2011年05月26日



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ありがとう、スピリット: 火星の真実を自らのボディで示してくれた無人探査機の引退



火星の無人探査機ローバー・スピリットは長いこと火星の上で動かなくなっていましたが、ついに NASA が放棄することを決めたというニュースが米国のエポックタイムに載っていました。

スピリット・・・。

ローバー・スピリットこそが私たちに火星の(あくまで約8キロの距離という一部とはいえ)本当の状態を自らの身をもって示してくれた存在なんです。私はもう本当にどれだけローバーに感謝を言いたいのかわからないほどです。

豊富な空気に満ちて、青い空を持つ火星。
水や氷と共に、風が吹く大地。
廃墟じみていながらも、そこに見える文明の痕跡。

火星がそういう星だったことを教えてくれたのはローバー・スピリットであり、そして、このスピリットが送ってくれた数々の写真に写りこんだ「スピリット自身の姿」でした。

そのことを少し書きましょう。



「これはローバーの色じゃない」

「NASA が発表した火星の写真の色がどうもおかしい」ということに最初に気付いたのは、決して陰謀論者でも反体制的な人々によってでもありませんでした。

本当に宇宙が好きで、そして NASA が好きな世界中の宇宙オタクたち。つまり、「世の中でもっとも NASA のことが好きだった人たち」によってのものでした。

そういう人たちはローバー・スピリットが火星に送られるニュースを聞いて熱狂したものです。

「ついに火星の様子がわかるんだ!」と。


スピリットは 2004年くらいから火星の地表の映像を送り始め、 NASA は順次公開します。その様子は「赤い惑星」といわれてきた火星のイメージそのままで、私たちも「やっぱり火星って赤いんだねえ」と思って見ていました。

しかし、上の宇宙好きや NASA オタクたちはすぐに疑問を持った。

なぜなら、彼らは打ち上げ前のスピリットの模型や、あるいはシミュレーション図などをたくさん見ていて、それがどんなものか知っています。

たとえば、今でも米国では展示されているのだと思いますが、ローバーに限らず、 NASA の機器や探査機には「 NASA のロゴ」など、いくつかのシンボルがつけられています。

オタクたちはそういうものを事前にたくさん見ていましたので、ローバースピリットから送られてきたこの写真を見て疑問に思いました。

red-1.jpg


「地表が赤いのはわかるけど、空気も赤いわけ?」と。


だって、自分たちが見ていたローバーに搭載されていたものとロゴの色などが違うんです。

赤い砂などの嵐が吹き荒れているのならともかく、どう見ても、砂嵐や塵やホコリが吹き荒れている天候には見えず、晴天というか穏やかな気候に見えるこの写真で、どうして空気が赤いのか? 

「赤い空気って何だよ」と。

そして、何人かは「おかしいなあ」と思い、パソコンで写真をいじっているうちに、あることに気付いたのです。


「 ・・・・・写真をいじっている!」


と。

スピリットの発射前に、自分たちが実際に見たスピリットの色に近づけていくと、実際の火星の地表の色は、下の写真のようになりました。


red-2.jpg



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」。



私もはじめて見た時はそうでしたが、多くの人が声も出なかったと思います。

火星の表面は実は地球とほぼ同じだったのです。

空が青いということは、大気を含んでいるということになり、また、その組成も地球と大きくは差はない可能性があります。
それから全世界で同時に始まった「火星の表面の真実探し」。


・・・しかし、実は最近そういうサイトなども含めて、科学的なサイトはあまり盛り上がっていないということがあります。

俗っぽいサイトなどで「火星に人がいた?」等のタイトルの軽記事として見ることはあっても、当時いろいろなところであったような、真摯に写真を点検して、「それを発表する」という動きはあまりありません。

どうしてか?

それは、「何をやっても陰謀論とごっちゃにされてしまう」ということでイヤになったのです。


単に宇宙が好きで、「宇宙のことを知りたいなあ」と考えていただけの純粋な人々が、気付けば、何だかよくわからないイルミナティとか世界の陰謀に反対する人々と同じ位置で見られていた・・・。

それはさすがに馬鹿馬鹿しい。

それで多くの人はやめたように思います。

私も2年くらい前、火星の写真にハマッたことがあり、火星表面の写真の数多くを拡大して、数百点の写真を作ったことがあります。一部をクレアなひとときに掲載したこともありますが、それっきりでした。


やはり、

「火星は地球と同じ環境で、多くの文明と人々が写真そのものに写っている」

と言うのは狂気の世界みたいなんです
(笑)。


だから、パソコンに収められているたくさんの修正写真と拡大写真は、自分だけの楽しみとしてたまに眺めています。「禁断のエロ写真」みたいな感じですね。

ただ、その火星の写真の中で、今でもとても気に入っているものがあって、それだけご紹介したいと思います。当時、うちの子どもが幼稚園に入る頃だったんですが、その子どもの幼稚園の制服と同じような青い服を着ている人物が火星の写真にたくさん写っていて、「ああ、火星でも青い服なのかなあ」と微笑ましく見たことを覚えています。

ちなみに、うちの子どもの幼稚園の制服は、漫画の「まことちゃん」のと同じような制服です。

makoto.jpg

▲ 楳図かずおさんの「まことちゃん」の人形です。


火星のその写真はこちらです。。


man-color-1.jpg

▲ 火星にいたまことちゃん。似ているでしょ(笑)。


上の写真は、実は Wikipedia のローバーのページにあるこの写真に写っているんですよ。

zenkei.jpg

「まことちゃん」が上の写真のどこにいるかおわかりですか? ここからまことちゃんを見つけるのがプロ(何のプロだ)。

上のスピリットの写真の中だけでも、色を修正して拡大すると、数十人の人間のようにも見えるようなものと、数多くの廃墟じみた建物のようにも見えるものや、車両のようなもの、生物のようなものなどが写っています。こう書くと狂気でしょう(笑)。でも、実際にやるとわかりますよ。


まあ、しかし、これらのことはもういいのです。

どうせ私が火星に行ける日が来るわけでもないですので、「太陽系に地球と比較的同じような環境の星がもうひとつあった」ということを知ることができただけでもよかったです。ただ、火星は水が地表に少ないですので、海流が存在し得ない火星は、地球よりも魅力のない(多岐ではないという意味)生命体系だと思いますが。


昨日の記事で知った、惑星が大気を持つ理由

なお、どうして火星に大気が存在できるのかということに関しては、これは実は昨日の記事「科学が到達しつつある「宇宙に存在するあまりにもたくさんの他の地球と生命」」の翻訳記事で、私自身はじめて知りました。

フランスのピエール=シモン・ラプラス国立天文研究所の研究員が、バチカンの宇宙生物会議で述べたという「地球程度のサイズか、あるいは地球の2倍か3倍くらいまでの大きさの惑星の場合だと、水素によって支配される空気の存在が認められる」という部分。

つまり、地球前後くらいの大きさの惑星だと、水素の作用で、「星が作られること自体で、すでに大気を持つようになる」ということらしいです。つまり、植物が最初にいなくとも、地球くらいの大きさの惑星にはもともと大気ができるようです。

いやはや、これも宇宙の成り立ちの奇蹟であります。



さらば、ローバー。そして、ありがとう

ちなみに、最近 NASA の批判をやめた理由がもうひとつあります。

それは、火星を写真を眺めていた時に「スピリットの声」が聞こえたような気がしたんです(キチガ・・・)。

ローバースピリットは「 ぼくを作ったのもやはり NASA なんだよ」と。

ああそうかと。

いろいろとあったローバースピリットだったけれども、「産みの親である NASA のことがやっぱり好きなんだ」と。

その声を聞いたこともあります。

いろいろとありがとう、ローバースピリット。

彼はこの後、時間をかけてきれいに火星の藻屑となっていくと思います。
ただし、その期間は長そうで、またローバーの調査主任の NASA のスティーブ・スクワイヤーズという人はこう言っています。

「火星は寒冷で乾燥しているゆえ、アルミ製のローバーはさびることがない。ほとんど変化のない火星表面で、何百万年も存在し続けるだろう。人類が作った何よりも長く」。


地球が滅びても案外、スピリットは火星で長く生き延びそうです。
住居にでも使ってください、火星の人たち。


では、ここから翻訳です。





NASA Abandons Mars Rover Spirit After its Silence

The Epoch Times 2011.05.25

NASA は応答しなくなった火星のローバーの放棄を宣言

spirit-2011-05.jpg


NASA は、1年以上、応答を得られていなかった火星無人探査機ローバー・スピリットへの最後の応答の試みをおこなったが、スピリットからの反応はなく、これによって、約7年間にわたるスピリットの任務が完了したと、5月25日、 NASA は正式に発表した。

スピリットは、NASA が火星に送り込んだ無人探査機ローバーのひとつで、2004年に、もう一機のローバーであるオポチュニティと「赤い惑星」火星に着陸した。彼らの任務のひとつは、火星に水が存在するかどうか、そして、火星に生命が存在するかどうかを調べることだ。

しかし、 NASA は今年の3月からスピリットにコンタクトを取ることができなくなっており、 NASA のチームはもう一機のローバーであるオポチュニティとのコンタクトを開始していた。

火星の春のシーズンには太陽光が多くなるが、太陽電池で駆動しているスピリットが、その春の太陽光で再度充電を始めて再始動することを期待していたが、それは実現せず、今回、スピリットを放棄することとなった。

スピリットは一連の任務の仲で、8キロメートルの距離を走行した。これは、当初、想定していた距離の 12倍にものぼる。そして、地球に 124,000枚以上の写真を送信した。

スピリットは、2009年頃に、トロイと呼ばれる緩い砂地を通過しようとした際に車輪が砂にとられ、身動きがとれなくなった。何度か脱出の試みをしたが、結局、その場から動くことはできなくなった。

その後、NASA は砂地からの脱出を断念して、以後は静止観測を行った。

ローバーの調査主任の NASA のスティーブ・スクワイヤーズ氏は、

「スピリットは、人類が他の惑星において初めて陸上の実地探査をおこなった試みの任務を行った。そして、私たちは誰もが地球にいながら火星の探検に参加することを許したのだ」

と述べた。





(訳者注)

この最後の研究主任のスクワイヤーズさんの言葉、

> 「スピリットは誰もが地球にいながら火星の探検に参加することを許した」

まさに!

数限りない文明があり、そして、人類が住む火星。
その火星を写真上で探検することをスピリットは許してくれて、そして、火星の様々なことを教えてくれたのでした。

ありがとう、スピリット。

そしてこれを作った NASA とスクワイヤーズさんにも感謝を言いたいです。

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