2012年03月05日



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「 132億年前の天体」の存在に対して交わされるビッグバンへの疑念の対話



「私たち科学者は科学書を書き直す準備はできている」 by デイリーギャラクシー


(訳者注) 2009年に発見された GRB 090429Bという名前がつけられている宇宙の光源があります。

下の写真です。

GRB-090429B.jpg


大きな恒星が爆発する時に発すると考えられている「ガンマ線バースト」と呼ばれる現象での光だと NASA は断定しましたが、これが何であれ、「古さ」が問題になっていて、この天体は「 132億年前」のものなのです。ビッグバンというように言われている理論では、宇宙の年齢は 137億年というように言われていますが、その5億年後くらいのものだということになります。

最近、この GRB 090429Bをめぐっての議論がまた盛んになっています。3月1日に、デイリーギャラクシーという天文学メディアが、「132億年前の宇宙で最も古い天体」という記事をリリースしたのですが、それに対しての読者からの多くコメントが寄せられました。

そして今日の記事ではその返答という形で記事を載せていました。
今回はそれをコメントなどと共にご紹介します。

コメントのいくつかは「ビッグバン理論との整合性はどうなっているのか」というようなものです。

今日の返答の記事の冒頭では、デイリーギャラクシーの記者自身が「正直な話、今では、ビッグバン理論が現在の宇宙の姿を 100 パーセント描くものとして正しいと心の底から考えている科学者は多分ただのひとりもいないかもしれない」と書いています。


ところで、どうして、この「132億年前の天体」の存在に問題があるのか

難しい説明はできませんので、ごく簡単に書いてみたいと思いますが、「132億年前のガンマ線バーストの光というものはあり得ない」というようなことの説明にもなるかもしれません。

これには、まず現在の宇宙モデルというものをある程度知らないといけませんので、それを実際にはよく知らない私は調べてみました。

そうすると、私の「考え」ではなく、現在の科学での説明そのものから矛盾が浮かび上がってくることがわかります。修正しきれない自己矛盾を抱えてきた現在の宇宙論の姿ともいえるのかもしれません。


現在の宇宙論である「成長する宇宙システム」に対して噴出する矛盾

宇宙モデルなどが説明されているサイトの多くが、「理解できないものは読まなければよろしい」という空気が強く、正直、最近ではそういうものがこの世に存在していること自体があまり気持ちよくないのです。私は高校2年くらいからは物理も科学も試験はすべて「0点」でしたので(ひとつも書けなかったので純粋な0点)、これら専門サイトたちの、私のような「知識のない者に対しての排除感の強さ」は何となく寂しいですが、まあ、仕方ないです。ちなみに、高校では、答えのわかっている追試があるので、全科目0点でも落第はしませんでした。


さて、下のは適当に作った図ですが、今の宇宙論は大体こんな感じのようです。

cosms-2012.png


左の「」の部分がビッグバンというように言われている「宇宙の始まり」で、黒の斜線は宇宙が大きくなっていく状態を示します。


簡単に書くと、現在の宇宙論では「時間と共に宇宙は大きくなっている」ということになります。


「宇宙は」ということは「宇宙に含まれているものもすべて」成長しているということになります。つまり、地球や太陽などもそうですが、「成長して、いつかは滅びる」というような考え方です。

そして、この考えの中では基本的には「同じように生まれるものは同じような成長をする」という概念も含まれています。これは動物の成長などと同じで、個別に多少の差はあっても同じような成長をしていくということです。

たとえば、同じ種類の同じ年齢のネコなら、「大体このくらいの大きさ」というような概念、あるいは「同じような形」という概念があって、普通はその通りに育ちます。同じ種のものが同じように育ったのなら下のイラストのような大きさの差は出ないはずです。

cats.jpeg


しかし、実際には上どころの差ではない大きさのものが同居しているのが現実で、たとえば、地球から640光年のところにあるベテルギウスという星などは、下のような大きさです。



太陽は左上の小さな点です。

このベテルギウスは私たちの太陽系でいえば太陽です。そして 640光年というのは宇宙の単位ではかなり近いのですが、そこにあるものの大きさがすでに「現実を逸脱した大きさ」であるということがあったりします。

でもこれは現実です


話を戻しますと、

・現在の宇宙はある時点で生まれて、成長している

というのがビッグバン理論とか宇宙膨張理論などのものだったりするようです。

ここでやっと本題に入りますが、今回の本記事の中に出てくる「132億年の天体」。
これがどういうものか再確認してみます。



132億年前の天体が恒星由来のガンマ線バーストの光なら、その恒星の大きさは太陽の30倍以上

アストロアーツの2011年5月31日の記事にこの132億年前の光に関しての NASA の記事を要約したものがあります。その冒頭にこうあります。


NASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」が2009年に検出したガンマ線バーストが、観測史上最遠の131億4000万光年先で起きたものと結論づけられた。もっとも遠い天体候補の1つとしても挙げることができる。



そして、その下にこうあります。


 > 「ガンマ線バースト」とは、宇宙の彼方で太陽の30倍もの大質量星が最期を迎える際に起きる、宇宙で最も明るい天体現象のこと



「太陽の30倍もの大質量星」とあります。

つまり、132億年前に宇宙にあったその天体は「太陽の30倍以上」などのつまりとても大きなサイズだった可能性があるということです。

この時点で「あれ?」と思うのです。

すでに、上の

cats.jpeg

の例に見るおかしなことが起きています。


たとえば、私たちの太陽系の太陽の年齢ですが、一般的な話としては、こちらから抜粋しますと、


> 太陽は銀河系の中心から3万光年離れた位置にあり、太陽系の惑星などの天体と共に、46億年前に誕生したと考えられている。



46億年前にできたとされる恒星(太陽)と 132億年前にすでにあった(というより、その時に成長しきって消えたとされる)恒星のこの大きさの差。

sun-01.jpg


sun-02.jpg

▲ 大きさの比較は適当です。「億」をつけないでみました。


それまで真面目に宇宙論を勉強をしていた人たちこそ「???」と思う。宇宙のすべてのものが「成長している」というのならどうも変な感じがする。

何かうまく理論を付け加えないと、今の宇宙モデルの説明がつかないような気がする。


でも、科学界では「矛盾はない」と言う。
だったら矛盾はないのだと思う。

「でも、なんか変だなあ」と。

ちなみに、宇宙論のほうは「推定と想像が先行して」始まっているので、自分の推定と想像を補完していくために、次々と新しい理論、新しい計算式が出されてきましたが、どこまでやっても、「元は想像」なので、次第にどんどんと難しくなる。


さて、さらに少し専門サイトなどを読み進めてみます。

まあ、しかし、いずれにしても、現時点では132億年前の天体の発見で終わっているので、まだ「ビッグバンより以前のものではない」ということで、セーフではないかという気もしたのですが、実際には「現在の宇宙論自体が首を絞めていて」アウトなんです。科学の説明文が、自らで明確にその「アウトぶり」を教えてくれます。


それは、NASA が上の 132億年前の天体の光を「ガンマ線バーストの光」だと結論づけたところにもあります。

まず、現在の天文学ではガンマ線バーストは、詳細は不明ながらも次のようになっています。ここからの説明の抜粋とリンクは Wikipedia です。

ガンマ線バーストは極超新星と関連しているという説が最も有力である。超大質量の恒星が一生を終える時に極超新星となって爆発し、これによってブラックホールが形成され、バーストが起こるとされる。


上に出てくる極超新星とは何か。

通常の超新星爆発の数十倍の爆発エネルギーを持つ超新星爆発のこと


では、超新星とは何か。

大質量の恒星がその一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象


この「恒星」の説明に行きついた時、「絶望的な記述」に私たちは突き当たります。

恒星 - 形成と進化より。

(抜粋)質量が太陽の約8%よりも小さく、核融合反応を持続することができない星は、自らの重力により、数千億年という極めて長い時間をかけて、位置エネルギーを熱エネルギーに変換しながらゆっくりと収縮していく。最後にはそのままゆっくりと暗くなっていき、黒色矮星へと移っていく。

褐色矮星よりも重いが質量が太陽の46%よりは小さい恒星は、核反応が遅く数千億年から数兆年かけて燃料である水素を使い果たした後、ヘリウム型の白色矮星になるとされている。



それぞれ、

> 数千億年という極めて長い時間をかけて

> 数千億年から数兆年かけて


とあります。

さて、これが「恒星の一生」だとすると、そこに多少の年代の前後はあったとしても、きわめて簡単に考えると、

・ビッグバンから5億年しか経過していない時に、すでに「何千億年の寿命を終えた星」がそこに存在していた

というような奇妙な成り行きを想定させます。


まあしかし、その 132億年前の光が超新星によるガンマ線バーストであるかどうかというのも実はあまり関係ないことだと思います。

この話の中で最も重要なことは、


・その光が見えているという事実


に尽きます。

地球から100億光年以上もの距離で観測される光が小さなものであることは考えられないわけで、それが何であろうと、きわめて大きな光がそこにある。

通常、天体がどんな理由であっても「巨大な光を放ち出す」ためには(今の宇宙論では)大変な時間がかかるはずです。


ああ・・・前振りのつもりが非常に長くなってしまいましたけれど、実はそのデイリーギャラクシーのコメントの記事は上のような疑問を語り合っているという感じです。なので、今回はその冒頭のデイリーギャラクシーの返答記事の意見をご紹介します。




Sunday's 'Comment of the Day' --"The Pale Red Dot" --13.2 Billion Years Old: The Most Distant Object in the Observable Universe
Daily Galaxy 2012.03.04

記事「宇宙で観測された中で最も古い 132億年前の天体」へのコメントによせて

132billion.jpg


なるほど、確かに、多くの科学者たちは、ビッグバン理論を、現在の宇宙の姿を考える上では最も適切な理論として考えているし、それは理想的なことだと考えるが、しかし、いかなる科学の対象であろうと、それに対して述べられた反対の意見を無視するようなことをしてはいけない。

正直な話としては、今では、もはやビッグバン理論が現在の宇宙の姿を 100 パーセント描くものとして正しいと心の底から考えている科学者は多分ただのひとりもいないかもしれない。

とはいえ、私を含めた科学者たちは誰でも現在はビッグバン理論支持者であることに変わりはない。

私たちには(ビッグバン理論を撤回する)辞書を書き直す準備はある。しかし、ビッグバン理論より適切な理論が私たちの目の前に現れ、それを科学的に正確な説明がなされるまで、私たちがペンを取り上げることはない。

なぜなら、私たちは科学者だからだ。単に自分の考えや信条、あるいは直接的ではない話から科学書を作り上げたのでは、私たちはすでに科学者ではなく、哲学者ということになってしまう。

でも・・・それでも、私たち科学者は「常に間違ってきた」。

あの科学者でさえ間違え続けた。
そう。私たち科学者すべてが尊敬し大好きなアイザック・ニュートン卿だ。ニュートンの後には量子力学が生まれた。あるいは、アインシュタインでさえ自らの誤りを認めたこともある。

科学者は証拠なしに理論と戦うものではないが、証拠があった場合には自分の信念ではなく証拠を優先するのが本物の科学者の姿なのだと考える。





キーワード[ビッグバン]に関しての In Deep 過去記事

「我々はビッグバン以前の宇宙を垣間見ることができる」:世界的な物理学者
(2010年11月27日)

宗教的科学信念の崩壊に向けて: 「宇宙最初」の「最初」の起点とは
(2011年10月23日)
タグ:宇宙