(訳者注) 米国のメディアで「マサチューセッツ州の海岸に次々とイルカが打ち上げられている」という報道があったのが今年 1月の終わりで、2月6日にはその数は 192頭に達しました。2月6日までにそのうちの 92頭が死亡し、それは今も続いており、 昨日 2月17日までに100頭以上のイルカの死亡が確認されています。
場所はマサチューセッツ州のケーブコッドという場所です。
下のほうに地図で示します。
▲ 2月7日の CNN の報道「マサチューセッツで座礁したイルカの死亡数は 92頭にのぼっている」より。
In Deep は昔から動物の大量死の記事は比較的多いのですが、この時にこの報道を記事にしなかったのは、この記事の時点では原因が何もわかっていなかったことと、あと「まだ終わった事件ではない」ということでした。
ちなみに、イルカの海岸への漂着そのものは決して珍しいことではないです。上の記事によれば、米国での年間のイルカの座礁や、海岸への漂着などで死亡している例は、1年間の平均で 200件程度はあるそうです。ただ、その平均の半数近い数のイルカが1ヶ月以内に漂着して死亡するという事態は若干異常ではあるようで、現在調査が進められているようです。
今回、イルカのことを記事にしたのは、「ペルーでさらに短期間にもっとたくさんのイルカが死亡して打ち上げられていた」ことを今日知ったからです。
オーストラリアのメディアで昨日いっせいに報じられたもので、ペルー北部の海岸で、 たった3日間で 264頭にものぼる死亡したイルカが海岸に打ち上げられたそうで、これは「まったく異常事態」ということで、政府や環境団体が調査しているのだとか。
わりと短い記事ですが、今回はそれを翻訳いたします。
他に、最近のイルカ打ち上げの報道としては、
クロアチア
Series of dolphin deaths puzzles experts
(連続したイルカの死に困惑する専門家たち)
クロアチアタイムス 2012.02.06
ニュージーランド
ニュージーランドの海岸に約百頭のイルカ打ち上げられる
ボイス・オブ・ロシア 2012.01.24
などがあり、世界全体でみても、イルカの座礁と死亡例は、今年 2012年は非常に多いといえそうです。
原因はどれもまったくわかっていないと思いますが、これまでも、イルカやクジラの座礁の正確な理由というのは実はわかってきていないという部分はありそうです。
上に挙げたそれぞれのイルカの漂着場所を地図にポイントしておきます。
2012年2月のイルカの大量死報告のあった場所
ちなみに、米国でイルカが打ち上げられたマサチューセッツ州のケープコッドという海岸は下のような面白い地形をしていることで有名なようです。
▲ ケープコッドの観光用の絵はがきより。
ここから翻訳記事です。
Probe into mystery deaths of Peru dolphins
nt news (オーストラリア) 2012.02.14
▲ ロイターの映像ニュースより。
ペルーでのイルカの大量死の原因は何か
ペルー北部の海外に、3日間のあいだに 264頭のバンドウイルカが死亡して打ち上げられたことがペルー当局より発表された。この原因は何なのかをつきとめるための調査が始まっている。
死亡したイルカはペルー北部の海岸 103キロメートルの範囲に渡って打ち上げられていた。
ペルー海洋研究所のエドワード・バリッガ氏は、「死因を特定するためにサンプルの採取を始めています」と語る。また、バリッガ氏によると、その地域で大量のイワシも死んで打ち上げられていたことが明らかになったという。
そして、「これは非常に深刻な問題だと私たちは考えています」と語る。
地元で養殖業を営むジョージ・カブレヨスさんは、「イワシが汚染されたプランクトンを食べたように思う」と言う。そのイワシを食べたイルカが影響を受けたのではないかと考えているという。
世界中に 81あるクジラ目のうち 34の種がペルー沖に棲息しており、そのうちの 17の種はイルカだ。この海域では最も一般的なものはバンドウイルカだという。
キーワード[海洋生物の大量死]関連の In Deep 過去記事
・新年のノルウェーでの魚の大量死で思い出す「メキシコ湾の原油流出と海流の関係」
2012年01月04日
・2010年夏から続いているニュージーランドでのクジラの大量死(半年で百数十頭)
2011年02月04日
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[1年前の In Deep ]
2011年02月17日の記事
・太陽活動と地震・噴火の活動に関しての2つの考え方