-Ionosphere Coupling(地圏 −大気圏−電離圏結合)

について。

地震に関連する地圏 −大気圏−電離圏結合より。


大地震や津波が大気重力波等を通して電離圏まで影響を与えることはよく知られています。。一方、地震時・後のみならず地震前においても電離圏擾乱が見られるという指摘が80年代ぐらいからされており議論が盛んです。現在は、メカニズムが仮説の段階であること、統計的解析が不十分な場合も多いため現象の存否については決着がついていません。しかし、近年のいくつかの論文では、統計的に有意なものがあり、さらに研究する必要があります。これらの大気圏・電離圏擾乱と地震の因果性については、地震による影響のみならず、これら擾乱が他の地震発生要因の副産物として観測されている可能性もあります。



要するに、以前より地震の前には電離圏に何らかの異常等が起きることが確認されていたということのようです。

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