今回の記事は、「電子が完ぺきな丸だった」という素敵な響きにつられて訳したんですが、翻訳した内容自体は特に後半の反物質のくだりのあたりはよく理解していないです。そもそも、私は「電子って何?」という人ですし。
「電子」というものを説明している中で最もわかりやすかったのはこちらのページでした。
・電気とはより。
■電子と電荷
電気を知るには、まず電子と電荷のことを説明しなくてはなりません。いきなり難しい話で恐縮です。
物質を構成する最小単位は原子ですが、原子は中心となる原子核と、その周囲を回転する電子から成ります。原子核の中にある陽子はプラス、電子はマイナスの電気を帯びています(帯電状態)。この帯電状態の物質は電荷(でんか)を持つといい、その大きさの単位はQ(クーロン)といいます。
多くの物質では陽子も電子の数は一定で、電子は原子核の周囲を回転するだけですが、何かの拍子に軌道を離れる場合があります。この軌道を離れた電子を自由電子といいます。
電気とはこの自由電子の動きをいうのです。
もう少し突っ込んでいいますと、例えば電線の中を自由電子が移動すれば、それが電気の流れ(電流)となるのです。電流とは電子の移動なのです。
要するに、多分、私たちがふだん気軽に使っている「電気」というものは、「電子が移動している状態」のことを言うようです。
この電子ですが、 Wikipedia によりますと、
電子とは、宇宙を構成する素粒子のうちのレプトンの1つである。
素粒子ということで、多分「ちっちゃい」と。
そのちっちゃい電子の動きが電気ということのようですが、その電子というものが、「宇宙に存在している中でもっとも丸い物質だった」という話です。
その「完全な球形ぶり」は記事の表現では、電子を「太陽のサイズ」にまで拡大したとしても、その円形の誤差の範囲は髪の毛一本の中に収まるほど丸いほどの完全な丸である模様です。
これはつまり、最初っから宇宙にあったもののひとつが「完全な丸だった」と。
宇宙はなんだかやはり奇跡ですねえ・・・。
記事中に、「亜原子粒子」という単語が出て来ますが、これは「物理学や化学において原子よりも小さい粒子である。亜原子粒子は核子や原子などを構成する。」とのこと。
では、ここからです。
英国のテレグラフの記事です。
Electrons are almost perfectly round, scientists discover
Telegraph(英国) 2011.05.26
電子がほぼ完全な丸に近いことが突き止められる
電子は宇宙に存在する自然の物体の中で「もっとも完全な丸」であることを英国の科学者が発見した。
英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、電子の形について、これまででもっとも正確な計測を施した。
そして、その結果、電子がほぼ完全な球形であることが判明した。
その亜原子粒子が 0.000000000000000000000000001センチメートル未満の、ほぼ完全な丸であることが確認されたのだ。
これは、言い方を変えれば、電子を「太陽のサイズ」にまで拡大したとしても、その円形の誤差の範囲は髪の毛一本の中に収まる程度の誤差となるほどの完ぺきな円であることを意味する。
コールド・マター・センターの物理学者たちは、フッ化イッテルビウムと呼ばれる分子の中の電子の運動をレーザーを使い測定した。そして、これらの分子の形が変形したことを示唆する些細な「揺れ」を探した。
もし電子が完全な丸ではなかった場合には、必ずそれが起きると仮定された。
研究チームは10年以上にわたり、この実験を続けたが、ついにそのような不完全さを、つまり揺れを測定することはなかった。
この研究結果は、反物質の研究にとっても重要なものとなる。反物質は定義のしづらい物質で、通常の物質と同義に扱うことができない。
たとえば、負に荷電する電子の反物質は正に荷電する陽電子で、それは陽電子として知られている。電子の形を知ることができたということは、陽電子がどのようにふるまうか、そして、反物質と物質がどのように異なるかを理解することへの手助けとなる。
インペリアル・カレッジ・ロンドン物理学部のジョニー・ハドソン博士は、以下のように述べている。
「物質のもっとも基本的な素材のひとつである電子についての知識を得られたということについて、私たちは本当に嬉しく思っている。これは、大変に難しい測定だった」。
「今回得られた知識は、基礎物理学に理論の改善をもたらすはずだ。多くの人々は、物理学の現在の理論に「終わりはない」と聞くと驚かれることがあるようだが、実際には物理学の理論というものは、常に洗練され続けて、改善されていくものなのだ」。
物理学で現在認められているセオリーでは、ビッグバンによって、通常の物質と同じくらいの量の反物質を作り出されたとされている。
しかし、この概念が 1928年にノーベル賞を獲得したポール・ディラック氏によって考え出された時から現在にいたるまで、反物質は、宇宙線と放射線のような僅かなソースから分総計で見つかるだけだった。コールド・マター・センターは、物質の性質と反物質の小さな違いを見つけることによって、反物質のこれまでの説明不足を説明しようとした。しかし、その違いはこれまで観測されてこなかった。
インペリアル・カレッジ・ロンドンのエドワード・ハインズ教授は、以下のように述べている。
「この世界のほとんどすべては通常の物質からできている。反物質はほんの僅かな痕跡を示しているに過ぎない。天文学者たちは、目に見える宇宙の端に目を向けたが、そこにあるものも通常の物質で、宇宙の端にも反物質はなかった」。
「物理学者たちは、この宇宙で反物質に何が起きたかはまったくわからない。しかし、今回の研究は、可能性を探していく上でのいくつかの説明の手助けになる可能性がある」。