(訳者注) 今日は宇宙関係の話題を2つ、別の記事としてアップしたいと思います。最近、どうもダラダラと長くなる傾向にありますので、今回のはどちらも大変に興味深い記事ですので、短めですが、2つにわけることにしました。
まずは、「木星」の話題です。
木星は太陽系で最も大きな惑星で、また、最近は観測上での大規模な変化が多く、よく記事になる惑星です。過去記事翻訳記事の下にリンクしておきます。
▲ 木星と太陽系の他の惑星の大きさの比較。
ところで、この「木星」には非常に奇妙な特徴があることをご存じでしょうか。
Wikipedia の木星から、その部分をピックアップいたします。「木星電波」という項目です。
木星電波
1955年、バーナード・バーグとケネス・フランクリンは、木星から発せられた断続的な22.2メガヘルツの電波信号(電波バースト)を検出した。(中略)研究によって、木星は3種類の電波を発していると判明した。
2010年には、木星磁場とほぼ一致する領域から強いX線が放射されていることが日本のX線天文衛星すざくの観測で判明した。
つまり、木星からは「3種類の電波」が常に放出されているのです。
そして、さらに「木星からはX線(エックス線)が放出されている」ことを日本の観測衛星が突き止めています。
なお、上にある 1955年に最初に木星から電波が発せられていることを発見したふたりの科学者のデータは、現在 NASA のデータライブラリーに収められています。
英語ですが、下にあります。
・The Discovery of Jupiter's Radio Emissions
(木星からの電波の放出の発見)
この「木星から電波が出ている」という前提でご紹介するのが本日の記事となります。
この「X線」が出ている「場所」が判明したのです。
それは、これまで科学者たちが推定した場所とはまったく違う場所で、なんと木星の「北極」と「南極」の両極からでした。地球でいえば、「北極と南極から同時に強力なX線が宇宙に放出されている」というような話で、これは確かに不思議な現象といえそうです。
これは NASA のチャンドラ人工衛星のX線撮影により判明しました。
では、早速記事をご紹介します。
Mysterious X-Rays From Jupiter Near The Poles
MessageToEagle 2012.04.10
木星の北極から発せられる謎のX線
木星からX線が発せられていることは長い間わかっていたが、その発生源が、木星の「極」の近辺にあったとは誰も想像していなかった。
これまで、木星からX線が発せられている原因は、木星の磁場によって、大気中で衝突する酸素と硫黄イオンによって生じていると考えられてきた。そして、X線が発生する場所は、硫黄イオンのある場所である木星の衛星イオの軌道近辺から来ているものだと考えるのが妥当な理論だとされていた。
しかし、NASA のチャンドラ衛星は従来の理論とは違う光景を撮影した。
それが下の写真で、明るくなっている部分がX線が観測された場所となる。
この木星の写真では、木星の北と南の両極近くで集中的的にX線が発せられていることがわかる。
これは以前、NASA の他の観測衛星ガリレオとカッシーニが木星の高緯度でキャッチした木星からの電波と類似していることもわかった。
今回のチャンドラの観測は、これまでの木星のX線に関しての理論モデルに重大な疑いを導く可能性がある。なぜなら、衛星イオの軌道の高度からのイオンは、今回観測されているような高い緯度の場所にまで到達することはできないからだ。
ひとつの可能性としては、太陽から流れてくる粒子が木星の磁場の外で捕獲され、磁場により速度が速まることによって、南と北の磁極に向けられているのではないかということだ。
しかし、現時点では謎という言い方が正しいかもしれない。
--
[木星]に関係する過去記事:
・木星の異常気象: 壮絶な高さのプルームが観測される
2010年11月23日
・木星で巨大な光のフラッシュが観測される
2010年06月06日
・火星と木星の間を飛ぶ奇妙な物体をハッブルが撮影
2010年02月03日
--
[1年前の In Deep ]
2011年04月11日の記事
・人類の現在