2011年11月15日



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15年前から NASA で続けられている「火星からの隕石の中の古代生物」の調査



最近、2年前の NASA の面白いニュースリリースを見つけまして、2009年の NASA のジョンソン宇宙センターのニュースリリースで、

火星の隕石の中から見つかった古代の生命についての研究
New Study Adds to Finding of Ancient Life Signs in Mars Meteorite

というタイトルのものでした。

このブログでも、「隕石の中の古代生命の痕跡」については何度か取り上げていたことがあって、最近では、「隕石から「地球外の生命の痕跡(血管の化石)」を見つける方法 (2011年09月05日)」というようなタイトルのものもアップしたこともあったのですが、しかし、私の大騒ぎぶりとは関係なく、何のことはなく、NASA ではずっとこのことを調査し続けていたようです。

それが始まった時期などを含めて書かれてある記事をご紹介します。
それによると、 NASA が隕石の中の古代生命の調査に乗り出したのは、1996年からのようです。つまり、15年以上続けている調査となるようです。

これに関しては、宇宙の微生物マニアの私は、他にも NASA の関係団体の資料など、たくさんの資料を集めていて、面白いのがあれがご紹介したいと思っています。

ちなみに、最近では「35億年の地球の化石から生物の血管の化石が見つかった」というようなことを特集しているサイトもあります。

それでは、アストロバイオロジー・マガジンの記事のご紹介です。




Mars Meteorite Debate Continues
Astro Biology Magazine 2009.12.01


火星の隕石についての議論が続く

meteo01.jpeg


最新の研究によって、火星の隕石の中に古代の生物の痕跡があるかもしれないという証拠の可能性が高まっている。

ジョンソン宇宙センターの研究チームが、当時最新鋭の分析器具を用いて、それらの隕石のあった古代の火星に生命が存在したかもしれないという強力な証拠の可能性があるとわかり、隕石の再調査を開始したのは 1996年のことだった。

そして、最新の調査に至るまで、火星からの隕石の中に見つかる素材と構造は、生命の痕跡であるという証拠を残したままとなっている。


1996年に、火星の隕石 84001 (地球で見つけられた隕石につけられる通し番号)から、生物由来の物質が含まれている可能性を発見したのは、ヒューストンにある NASA ジョンソン宇宙センターのディビッド・マッケイ博士と、エヴァレット・ギブソン博士のふたりの科学者だった。

彼らは、科学誌『サイエンス』にそのことに関しての記事を発表した。

そして、今(2009年)、最新の分析によって、そのふたりの仮説を再び検証している。

mars-1.jpg

▲ 電子顕微鏡で見られる地球の既知の生物的痕跡と酷似しているビオモルフ。


磁鉄鉱は「生命由来」なのか、そうではないのか

議論の焦点となったのは、火星の隕石 84001 の中に含まれている「磁鉄鉱の結晶が、火星に生命が存在していた可能性となるのか」ということだった。

磁鉄鉱というのは、鉄の酸化物からなる鉱物で、強い磁性をもつ。

地球では、水中と土壌の中にいるバクトリアの中には、細胞の中で鉱物を分泌するものがある。

そして、火星の隕石で見つかる「磁鉄鉱」の特徴が、それら地球のバクテリアで見つかるものと共通しており、隕石の中の磁鉄鉱の結晶というものが、生命が存在する非常に大きな証拠となることを 1996年の研究で示された。

その後、磁鉄鉱の結晶は、生物的なプロセスを経なくても作られることが実験室で再現され、熱、あるいはショックによって生成されたものであり、生命由来のものではないとする主張が出た。


しかし、研究者たちは、磁鉄鉱の結晶が生物由来であるという仮説を主張し続けた。




mars-2.jpg

▲ エジプトで採取された火星の隕石の中を電子顕微鏡で見たもの。


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▲ 明るい部分は、かんらん石。溶岩流が火星上で冷めた時に形成される。この隕石は、火星で水に浸っていたと思われる。




ジョンソン宇宙センターの上級研究員であるトーマス・ケプルタ博士はこう言う。

「無機物から磁鉄鉱が生成されたという仮説は、データと矛盾しており、結局、データから見ると、火星の隕石に含まれている物質が『生物由来である』とする仮説のほうが説得力があるのです」。


上級研究員のエヴァレット・ギブソン博士もこう言う。

「私たちが 13年前(1996年)に、この仮説を立てた時より、現在(2009年)の今のほうが生物由来であるという仮説に強い自信を持っています」。


また、最新の研究では、ジョンソン宇宙センターのチームは、火星の隕石 84001の中に、「地球で見つかっている微生物の化石と似た物質が混在する」ことを確認したとする文書を提出した。

走査型電子顕微鏡で見られるこれら火星の隕石の中の形は、地球で生物的に生み出された物質とよく似ているため、ビオモルフと呼ばれる。


NASA の科学長官マッケイ氏は、こう言う。

「かつての火星には生命がいたという証拠が、この10年のあいだにゆっくりと積み重なっています」。