2011年08月12日



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生命の錬金術は是か非か:米国で「独自の遺伝子コードをもつ人工生物の作成」に成功



「原子単位での生命コントロール」により人工のタンパク質を生産して生き続ける線虫


(訳者注) このニュースは・・・まあ、いつかは必ずあるとは思っていましたが、実際に目にするとわりとショックですね。神か宇宙かは知らないけれど、最初にそれら創造主的な存在がおこなったことと「似たこと」を人間が達成してしまったという出来事ともいえ、それは、

米国の科学者が、今までの地球上のものとは違った新しいアミノ酸の配列で作った遺伝子で「生き物を作った」

というニュースです。

Caenorhabditis elegans という線虫から「この世にいなかった」新しい線虫を作り出したということなんですが、最大のポイントはこの線虫が「地球中にはないアミノ酸配列」を持っているということのようです。そして、「人工のタンパク質を自ら生産」します。

地球上の生命は 20種類のアミノ酸の配列からできているのですが、この線虫の遺伝子には「21番目のアミノ酸」が存在します。こういう遺伝子配列を持つ生物は、地球には今のところこの生物だけとなるはずです。


そういうのを作っちゃった・・・のですね。


DNA の構造と配列(つまり宇宙の生命のはじまり)を学習した人類が、新しい生命構造の誕生へと動き出してしまったという・・・。なんつーか、ああ・・・神様、ごめんなさいとでもいうのか、「ここまで来ましたよ」と誇るべきなのか。

なんとも難しい出来事です。


ちなみに、地球上の生命は 20種類のアミノ酸の配列からできているということなのですが、その「たった20種類のアミノ酸の独自の配列の確率」ということに関しては、拙い記事ですが、昔書いたクレアなひとときの


生命の確率(2) (2011年07月18日)

地球の成り立ち(1) - 生命の確率 (2010年03月29日)


の2つの記事にある確率をお暇な時にでもお読みいただけると幸いです。

結局、この世(宇宙)に生命が誕生するためには「偶然」では無理なことはほぼ明らかで、「人為的な作業」が必ず必要となるように私は思っています。

今回も生まれた線虫の中には「新しい宇宙」があって・・・まあ、その宇宙では、この科学者たちが神様なんでしょうかね。


記事は暴動の渦中にあるイギリスの BBC より。






Animal's genetic code redesigned
BBC (英国) 2011.08.11

再設計された遺伝子コード


gene-worm.jpg

▲ 作られた線虫。蛍光色に輝く人工のタンパク質は紫外線の下で赤く光る。


米国ケンブリッジ大学の研究者者たちにより、自然界ではなく、人によって再設計された「人工の情報による遺伝子コード」をもつ生物を作ることに成功したことが発表された。これは、史上初めてのこととなる。

この技術は、生きている生物の分子に対して、「原子による原子のコントロール」の術を与えたものだと研究者たちは言う。


BBC では、何人かの専門家たちにこの件について尋ねたが、あるひとりの専門家は、賛同した。彼は、この新しい技術が「すべての生物学のコミュニティ」に影響を与えるのではないだろうかと言う。


ケンブリッジ大学のチームの線虫を使ったこの業績は、世界最大の科学学術団体であるアメリカ化学会 ( ACS )で発表される。

カンセンチュウの一種から作られたこの線虫は、透明体の体の中に約 1,000の細胞があり、体長は約1ミリ。

この生物の新しいところは、この線虫の遺伝子コードが「自然界では知られていない生命分子」を作るという目的だったというところにある。

遺伝子は DNA の青写真であり、それらにより生命は独自の生物学的構造を自分の体に作っていくことができる。その遺伝子は、アミノ酸と呼ばれる、より単純なブロックの配列から成り立っている。



拡張されたパレット

地球上の生命では、20種類のアミノ酸が使われる。そして、生命を維持するために膨大な数にのぼる異なるタンパク質が結合している。生物はそれで生きている。

しかし、研究者のセバスチャン・グレイス博士とジェイソン・チン博士は、「 21番目のアミノを生物に持たせる」ために、遺伝子を再設計した。21番目のアミノ酸を持つ生命は自然界では見つかっていない。

フランシス・クリックとジェイムス・ワトソンが DNA の構造を最初に解いたことで有名な分子生物学研究室の研究者でもあるチン博士は、「これは変容(トランスフォーメーション)である可能性がある」と語る。

遺伝子コードの DNA は、DNAは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)の4つの塩基の配列によって遺伝情報を伝えている。これらの塩基は3つずつひとつのかたまりとなって塩基配列を形成するが、かつての研究で、その配列のひとつひとつがどのように再設定されるのかを研究したものがある。

それによると、細胞が、自然界にはないアミノ酸を取り入れるように指示していると解釈できる動きがあった。これまで通常の自然界で生きている生物でそのようなものは見つからなかったが、しかし、大腸菌がそのひとつだと最近わかった。


オックスフォード大学のジョナサン・ホッジキン博士は、今回の新しい発展を歓迎している。「線虫の研究の新しい機会を得ることができる」と。



新しい「魔術」

分子生物学研究室の研究者のマリオ・デ・ボノ博士は、「このタイプのニュースは、非常に速く伝わっていく」ことを予測している。生物学者たちにこの方法が可能であること、そして、他の多くの生物種に対して可能であるかもしれない可能性の示唆を与えたことになる。


この線虫が作られたものである証拠として・・・この線虫の小さな体の中のすべての細胞で生産される人工タンパク質は、輝く蛍光色素を含んでいる。それは、紫外線光の下で鮮やかに輝く。

遺伝子の魔術が失敗していた場合は、この輝きはなかっただろう。

チン博士は、「どんな人工のアミノ酸でも新しい生物がもつものとして選択することは可能だ」と述べる。


ちなみに、今回の研究者であるセバスチャン・グレイス博士とジェイソン・チン博士のふたりは、今後、線虫の「脳」の神経細胞の詳細な研究を共同で行うことになっている。微細なレーザーフラッシュを用いる正確な方法で、脳のニューロンを「個々に起動」させたり、「個々に使用できなく」したりするという試みを行うという。






(訳者注) 記事の最初に、「 atom by atom 」という表現が出ていて、翻訳では「原子による原子の」というようにしたのですが、調べてみると、英語表現では「そのすべてから少しずつ」というような意味としても使われているようです。

WATCH + TOUCH さんのブログに、19世紀の米国の詩人だというエマソンという人の言葉が紹介されていて、


NATURE NEVER HURRIES.
ATOM BY ATOM. LITTLE BY LITTLE.
SHE ACHIEVES HER WORK.


という詩の2行目に「ATOM BY ATOM」とあります。
そのブログでの訳では、


自然は決して急がない
すこしずつ
仕事を成し遂げる


とありました。

ところで、英語の単語は女性名詞とか男性名詞とかが厳密にわけられているわけではないようですが、「自然 ( nature )」に対しての人称は「彼女( She と her )」なんですね。


SHE ACHIEVES HER WORK
彼女(自然)は彼女(自然)の仕事を成し遂げる


と。

少なくとも英語では自然の営みは女性性という概念のようです。

ということは・・・今回の「オリジナル人工生命」に性別冠がつくとしたら・・・。
やっぱり、「 He と him 」になりそうですね。


自然と人工
女と男
光と闇
神と悪魔
天使と悪魔


うーむ。

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