次々と発見され続ける「遠い場所にある銀河」の存在自体が現在の宇宙理論に大きな疑問を提起している。
最近、私は、ビッグバン理論をはじめとした「有限宇宙論」というものの存在が私たち人類の生き方を寂しいものにしているというようには思っていて、それとは別に今まで、このブログでも「ビッグバン理論がすでに成立していないことに関しての発見」についての記事はよくご紹介していました。
それらのリンクは記事下にご紹介します。
最近、「どうして110億年前などの(現在の理論ではビッグバン直後の頃の)銀河が、すでに何百億も成長を続けたような姿をしているのか」ということに関して、米国のジョンズ・ホプキンス大学の科学者が疑問を呈したことが話題となっています。ジョンズ・ホプキンス大学は、1876年に世界で初めての研究大学院大学として設立された権威筋の大学です。
そのことが米国の人気宇宙科学サイト「デイリーギャラクシー」で紹介されていたのですが、この記事には非常に多くの読者からのコメントが寄せられていて、そのコメントが大変に興味深いものが多かったので、本文記事を要約程度にご紹介した後に、コメントもいくつかご紹介します。
「もう現代の宇宙理論を信じていない」という空気が非常に色濃く漂っています。
関係ないですが、埴谷雄高さんの小説『死霊』の一節の中に、
「おお、イエス、イエスよ。自覚してくれ。過誤の人類史を正してくれ。」
(「死霊」 第七章 最後の審判)
というフレーズがありますが、埴谷さんは、さらに人類の役割として「過誤の宇宙史を正すこと」を挙げています。これはもちろん、ビッグバンとは関係ないことですが、ビッグバン理論の是正という程度の小さなことから始めれば、いつか人類は「正しい宇宙史」ということにたどり着くのかもしれません。
もっとも、私自身は「宇宙の歴史」というもの自体が存在しないと思っていますけれど。
この世に存在するのは基本的には「瞬間だけ」だと考えています。これについてはいつか少し考えがまとまれば書きたいと思っていますが、こんなことばっかり考えているから気分が悪くなるのかもしれません。いや、本当に。
▲ 1995年の NHK の ETV特集「埴輪雄高 死霊の世界」より。小説の一節の朗読の場面。
なお、先日、「ヨーロッパ南天天文台が新たに 20万以上の銀河を発見したこと」をご紹介した、
・惑星や銀河は「瞬間的にできるものなのかもしれない」と思った朝
という記事にも書きましたが、今後、このジョンズ・ホプキンス大学の科学者のような疑問はごく普通に議論されていくことになると思います。宇宙論の是正・・・というより、宇宙史を考え直す時期は極めて近いところまで来ているようです。
私はひとりの素人天文ファンとして、日本人科学者の方を含めた、あらゆる科学者の皆様の賢明な検討を期待しながら生きていきたいと思います。それは単なる宇宙論の是正ではなく、人類の観念が変わる瞬間でもあると私は思っています。
それでは、翻訳記事はここからです。
本文のほうは要約で、コメントは抜粋したものです。
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Mysteries of "The Redshift Desert" --Why Do Galaxies in the Early Universe Appear Old?
Daily Galaxy 2012.03.30
赤方偏移天体の謎: なぜ、初期宇宙の銀河がすでに古く見えるのだろうか?
「そこに見える大変に成長した銀河群は、本来ならそこにあってはいけないものなのです」と、ジョンズ・ホプキンス大学のカール・グレーズブルック博士は言う。
宇宙で最も遠い場所にかすかに見える初期の宇宙にある銀河群。どうして、そこにある「宇宙ができたばかりの銀河」が成長した古い銀河のような姿をしているのだろうか。
2011年にハワイのマウナケア天文台群で発見された銀河群は、世界中の天文学者たちの想定外のものだった。そこで観測された成長した銀河は、それぞれが 80億年前から 110億年前のものと予測された。
そして、これらは現在の宇宙論で予測される宇宙初期の銀河の形よりも、明らかに完成している銀河に見えるのだ。
観測チームのひとりであるトロント大学のロベルト ・エイブラハム博士は、「私たち科学者たちは、宇宙初期に宇宙では一体どんなことが起きていたのかを再度考え直す時期にきていることをこの銀河群は示しています」と語った。
(訳者注) ここまでです。
上は本文の前半の要約で、実際のオリジナル記事はこの後、科学的な検証を含めての非常に長い論文が続きます。なかなか難しいですが、「宇宙論の崩壊」に興味のある方はお読み下さるのもよろしいかと思います。
そして、この記事によせられている多数のコメント。
この中から、いくつか抜粋してご紹介します。
ちなみに、私は下のコメントの中で大変にショッキングな一言を見いだしました。
それは二人目のビル・ナイさんという人が書いた「光には寿命があり、その寿命が137億年だという可能性」という言葉です。
光に寿命があるという概念!
真実であるとかはどうでもよく、こういうことを考える人がいるというのは本当に素晴らしいことだなあと思います。ちなみに、光の寿命が137億年の場合は、137億年より古い星や銀河は地球からは観測できないことになります。
投稿者 ロブ
「私たちが今知っている「すべて」はまったく正しくないのかもしれない」。
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投稿者 ビル・ナイ
「宇宙の年齢に関しての我々の理解は間違っている。宇宙の歴史は我々が考えているよりずっと古いはずだ。ひとつの可能性として、『光が寿命を持つ』というも理由が考えられるかもしれない」。
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投稿者 カトー
「現在の人類には、宇宙を観測する非常に優れた設備と能力がある。それなのに、私たちは『科学的偏見』による無知によって、いつも宇宙に関しての結論を『汚して』しまっていると私は思う」。
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投稿者 ポール
「137億年という期間が宇宙のすべての時間であることは真実ではないと思う。結局、宇宙は回転、あるいはサイクルしているかもしれない。自然は回転を好む」。
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投稿者 ゼイン
「私たちが知っているように、光はエネルギーだ。そして、それは屈折と反射する理論を持つ。137億年というのは長い時間ではあるかもしれないが、しかし、それは私たちが求めている時間の長さではない。何百億年の何百倍ものスケールがそこに存在すると思う」。
(訳者注) 以上です。でも、いろいろなコメントを書く人がいても、「時間の長さ」が違うだけで、これも全部「有限宇宙論」なんですけれどね。
「宇宙にはじまりはないし、終わりもない」
という「無限」に関しては証明することはできないわけで、道のりは険しいです。まあしかし、「自分だけでもそう思っていればそれでいいや」という気持ちも強いです。多分、宇宙は個人そのものなのですから。
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[宇宙論の終焉]に関係する過去記事:
・宗教的科学信念の崩壊に向けて: 「宇宙最初」の「最初」の起点とは
2011年10月23日
・宇宙論の終焉? : 「暗黒物質理論」を否定する2つの銀河の存在
2011年10月18日
・太陽の150倍の質量を持つ「浮遊星」が天の川銀河で発見される
2011年05月30日