▲ ラーフの絵や像の写真がたくさん掲載されている RAHU 啦胡 より。「月(太陽)を食べている姿が直接的に描かれている」というものが多いようです。
(訳者注) 12月10日には皆既月食が世界中で観測されたそうで、何となく先日の、地球上空の流星衝突を思い出したりしていました。
月食に関して、タイではこんなことが起きていました。
月食う悪神払え 月食で空中に発砲、タイ各地でけが人
newsclip.be 2011.12.12
【タイ】月食となった10日夜、月を食べるとされる悪神ラーフーを追い払うためと、タイ各地で住民が空中に発砲し、落下してきた銃弾で数人がけがをした。
これに関しては、バンコク週報というタイの日本語紙の 皆既月食見物で被弾、迷信が原因か という記事に下のようにありました。
タイの農村部では今でも、ヒンズー教の悪魔「ラフ」が太陽を飲み込むことが月食の原因との迷信を信じ、悪魔払いのため、太鼓をたたいたり爆竹を鳴らしたりする地域がある。また、発砲は悪魔払いに最も効果的ともいわれている。このため、警察では、負傷した4人は魔よけを目的として発砲された銃弾にあたった可能性が高いとみている。
この「人々が空に向かって拳銃を撃ちたくなってしまうような、そのラフというのはどんな悪魔なのか」と思って調べてみました。ラフは、英語での綴りは「 Rahu 」のようで、解説ページがヒットしましたので、それをご紹介します。読み方は、タイ語やインド系では、どちらかを伸ばしたほうがそれっぽいですので、ここではラーフにしておきます。
この年末の時期には、昨年も太陽に関係する神様などが登場していて、「太陽黒点磁気スマイルと現在の太陽神トナティウ (2010年12月13日)」という記事では、アステカ神話の太陽神トナティウをご紹介しました(日付を見るとちょうど1年前)。
▲ アステカ神話の太陽神トナティウが刻まれた石盤。
上のアステカ神話では、トナティウは、現在の太陽そのものの存在なんですが、黒曜石のナイフからできているこの神の舌が宇宙を形作る4つの要素と一致する時、現在の太陽文明である「第5の太陽滅亡の日となる」というようなことが神話に記されていて、その日がアステカ文明の暦では 2011年12月24日という説があります。
今年ですね。
それでは、ラーフ(ラフ)について。
Rahu
Wikipedia
ラーフ
ヒンドゥー教の伝統において、ラーフは、阿修羅の頭を持った存在で、太陽や月を飲み込み、日食と月食を引き起こすとされている。
ラーフは絵画においては、8頭の黒い馬に引かれる二輪の戦車に乗る体のない蛇として描かれる。
ラーフは、アーユルヴェーダ占星術でいうナバグラハ(9つの惑星)のひとつとされており、ラーフの影響を受けている時間(日食と月食)であるラーフ・カラ( The Rahu kala )は不吉であると考えられている。
伝説では、ヒンドゥー教における天地創造神話である「乳海攪拌」( Samudra manthan ) の時に、阿修羅であるラーフは、神の甘露の一部を飲んだ。
太陽と月はそのことに気づき、ヒンドゥー教の神であるヴィシュヌの化身(アヴァターラ)であるモーヒニーに注意した。
モーヒニーは、甘露がラーフの喉を通過する前に、ラーフの頭を切り落とした、
しかし、ラーフの頭は無限に分裂して増殖していった。
ラーフは不滅だった。
この不滅の魔神は、太陽、あるいは月を飲み込むと考えられており、日食と月食はラーフが引き起こすとされる。そして、太陽と月が首を通り過ぎて出て来た時に食は終了する。
ヒンズー天文学では、ラーフとケートゥは、太陽と月の軌道の交差ポイントを意味する。なので、太陽と月がこのポイントにある時に食が起きると神話では描かれている。
(訳者注) この「月食(日食)が不吉」という説は、冒頭の記事でのタイでの通説としてはわりと顕著なようで、タイのプーケットの新聞「プーケットニュース」の英語版の12月10日の記事に、
皆既月食に対してのスピリチュアルからの警告
Lunar eclipse tonight, with supernatural warning
というタイトルのものがありました。
タイの有名な占星術師が、テレビ番組で「月食とその前後、空の現象を見ることは不吉をもたらす」と言っているという記事です。
現代では月食や日食は「観測を楽しむ」という面がありますが、伝説や伝統では観測は奨励されていないようですね。
--
[関連記事]
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
・2015年9月28日に起きた「赤い月+スーパームーン」と同じ現象が発生した33年前の1982年に起きていたこと
・