2011年12月07日



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「銀行崩壊の不安」に駆られた人々による大規模な預金の引き上げが続くギリシャ銀行



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(訳者注) いわゆる「銀行の取り付け騒動」というものとは違って、人々が「なくとなくどんどんお金を銀行から引き下ろし続けている」という状態がギリシャで続いていて、夏以降はその金額が加速しています。

今年9月と10月の2ヶ月間だけで、日本円換算で1兆5000億円規模の貯金が引き下ろされているというのは、なかなかの規模だと思います。2010年からの流出金額は 20兆円近くに上るようです。

ギリシャ中央銀行の総裁から発表があったのは1週間くらい前ですが、日本語での報道にはあまりなっていないようですので、記事を翻訳しておきます。

現在は「ギリシャだけ」の話ですが、最近の状況を考えると、ヨーロッパならどこで同じようなことが起きてもあまり不思議ではないような気もします。あるいは、ヨーロッパというより、世界のどこでも(日本のことはわかりませんが)。


最近、In Deep で取り上げた銀行関係の話題としては、今年2月で韓国で発生した巨大な取り付け騒ぎのニュースがありました。



今回のギリシャの報道を紹介したのは、ここに「人々が預金引き下ろしへと動く心理」がとてもよく現れているからです。人間は世界中どこでも、経済に対しては比較的同じような考え方を持っていると思われるので、どこの国でも同じような心理の動きが起これば、同じような状態になる可能性はあると思います。

あるいは、このギリシャの銀行預金引き下ろしに関しての報道が世界的に見ても少ないのは、「こういう心理の伝播」は好ましくないという判断もあるのかもしれません。「うちも少しタンス貯金に回すか」みたいな人が増えると困ると。


では、ギリシャ銀行の預金の大規模な流出について、デンマークの新聞シュピーゲルより。




Anxious Greeks Emptying Their Bank Accounts
Spiegel (デンマーク) 2011.12.06


不安に陥るギリシャ人たちが自らの国の銀行を空っぽにしている


失業の問題と上がり続ける税金と向き合う中、自らの国家の将来への不安を持ち始めたギリシャの多くの人々が銀行から預金を引き下ろし続けている。

そして、預金の流出により、ギリシャの銀行は国民への貸し出し自体が縮小していくという悪循環にはまり、ギリシャ国民の行動がさらなる不況に拍車をかけてしまっている。


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ギリシャの中央銀行であるギリシャ銀行総裁のゲオルギオス・プロヴォプーロス氏は、次のように言明した。


「2011年の 9月と 10月の2ヶ月間で、ギリシャ銀行の貯金と定期預金の額は、130億〜140億ユーロ(約1兆4000億円〜1兆5000億円)減った。 11月も最初の10日間だけでも大規模な貯金の流出が続いていることがわかっている」。


そして、総裁は、現在のギリシャの不況の脱出との関係で以下のように述べた。

「ギリシャ銀行は、ギリシャの経済の成長に対して融資する額が不足しているのだ」。


これは、最近になり、ギリシャ国民による預金の引き下ろしが加速していることを物語っている。

2010年のはじめには、ギリシャでの個人の預貯金額は 2377億ユーロ(約 25兆円)あった。しかし、2011年になり、その額は「490億ユーロ」(約 5兆円)に急減している。

その勢いは加速しており、今年9月にはさらに 54億ユーロ(6000億円)が流出し、10月は経済危機以来、単月としてはもっとも大きな流出額の 85億ユーロ(約 9000億円)の預金が引き下ろされた。



ギリシャ危機を悪化させる預金の流出

銀行預金の大規模な流出は、ギリシャの経済に壊滅的な影響を及ぼしている。
ギリシャの銀行は企業への融資を渋るようになり、多くの企業は、蓄えなどでやりくりしなければならなくなった。

ギリシャでは、多くの人々が失業しており、また、給料や年金のカットが続いているため、貯金で生活している人々が多い。
失業率は 8月に 18.4パーセントまで上昇した。

人々は、ギリシャの銀行システムが崩壊するかもしれないという懸念を持ち始めており、銀行からお金を引き上げて、自宅でお金を管理するようになっている。

そして、一部の人々はすでに海外に資金を移動させ始めている。
ギリシャ銀行の試算では、国内の5分の1ほどの資金がギリシャから国外に流出したと見ている。


資金の海外への移動は、最初は多額の資産を持つ人々が始まめたことで、ギリシャの資産家たちが資産をスイスやドイツなどの国外に移動させていたのだが、現在では、一般のギリシャ国民も、少額を移動させ始めている。


資金だけではなく、生活の場そのものを海外に移そうとしている人も増えている。


ギリシャ軍の軍医であるニコスさんはこう言う。

「2ヶ月前にドイツ語を学び始めた。できるだけ早くギリシャを出発したいと思っているんだ。今、一番望んでいることは国籍を変えることだ。それができれば最高だよ」。






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