2012年03月26日



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火星の「超」異常現象: 地表から数百キロ上空まで吹き上がる現象は何か



(訳者注) 3月19日頃、海外のアマチュア天文家が「火星の北東方向の頂上から雲のような奇妙なものが出ている」ということを発見し、その天文家が自分の天文サイトに撮影した火星の写真をアップして以来、ここ数日、大変な話題となっています。
その現象は現在も継続中のようです。


2日ほど前に米国の msnbc ニュースでも取り上げられましたので、その記事をご紹介します。

写真は決してわかりやすいものではないですが、3月21日に撮影されたのはこのようなものです。矢印の部分がそれです。

mars-haze-01.jpg


どうしてこの程度のことがそんなに話題になるのかというと、たとえば、地球をこのくらいの距離から撮影して、「宇宙から撮影しても見えるほどの、つまり数百キロ以上の高さで「地球から何かが噴出していたら」と考えると、「そんな現象あり得ない!」ということが想像つきます。


この写真に写るモヤみたいなものの高さなんですが、この写真からの計算では、地表から約 240キロメートルの高さとなることが書かれています。

これがどのくらい途方もない高さかというと・・・たとえば、ちょうど昨日の記事で、フィリピンのピナツボ火山の 1991年の噴火のことを取り上げたのですが、現在の地球で実際に起きている噴火の規模としては最大級に近いその噴火での最大の火山灰の高さが「高度 34,000メートル」でした。約 34キロ。

そこから考えると、この火星の「 240キロメートルの高さのモヤ」というのは、火山の噴火や悪天候などを含めた地表での自然現象だとしたら、壮絶なことが起きているということになるかもしれないですし、地表での自然現象以外だとすると、空中での「何か」ということで、その説明は難しいことになっているのだと思います。

実際、このアマチュア天文家の撮影を受けて NASA の火星探査ミッション施設もすぐにその場所の観測を始めたことが記事に書かれています。


昨年以来、太陽系の様々な惑星で地球から見てわかるほどの大きな変化が発生していますが、火星にも現れたということかもしれません。

木星では、地球以上の大きさの「赤道縞」というものが消えたり(下の写真)しています。



過去記事での最近の太陽系での異変の記事をリンクしておきます。




ここから今回の火星のニュースです。




Mysterious cloud spotted on Mars
msnbc (cosmic log) 2012.03.23

火星で謎の「雲」が確認される


imagesizer.jpeg

▲ アマチュア天文写真家のウェイン・イェシュケ氏が 3月22日に撮影した写真。火星の時計でいうと午後1時の針の場所で、端から煙のように立ち上る何かを捕らえた。


この数日間、ひとりのアマチュア天文写真家が撮影した火星の上での現象について、世界中の天文家たちが困惑している。

上の写真に写っている「雲」のようなものは一体何なのか?
地表から上空 240キロメートルもの高さに吹き上がるものの存在とはどんなものなのか?

現象が起きているうちにこの現象の正体を特定しようと、天文学者たちも動き出した。



mars0320.jpg

▲ 3月21日の同じ場所の様子。天文写真家ウェイン・イェシュケ氏撮影。


米国アリゾナ州立大学の火星探査ミッション施設「マーズ・スペース・フライト・ファシリティ」 ( Mars Space Flight Facility )の研究員であるジョナサン・ヒル博士は以下のように msnbc に述べた。

「これは、私たちにまったく予想できないというものではないとは思います。ただ、この現象は私たちが予想する現象と考えるには、少し大規模です。一体どんなことが起きているのか見てみたいというのが正直な気持ちです」。

ヒル博士と研究チームは、火星周回探査機オデッセイに搭載された熱放射撮像システムカメラ (Thermal Emission Imaging System) で、火星を観測している。

その後、博士から、火星で現在この現象が起きている場所の観測を始めることについて msnbc に電子メールで連絡があった。

「今回の現象は、火星での雲の構造を観測する絶好のチャンスだということもあり、私たちは今とても興奮しています」と、博士はメールに綴っていた。


今回の現象の撮影は、天文学者たちに火星の雲についての新たな手がかりを提供することになるかもしれない。


一方で、インターネットの BBS やフォーラムでは、それ以前から天文家たちによって、この火星の高高度の現象について報告されていた。3月12日に気づいたアマチュア天文家もいたという。フォーラムでは現在も様々な観点から「この現象は何なのか」ということについての議論が続いている。

現在出ている仮説として、流星、巨大な天候システム、あるいは、光の関係による視覚的な錯覚ではないかという意見もある。

この火星の雲については最初の撮影者のウェイン・イェシュケ氏によると、その後の数日で、現象は収まってきたという。



mars3021.jpg

▲ 3月22日の同じ場所の様子。天文写真家ウェイン・イェシュケ氏撮影。


なお、この現象が、ジョナサン・ヒル博士たちの火星探査ミッションによって正式に観測された場合は、英国天文協会の火星部門局長リチャード・マッキム氏に正式な観察報告を送ることになる。

この火星のミステリーの解析には、もしかすると現在の天文学上のデータだけでは足りない可能性もあるが、しかし、いずれにしても、今回の件は、プロ(天文学の専門家)だけではなく、アマチュア天文家たちの天文学への貢献について、再度考える必要があることを提示したということかもしれない。





(訳者注) 実は、昨年あたりから太陽系での異変を最初に気づくのは専門家ではなく、「アマチュア」が多かったです。本当に多かった。

観測設備でいえば、はるかに専門施設より精度の低い望遠鏡などで観測しているアマチュア専門家たちが、まず最初に「何か」を発見する。

その理由を考えると、まあ、多分ですが、専門家は「そういうことを想定していない」ので、見逃してしまうのかもしれません。人にもよるでしょうけど、「面白いことがあるといいな」と思って宇宙を見ている人の前では実際に面白いことが起きるということなのかも。

そして、他の人たちもそれを見られるようになると。

そういえば、昨年12月の、

ニュージーランドのアマチュア天文家が「もうひとつの太陽系」の姿をとらえる
2011年12月02日

という記事の内容もそうでした。

ニュージーランドのアマチュア天文家、ルドルフ・オルセンさんという人が、工夫に工夫を重ねて、ついに、「もうひとつの太陽系の姿を写真でとらえることに成功した」というニュースでした。家庭用望遠鏡で NASA のハップル望遠鏡より優れた写真を撮影したのです。



▲ ルドルフさんが撮影した「もうひとつの太陽」。がか座ベータ星というところにあります。


今後、もちろん、 NASA や ESO などの専門家の方々にも期待しますが、やはり、世界中のアマチュア天文家の人たちからの驚くような観測を期待しています。

最近の太陽系の状況を見ていると、まだまだ「ものすごいこと」が起きそうです。




[アマチュア天文家]に関係する過去記事:

下の記事のどちらもアマチュア天文家によって最初に観測されたものです。
ラブジョイ彗星の話題はほんの少し前ですけど、今となっては懐かしいなあ。昨年もっとも和んだニュースでした。太陽に突っ込んで死ななかったのですよ。ラブジョイ彗星は。

エレニン彗星は 9月11日に太陽フレアの中でほぼ完全に消滅
2011年09月17日

突然出現して太陽に飛び込んでいった巨大な彗星。その名は「ラブ&ジョイ」
2011年12月14日

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[1年前の In Deep ]

2011年03月26日の記事

新しい日本の中心地と私たちを結んでいるもの
タグ:火星の現象

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