2012年04月02日



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地球の「隠された複数の月」の実態がスーパーコンピュータでのシミュレーションにより解明される



その隠された「月たち」は1年ごとに太陽と地球の軌道上を行き来している。


(訳者注) アメリカのマサチューセッツ工科大学が昨年12月に発表した、「地球はもうひとつの隠された月を持つ」という記事をご紹介したことがあります。

「地球は隠された月を持つ」という MIT の発表
 2011年12月23日

このことに関して、ハワイ大学の研究チームが、スーパーコンピュータを使って「地球のもうひとつの月」のシミュレーションをおこなった結果に関しての記事が数日前の英国デイリーメールに出ていました。図説付きでわかりやすく記事にしていましたので、ご紹介したいと思いますが、これは驚くべきもので、箇条書きにしますと、


・地球のその小さな月(ミニ・ムーン)の数はひとつではない。
・ひとつの月が1年間、地球の周囲を旋回する。
・そして、その後はその月は太陽の軌道に移動して「太陽の衛星」となる。



というような感じです。

言い換えれば、「何個もの月が地球の軌道と、太陽の軌道上を1年ごとに交代で周回しているのかもしれない」という可能性についての話です。


ところで、「月」に関して、最近は科学の世界でもいろいろな疑念や懸念がでています。その中のひとつは「そもそも、どうして月が存在するのか」という疑問です。そのことについて最初に少しふれておきたいと思います。



月はどうして存在しているのか?

今の科学や、あるいは「学校」などで私たちが学んきた「月の正体」については次のようなものでした。

今でも小学校などで教えているタイプのものは、下のものだと思います。
学研の科学なぜなぜ110番の「月はいつどうやってできたの」からの抜粋です。


今から、およそ46億年前に、地球や火星など、太陽系の星たちが誕生しました。
(中略)
この大昔の地球に、いつもにくらべてかなり大きな微惑星が、ぶつかったのです。地球の一部分は、けずり取られ、ふたつに分かれてしまいました。その地球からとび出した部分が地球のまわりをまわるようになりました。これが月のはじまりです。

月と地球はもともとは同じ星だったのです。



moon-1.png



要するに、月は地球にぶつかって飛び出した破片のようなものだと。月というのは「地球の残骸」として存在しているということが現在、「すべての日本人の子どもたちが教えられていること」だと思います。


もちろん、実際には科学上ではいくつもの可能性が考えられてきたようで、宇宙航空研究開発機構( JAXA )の「もっと知りたい! 「月」ってナンだ!?」というページの「まだまだわからない月の謎」という部分には下の図が示されています。

moon-02.jpg


すなわち、

・地球の一部がちぎれて月になった。

・まったく違うところで生まれた月が地球の重力に捕らえられた。

・太陽系ができたときに、地球と一緒に生まれた。

・地球に星がぶつかり、そのかけらが集まって固まり、月ができた。



という4つの学説が主流のようです。

そして、そこにこうあります。


今のところ、巨大衝突説がもっとも有力だと考えられています。しかし、そのような衝突の跡は月や地球の地形に残っていません。また、アポロ計画で持ち帰られた月の石は、月のほんのわずかな部分のため、月全体の組成もまだわかっていないのです。



それにしても、それならどうして、教科書に「月については何もわかっていません」と明記しないのか。

このたぐいの「推定」と「憶測」がどれだけ後の人々の人類生活を「暗いもの」としてしまったか。


宇宙は無限ではなく、有限」とし、
月は地球の欠片が回っているもの」とし、
生き物は無機物が適当に組み合わさって生まれた偶然の産物」とし、
人間はサルから進化した」とし、そして、
宇宙なんて計算で全部わかる」とし、結果として、科学は子どもたちに夢を与えるどころか、どんどん子どもが持つ「無限への夢」を打ち砕く。


地球とか宇宙とか人類なんてそんなつまらないものだったのかあ」と子どもたちは学校教育の中で「必ず」思っています。


こういうことへの何とも言えない一種の苛立ちは確かに感じます。

しかし、それほど遠くない未来に、誰かが、あるいは集団が、適切な宇宙観と科学理念をこの世にもたらしてくれると私は思っています。

その頃に今の私たちはこの世にいないでしょうが、人類は永遠に続くわけですし、どれだけ時間がかかってもいいですので、真実とか何とかそういう難しい言葉ではなく、「人類が生きていることが楽しい意味」ということに向けてこの世が進むといいなと思います。

ところで、この「月の成り立ち」についても、先日の米国の科学系サイトで取り上げられていましたので、今度ご紹介したいと思います。

Puzzle Of The Moon's Origin: Giant Collision May Not Have Formed Moon
月の発祥の謎: 地球との衝突で月ができたわけではない

という記事です。

これは上のほうの子ども科学記事にある「月と地球はもともとは同じ星だった」ということではないという可能性が極めて高くなっているという記事です。


さて、それでは今回の本題の地球の「もうひとつの月」についての記事です。




Earth has a second moon: Our planet usually has at least one 'minimoon' in orbit
デイリーメール (英国) 2012.03.28

地球の「第2の月」: 地球の軌道上に少なくとも、もう一つの「小型の月(ミニ・ムーン)」がある

地球の軌道上には、いつでも少なくともひとつの小さな月が回っている。その月の大きさは 60〜 90センチメートル程度の超小型のミニムーンだ。そのミニ・ムーンはねじれた動きと共に、異常な軌道を描いて飛んでいる。科学者たちはこのミニ・ムーンについての研究を進めようとしている。


mini-moon-01.jpg

▲ ミニ・ムーンの直径はわずか 60〜90センチメートルだ。それぞれのミニ・ムーンは、自身の軌道上で1年間、周回を続ける傾向にあり、また、彼らは地球と月と太陽の複雑な重力の影響により上のような複雑な軌道を描くことがわかった。


月は、ほぼ 40億年間の間、地球の軌道上を回り続けていることはわかっていたが、しかし、その時間のほとんどの間、月はいつでも「他の仲間」と共に地球を回っていたことがわかった。その月は少なくとも「ひとつ以上」あり、それらは地球からは見えない「小さな仲間たち」だ。

複数あると考えられるその「ミニ・ムーン」のそれぞれの直径はわずか 60〜90センチだ。そして、それらの中のひとつのミニ・ムーンが約1年の間、彼らの軌道上を回り続ける。


科学者たちは、いつかこの「ミニムーン」の素材を獲得することを願っている。それらは、太陽系ができた 46億年の前から変わらぬ素材を私たちに提供してくれる可能性があるのだ。

これら地球をまわるミニ・ムーンは、太陽の軌道を周回している小さな小惑星よりさらに小さなものだと思われる。


ハワイ大学のロバート・ジェディック博士の研究チームは、「地球は常に複数の月を持っている」という可能性についての計算を発表した。

地球周辺を通過する数千万の小惑星の通過をシミュレーションするために、ジェディック博士のチームはスーパーコンピュータを用いて計算をした。

その結果、地球の周囲を回る少なくともひとつの月の直径は、1メートルの直径であり、また、シミュレーションでは、それらのミニ・ムーンの多くは、地球と月と太陽の重力の複雑な影響により、きちんとした円形の軌道を描かず、ねじれたような複雑な軌道を描きながら地球を周回していることが示された。

この「地球のもうひとつの月」であるミニ・ムーンは 2006年に、米国アリゾナ大学の観測施設によって初めて発見された。2006 RH120 と名付けられたそのミニ・ムーンは約1年のあいだ、地球の軌道に乗って周回し、その後、太陽の軌道に乗って周回を始めた。






(訳者注) ところで、記事とは関係ないですが、気象庁によりますと、明日(4月3日)は日本列島で「異常な強風」が吹き荒れるそうですので、お気をつけ下さい。昨年、記事にした「かつてない異常な強風が吹き荒れる世界」にもありますように、本当に今の「風」というのは、これまでの概念とは違うのものだと感じます。

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[ショッキングな月の真実]に関係する過去記事:

1178年に「二つに割れて炎を噴き出した月」の記録
2012年02月10日

「地球の年齢がわからない」: ミシガン工科大学の調査が地質学に与えるショック
2011年11月26日

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[1年前の In Deep ]

2011年04月02日の記事

生きている意味: DNA に蓄積されていく人類の体験