2012年04月15日



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スウェーデンで振動と共に地表に開いた世界最大級のシンクホール



昨年あたりまでの In Deep では「穴」というカテゴリーがあってもいいくらい、「地上に突然開いた穴(シンクホール)」の報道のご紹介が多く、また、私も「穴ニュース」には敏感な方だと思います。

さて、それはともかく、先日、英語サイトのメッセージ・トゥイーグルの記事で、「スウェーデンにのとんでもなく巨大なシンクホールが拡大中」というタイトルのものがあったのです。

そこにあった写真がこれです。

sinkholesweden-1.jpg


巨大さもさることながら、蒸気のような白いものが写っていて、何か地中から暖かいものが噴出していることを想像させます。

しかも、3月に開いたこの穴は最近、さらに大きくなり、今では上空から撮影すると、下のような感じになっているのだとか。

20120321_Fabian_uppblockning_onsdag_2181print15.jpg

構成や深さはよくわからないのですが、穴の周囲にある「緑の点」が樹木だとすると、確かにものすごい広さのの穴に成長している感じはします。

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思い出す「グラマロテ」の地質的崩壊

上の写真を見て、実際のこのシンクホールに関しての現地報道を読もうと思って、ネット上のニュースを探したのですが・・・どういうわけか「見つからない」のです。

「?」と、地名等からいろいろとたどってみますと、その理由がわかりました。

私は英語でニュースを検索していたのですが、この報道に関しては、現地報道しか存在しないのでした。すなわち、「スウェーデン語の報道しか存在していない」ということがわかりました。


思えば、一昨年、ずいぶんとこのブログでご紹介した南米コロンビアの地殻変動の記事(下の2つの記事など)、



なども、スペイン語以外の報道は結局最後までほとんどなかったです。

ちなみに、上のコロンビアの町グラマロテ
現在どうなっているのかについては、正確にはわからないのですが、たとえば、Google で画像検索をすると、下のような一覧が出て、膨大な数の崩壊した現地の写真が表示されます。


google-gramalote.jpg


どこの国でも、一般的には「死傷者が出ない海外(他の国)の自然災害や地殻変動」は、あまりニュースにならない傾向があります。特に、先進国以外でのニュースの多くは「なかったこと」にされるような取り扱いとなることもなくはないです。コロンビアの時もそうでした。


というわけで、スウェーデン語の報道は見つけたのですが、スウェーデン語の翻訳はしたことないので、Google翻訳などで英語に変換しつつ、やってみましたら、文法的にはそれほど英語と差がなさそうですので、大意としての翻訳ですが、報道をご紹介します。


ちなみに、ここ数年で上のシンクホールの規模に迫るものは、2009年の南米グアテマラの首都に開いた穴と、中国に開いた穴で、どちらも記事にしています。しかし、上の写真を見る限り、今回のスウェーデンのはそれらよりも大きそうですね。

過去のシンクホールの写真も掲載しておきます。




2010年6月1日 南米グアテマラ



▲ 過去記事「アガサが残したグアテマラの巨大な穴」より。


2010年6月13日 中国四川省



▲ 過去記事「中国各地に次々と出没する「巨大な穴」」より。




では、ここからスウェーデンのシンクホールの報道ですが、オリジナル記事のタイトルは「耐えていたファビアンの天板がついに崩壊した日」というものでした。

このタイトルにある「ファビアン」と言葉がわからなくて、調べてみると、このファビアンは、多分ですが、下の人を表しているようです。それが地名となっている場所があるのではないかという推定ですが、違うかもしれません。


ペール・ファビアン・ラーゲルクヴィスト

スウェーデン・スモーランド地方のベクショー出身の作家・詩人・劇作家・エッセイスト。1951年度ノーベル文学賞受賞者。人間の善悪という普遍的なテーマで作品を執筆し続けた。

幼少期から受けた伝統的なキリスト教教育の影響から、バラバやさまよえるユダヤ人という人物像を通して創作をした。最も広く知られる作品は「バラバ」(1950年)で、イエス・キリストの身代わりに釈放された犯罪者バラバの数奇な運命を描いた傑作。



上のファビアンさんと、紀元前の戦争で行われた、いわゆるファビアン戦略(持久戦のこと)というものをミックスさせたようなタイトルなのかもしれません。

ところで、上に出てくる「犯罪者バラバ」という言葉も初めて知りましたので、バラバを見てみますと、こうありました。


バラバは新約聖書、福音書に登場するユダヤ人の囚人。イエスの代わりに恩赦を受け、釈放された。



なんと、このバラバという人は、マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書の、いわゆる四大福音書すべてに出てくるのだそう。

いろんな人が出てきますね、聖書には。

しかも、このバラバという人、上の Wikipedia によれば、


新共同訳では「バラバ・イエス」と呼ばれているので、イエス・キリストとは同じイエスという名前であったことになる。(中略)

バラバという名前はアラム語で「父の子」を意味するバル・アッバスではないかと言われる。

いっぽうイエス・キリストは神に対し「アッバ、父よ」と祈りを捧げている。 そうすると「バラバ・イエス」は「父の子イエス」、「神の子イエス」であり、イエス・キリストと同一人物ではないかとの疑問が出てくる。 この名前の奇妙さはさまざまな議論の種となっている。


barabas.jpg



 > (バラバが)イエス・キリストと同一人物ではないかとの疑問

とあります。

うーん・・・。
また出た聖書に関わる奇妙な話。

スウェーデンの穴からここにたどり着くとは思わなかった・・・。

なんだか逸れてきてしまいましたが、今回の本題はあくまで「シンクホール」ですので、ここから本記事です。





Fabians takskiva har brutit igenom till dagen
LKAB (スウェーデン) 2012.03.20

耐えていたファビアンの天板がついに崩壊した日

20120320_Fabianuppblockning_flygvy_1741print01.jpg

3月20日の朝、マルムベリエトにあるファビアン鉱脈の天板が崩壊した。
これはここ数日高まっていた振動現象の後に起きた。

比較的小さなレベルの振動だったが、近辺のコミュニティでも振動は感じられたという。


map-sweden-01.png

▲ マルムベリエトの場所。


先週(3月中旬)から、マルムベリエトの振動の状況を受けて、地区の自治体と州政府では、岩盤の整備士などとの協議をおこなっていたが、3月19日になり事態は一気に進行し、ファビアン天板は崩壊した。

空洞からは暖かい空気による水蒸気が立ち上り、白い雲が立ち上るような光景を見せていた。

怪我人の報告はない。

ファビアン鉱脈の空洞部分は30年間存在していた。
そして、その空洞は少しずつ上に広がっていた。

2012年1月から同地区での活動に注意が払われるようになった。





(訳者注) 崩落した部分は鉱脈のようなもので、空洞はもともとあったようですが、30年かけた広がっていき、最終的に「最近の振動」で崩壊したというようにも読めるので、ここにも何となく「世界的な地殻変動の影響」という雰囲気が見られるような感じもしないでもないです。

今年になってからの顕著な地殻活動の関係記事をリンクしておきます。

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[地殻変動 2012年]に関係する過去記事:

ロシアで発生した「謎の大爆発」は1908年のツングースカ大爆発の再来か?
2012年02月16日

南極で 30キロメートルの長さに渡って出現した「巨大な亀裂」
2012年02月05日



▲ 上記の南極の記事に掲載した、その頃(2月5日)の南極での地殻現象の地図。

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[1年前の In Deep ]

2011年04月15日の記事

極悪人 与謝野晶子(よしゃのあきこ)