(訳者注)明日から、2、3日間、私用で更新できないと思うのですが、その前にどうしてもご紹介しておきたいと思ったことが、最近の「水星」に関するいくつかの出来事です。
その中で、本日は、
・水星が太陽の CME の直撃を受けた様子をとらえた NASA の写真。
・NASA の水星探査機「メッセンジャー」が明らかにした「死んでいる惑星ではない水星の近況」
についての報道をご紹介したいと思います。
上は、スペースウェザー、下の記事はたくさんの日本語記事になっていますので、それをまとめた記事を。
水星の意味
水星というのは、太陽系の位置でいうと、太陽に最も近い場所を回っている惑星で、下の図の1番中央寄りの小さな惑星です。

地球での惑星科学の中ではわりと軽んじられてきた感は否めず、また、SFなどでもあまり話題となったことがありません。
月や火星や金星などに比べると、あまり物語にもされず、「水星人大襲来」などのイメージもあまりない地味めな惑星ではあります。
しかし、ヘルメスのエメラルド板など、中世の神秘術の上では、「太陽、月と並んで、水星の意味がとても大きかった」ことを知ったことが、最近、私が水星に興味を持った理由といえばいえます。
・[地球の内なる太陽] Vol.3 - ヘルメスのエメラルド版(エメラルド・タブレット)
2011年09月02日
の翻訳に下のような部分があります。
説明にある水星は、エメラルドタブレットの下の赤で囲んだ部分です。

2つの手の上には、7つの惑星が描かれている。
そこには、太陽と月が彼らの生命の物質を聖杯に注いでいる光景が描かれている。太陽と月は、このように逆の性質のものを結びつける。
その聖杯は、両性具有を意味する水星で支えられている。
水星は男性と女性の両方の性質を持つのだ。
これも、別の方向としての、「逆にあるもの同士を結びつける」ことをあらわす。
太陽と月が水星を用いて偉大な仕事を成し遂げる錬金術のシステムだ。
「太陽と月が水星を用いて偉大な仕事を成し遂げる錬金術のシステム」と書かれており、この通りの概念が存在するのならば、少なくとも中世神秘学の世界では、水星がなければ世界は作り得ないと読むことさえできそうです。
今回はそんな水星に関しての話題を2つです。
まず、スペースウェザーからです。
SOLAR WIND BLASTS MERCURY
スペースウェザー 2011.09.30
太陽風が吹き荒れる水星の表面
2011年9月29日の NASA の電子会議で、太陽風の突風が水星の磁場に進入して、水星の表面の物質にまで浸透しているという証拠を、 NASA の水星探査機メッセンジャーのデータが掴んだことが発表された。
メッセンジャーは、水星の磁気圏から逃れているイオン化されたナトリウムの中保飛行していた。
そして、この「太陽風の突風が水星の磁場に進入するイベント」が、また起きたことがNADA の SOHO で観測された。
昨日(9月29日) SOHO は、太陽から噴出した CME が、太陽系の最も内側にある惑星である水星を直撃する様子をとらえた。

NASA の分析官によると、10月1日午前(日本時間10月2日午後)、水星は CME の直撃の影響を受ける。また、同じ太陽風は、その後に金星に到達する。
太陽系の惑星に対しての NASA の CME の到達予測進路と時間は、最近の機器により、確実に可能となっている。
(訳者注意)もうひとつの水星に関するニュースは、ナショナルジオグラフィックの記事などをまとめた記事より。
水星に定説覆す発見いろいろ
ザ・リバティ Web 2011.09.30

▲ ナショナルジオグラフィックより、メッセンジャーがとらえた水星の写真。青い部分は着色されたもの。
米航空宇宙局(NASA)の水星探査機メッセンジャーが撮影した水星に、これまでの定説を覆す発見があったことをAFP通信、ナショナルジオグラフィックニュースなどが報じている。(中略)
一方、水星の地表にあるクレーター内に独特な窪地が多数あることも新たに分かった。直径数10mから数kmにおよび、クレーターの壁、底などに密集。
これまで水星は「死んだ惑星」と評され、過去10億年に地表にはわずかな変化しか起きていないと考えられていたが、「どう見てもできたてだ」と、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所のデイビッド・ブレウェット氏は言う。死んだ惑星、あるいは燃え尽きた消し炭などと評された定説を覆すこの発見に、ブレウェット氏は呆然としているという。
次々と新たな発見が続く宇宙の世界。人類の定説、常識、固定概念が、静かに崩れようとしている。
西洋神秘学では、太陽系で最も重要な惑星といえる水星に、ここにきて急速に脚光が浴びているということは興味深く思います。
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