2011年11月11日



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NASA 発表の「 2012年に殺人太陽フレアは発生しない」リリースの真意



(訳者注) 今、NASA の学者さんの「もしかすると、太陽活動は今後、縮小して、約 400年前のマウンダー極小期のような状態となるかもしれない」という内容のインタビューを掲載している途中ですが、ちょうど同じ NASA から昨日10月9日に、「2012年の殺人太陽フレアの発生は不可能」というタイトルの記事がアップされていました。

ちょうど昨日までの記事にちょっと飽きていたのと(おいおい)、こちらの話も多少関係ありそうですので、記事をまたぐ形となってしまいますが、ご紹介しておきます。


前回までのインタビューの人は、 NASA のマーシャル宇宙飛行センターの科学者でしたが、今回は、NASA ゴダード宇宙飛行センターという別の宇宙飛行センター所属の科学者です。アレックス・ヤング博士という人です。

でまあ、紹介したかった理由は、内容というより、このアレックス・ヤング博士という人のルックスですね。「ああ、太陽学者も新しい時代に入ったなあ」と感じました。

ヤング博士は NASA のビデオニュースで語っているこの人です。

alex-01.jpg

こちらにビデオがあります。英語ですが、字幕も入っています。

両耳ピアスにスキンヘッド。
しかも、喋る時のポーズもいちいち音楽系。

この人の肩書きは、英語で「 Heliophysicist 」(多分、読み方は「ヘリオフィジシスト」)というもので、これは日本語では「太陽系物理学者」という意味のようです。「太陽系物理学」という学問のジャンルがあるんですね。


ちなみに、同じ NASA の人でも、昨日までの太陽物理学者、デイビッド・ハザウェイ博士とは言っている内容の方向性は違います。

大ざっぱに書けば、


・ハザウェイ博士 → 太陽活動の長期間に渡る極端な縮小(黒点がなくなる)が始まっているかもしれない。

・アレックス博士 → 太陽は単に11年周期の太陽活動を繰り返しているだけで、2012年だけが特別になる理由はない。




ということのようです。

なお、下の記事で言っていることの中で重要なのは「太陽フレアが地球に送るものは、熱ではない」ということです。なんとなく「太陽=熱」というようなイメージがありますが、太陽フレアの威力では地球まで熱を送るパワーはありません。

来るのは「磁気」です。


やや思ったこと

訳していて、ふと思ったことは、このアレックス博士と NASA は「2012年の太陽フレアなんか怖くない」ということを言いたいためにわざわざこんなリリースをアップしたわけではないと思われます。

それは記事の後半を読んでいると感じるのですが、この人たちは「CME(太陽からのコロナの放出)への対策」について言っているのだと感じます。

太陽フレアの威力は磁気の影響としては大きなものですが、地球全体に何かの影響を及ぼすのは難しいように思います。
それよりも、太陽活動最大期の懸念はCMEです。


なぜかというと、CMEの影響の範囲が大きいからです。

今の世の中は、特政治や経済では「その地域だけで成り立っているもの」ものというものはあまりありません。たとえば「アメリカのインフラが直撃された」というような場合、世界的に下のような状態になると思いますが、それでも他の国は無傷でいられるのかどうかということです。


・金融は麻痺
・銀行取引は停止
・先物、貿易、輸入、輸出すべてが停止
・コミュニケーションの不在
・防衛の崩壊
・軍事力の崩壊




たとえば、今も進行しているタイの洪水を例に見ても、「今の世界はどこで被害が出ても影響は全世界に広がる」ことを思います。

「タイなどやられても、それほど影響ない」と考えていた方もあるかもしれないですが、たとえば、タイではパソコン用のハードディスクの60パーセント程度を生産していて、ハードディスク大手の米国ウェスタンデジタル社などは、日経新聞の記事で、

> 最高経営責任者(CEO)が「生産能力が元に戻るのは数四半期先」と説明


数四半期先までハードディスクの生産状況が元に戻らないと言っているのです。
今のタイの洪水でこういう状況が「あらゆるジャンルに渡っています」。
タイで、しかも、洪水だけで、世界的にこの被害なんです。

巨大なCMEが地球を直撃した場合はどうなるのか。

個人では限界があることだけに、企業や国家で対策を立てていただけると幸いなようにも思います。

ただ、昨日までのハザウェイ博士のインタビューのように、「今後、太陽活動が縮小する方向にいくのなら」、CMEの規模も発生頻度も小さくなるはずです。マウンダー極小期は極小期でいろいろい天候異変と自然の異変は確定的な面もありますので、どちらがいいのかよくわかんないですけど。

CME関係の過去記事は、記事下にいくつかリンクしておきます。

それでは、ゴダード宇宙飛行センターのニュースリリースより。




2012: Killer Solar Flares Are a Physical Impossibility
NASA 2011.11.09



2012年: 殺人太陽フレアは物理的に発生不可能


halloween2003.jpg

▲ 2003年のハロウィーンの時期に発生した近年で最大の太陽フレア。


太陽活動のひとつであり、太陽から放出される電磁気のエネルギーと、太陽表面における大きな爆発を太陽フレアという。

一部には、その太陽フレアが 2012年になり最大規模となり、「殺人的な太陽フレアが地球を襲う」ということを心配する人々もいる。平均で 11年周期のサイクルを持つ太陽活動の活動頂点がちょうど 2012年にあたるとして、その「殺人太陽フレア」の発生と時期が一致するという意見を持つ人もいる。

しかし、現在の太陽サイクルは、少なくともこの 1,000年の間、続いていたものであり、その間、地球は太陽の攻撃で滅びたこともなく、また、最大限の危機の際にもそれを乗り越えている。

しかも、現在の太陽活動サイクルが最も大きくなるのは、2012年ではなく、 2013年の後半から 2014年の前半だと予測されているのだ。


しかし、もっとも重要なことは、太陽には 9300万マイル離れている地球を破壊するような「火の玉」を送るためのエネルギーはないということだ。

もちろん、これは、太陽活動が地球の天候に影響を及ぼさないと言っているわけではない。太陽フレアは、電磁の放射と大量の粒子で、地球に比較的長時間にわたっての影響を与えることができる。

しかし、「熱」は地球に恒久的な影響を与えることはできない。



むしろ、脅威はCME(コロナ質量放出)

太陽には、太陽フレアとは別に、もうひとつ、「破壊的」なイベントがある。

それは「太陽からの巨大なコロナの放出」(CME/コロナ質量放出)だ。

規模の大きなCMEの地球への影響は重大で、過去には、変電所のトランスを吹き飛ばしたこともあるし、送電網を広範囲でクラッシュさせたこともある。

また、CMEは宇宙空間の衛星の電子制御を破壊して、衛星が制御不能になったり、衛星同士が衝突する可能性さえある。

あるいは、現在では世界中でたくさんの人々が携帯電話や、あるいは GPS 、ナビゲーションにどに頼っている。それらが CME で世界的にクラッシュしてしまう可能性というものは確かにある。金融システムも世界時計などもそうだ。


しかし、生活の上での脅威というものは他にもたくさんある。
たとえば、ハリケーン(日本なら台風)がそうだ。

ハリケーンの時に、暴風警報が出た時には人々は外に出ずに家で待機したり、安全策を取るだろう。
CME もそれと同じことで、事前の情報と適度な予防措置によって、生活上の安全は守れるはずだ。

同様に、NASA は、企業や国家などのグループなどに対して、 CME 発生時に、事前に警報を与えられるシステムを保持している。電力会社、衛星関係、航空会社などにアラートを出すことができる。

しかし、CME と違い、太陽フレアはどれだけ大きなものでも地球に壊滅的な影響を与えることは不可能だ。


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