2012年03月19日



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「宇宙は人間そのもの」という結論を夢想するとき



andromeda.jpg

▲ 作家の埴谷雄高さんが「自分のもうひとりの存在がいる」と考え続けたアンドロメダ銀河。




文字の中で続く永遠のサイクル

先日の「「人間は最初 宇宙線だった」:埴谷雄高さんの1994年の言葉」という記事の続きみたいなものですが、昨日、お酒を飲みながら、スエデンボルグの「宇宙間の諸地球」(1785年)をパラパラと2、3ページめくって読んでいましたら、埴谷雄高さんが自分の小説「死霊」の中に書いたくだりとほとんど同じ概念の思想が出ていることに気づきました。

それは、「時間と空間はコミュニケーションと関係しない」という概念です。

私はこのことについては、宇宙の問題を考えながら自分なりに考えていたことがありましたが、「光の速さ」という物理の法則の下では、「時間と距離」は関係してしまうという限界をいつも感じていました。


埴谷さんは小説『死霊』で「そういう時間や重力の括りがない世界」を描こうとするために、物理や天文学もずいぶんと学習していたようですが、それでも死ぬまでに合理的な解決は得られなかったように思います。

そこで、スエデンボルグの書いたひとつのフレーズが目に入り、「これはそういうことを書いているんだろうな」と思ったので、後のために書いておこうと思いました。スエデンボルグの書いたことが解決になっているという意味ではなく、彼が「書いていた」というとことは、「そのことを考えていた」ということではあり、多分、他の人たも含めた多くの人たちが、この「時間と重力」からの脱却というものを目指していたことがわかります。

まず、『死霊の世界』から埴谷さんの言葉を短く引用します。

質問者に小説「死霊」の主人公(三輪与志)について訊かれての中の言葉。

(ここから)



三輪与志の革命というのは、うーんと離れたところにあるんですよ。しかも、うーんと離れて、ある意味でいうと、何百億光年か離れていても一瞬のうちにやってくると。(中略)

思索、想像力は何ものよりも強い。普通は何十万光年、光も何十億光年かかるところから、思ったらすぐやってくる。現実を無視していると。非現実の世界が書かれているわけですよ。




(ここまで)

そして、NHK の番組でも最後のほうの埴谷さんの言葉となったのが下のくだり。

かつては YouTube 上にも番組の動画あったのですが、現在はなくなってしまいましたので、文字として起こしました。

(ここから)



「埴谷雄高独白 死霊の世界」第5回より
NHK ETV特集 1995年1月13日

アンドロメダはですね、(我々の銀河から) 150万光年と言われていたわけですけど、でも今はですね、まあ、天文学もインチキでね、だんだん数値も変わってきて、今では 210万光年ぐらいだといわれているわけです。

だいたい、銀河もアンドロメダも直径は 10万光年ということになっているんですよ。遠くから見ると双子星雲で、非常に遠くから見ると同じようなものが二つ並んでいるわけです。

僕の病気が治った時に表に出てみると、アンドロメダが見えるわけです。

そうするとですね、 昔はこれは 150万光年ということで、直径 10万光年ということだったんですけど、15回繰り返していけば向こうに到着するわけですよ。今は 21回ということになったわけだけれども、それでも 21回でも、地球と月よりもこっちのほうが近いんですよ。

地球と月は、地球の直径を30何回繰り返さないと、到達できない。

だから、地球と月よりもアンドロメダと銀河のほうが近い兄弟。

ということで、僕の兄弟はアンドロメダにいる。

「X(エックス)埴谷」というのがここにいて、僕が見ている時は向こうからも見ていると。僕が見ていると向こうからも同じように見ている。「宇宙の鏡」と同じで、僕が見ているということは、向こうからも見ているわけだ。

「あっ、あそこの向こうの兄弟、あいつが考えている、いつ会えるかな」というようなことですよ。




(ここまで)

これは上と下と共に共通するのは、「自分の描いている状況と物理の法則は矛盾するけれど、でも、その矛盾も含めて必ず正しいはずだ」という埴谷さんの意志が見てとれます。


私はかつてこの解決策として、「人間の中の宇宙」ということを In Deep などで書いていたのですが、最近の薔薇十字関係の記事、

神に怒りはないこと知る日々の中で

というようなものにもそれはあらわれているような感じもしますし、あるいは、先日、メールをくれた female日記 というブログを書いている方の「地球=太陽」という概念をさらに進めて、

地球 = 太陽 = 人間

ということにまで進んで考えていくと、実は、その後に、


人間 = 宇宙


という到達点にいくことがさほど無理なことでもないことが見えます。


そして、上の埴谷さんの「200万光年離れたもうひとりの自分とリアルタイムで交流する」という想いを遂げるには、それしか、もう選択肢はない気がするのです(物理の法則では 200万光年先にいる相手とのコミュニケーションは、どんな方法でも最短で 200万年かかる)。

つまり、

「人間は宇宙そのものである」

という結論を先にここに据えた上で、「それはどのように考えていけばいいのか」ということにしたいと思います。ダメだったら前言撤回ということで(苦笑)。


「結論先にあり」ですが、埴谷さんの願いはこれによってしか叶えられませんし、私の日々見る「ペアである自分」の解決策もこれしかないようです。


さて、そういう中の解決的な考えのひとつに、実証的ではないですが、スエデンボルグが『宇宙間の諸地球』の中で書いたことばがあります。

というか、私、今でもスエデンボルグの著作はこれしか持っていないし、これしか知らないのです(2年くらい前に、時間つぶしのために古本屋を眺めていた時にタイトルに惹かれて誰だか知らずに買いました)。

『宇宙間の諸地球』が書かれたのは 1758年のようですが、持っている本の奥付を見ると、日本で最初に発行されたのは、昭和33年(1958年)のことのようです。日本で出版されたのは、オリジナルが書かれてからちょうど 200年後のことだったようです。


はっきり言って、書かれてあることは難解で、あまりわからないのですが、多分、スエデンボルグはここで「宇宙の状態はひとりの人間の内部の状態と同一」と言いたいのだと感じます。なので、距離や重力は関係ない。というか、宇宙にはそれは存在しないと。

ここから抜粋します。

(ここから)



『宇宙間の諸地球』 星天の諸々の地球
イマヌエル・スエデンボルグ 1758年

自然界の空間と距離とは、引いては進行は、その起源と第一原因においては、内部の状態の変化であって、天使たちや霊たちにあっては、それはこの変化に応じて現れ、かくて彼らはこの変化により一つの所から他の所へと、また一つの地球から他の地球へと、実に宇宙の端にある地球へすらも明らかに移されることができることを知られよ。

人間もまたそのように、その身体は依然その同じ場所に止まりつつも、その霊は移されることができるのである。人間の霊はそのように移ることができることを感覚的な人間は理解することはできない。なぜなら、そのような人たちは空間と時間の中にいて、その運動をその空間と時間に従って測るからである。




(ここまで)


実はこの後のくだりで、スエデンボルグはとても興味深いことを書いています。

それはブルーノなども言う「たくさんの地球、たくさんの太陽」という概念のことで、そのこと自体は多くの人たちが言っていることなのですが、その言い回しが、お釈迦様(ブッダ)の言葉とほぼ同じだったのです。

スエデンボルグのそのくだりは、書き出すには長いですので、今度機会があれば書きますが、対応するお釈迦様の言葉というのは、何度か抜粋したことがあります。

下のくだりです。
フレッド・ホイル博士の著作「生命はどこからきたか」 第十五章の中に出てくるものです。

こちらの記事から転載します。

(ここから)



『生命はどこからきたか』
フレッド・ホイル 1995年

紀元前六世紀に、ブッダの世界観はすでにコペルニクス革命以後に入っていた。彼は宇宙が、各々がわれわれの惑星系と似た数十億の ”小さな宇宙” から成り立っていると記している。ブッダの対話形式になっている古い仏教の教典のなかに無限の宇宙について述べられている。

「無数の太陽、無数の月、・・・、無数のジャムブディパス、無数のアパラゴヤナス、無数のウッタラクラス、無数のブッダビデバス」

ジャムブディパスとは当時の北インドの人々が知る限りの人の住んでいる地域を表す単語である。この対話から、ブッダが生命と意識が宇宙の構造に全体として結びついていて別々にできないものと捉えていたことは充分に明らかである。




(ここまで)


この中の生命と意識が宇宙の構造に全体として結びついていてという部分。これは、上の埴谷さんの「X埴谷というのがアンドロメダにいて、僕が見ている時は向こうからも見ている」を実現できる道筋のひとつだと思います。

フレッド・ホイル博士はこういう信念で科学を進めたせいで、科学界から「焼かれ」ましたが、焼かれた「神々の死体」に感謝している私のような人はたくさんいます。



何だか長くなってしまいましたが、

「宇宙=人間」

という結論を夢想した日の記録でありました。



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