2011年07月10日



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カトラ火山噴火の報道が錯綜しているアイスランドのメディア



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▲ 2011年5月に噴火したアイスランドのグリームスボトン火山の噴煙を見つめる地元の人々。 AP 通信より。


(訳者注) アイスランドのカトラ火山に噴火の兆しが現れたことが、昨日のアイスランドのメディアで一斉に報じられていて、現段階では「噴火ではない」ということで落ち着いていますが、しばらくは注視していもいいのかもしれません。

アイスランドのカトラ火山については、昨年ずいぶんと記事を書いたような気がします。どうして、そんなに気になっていたかいうと、最近の過去の歴史では、エイヤフィヤットラヨークトルの噴火から1年6カ月以内に必ずカトラ火山が噴火していたからです。



カトラ火山の過去の噴火に関しては、、昨年4月のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火の頃にたくさんの報道がなされました。下の記事は、米国のヘリウムというサイトに噴火後に掲載された「Scientists warn Eyjafjallajokull could trigger the Katla volcano to erupt」という記事からの抜粋翻訳です。




エイヤフィヤトラヨークトルはカトラ火山の噴火の引き金となるかもしれないと科学者たちは警告する
Helium 2010.04.22

アイスランドは火山によって形成された火山島で、頻繁に噴火が起きる。1783年のラキ火山の噴火の際には、1億2000万トンの亜硫酸ガスが放出され、アイスランドの人口の4分の1を死亡させ、また、深刻な飢饉と干ばつを引き起こした。さらには、毒性の雲をヨーロッパの各地に拡大させて、ついには、エジプトとアメリカ合衆国の気候までも変えてしまった。

しかも、記録の上では、これがもっとも主要な火山の1つであると考えられているわけでもないのだ。 ヨーロッパ泥炭湿原では、1755年のカトラ火山の噴火の残りがいまだに見つけられているという。

これらと比べると、エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山は比較的小さなものだが、問題は、エイヤフィヤトラヨークトルの過去1000年間での3回の噴火は、すべて、強力な火山であるカトラ火山の噴火の引き金となっているという点だ。

エイヤフィヤトラヨークトルとカトラ火山は爆発のシステムを共有していると思われる。

エイヤフィヤトラヨークトルは、今年すでに2度噴火していて、3月20日が最初の噴火で、4月14日には2度目の噴火が起きている。

カトラ火山は、アイスランドの中で最も活発である火山の1つであり、氷河の融解による洪水を定期的に発生させている。噴火の際に現れるカルデラの縁の氷の厚さは数百メートルもある。最近では、1999年にも洪水を引き起こしている。

洪水、そして、失われる農地、何カ月もの間、変動し続ける気候 --- それらの問題の多くはアイスランドだけの問題ではないかもしれない。有毒な火山ガスが、ヨーロッパや北部アフリカ、および、アメリカにまで影響することが知られているからだ。





とありました。

もちろん、カトラ火山の噴火といっても、歴史上では小規模なものから大規模なものまであって、小規模な噴火ならほとんど問題は起きないと思われます。

さて、そのカトラ火山の現況ですが、昨日の現地時間午前の報道の見だしを時間軸で記してみます。
もともとは、7月8日にカトラ火山周辺の氷河が大量に溶けて洪水になったことで、噴火が疑われたということのようです。


カトラ火山に関してのアイスランドでの報道: 2011年07月09日

7月9日 午前8時59分

科学者たちがカトラ火山の監視を続ける
 Scientists monitor Iceland's Katla volcano
 CTV


7月9日 午前10時08分

カトラ火山の南側で小規模な噴火が発生した可能性
 Possibly Small Eruption in South Iceland Volcano Katla
 アイスランド・レビュー


7月9日 午前11時33分

氷河が裂けたのは、カトラ火山の噴火の兆しではない模様
 Cracks in Glacier, No Sign of Katla Eruption
 アイスランド・レビュー


となっており、結局のところはカトラ火山は噴火をしていないようです。ただ、かなり緊迫した流れであったことは事実のようで、現在も監視は強化されているようです。

アイスランド気象庁の監視による現在(日本時間 7月10日 午前11時)の地震発生状況を見ると、確かにカトラ火山周辺でかなり数の群発地震が続いていて、ただし非常に規模は小さいですので、噴火とは関係ない感じも確かにします。

katla-0710.gif


katla-2.gif



最も新しいニュースとして、アイスランドのニュースメディア「 Ice News 」からの最新報道を。




Katla volcano in Iceland remains dormant
Ice News 2011.07.09


カトラ火山は活動期に入ってはいない

myrdals-little.jpg


昨晩(7月8日)、氷河の溶けた水による洪水がアイスランド南部を襲った。

これは、ミールダルスヨークトル氷河の東側の地下の氷が地熱で溶けたことが原因と見られる。

アイスランドの科学者たちは昨晩の洪水の原因が、もしかすると小規模な火山の噴火によるものではないかと推測したが、しかし、現時点では、視覚的にも地震などの状況にしても、カトラ火山の噴火の確証は得られていない。

また、昨晩、高速道路ルート1にある橋が突然崩壊し、道路は閉鎖されている。アイスランドの内務大臣は道路の修復が現在の最優先事項だと述べた。道路は、今後の数週間で再開することが見込まれている。

氷河の下で起きている地震による洪水は現在収まっている。

これは最近噴火したアイスランドの3つの火山、フィムヴォルズハゥルス火山、エイヤフィヤトラヨークトル、そして、グリームスボトン火山とは違う状態で、そのため、仮にミールダルスヨークトル氷河の地下で噴火が起きているとしても、非常に小さな規模の噴火か、あるいは、噴火自体が起きていないことを示唆する。


アイスランド南部では、地熱による氷河の水での爆発は一般的で、特に珍しい現象ではない。

1955年6月にも、同じような地熱により氷河が大規模に溶けたことにより、大洪水が発生した。その際には、洪水は 10時間続いた。

アイスランドの地質学者ブリンディス・ブランズドッティール氏は、以下のように述べた。

「昨晩の地震は大変に規模が小さく、アイスランドでは特に珍しいものではありません。カトラ火山の噴火の前には、かなり大規模な地震活動が発生すると予測されています」。

氷河近くの住民たちは他の町へと避難し、現時点で洪水での怪我人の報告はない。