2012年04月21日



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奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」



4月19日に国立天文台がリリースした下のニュースは2本のほぼすべてのメジャーメディアでも報道されたと思いますが、下の図に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

solar-2012.jpg

上の図は4月20日の読売新聞オンラインに掲載されたものです。
あとで、自分で作成した別のタイプの図も載せます。

国立天文台のニュースリリースはこちらです。

太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた
 国立天文台 2012年4月19日

今回の国立天文台の発表は連名として、


理化学研究所
宇宙航空研究開発機構
米国航空宇宙局 (NASA)
英国科学技術会議 (STFC)
欧州宇宙機関 (ESA)


という現在の世界の主要宇宙観測機関の名前が連ねられており、極めて重大なニュースリリースであることをうかがわせます。

上のニュースは、わりと多くの報道で取り上げられていて、短くわかりやすく説明されているものも多かったので、そちらを抜粋します。下の記事は読売新聞の記事からの抜粋です。


太陽磁場、来月に4極化か…300年前は寒冷に
読売新聞 2012.04.20


国立天文台などは19日、5月にも太陽の磁場が反転し、北極と南極にN極(プラス磁場)、赤道付近に二つのS極(マイナス磁場)が出現する「4重極構造」に変化するとの予想を発表した。

同天文台の常田佐久教授(太陽物理学)らは、太陽観測衛星「ひので」を使い、磁場データを分析。昨年7月以降、北極の磁場がS極からN極に反転し始めたことを確認した。一方、ほぼ同時に反転するはずの南極はN極のままで変化せず、4重極構造が確実視される状況となった。









 

簡単にいうと、普通は地球でもどんな惑星でも「南と北」というように磁極は2つのわけですが、「太陽の磁極が4つになる」という複雑な状況になっていく可能性が示唆されたのです。


下の図は、国立天文台の図を使わせていただいてこちらで作成したものですが、下のようになるということのようです。

20120419-solar-polar.png

▲ 上の図の左が、今までの普通の太陽です。北極にマイナス磁場である「S極」があり、南極にプラス磁場であるN極があるという対極したふたつの磁場。

そして、右は、国立天文台が今回発表した今後の太陽の磁場の予測。北極はポールシフトで磁場が反転したのに南極の磁場は移動せず、その結果、「4つの磁極」があらわれるという状態になることが予測されています。



新聞などの報道には「寒冷化」の件が書いてありますが、そのことにはふれません。300年前に太陽磁場が4極化していたかどうかの真偽の問題ではなく、今回の「磁場の大きな異変」は寒冷化とかそういう問題が中心にあるものではない、もっと大きな影響を与える変化だと私個人は考えているからです。


それよりも、太陽の磁場の変化が「もし」そのまま他の太陽系の惑星に同じような影響を与えるとしたら・・・

つまり、たとえばですが、「地球が4つの磁場を持つ惑星になったら」となると、これは非常に生活に大きな影響があります。

現在の地球の磁場は大体、下のようになっています。

earth-2008.jpg

上が北極で、下が南極。SとかNとかの磁場の記号は上の太陽と同じ意味です。


これがもし仮に、太陽と同じように下のようになったとしたら・・・。

earth-2012.jpg


これだといろいろな「現在の文明システム」がグチャグチャになるはずです。
飛行機もまともに飛べないので、海外に行くなどの概念が消えるかもしれない。

そもそも、「方向って何のこと?」という話にもなりかねない気がします。

私が子どものころに放映していた『天才バカボン』のオープニングテーマの最初は、


「西から上ったお日様が・・・東へ沈〜む」


というものでした。

「天才バカボンの現実化」というのも、あながちありえないことではないかもしれないです。太陽の沈む場所が変わるという意味ではなく、「地球のどちらが東でどちらが西か実質的にわからなくなる」というような。

bacabon.jpg

▲ テレビアニメ「天才バカボン」(1971年)オープニングより。


もっとも、この歌ではこれに続いて、「これでいいのだ」という結論となっているので、まあ、それでいいのかもしれないですが(笑)。

もう少しこのことについて続けます。





太陽系全体が太陽の磁場と太陽風の影響の中にあるかもしれない

ちなみに、どうして、太陽の磁場変化の影響が「太陽系すべてに関係する」と考えるのかというと、それはやはり「太陽は太陽系の親」だからだと考えるのが妥当だと思うからです。イメージやスピリチュアルとしての意味ではなく、実際に太陽の磁場と太陽風は太陽系の多くの惑星に影響を与えています。

なので、最近の数々の惑星の変化もこれと関係あったのかな、と今は思います。


これら「太陽と太陽系の惑星の関係」は、一度で書ききれるものではないですが、今後、過去記事も含めて、他の惑星で起きていることなどを記してみたいと思います。


そういえば、金星で興味深いことが起きていることも報道されていました。「磁極を持たないとされる金星でオーロラが観測されている」のです。普通はオーロラは磁極を持たない場所には現れません。太陽系で固有の磁場を持つとされるのは、地球、水星、木星、土星などとされています。

venus-2012-03.jpg

▲ 金星で観測されたオーロラ。磁場を持たない金星が巨大な「磁気の領域」を持っていることが ESA (欧州宇宙機関)の観測で判明。写真は、宇宙関連サイト Space の4月5日の記事「Surprise! Venus May Have Auroras Without a Magnetic Field驚異! 金星は磁場を持たずにオーロラを出しているのかもしれない)」より。

いずれにしても、


・太陽の磁場が大きく変化すると、太陽系の他の星は必ず影響を受ける


という推測は、それほど的外れなものでもないように思います。

ただ、その影響がどういうものかは誰にもわかりません。
なぜなら、現在の地球にそれを経験したことのある人はいないからです。


なお、最近、地球では戦争紛争をはじめ、かつてなかったような犯罪、動物や植物の変化、そして、海の生き物の大量死などが基本的に増加しているように感じますが、そういうニュースもできるだけご紹介します。

なぜなら、太陽活動は、地球上のすべての生命の活動と関係していると考えているからです。


私個人は、3年くらい前から、地球の上の人間(行動と心情)と動植物の動き、あるいは地殻活動や気候も含めての大きな部分が、「太陽活動に支配されている」と考えている人ですので、太陽の状態を推測する上で、地球上の変化を見ることは大事だと思っています。




▲ 1920年代にロシアの科学者から発表された「太陽黒点と戦争や社会暴動の推移の変化の一致」を現したグラフ(オリジナルの論文資料はこちらにあります)。下の太い線のほうが太陽の黒点数で、上の細い線は世界で起きた軍事と政治暴動の数。ほぼ完全な一致を見せています。


上に「地殻活動や気候も含めての大きな部分」と書きましたが、どうしてそれらと太陽が関係するかというとに関しては、それは、「太陽の磁場」が地球へ到達する宇宙線の量を制御しているからです。そして、宇宙線は、地球の雲や雨や雷を作り、あるいは火山活動や地震活動のトリガーと関係ある可能性があります。



宇宙線のことにふれると複雑なことになりそうですので、今回は触れませんが、「どこから来ているかわからない宇宙線」をコントロールしているのは太陽そのものです。



国立天文台のこと

ちなみに、今回の発表をした国立天文台は、世界で先駆けて「地球の生命は宇宙からきたアミノ酸である可能性」の科学的発見を2010年に発表している機関で、「世界で最も過激な発見」をする公的宇宙観測機関だと私は思っています。

その「地球の生命は宇宙からきたアミノ酸である可能性」のリリースは下のページにあります。

宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見

この時も、国立天文台は地球の生命の「根本的な不思議であるひとつのこと」を手がかりとして、地球の生命存在の根源にアクセスする試みをしています。

alanin-s.jpg

▲ アミノ酸の構造。アミノ酸には「右型」と「左型」の2種類があるのですが、地球の生命には「左型」しか存在しないことが現在の科学でも最大の謎になっています。

国立天文台が解明しようとしたのは「どうして地球には左型のアミノ酸しか存在しない」ということになっているのかという地球の生命学の中での最大のミステリーについてです。研究の「思想上のレベル」としては、私はこの国立天文台の観測と研究は人類の科学史の中で最大に崇高な意志を持った研究だと今でも思っています。

上の図の説明については、国立天文台の「研究の背景 - 生命をかたちづくるアミノ酸の謎」をぜひお読み下さい。

しかし、このあたりは今回とは関係のない話ですので、ご興味ある方は、上記の国立天文台のニュースリリースをお読み下さると幸いです。国立天文台の上記リリースは「地球の生命の源の場所」のヒントを与えてくれる壮絶な論文です。

長くなりましたので、今回はここまでとしておきます。



  
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