2011年10月29日



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『人間の尿は最大の発電燃料』: 英国王立化学会の研究発表



(訳者注) 昨日ご紹介いたしました、

『宇宙が生命を作り出している』ことの証明に近づく新たな観測結果
 2011.10.28

の補足というか、追加ですてきな資料を。

上記の観測結果を導いた研究グループの代表者として、香港大学のスン・クウォク博士という人が出ていました。

今日、米国の科学発表速報サイトの「Nano Patents and Innovations」にもこの記事が紹介されていたんですが、そこに、クウォク博士の描いたと思われるイラスト(クレジットがスン・クウォク博士となっている)が掲載されていました。これがカワイイんですよ

なので、載せておきます。
オリジナルは英語と中国語で説明が入っていますが、日本語も入れておきました。

organic01.jpg

Credit: Prof. Sun Kwok/Hong Kong University

これは今まで見てきた「科学に関係したイラスト」では一番かわいい。
しかも、パンスペルミア説を彷彿とさせる「夢」を感じさせてくれます。


学生時代からの二十数年来の知り合いで、劇団みたいなものの創設の時から手伝ってくれていた友沢ミミヨさんという漫画家がいるんですが、なんとなく彼女の漫画の背景に入れたくなりました。

mame.jpg

▲ 最近の友沢ミミヨさんの絵。子どもができてからは子どもモノが多いようです。子ども(女の子)はすっげー美人。

ということで、素敵なイラストの補足でした。


さて、今日の記事は全然関係ない話題です。
おしっこの話です。

イギリスの権威系科学団体である英国王立化学協会の先日の発表論文をご紹介いたします。

その論文のタイトルが、『微生物燃料電池での尿利用は将来のエネルギー燃料』(Urine utilisation by Microbial Fuel Cells; energy fuel for the future )でした。

なんかこう、この「再利用」あたりについては誰でも「薄々とは」そんなふうにしていくといいのではないかという感覚は持っていたと思うのですよ。まあ、しかし、現実問題としては「とりあえずトイレがきれいになってきたことは嬉しい」あたりで止まっているというのが実際のようにも思います。

私の出身地だった北海道というのは日本全国の中でも飛び抜けて下水道の整備が遅かったところで、私が高校を出てから東京に来た 1980年代の初頭でもまだ私の町(岩見沢というところ)は、大半が水洗化していませんでした。

そういう時代を過ごしてきたものには、東京の「どんな建物に入っても水洗トイレである」ということは本当に素晴らしいことでした。当時の北海道では、あらゆる公衆トイレが「地獄」だったという現実があります。

なので、「まずは清潔な方向へ」ということが浸透してから、「再利用」という方向に行くのはまっとうに思います。


今年の夏頃、「ビル・ゲイツの財団が世界のトイレの改善に4200万ドルを拠出」(AFP 2011.07.20)というニュースがあって、これは全世界のトイレを衛生的に、という計画の話であって、再生利用などの話ではなく、ニュースを読んだ時は「これからの世の中は、キレイにするだけじゃダメだろ」と思っていましたが、しかし冷静に考えると、「とりあえず衛生的にして、それから考える」というのはありなのかもしれません。


それにしても、本記事を読むと、微生物燃料電池とかの詳しいことは私にはわからないですが、「ほんの25ミリリットルで3日間、電力を作り続けられる」というのですから、よくわからないながらも、「尿でパワフルな発電は確かにできるらしい」ということは、なくとなく想像つきます。

これまで、発電関係の記事として、

などを紹介していますが、正直、不毛な争いさえ起きないものなら何でもいいと思うのです。犬のウンコでもいいですよ。
犬のウンコも去年紹介していますけど。

米国で進む「犬糞エネルギー化」プロジェクト (2010.09.18)

None.jpg

▲ 公園の街灯の電力を犬のウンチで発電させるというプロジェクト。・・・原理的には人間のも同じではあるんですが・・・。難しい話ですね。やはり、「科学のオブラート」が必要かと。


なお、今回の記事に出てくる英国の科学者は、この尿を使った発電に関して、


「生活の中の『無駄』を考え直すことが人類の『パラダイム・シフト』(価値観の転換)になる」



とまで言っています。

確かに、今までの人類の歴史の中であまりにも無駄で捨てられていたのだとすれば、それらを有効に使えるようになることも「進化」なのだと思います。

うまくいけばですけどね。
すくなとも何世代か下の人たちは恩恵を受けられるのでは。


それでは、ここからです。




Yellow Power? Abundant New Fuel For Electricity - Urine
Nano Patents and Innovations 2011.10.27

新しい発電のための燃料:それは『尿』


このタイプの研究としては、最初のものとなる研究発表をした英国の科学者たちによると、人間の尿は大きな燃料の材料となり得るという。

英国でおこなわれた実験では、陽極と陰極から成るアクリルから作られた 25ミリリットルの微生物燃料電池( MFC )が使われ、陽極と陰極が1リットルの再循環のできる貯水ボトルにつながれた。

そして、そこに 30ミリリットルから 200ミリリットルの間で量を変えながらボトルで尿を循環させ、また、 01.ミリリットル〜 10ミリリットルの少量の未処理の尿が途中で加えられた。

尿は採取されてから1週間以内の新しいものだけが使われ、また、尿路や腎臓等に病歴がない健康なボランティアからの寄付で行われた。


微生物燃料電池( MFC )は、尿の注入の前には、1メートルにつき、0.9ミリアンペアの電気を生じていたが、25ミリリットルの尿を注入して1時間後には、2.9ミリアンペアまで増加した。

そして、この量の尿で、3日間もの間、連続してエネルギーを作り出すことができた。

この実験により、研究者たちは。微生物燃料電池が 25ミリリットルの尿だけで3日間利用し続けられることを示した。

人間は平均的には、一日にひとり 2.5リットルの尿を体内で作り出して排泄する。これは、ひとりの人間の尿で一日に 300個の微生物燃料電池を稼働させられることになる。


研究者のひとり、クリス・メルヒュイス博士は以下のように述べる。

「全世界の人類からは年間で何兆リットルもの尿が作られている。このテクノロジーが進めば、エネルギー問題で世界を変えられるのではないかと考える。排水や汚水の処理といった観点からだけ見るのではなく、私たちの生活の中に実際に存在している『無駄』を考えることこそが、私たち人類の一種の『パラダイム・シフト』(価値観の転換)になるのではないかとも思え、この研究のこれからの影響は大きいように思う」。

現在、世界の人口は約 70億人で、その人々が作り出す尿の量は、年間 6兆4000億リットルと見積もられている。