2011年05月25日



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ブッダの安堵: 科学が到達しつつある「宇宙に存在するあまりにもたくさんの他の地球と生命」



ここ1年ちょっとくらいの間、何かの記事を思いつきで書いた後、少し待っていれば、それらのことを補強してくれるニュースが出てきてくれるということが続いています。どんなに適当なことを書いても、わりと直後に、必ずそれと関係したニュースが出るということはありがたいことだと思っています。最近はその出現スピードが早くなっています。

今日は昨日 5月24日の米国のタイム誌のサイトの記事です。

タイトルは「宇宙には私たちが考えている以上の数の " 地球タイプの惑星 "が存在するのか?」というもの。

最近の研究では、太陽系外の惑星のサイズや位置から「大気の生成や気候システムのシミュレーション」が可能となっているそうで、フランスの国立天文学研究所の調査により、太陽系外の「地球タイプの惑星の数」が驚くべき数に達しているかもしれないという発表に関してのものでした。

5月9日に In Deep の「ぼんやりと外を見ていて気付いた「宇宙の計画」」という記事を書いた後に、「この関係の新しいニュースが出ないかなあ」と考えていたら、昨日出たという感じです。

上の In Deep の記事の、

宇宙の全域で似たような面子が似たような宇宙を作っていって、似たような銀河、似たような太陽系、似たような地球が無数に作られていく。


の部分の話です。
この「似たような銀河、似たような太陽系、似たような地球」というのは、もともとは、お釈迦様、つまりブッダが言っていたことです。

ブッダは「宇宙はわれわれの惑星系と似た数十億の小さな宇宙から成り立っている」として、下のように書いていました。フレッド・ホイル博士が自著の結びとして書いた部分を「この世の終わりをみんなで考える新年」( 2011.01.07)という記事に書いたことがありますので、そこから抜粋しますと、


 紀元前六世紀に、ブッダの世界観はすでにコペルニクス革命以後に入っていた。彼は宇宙が、各々がわれわれの惑星系と似た数十億の ”小さな宇宙” から成り立っていると記している。ブッダの対話形式になっている古い仏教の教典のなかに無限の宇宙について述べられている。

「無数の太陽、無数の月、・・・、無数のジャムブディパス、無数のアパラゴヤナス、無数のウッタラクラス、無数のブッダビデバス」

 ジャムブディパスとは当時の北インドの人々が知る限りの人の住んでいる地域を表す単語である。この対話から、ブッダが生命と意識(彼はすべての生命に意識があると考えていた)を宇宙の構造に全体として結びついていて別々にできないものと捉えていたことは充分に明らかである。




実際は、ブッダが生きていた時代はまだ観測科学が進んでいませんでした。
宇宙の観測のために大事な赤外線望遠鏡も、成分の分析と特定に大事な分析法も確立されておらず、(やりたいと思っても)それを果たすことはできなかったと思います。

なので、実は私たち「現代の一般民衆」は、当時の偉人、すなわちブッダやキリストや様々な神がかった人々より、はるかに有利な立場で生きていると最近思えるようになりました。ブッダやキリストたちが地団駄を踏んで悔しがるであろうほど、宇宙を直接見たり、宇宙の構成物質を赤外線望遠鏡などの観測から推測できる。

こう考えて生きると、今の時代に生きることもそんなに悪くないかなあと。

私たちは無理して自分たちの存在を卑下ばかりすることもないように思います。

宗教もなくなり、神もいなくなっても、「オレたち人類が地球にいるから地球は大丈夫」と思って生きればいいかと。


ここからタイムの記事の翻訳です。

記事にある「グリーゼ 581d」という惑星については以前、このブログでも記事にしていますので、記事下にリンク等を掲載しておきます。地球から20光年のところにある星で、地球と極めて似た環境であることが最近の研究でわかっています。

私個人として思うのは、パンスペルミア説から見れば、(時代によるでしょうが)地球とほとんど同じ人間と文明が存在すると思っています。地球から20光年離れたこの星にも、日本や西荻窪が存在するかもしれません。

正直ワクワクしますが、私たち人類がグリーゼ に行ける時は来ないと思います。
20光年は近くて遠い。

それでも、この星の存在を知ることができたということ自体が、「何とオレたちは刺激的な時代に生まれることができたのか」と感激いたします。





Scouring Space for Life: More Earths Out There than We Thought?
TIME (米国) 2011.05.24

宇宙の生命の徹底調査: 地球タイプの惑星は我々が考えている以上に存在するのか?





最近の天文学の世界において惑星の調査はもっとも熱いカテゴリーのひとつだ。

少なくとも、理論的には生命が存在することができるとされている遠い宇宙にある「地球サイズ」の惑星たち。生命、あるいは人類が住むのにさえ適していると思われるそれらの惑星は、地球と同じように親の恒星(太陽)の周囲を旋回している。

そして、太陽からの距離が地球から同じような位置にある惑星の場合、地表の熱の状態や水の状態が地球のような状態である可能性が高いと考えられる。

もちろん、惑星のサイズと太陽からの距離が同じというだけで、地球と同じ環境と考えるわけにはいかない。木星のような巨大にガス天体の例もあり、その場合には多くの生命が住むことには適さない。

なので、地球と同じような環境の惑星を探すことは大変に厳しい条件にも思えるが、しかし、最近の科学者たちは「地球と同じような環境の惑星を探すことはそれほど難しくない」と言し始めている。


最近の2つの科学的研究により、以前考えられていたよりも、生命が住むことに適した環境の惑星の数が多いことがわかってきており、またその範囲も非常に広いと思われている。つまり、地球外のエイリアンという存在は以前の私たちが考えていた概念よりもずっと高いという見通しとなっているのだ。


そもそも、私たちのいるこの「地球」でさえ実は奇蹟のような成り立つを持つ。たとえば、そもそも、地表に熱を閉じ込めるための温室効果ガスと二酸化炭素と水蒸気が存在していなかった場合、地球は現在でも凍り付いた冷凍の固形物でしなく、私たちを含めた多くの生命は生きられなかった。


最近の天文学者たちは、かなり正確に太陽系外の惑星のサイズと場所を把握することができ、そして、その位置で大気を作り出すシステムと気候の生成の「シミュレーション」を行うことができる。

フランスの研究チームが、惑星グリーゼ 581dに対して上記の調査と研究をおこなっている。グリーゼ 581dは地球から20光年のところにある赤色矮星で、地球と同じように親の星(太陽)の周囲の軌道を周回している。

グリーゼ 581d は地球の約2倍のサイズだ。

グリーゼ 581d には大気が地表に存在するための重力があることが合理的な理由で説明がついている。しかし、グリーゼ 581dの中には、惑星が向いている方向によって、著しく寒くて乾燥した場所が存在しており、かつては生命の存在には適さないと議論されたこともあった。

しかし、フランスの国立天文学施設であるピエール=シモン・ラプラス研究所から発表された気候シミュレーションにより、上の議論には欠点があることが明らかとなった。

ひとつは、グリーゼ 581d の親星(太陽)の光は私たちの地球の太陽よりも非常に赤く、グリーゼ 581d への大気への影響がより強いと考えられること。そして、2つめに、グリーゼ 581d の風が熱を循環させていること。

この2つにより、グリーゼ 581d に生命が存在する可能性が高いという。


バチカンで行われた宇宙生物学会議で、ラプラス研究所の研究員のピエール・ハンバート氏たちは、水素の働きへの理解について述べている。

ハンバート氏はこう語る。

「原始惑星の周囲には多くの水素がある。そして、太陽系の初期の段階で、ガスとチリが巨大な円形を作っている時、たとえば、地球の10倍以上大きな惑星が作られる場合は、多くの水素を吸い取り、惑星の多くの部分を大気が占める。太陽系の木星や土星がその例だ」。

「作られた惑星があまりに小さいか、太陽に近すぎると、軽量のガスを保つことができない。それが、地球程度のサイズか、あるいは地球の2倍か3倍くらいまでの大きさの惑星の場合だと、水素によって支配される「空気」の存在が認められる。すなわち、地球と同じような環境の可能性という推測が成り立つ」。

「もちろん、気温や大気の状態が地球と似ていたとしても、必ずしも生命がいるかどうかはわからない。しかし、いずれにしても、水素がその惑星の気温を適切に保つことができるということが重要だ」。

現在の天文学者たちは、すでに「地球以外の宇宙での生命の存在は不可能」だとは言わない。

宇宙に地球と似た惑星が数多く存在するという観測は、宇宙生物学としいう新しい科学にとっても力強い声明となると思われる。






(訳者注) 上の記事にでてきたグリーゼに関しての過去記事です。

ついに地球と似た環境の惑星の存在が確定される。距離は20光年


また、2007年1月ですから、約4年前に、SPACE.comという宇宙サイトに出ていたグリース581に関しての記事です。

2007年1月24日 | SPACE.com/ケール・サン記者

24日火曜宇宙科学者の発表によると、太陽系宇宙の外側に存在する地球に似た惑星には、水があって生命体が存在している可能性があるということがわかった。

周知の通り、液体状の水は生命が存在するための鍵となる成分である。

この新発見の惑星は、その軌道をまわる中心の恒星と「ゴールディロックス=黄金保持」の距離に位置しており、その惑星上の水が凍結したり水蒸気となって気化したりしないような適度な距離を保って存在していることが判明した。



ブッダは「数十億の地球」と言いましたが、「無数」という理解でいいのかなと思っています。