2011年06月03日



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生物は地球のいたるところに存在する: 地中3.6キロから発見された「悪魔の虫」



地球外の極限環境下で生息する高度生命体の研究の促進となる可能性も


(訳者注) 「これまで生物が存在するとは考えられていなかったほどの地下深くから虫が発見された」というニュースが、ナショナルジオグラフィックの英語版に出ていましたので、翻訳しようと思いましたら、日本語版でも紹介されていました。

個人的に大変気に入ったニュースでしたので、上の記事とは別に、個人的に訳して資料として載せました。基本的に内容は上のものと同じで、言い回し等を(あとで自分で読んで楽しめるように)自分好みにした次第です。

これまで、地球のいろいろなところで発見された生命のことについてメモしてきましたが、それらはいわゆる「極限環境微生物」という、いわゆる微生物でした。しかし、今回地下深くから発見されたのは 0.5ミリの線虫という、かなり大型の生物だという点で、これまでの中でも最も興味深いニュースです。

なお、 In Deep の過去の極限環境微生物に関してのリンクは記事の下に記しておきます。

これは、「悪魔の虫」と名付けられた今回発見された線虫の顔です。

devil-worm.jpg


なお、今回の記事でも私が感動したのは、研究者たちの「発見に賭ける執念」です。調査にあたったひとりのベルギーのヘント大学という大学の教授は、約1年間、ひたすら、その地中深くの水を濾過し続けて、「約 3万 1582リットルの水を濾過した末に」 ついに、この線虫を発見しています。

1年間、毎日毎日、水を濾過して追い求め続けた小さな虫。


先日の「電子は「宇宙に存在するものの中でもっとも丸い存在」だった (2011年05月27日)」でも、「電子の形」を突き止めるために、英国の研究者たちは約 10年間、単調ともいえる測定作業を繰り返した末に、ついに「電子がほぼ完ぺきな円であること」を発見しています。

やはり、科学者たちのこういう日々の努力というのはすごいなあと思います。

こういう人たち、あるいはこういう研究のお陰で、地味ながら科学は進んでいって、あるいは、何らかの意味がそのうち見出されるのかもしれないです。

感謝したいと思っています。

ここから翻訳です。





New "Devil Worm" Is Deepest-Living Animal
ナショナルジオグラフィック 2011.06.02

地下3.6キロに生息する「悪魔の線虫(ワーム)」を発見

最新の研究で、これまで地下で見つかった中で最も深い地中に生息する線虫の存在が確認される

今回発見されたその線虫は、ファウストの伝説に登場する悪魔「メフィストフェレス」にちなんで、ハリケファロブス・メフィストと名付けられた。

今回の発見は、地球の地下に、これまで知られていなかった豊かな生物の生存圏が存在することを示唆していると思われる。


今回の線虫は地下 3.6キロの地中深くで発見された。

これまで線虫の生息は、数十メートルの深さまでしか確認されておらず、地下数キロの深さに棲息することが知られていたのは微生物だけだった。今回発見された体長 0.5ミリのこの線虫は、そうした地中の微生物をエサにしていると考えられる。

「大したことのない発見だと思われるかもしれないが、私にとってはオンタリオ湖でクジラを見つけたほどの驚きを伴う発見だ。この生物はエサの細菌よりも何百万倍も大きいんだよ」と、今回の研究者のひとり、米国ニュージャージー州プリンストン大学の地球微生物学者であるトゥリス・オンストット氏は言う。


苛酷な環境の中で進化した「ショッキングな線虫」の存在

もうひとりの今回の研究者であるベルギーにあるヘント大学の線虫学者であるハエタン・ボルホニー氏が、この線虫ハリケファロブス・メフィストを初めて発見したのは、南アフリカの金鉱の地中深くだった。

しかし、研究チームは、その時には、この線虫が抗夫などによって外から持ち込まれたものなのか、そこの岩から出てきたものなのかの確信を持てなかった。

これをはっきりさせるために、ボルホニー氏は1年かけて金鉱の奥深くの水脈を掘削調査し、その水の中に棲む線虫を求めてサンプルを回収して、濾過した。そして、合計 3万 1582リットルの水を濾過した末に、ついに地中深くのいくつかの岩の中から今回の線虫を発見したのだ。


そればかりではなく、研究チームはこの線虫が数千年以上前からこの地下に生息していた証拠も見つけた。

線虫が見つかった水の同位体年代測定から、この水が 3000〜 1万2000年前のものであることがわかったのだ。この結果は、線虫がこの深度の極端な高圧と高温の下で生存するよう進化してきたことを示している。

オンストット氏は、「この発見は私にとってはとんでもなく衝撃的だ」と話す。

「今回の発見は、地球の多細胞生物の生息限界が地球内部に向けて大きく拡大したことを示唆するのだ」。


この線虫が示唆する地球外生命の存在

オンストット氏は、発見された線虫が、極端な環境下で生息する高度な生命体に関しての他の研究を刺激することも期待している。

「極端な環境下で生息する高度な生命体」というのは、地球の上だけでなく、地球以外のほかの場所でもだ。


「火星のような惑星の地下には細菌しか存在できないと普通は考えられている。だが、今回の発見は、そうではないかもしれないことを示している」とオンストット氏は話す。

「私たちがこれから見つけるものは、宇宙の微生物ではなく、" 宇宙の虫 " なのかもしれない。今回の線虫のように。」。


この地中の線虫に関する研究は、「Nature」誌オンライン版に6月1日付けで掲載されている。






極限環境微生物に関しての過去記事

地球の極限環境で生きる生命から太陽系の生命の存在を考える天文学会 (2010年10月01日)



▲ 南極の氷棚の氷の下の 600メートル下の海底を泳いでいたエビのような生き物の映像。

微生物による地球環境支配の姿: 海洋地殻深部より炭素を変換するバクテリアが発見される (2010年11月22日)

アルゼンチンで見つかった「極限環境微生物」から地球と宇宙の生命の由来を探る試みが始まる (2010年08月13日)
まるで地球外生命? 酸素なしで生きる多細胞の動物発見 (2010年04月14日)

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