2012年03月25日



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NOAA の自然災害写真データベースから思う火山噴火の時代と、再び思い出すバックミンスター・フラーの言葉



「自然の力とは戦ってはならない。使うのだ」(バックミンスター・フラー)


アメリカ海洋大気庁 (以下、略称 NOAA で表記します)のサイトを眺めていましたら、トップページに「New」という文字と共に Natural Hazards Image Database自然災害写真データベース)というコーナーができていたことにきづきました。興味深い部分もありましたので、ご紹介しておきたいと思います。

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上の写真がトップページで、ここには「最新の自然災害と歴史上での注目すべき自然災害」がピックアップされており、現在のトップページにあるものは多くが地震です。

現在は昨年2011年3月11日の日本の大震災の写真がトップにあります。この地震は、NOAA での英語での正式名は「2011 Honshu Japan Earthquake and Tsunami (2011年 日本・本州地震と津波)となっています。

上のサムネールにあるものは、右から、

1906年 サンフランシスコ・カリフォルニア大地震
1964年 アラスカ・プリンスウィリアム湾大地震と津波
1991年 フィリピン・ピナツボ火山の大噴火
2004年 スマトラ大地震と津波
2007年 ソロモン諸島大地震と津波
2010年 チリ大地震と津波
2010年 ハイチ大地震と津波
2011年 ニュージーランド・クライストチャーチ大地震

となっています。

上の一覧を見てみても、昨年の日本の地震と津波の災害は、少なくとも「記録」ができるようになった以降の人類の文明史の中では、際だって大きな自然災害だったことがわかります。


現在のトップにあるサムネールのうちで地震以外でピックアップされているものは、「フィリピンのピナツボ火山の噴火」のみですが、この「火山の噴火」というのはこれからの私たちは長い付き合いになる可能性もあるのかもしれません。

現在、日本でも桜島などの大きな噴火が続いていたり、あるいは歴史上を見れば、過去記事「「鎖国」と「富士山大噴火」を生み出した前回マウンダー極小期」にあるような太陽活動の縮小(極小期)の時代に今後、「仮に」入るのだとすれば、1707年に発生した富士山の噴火なども(サイクルから考えれば)起きる可能性はあると思っています。

そんなわけで、直近の噴火としては最も大規模なもののひとつであるピナツボ火山の 1991年の噴火の記録は直近の火山の噴火のデータとして参考になるかもしれません。

なお、ピナツボ火山の1991年の噴火は、過去の富士山の噴火より遙かに大きな噴火でした。なので、仮に今後、富士山が噴火しても、ピナツボ火山の噴火より小さな規模の噴火になる可能性が高いと思われます。


1991年のピナツボ火山の噴火

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▲ ピナツボ火山の噴火で火山灰が積もった航空機。


火山噴火のレベルには「火山爆発指数」というレベル数値が定められています。1991年のピナツボ火山の噴火は「6」レベルでした。ちなみに、想定される富士山の噴火レベルは「4」から最大で「5」とされています。ちなみに、東アジアで「6」以上の噴火を起こす可能性のある火山は北朝鮮の白頭山と、日本では鹿児島にある薩摩硫黄島の古代火山などが有名です。

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▲ 火山爆発指数。Wikipediaより。最大の「8」の噴火が最後に発生したのは、推定ではアメリカのイエローストーン(約 200万年前)やインドネシアのトバ湖火山(約 60万年前)で、このあたりのクラスの噴火となると、対処としてはお手上げのレベルです。


富士山で予想される火山爆発指数「4」のレベルの噴火で、最も直近のものは、2010年のアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火です。火口が下の写真のような「悪魔の顔」を形作ったことで記憶に残る噴火で、空の交通に大きな影響を及ぼしましたが、影響はそれほど長く続きませんでした。死者と重大な怪我人はいなかったと記憶しています。



▲ 「アイスランド噴火はまるで大地の怒りのよう」(地球の記録 2010年04月18日)より。


ただ、エイヤフィヤトラヨークトル火山のあるアイスランドと比較すると、富士山の周辺は都市や交通機能が多いですので、ある程度の影響は避けられないとは思いますけれど、火山の噴火の場合、大きなものの場合は「多くは直前に予知できる」ことがあります。これが予測できない地震との大きな違いだと思われます。

ピナツボ火山の場合の経緯を Wikipedia から抜粋してみます。



・1991年3月15日、火山の北西の住民が地震を感じ始める。それから2週間で、地震は次第に強さを増す。

・1991年4月2日、水蒸気爆発を起こす。数週間、小規模な噴出が続く。毎日、数百件の火山性微動を検知。

・1991年4月7日、10km地域に対して避難命令。6月15日までに、火山から30km以内の地域にいた6万人すべてが退去。

・1991年6月7日、最初の大爆発が起こり、高さ7,000m以上の噴煙。

・1991年6月15日、噴火の絶頂。火山灰が高度34,000mまで噴き上げられ、火山灰からなる雲は、125,000 キロ平方メートルの面積をおおう。




という経緯だったようです。

約300名の死者が出てしまいましたが、この死因の多くは、火山での直接的なものというより「多くは、濡れた火山灰の重さによる屋根の崩壊」だったそうで、さらに、記述の中で特出すべきは下の部分です。


噴火前の避難指示は数万人の命を救い、火山学と噴火予知の偉大な成功として認められている。



つまり、火山爆発指数「6」という現代では壊滅的なレベルの噴火だったにもかかわらず、直前の予測で、少なくとも人的被害は大きく減らせたという事実があり、これはあらゆる大きな噴火をする火山に当てはまることだと思います。

ただ富士山の場合、予測される火山爆発指数が「4」と小さいので、ピナツボ火山ほどの顕著な直前の地質的活動が現れるかどうかは不明ですが、それでも、富士山は、日本の中では比較的大きな火山ですので、それなりの前兆はあると思います。



日本にもある超巨大火山

ちなみに、現在の日本の領土の中で歴史上最も大きな噴火を起こしたとされるのは、鹿児島にある「薩摩硫黄島」です。最後の噴火は 7300年前とされています。これはいわゆる「世界の7大超巨大火山(スーパーボルケーノ)」の中に入れられるものだそう。

7大超巨大火山に関しては、こちらの記事などにありますが、


1.イタリア・セージア渓谷
2.米国イエローストーン
3.薩摩硫黄島
4.インドネシア・トバ火山
5.ニュージーランド北島のカルデラ群
6.シャツキー海台
7.オントンジャワ海台



となっています。

ちなみに、これらの超巨大火山が噴火すると、どのようなことになるか。

私たち現代人は経験していないわけで、今後も経験しないかもしれないですが、「仮に」起きると、こんな感じになるようです。2006年9月の日経サイエンスの記事「スーパーボルケーノ 超巨大噴火の脅威」より抜粋。


米国西部の地面の下には想像を絶するような超巨大噴火を起こす2つの巨大火山が眠っている。そうした火山がひとたび眠りから覚めると、数日もかからずに米国西部のほぼ全域が厚さ数cm以上の灰の毛布で覆われることになる。

(中略)

超巨大噴火は小天体の地球衝突に匹敵するほど破壊的で、高温の火砕流によって周辺地域の自然環境が瞬時に破壊されるだけでなく、大量に噴出する火山ガスのため、長期にわたって地球規模での気候変動が起こる。



こういうものと比較すると、富士山というのは穏やかな火山だと思います。
それは、1704年の宝永噴火の記録を見てもわかります。


ちなみに、地震もそうですが、火山の噴火も「それが起きない」ということは地球に住んでいる限りあり得ないことです。

最近は、地球で起こる自然現象のすべては「起きる理由がある」と私は考えるようになりました。いいとか悪いとかではなく「起きるものだから起きる」としか言いようがないのだと感じます。それがどんな激しい現象でも「起きたのなら起きた」としか言えないと感じます。



バックミンスター・フラーの言葉

20世紀のアメリカ人で、生涯を通して、人類の生存を持続可能なものとするための方法を探りつづけたバックミンスター・フラーという思想家であり建築家だった人がいます。

彼は 1963年に「宇宙船地球号」という著作を書いた人です。この宇宙船地球号という言葉だけが変な意味で独立してしまったようにも感じますが、バックミンスター・フラーは、自然災害さえも持続可能な人類の生存のための、「悪」とは考えなかった人でした。

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▲ バックミンスター・フラー (1895年 - 1983年)。


そのバックミンスター・フラーの言葉をウェブボットの巻末エッセイに書いたクリフ・ハイの言葉を紹介しておきます。2009年3月のもので、原文には年代が出てきますので、そこを除いて抜粋しました。



ALTA レポート 1309 クリフ・ハイ巻末エッセイ
(ウェブボット 2009年3月)

太陽系全体で大きな変化が起こっている。ここで思い出して欲しいのは、「自然の力とは戦ってはならない。使うのだ」というバッキー・フラーの忠告だ。

今年は変容が始まる年である。
太陽系のこの変化によって人間性の変容のプロセスは加速されるのである。その意味では、まさにいまわれわれは巨大な転換点に立っていることになるのだ。

これから様々な意味で混乱するだろう。その中でわれわれは変容することを積極的に選択しなければならないのだ。いずれにせよわれわれは変容せざるを得ないのだから。

先ほどのバッキー・フラーの言葉を言い換えるなら「自然の力をこちらから捕まえてそれを使うべきだ」ということになろう。




「自然の力とは戦ってはならない。使うのだ」と言ったバックミンスター・フラーという人は、思いつきでものを言うような人ではありません。なので、この言葉の中にはある意味での真実が含まれているように思えます。


昨年の地震以来、何度か記してきた「起きたことに淡々と対処する」ということには、このバックミンスター・フラーの言葉の意味も含まれています。

意味のない不安に人々が閉じ込められることはフラーの意志を無駄にしてしまいます。

だからこそ、In Deep が進みたい方向の最後の砦は「人間の死」とは何なのか。そして、地球と宇宙が人間と直接対応しているのなら、自然災害に不安を持つこと自体が自分自身(人類)の存在として、まだ成長していない証であるのかもしれない、というようなことも思ったりいたします。


ふと過去記事の「複合的な火山噴火の可能性と自分の中の「神性と悪夢」 (2011年02月28日)」という記事を読んでいましたら、最後に私はこう書いていました。

> 自然現象もあるいは自分の中にあるのかもしれないですが、これ以上は自分でもまったくわからないことです。


上の記事は震災の前のものでしたが、上で「自分でもまったくわからない」と書いていることは今でもわからないので、1年以上経っても私自身が何の進歩もしていないということのようですが、しかし、結論に及ぶこともまたないようにも思っています。





[巨大火山]に関係する過去記事:

大噴火で古代アジア文明に壊滅的な影響を与えたクラカタウ火山から噴煙
(2011年08月05日)

白頭山の噴火は本当に迫っているのか?: 北朝鮮が噴火準備態勢に入ったとの韓国報道
(2011年02月12日)


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[1年前の In Deep ]

2011年03月24日の記事

退屈な日常の風景

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