2011年07月28日



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「私は死なない」: 小笠原ノミガイの生きざま



(注) 翻訳でも何でもないのですが、本当に久しぶりに日本語のニュースで驚いたものがあったので、「生き物の生命力」を示す資料として載せておきます。

鳥に食べられて排泄されても死なずに、むしろそれで棲息範囲を広げるカタツムリ」の話です。


いろんな生物の話を読んできましたが、これはすごい。
大きさだって2ミリあるらしいですから、十分に大型動物で・・・。
しかし、どうやって、消化器で生き延びているのやら。


記事は短くまとめられていてる毎日新聞から全文。
あと、7月20日のナショナルジオグラフィックに詳しい記事が載っていましたので、そこからポイントなどを。

毎日新聞の

 > 植物の種子が散布されるように、カタツムリは食べられて生息場所を広げているらしい。

これを読んだ時に少しクラッときました。生き残る特攻隊。
「食べられることは生き物の生の最後」とか思っていた私たちの脳天直撃ニュースでした。

なお、この記事を読んでクラッときた理由としては、私が「納豆が好き」ということが関係しているようにも思います。このカタツムリの生き延び方は、どことなく、「納豆菌が100度の高温に耐えられるプロセス」と似ている感じもしないでもないからです。納豆菌は胞子を形成して自分の身を守ることで、高温の 120度からマイナス 100度まで耐えられます。このプロセスで他の雑菌は死んでしまい、納豆菌だけが生き残り、納豆が作られるのです(納豆を作る時には 100度の高温状態のまま納豆菌を植え付けないと、他の雑菌が繁殖して、よい納豆を作ることはできない)。

納豆菌の高温サバイバルについては記事の最後に資料を載せておきます。




小笠原のカタツムリ:食べられても生きてます
毎日新聞 2011年07月27日

 世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)で、小型のカタツムリは、小鳥に食べられても排せつされて生き延びていることを、東北大の千葉聡准教授(生態学)らの研究チームが突き止めた。植物の種子が散布されるように、カタツムリは食べられて生息場所を広げているらしい。捕食者の消化器官を通っても死なない卵や幼虫は確認されているが、成長した動物では極めて珍しいという。

 チームは小笠原の母島で野生の小鳥のふんから、体長2ミリ程度のノミガイの殻が消化されないまま見付かったことに着目。捕獲したメジロとヒヨドリに、国内で広く分布するノミガイ計174匹を与えた結果、どちらの鳥でも30〜40分後に約15%が生きたまま排せつされた。千葉准教授によると、ノミガイは殻の口に膜を張り、軟体部を消化液から守っていたという。

nomi-guy.jpg

 大陸と地続きになったことのない小笠原では100種の固有のカタツムリが確認され、祖先は海流や風、鳥の体に付着して運ばれたと考えられている。千葉准教授は「長くは体内にとどまらないので、遠方の島や本土との間の移動が可能かは不明」とするが、小笠原以外の地域でも、多くの鳥が小型のカタツムリなどを運んでいる可能性があるという。





(補足)ナショナルジオグラフィックよりポイント。

鳥に食べられても生き延びるノミガイ (ナショナルジオグラフィック日本語版 2011.07.20)


・このノミガイは鳥に食べられて排泄されても身体機能には影響を受けない。

・野生のノミガイは1つの大きな遺伝群の一部であることがわかった。

・今のところ、これらのカタツムリが捕食された後も生き延びる正確なプロセスは謎だが、膜状の隔壁で殻の口を閉ざすことができることで生き延びている可能性。





(資料)納豆菌のサバイバル。

納豆菌の話より。

納豆菌は胞子を形成するため、過酷な環境下でも生き延びることができます。100℃で滅菌すると多くの細菌が死滅しますが、納豆菌は死滅しません。納豆菌を死滅させるためには、120℃の温度が必要です。

高温に強いだけでなく低温にも強く、マイナス100℃でも死滅しません。酸やアルカリにも強く、少なくともpH1.0からpH10.0の環境下では、生き延びることができます。




ちなみに、この納豆菌の最大の天敵は、かつてクレアで私が惚れ込んだこの地球の最大の支配者である「バクテリオファージ」なのでした。

参考記事: 番外:支配者たちの目覚め (クレアなひととき 2010年05月14日)


phage.jpg

▲ ファージ。大きさは原子や分子の 1000倍くらいで、バクテリアなどと同じ程度。昨年は「ファージ様」と、様をつけて呼んでいましたが、今ではそうでもないです。ちなみに、ファージがその気になれば、微生物を含む地球のすべての生き物を全滅させたり変容させたりすることも可能のはずです。



それにしても、ノミガイにしても納豆菌にしても、「何が何でも生き伸びてやる!」というような生命としての執念が感じられるような気がします。こういう本当の意味での強さを私たち人類も見習いたいです。

これぞ生きざま。
タグ:ノミガイ