2011年08月31日



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消滅したエレニン彗星:そして、彗星の存在の意味



エレニン彗星は、2000年のリニア彗星同様に近日点通過後に分解・消滅した模様

Elenin-disrupition.gif

▲ エレニン彗星が崩壊・消滅した光景を写した GIF 動画。彗星監視サイト Southern Comets Homepageより。
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(訳者注) エレニン彗星というのは、地球から観察することのできる最近の彗星ということなのか、話題となっていましたが、どうやら、この 10日間くらいの間に「消えて」しまったようです。

彗星監視サイト Southern Comets Homepageの紹介記事としてスペースウェザーに載せられていました。その記事そのものは1番下に載せておきますが、この「彗星の消滅」ということに関しては、私なんとなく「へえ」と思いまして、そのことについて書いてみたいと思います。



地球の原動力であるかもしれない「彗星」

「彗星」という存在は、パンスペルミア説宇宙全体に生命の種子(胞子)がばらまかれているという説)の中で重要な位置を占めます。


私はこのパンスペルミア説が好きで、クレアの頃から今に至るまで、ブログを書き続けている理由自体がこのパンスペルミア説があることが大きいです。やっぱり、「地球の生命はどこから来ているか」を知りたいというのは、地球人としてあります。(聖書などを読むと)宇宙に始まりはないかもしれないとはいえ、「生命が広がるプロセス」は常に存在していると考えています。


パンスペルミア説は古代ギリシャなどの大昔からあるものなので、提唱する人により、いろいろな考え方があるとはいえ、英国のカーディフ大学の天文物理学者だったフレッド・ホイル博士(故人)と、ホイル博士と研究を共に進めていたチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士たちは、「生命の運搬装置として存在する」彗星ということを考えていました。


あまりにも唐突で非科学的な考え方に思われるかもしれないですが、1970年代から英国のカーディフ大学で続けられた実験と検証の記録を見ると、それは科学的に本当に正しいのかもしれないと思える部分があります。

また、もう10年前になりますが、 2001年に、カリフォルニア大学バークレイ校のチームの実験の結果が、米国 CNN で報道されました。

今でも記事は残っていますが、その記事のタイトルは日本語にすると「彗星が生命を運んできたという説を後押しする実験」というものでした。

昨年、クレアなひとときの「資料/2001年のアミノ酸の衝突実験」という記事の中でも紹介しています。

その CNN の記事の出だしはこのようなものです。

地球との激しい衝突を生き残った彗星に乗った宇宙の有機分子が地球に生命の種子を蒔いたのかもしれない。そんな最新の科学レポートが発表された。

調査結果によると、当時地球上にすでに存在した原始スープから生物が生じたという伝統的な意見とは逆に、生命の種子となる化学物質が宇宙空間から来たという理論の証明への期待を高めている。

「今回私たちに示されたこの結果は、有機化合物が宇宙空間から地球にもたらされたかもしれないという、かなり想定外である概念を除外できないことを示している」と、カリフォルニア大学バークレイ校のジェニファー・ブランク教授は言う。



という記事でした。
翻訳資料全文は「彗星の中の生命の種子」にもあります。

そして、その9年後の2010年に、私たちはついに「彗星の姿」を見られる幸運と遭遇します。



2010年に人類が初めて見た彗星の姿

昨年 2010年に NASA は史上初めて「彗星(ハートレー彗星)の近影」に成功しました。
私も In Deep でこの記事を紹介しましたが、その写真を見た時には本当に興奮したものでした。

記事は、

NASAの探査機ディープインパクトがハートレー彗星に接近遭遇し、彗星の中心核の近影に成功
(2010年11月05日)

です。

700キロという距離まで接近し、撮影したその彗星の姿!

hartley-2.png


私には、宇宙空間を周期的に移動したり回っているものというものは、何となく「丸いものだろう」という思い込みがありました。

しかし、ハートレー彗星は丸くないどころか、尻尾の部分から噴射する光のようなものを発しており、それは後部を輝かせながら直進していくロケットのように、まるで、自ら推進力を持ちながら動いているかのような形をしたものだったのです。いずれにしても、「こういう形のものが分解して消滅してしまう」ということも、また想像できないことでした。


まあ、ハートレー彗星はその形でしたが、エレニン彗星がどんな形をしているのかは知りません。しかし、「彗星って崩壊したりもするのだなあ」という思いがあり、それが最初の「へえ」という感想につながっています。


ちなみに、彗星には「周期彗星」というものがあり、Wikipedia によると、

> 有限の公転周期を持ち、基本的には楕円軌道で、周期的に回帰する

というものです。
つまり、地球や月のように(厳密な意味ではないです)クルクルと軌道上を旋回していると。

ちなみに、周期彗星は「周期彗星の一覧」にありますように、観測されているものだけでも 252個もあります。


話は逸れますが、歴史を見てみますと、地球に接近する周期彗星と「地球で新しい病気(鳥インフルエンザとかエボラ出血熱とか唐突に流行し始める病気)の出現の多くがリンクを見せていたデータもあり、アミノ酸だけではなく、微生物のたぐいも彗星によって地球にもたらされているという考え方もあります。ただ、細菌は、地球上で風や大気により大きく場所を移動していくので、地域としての細菌の出現の源を宇宙に求めることを実証するのは大変に難しいことだとは思います。

これらに関しては、1980年代に NASA がおこなった上層大気圏での生命探しのデータが少し残っています。NASA はその実験をなぜかすぐに中止してしまい、1980年代以降は行われていません。そのデータは、ネットにあるのかどうかはわからないですが、本か何かの文献で見た気がするので、見つかりましたら載せることもあるかもしれません。

まあ、今後の学説がどうなろうと、彗星というのが生命の運搬を担っている一部であることは間違いないように感じています。



現在観測できる彗星一覧

ちなみに、この「彗星」ですが、結構日常的なもので、ネットではエレニン彗星が人気だったようですが、彗星を監視している Southern Comets Homepage によりますと、8月29日現在、以下の彗星が観察できるようです。


・ C/2009 P1 Garradd (ギャラッド彗星)
・ C/2010 X1 Elenin(エレニン彗星)
・ 45P Honda-Mrkos-Padjusakova (本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星)
・ C/2010 G2 Hill (ヒル彗星)
・ 73P Schwassmann-Wachmann (シュワスマン・ワハマン第3彗星)
・ C/2009 F4 McNaught (マックノート彗星)
・ 213P Van Ness (ファンネス彗星)
・ 78P Gehrels (ゲーレルス彗星)
・ C/2006 S3 LONEOS (ロニオス彗星)
・ C/2011 L4 PANSTARRS (パンスターズ彗星)



上から3つめに「本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星」という異常に長い名前で、なおかつ日本語がついている彗星がありますが、これは日本人の本田実さんとチェコのアントニーン・ムルコスさんと、スロバキアのリュドミラ・パイドゥシャーコヴァーさんという3人が共同発見者となっているためにこういう長い名前となっているようです。

この日本人の本田さんという人は、1990年に亡くなっているんですが「天文台の仮眠用ベットにて永眠」という文字通りすべての人生を彗星に捧げた人でした。

いろんな個人の奮闘があって、今の天文学は成立しています。
大組織による宇宙科学がすべてではありません。


そんなわけで、以下、エレニン彗星の消滅に関して、スペースウェザーより。
なぜか、「終末論争はここまで」というタイトルでした。





SO MUCH FOR DOOMSDAY
スペースウェザー 2011.08.30

終末論争はここまでにしましょう

エレニン彗星( C/2010 X1 )は、崩壊したように見える観測がなされた。最近、エレニン彗星については誤った報告や見識が広がっていたが、どうやら、その話題の中心である彗星自体が分解と消滅に向かっているようだ。

エレニン彗星は 2000年に太陽の裏へと周期して近日点を通過したあとに分解して消滅したリニア彗星と同じような運命を辿っているように見える。


elenin_comparison.jpg


その 2000年7月のリニア彗星の分解と消滅を目撃したマチアッツォ氏は、「彗星の核が葉巻型に散っていく様子を観測したことを思い出します」と言う。

マチアッツォ氏によると、今回の崩壊は、リニア彗星のように視覚的な派手さはないものの、様子は類似しているという。

彗星の作りは脆いものだと考えられていて、太陽の熱によって簡単に崩壊する。
なので、今回のエレニン彗星の崩壊は比較的予期できる現象でもあった。






(訳者注) 訳していてふと思ったのですが、2000年のリニア彗星の崩壊の後、地球などで「唐突に起きた病気」というのをチェックするのも興味深いかもしれないですね。

印象的なのは、2000年のサウジアラビアとイエメンで唐突に発生したリフト・バレー熱、ウガンダのエボラ出血熱などです。

もちろん、全然関係のない可能性が強いわけですが、そもそも「病原菌がどうして唐突に出現するのか」は、ほとんどの病気においてわかっていません。「病気は宇宙からやってくる」という意見はちょっと前までは狂気の学説でしたが、まあ、唐突に発生するものに関してはそんな感じを検討するのも悪くはない気もいたします。


分子レベルでの崩壊を免れれば、大腸菌が「500度の熱に1秒(大気に突入する際の摩擦熱を受けると考えられる時間)耐えられる」ことが確認されていて、細菌の大気圏への進入は意外とたやすいのであります。このあたりはずいぶん前に書きました記事「地球の成り立ち(0):宇宙はすべて生き物からできている」の途中にある「大腸菌の灼熱地獄からの生還」という部分などをご参照下さい。


タグ:彗星の正体

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