アンゴラ政府による事実上の報道管制も敷かれ、原因はいまだ謎のまま
ひさしぶりの「原因不明の集団失神」関係の報道です。場所はアンゴラというアフリカの国で、このアンゴラ全土で発生しており、記事によると、警察から政府までが公式見解に乗り出し、報道規制まで敷かれ始めたという大騒動になっているようです。
当初は「毒ガスが原因」等として、逮捕者も出たようですが、状況から普通に考えてその可能性は低そうです(女子だけに症状が出て、アフリカ全土の学校で発生しているため)。
関連記事として、以前の In Deep の記事のリンクを最初に載せておきます。
古いものからの順です。
・トリニダード・トバゴの学校で奇妙な集団発作が発生 (2010年11月17日)
・ジャマイカの著名高校で生徒が次々と悪魔に取り憑かれたという報道 (2011年02月02日)
・ベトナムの学校で長期間に渡り続く大規模な「集団失神」 (2011年02月22日)
最近、それぞれ報道された上の出来事の共通項としては、
・ほぼ女性(女子学生)だけに発生する
・学校で発生する。
・突然、同時に奇妙な症状や行動をとりはじめる。
・卒倒、異常な怪力、謎の言語などが見られる。
・原因が特定されない。
といったものがあります。
また、これまでの事件の特徴としては、
・キリスト教と地元宗教(ブードゥー教や他の土着宗教)の信仰の数の勢力が拮抗しているような土地に起こっている。
ということがありました。
宗教に関して、 Wikipedia によると、こうあります。
宗教
アンゴラの宗教はキリスト教が最大で人口の53%を占め、そのうちの72%がカトリック、28%がバプティスト、プレスビテリアン、改革福音派、ペンテコステ派、メソジスト、キリスト教カルトなどである。残り内訳は土着宗教が47%である。
キリスト教53パーセント、土着宗教47パーセントと、このアンゴラもキリスト教と地元宗教が対立というか、同じような数として存在している国のようです。
東京より物価の高いアンゴラの首都
アンゴラの場所はアフリカ大陸の南で、下の地図の四角で囲んだところです。
上の過去記事の、ジャマイカと、トリニダード・トバコも星で表しました。
アンゴラは、アフリカ大陸の中ではかなり発展している国で、次のような特徴があるようです。
・アフリカ最大のポルトガル語人口を擁する
・首都ルアンダの物価は世界一高い
などです。
物価は東京よりも高いそうで、東京より物価が高い国がアフリカに!世界一物価高の国アンゴラ (Techinsight 2009年06月12日)という記事も見つけました。この記事によると、「アパートは1ヶ月120万円、外食は一回1万円は当たり前」だとか。しかし、ほとんどの国民は一日 100円程度の生活費で生きているのが現状のようです。
報道は米国エポック・タイムスからです。
Mysterious Fainting Wave Strikes Students in Angola
Epoch Times 2011.08.11
アンゴラの学生たちを襲う謎の失神症候群
アンゴラでは4ヶ月以上にわたり「人々が次々と失神する」という謎の症状の連鎖が続いている。
これはアンゴラの国土全域の、特に学生たちの間に今現在も広がっている。
▲ アンゴラの首都ルアンダ( Luanda )。
この「失神の連鎖」は、今年4月に始まり、アンゴラの首都ルアンダを含む7つの地域に現れた。
失神するのは主に女子学生で、また、事件はその多くが学校の中か、あるいは学校のある場所の近くで発生している。
共通している状態としては、失神する女子学生たちにはその前にめまいのような症状が起こり、フラフラとしだし、喉がひりひりとしてくるという。また、息切れなどが起きて、動悸が激しくなる。
その後、次々と失神する。
これまで、800人以上の学生たちが、この失神に苦しんだと見られる。
いくつかの地元メディアの報道によると、毒ガスによる失神である可能性を論じているものもある。
それは、学生たちが倒れる前に奇妙な匂いを感じたと言っているからだ。
また、犯罪組織が毒ガスとの関与を告白したという報道もあるという。
しかし、場所と性別(女性ばかりが倒れる)の問題など、毒ガス説だけでは説明できない面は多い。
1週間前に、公式の記者会見で、アンゴラ警察庁の副代表は、毒ガスが原因であるという説を否定した。しかし同時に、この失神と関係して、犯罪組織のメンバー何人かを逮捕したとも語っている。
しかし、逮捕の具体的な詳細については説明しなかった。
アンゴラの警察は秘密主義が強く、事件の内容が公になりづらい。
また、今回の事件では、政府の対応が遅かったことが指摘されている。
7月下旬になり、アンゴラの内務大臣セバスチャン・マーティンスはこの謎の病気の調査を命じた。
アンゴラの首都ルアンダにある精神科医院の代表を含む調査チームは、この失神の連鎖を精神的な原因とし、また、集団ヒステリーの一種の可能性が考えられると見解を出した。また、調査チームは、この失神に関してのアンゴラ国内のセンセーショナルな報道も、失神の連鎖を悪化させた可能性があると非難している。
この「センセーショナルな報道」に関して、地元ラジオ局のジャーナリストであるアダオ・ティアゴ氏が、 8月2日にアンゴラ当局に逮捕されている。この地元ラジオ局は、地元の英語学校で、約 20人の学生たちが気絶したことを報じていた。
ティアゴ氏は一時警察に拘留され、23時間後に釈放された。
彼によると、刑務所内には、ティアゴ氏の他にも多くの一般人が、失神の件に関して拘留されていることを報告している。
そして、警察はティアゴ氏に「報道がパニックを拡大させる可能性があるので、今後、失神に関しては報道しないように」と言ったという。また、首都ルアンダの放送局でも、数日前から失神に関しての報道がされなくなったが、多分、同じ理由によるものだろうとティアゴ氏は言った。
「状況(失神)はまだアンゴラ全土で続いていることを私たちは知っています。でも、当面、私たちはそのことについて放送で何も言えないのです」と、ティアゴ氏は言う。
この失神の理由は謎のままだ。
アンゴラ国内では、その原因についての憶測が広がっている。
ティアゴ氏によると、アンゴラの人々の間では、「失神した学生たちは空腹で倒れたのでは」とか「女子学生に失神する人が多いのは、彼女たちが使っているヘアケア製品のせいなのでは」などという話も出ているという。
米国のワシントンにある、「アンゴラの人民のための民主主義擁護全国基金」(National Endowment for Democracy)のメンバーであるラファエル・マルケス氏によると、この失神は集団ヒステリーの可能性が高いのではないかと言う。アンゴラの首都ルアンダで育ったマルケス氏は、「アンゴラでは、若者たちが全体的な催眠状態に陥ることがあるのです」と言う。
全体的な催眠状態の現象は、他のアフリカ諸国でも見られる場合がある。
数年前に、ザンビアで同じような「失神の波」が全土で吹き荒れたことがある。 2008年には、タンザニアの学校でも多数の失神例が報告された。また、アフリカ以外でも、インドとメキシコで集団失神の症例が報告されている。
どの例でも失神するのはほとんどが女生徒であることが特徴的だという。
マルケス氏は、「(毒ガスが原因という説もあるが)女性だけに影響を与える毒ガスというものが存在するのでしょうか。しかも、症状はアフリカ全域に広がっています。ただ、確かに失神する人たちは、ガスのような匂いを感じたと言う人たちは多いのです」と言う。
「私は医者ではないので、原因の推測はできないですが、アンゴラ政府はいろいろな原因を考慮して対処に当たるべきだと思います」と彼は述べる。