2012年04月22日



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「我々は毎日、戦争の数インチ先にいる」



(訳者注) 最近、北朝鮮のことをよく書いていますが、ごく最近の記事は以下の通りです。



そんな中、昨日、「ふたつのニュース」が目につきました。

ひとつは米国 CNN の報道で、もうひとつは、日本の読売新聞の報道です。

CNNの報道のタイトルは、「パネッタ米国国防長官:私たちは毎日、戦争の数センチ以内にいる」というもので、CNN がアメリカの国防長官のレオン・パネッタ氏とヒラリー・クリントン国務長官にインタビューしたものです。この中で長官は、ミサイル実験の失敗の後、「北朝鮮問題で夜も眠れないほど懸念している」というように話しています。

今回は、その CNN ニュースをご紹介します。

かなり長いので、早速入ろうと思いますが、同じ日に、日本の読売新聞が「北朝鮮の新型ミサイルは「はりぼて」…米専門家 (読売新聞 2012年04月21日)」という記事を掲載しています。
下のような内容です。


米政策研究機関「憂慮する科学者同盟」のミサイル専門家デービッド・ライト氏は20日、ワシントンの戦略国際問題研究所のセミナーで、北朝鮮が15日の軍事パレードで披露した「新型ミサイル」は本物ではなく、「はりぼて」とする見方を示した。



先日のパレードでのミサイルに関しては、米国でも様々な見解や論評があり、読売新聞はそれらの中からこの意見を採り上げたということで、読売新聞の主張したい考えと近いものなのかもしれません。

ちなみに、「憂慮する科学者同盟」は政策研究機関とありますが、ウェブサイトなどを見る限り、「環境団体」のイメージが強いです。

また、今朝の朝鮮日報の韓国語版でも、ほぼトップに近くこの読売新聞の見解を載せていましたので、日本と韓国のメディアの主流意見のひとつは「北朝鮮の軍事力など屁でもない」ということのようです。

北

▲ 今朝の朝鮮日報韓国語版の記事「北が公開した新型ミサイル、知ってみると紙だったという「衝撃」」より


しかし、その北朝鮮から、日韓よりはるかに遠く離れた場所にあるアメリカの国防長官は、その「屁でもない軍事力」のことで眠れない日々を送っているようです。

これも一種の「矛盾」ですが、どちらが正しい考え方なのかはわかりません。

時間が示してくれるかもしれないですし、示さないかもしれません。

それでは、ここからです。




Panetta: 'We're within an inch of war almost every day'
CNN テレビ (米国) 2012.04.19

パネッタ国防長官: 我々は毎日、戦争の数インチ先にいる

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▲ CNNより。この人がアメリカのレオン・パネッタ国防長官。


アメリカ合衆国は北朝鮮の「いかなる偶発」にも対処する準備ができていると、バレッタ国防長官は CNN に語った。


「我々はその地域が今、戦争の一歩手前にあることに注意しなければいけません。毎日、我々は戦争の数インチ先にいるのです」と、パネッタ長官は、最高指揮司令室で、CNN に語った。


パネッタ長官とヒラリー・クリントン国務長官は、来月、シカゴで開催される NATO サミットの準備のために、ベルギーにある NATO 本部にいる。そのブリュッセルで、CNN のウルフ・ブリッツァー( Wolf Blitzer )が、国防長官と国務長官の二人にロングインタビューを試みた。


北朝鮮に対してのパネッタ長官の言及は、先週の北朝鮮による長距離ロケットの発射の時に続いてのものだ。北朝鮮のロケット実験は離陸 81秒後に空中爆破を起こして失敗したのにも関わらず、国際社会は北朝鮮に対しての非難を強めている。

北朝鮮によってもたらされている脅威について、「夜に目覚めたりすることは?」という CNN の質問に長官は、

「残念なことに、この数日、眠れていません。(北朝鮮問題は)数多くの問題のリストのトップにあります」

と答えた。

ロケット発射の失敗以来、ロケット発射に続いて、北朝鮮が核実験を強行するのではないかという懸念と推測が常にある。

パネッタ長官は、北朝鮮が核実験を強行した場合、「それは米朝関係をさらに悪化させることになる」と語ったが、その際(核実験を強行した際)の具体的措置についての言及は避けた。

国際社会の首脳たちは北朝鮮にロケット発射の中止を求め続けていたが、北朝鮮はそれらを拒否し、(発射実験は)衛星としての平和利用が目的であると主張し続けて強行した。

北朝鮮はそれを人工衛星だと主張し続けたが、米国、韓国、日本は、長距離弾道ミサイルの発射実験だと述べている。弾道ミサイルの技術使用は、国連安保理決議 1874号に違反する。


北朝鮮の建国者とされる金日成(キム・イルソン)の孫にあたる金正恩(キム・ジョンウン)は、昨年12月に彼の父、金正日(キム・ジョンイル)の死後、北朝鮮のトップの座につき、新指導体制のもとで、現在は名実共に最高指導者となっている。

この指導者交代は、北朝鮮の意図についての不確実性を増している。


ヒラリー・クリントン国務長官は、

「私たちは、彼(金正恩)が、北朝鮮の人々にとって本当に必要とされているリーダーかどうかを今、注意深く見ています。彼がその父(金正日)のような挑発的な振る舞いをおこなうのならば、今後の北朝鮮に大きな期待はできないでしょう」

と述べる。

続けて、

「しかし、若い指導者には、朝鮮半島情勢の変動を見極める柔軟性があるかもしれません。そのことで、北朝鮮の状況が変わるかもしれないという多少の希望はあります。今は私たちは注意深くそれを見続けています」

と言った。


ミサイルの発射強行を受けて、アメリカ政府は今年2月に米朝間で合意に達していた北朝鮮への食料援助の協定を破棄した。

北朝鮮は、長い期間の飢饉と食料不足に苦しんでおり、 2500万人の人々が満足な食事を食べることができていないとされている。1990年には、飢餓で 100万人が死亡した。そして、北朝鮮に招かれた援助団体の調査により、現在の北朝鮮でも食料不足が厳しいことが明らかになっている。


クリントン長官は以下のように言う。

「ご存じのように、北朝鮮が望むなら、手を差し伸べる用意がアメリカにはあったのです。合衆国政府は、いくつかの高レベルでの会議の開催を促しました。そして、その中で、ウラン濃縮の中止とミサイル開発の中止と引き替えに、食料援助をする協定を北朝鮮と結びました。しかし、北朝鮮はその協定を無視するかのように実験を強行した。まだ断言はできないですが、彼(金正恩)が、果たして北朝鮮のリーダーとして、信頼できる人物なのかどうかは疑わしい」。


金日成の生誕100年を祝う式典に合わせるようにロケットが発射されたが、その際、北朝鮮の首脳部は、それは衛星だと主張し、世界中からジャーナリストを招き「衛星」の公開に踏み切り、その歴史的な重要性を訴えた。


大統領候補のロムニー氏は、北朝鮮のロケット発射は「オバマ大統領の無能を際立たせるものだ」とオバマ政権を非難した。

その件について、パネッタ国防長官に尋ねた。

「オバマ政権が北朝鮮情勢を安定させていたということは明白です。しかし、実際の話をすれば、今回のミサイル発射は、われわれ米国政府にとっては、かなり挑発的なものでした。しかし、これ以上の北朝鮮による挑発的な態度はとらせない」。

そして、国防長官は、

「これは我が国だけではなく、全世界が北朝鮮に向けて送ったはっきりとした強いメッセージなのです」

と述べた。





(訳者注) 上のパネッタ国防長官の発言を見ると、ミサイル発射は、予想以上に挑発的な行動だったことがわかりますが、どうしてそこまでして強行したのかということについては、先日の記事で、当日、平壌を訪問していた北朝鮮に詳しい米国ジョージア大学でのパク・ハンシク教授のこのあたりの言葉が参考になるかもしれません。


「北の人々の意識構造やシステムの特殊性を勘案すると、今でも金正日の決定は絶対だ。 誰も「だめだ」という話はできない。 なので、金正日が決めた今回のミサイル発射は既定事実化しているもので、絶対に行わなければならないものだった」。



しかし、北朝鮮以外も今やアジアはどこも「戦争まで数センチ」というような場所ばかりになっている感があって、これでまったく何も起きないのであれば、そのほうが奇跡に感じます。

多くの国は、日本とも近いですし、仮に直接の影響がなくとも、何か起きれば、たとえば、経済や海外との流通関係で必ず影響は出るように思います。

経済・・・。

これも今はいろいろとアレなんですが、そういえば、上の記事などで資料探しをしている中で、今朝の韓国の「東亜日報」というメディアで、日本の文藝春秋5月号の記事が取り上げられていました。文藝春秋の特集は「新・日本の自殺」と題されたものだそうで、日本国家破綻のシミュレーションが描かれているのだそう。

短い記事ですので、訳して載せておきます。




日 지도층 국가자살론 확산 거함 일본號는 스스로 무덤으로 가고 있다
東亜日報(韓国) 2012.04.18

日本の指導者が日本国家が集団自殺に向かっていると発言

日本社会の指導層が「集団自殺発言の伝染」に陥っている。彼らの論調は、「問題を解決するリーダーシップを喪失した日本は、このままでは没落してしまう」というものだ。この、現在の日本で提起されている自殺論は、中途半端なショック療法では変化を期待できないと考える日本の指導層の危機意識の現れの証拠といえるのかもしれない。

日本の保守勢力を代表する月刊誌「文藝春秋」5月号は「新・日本の自殺」というタイトルの論文で、日本の国家破綻のシナリオをリアルに描写した。

文藝春秋の記事の主な内容は、野田佳彦政権が消費税増税に失敗したことにより、国家信用の格付けを下げ、年金雇用の破綻が相次いでいることで、日本が「無間地獄」に陥っているというものだった。

無間地獄とは、仏教では「地獄の最下層」に位置する地獄とされ、最も痛みの激しい状態として表現される。

そして、今後、年金が削減され、高齢者の自殺が相次ぎ、財政破綻していくシナリオも描かれている。この文藝春秋の論文は、匿名のエコノミスト、官僚、社会心理学者たちが共同作成したもので、現在、政財界では論文のコピーが出回っているなど、各界で話題となっている。

このタイトル「新・日本の自殺」の「新」の意味については、文藝春秋は、日本が高度成長の中にあった1975年の2月号に「日本の自殺」と題した論文を載せたことがあり、それに準じているという。

その 1975年の号では、古代ローマ人がパンとサーカスを手に入れ、自分たちは繁栄と福祉のピークにあると勘違いしたが、その瞬間から社会活力の低下と衆愚政治が氾濫し、その中で「ローマは自殺してしまった」という内容だった。

その論文から 37年過ぎた今年、進歩志向の朝日新聞の主筆・若宮啓文氏は、新年のコラムに「日本の自殺を心配する」というコラムを採用した。保守勢力も革新勢力も、どちらの指導層にも強い危機意識があることには違いはない。

これらの「自殺論」に代表される日本の指導層の危機意識は、あちこちに投影されている。

日本経団連の21世紀政策研究所所長の森田富治郎氏は、2030年代から日本は先進国から脱落し、一人あたりの GDP も韓国に逆転されるだろうという報告書を提出した。そこで森田氏は「今のままでは、日本が極東の小国に戻ってしまう」と警告している。






(訳者注) ちなみに、韓国のメディア、少なくとも大手では、日本を悪く言う論調の記事は領土問題(竹島と日本海の表記)以外では、ほとんど見ません。そういうこともあってか、上の記事では、むしろ日本国内での自虐的な論調に驚きさえ感じられる文体となっています。

ところで、下のような記事もありました。

韓国人がアジアで就職したい国、日本が1位
 中央日報 2012.04.19

経済だけで考えれば、今や日本以外でいくらでもありそうですが、「日本が52%」とダントツの一位でした(二位は中国の15パーセント)。

世界の人々すべてが「日本の経済だけ」を見ているわけではないです。

その若い海外の学生たちが日本に何を見ているのかは私にはわかりませんが、「お金と経済だけではない」ものを見てくれているのなら、それが何なのかを日本人自身も考えてみるのもいいのではないかと思います。

日本と日本人の本当の魅力とは何なのか、を。
あるいは、「何だったのか」を。

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[むかしの日本]に関係する過去記事:

日本人自らが撮影した 120年前の日本の光景
(2011年09月17日)

120年前の日本の光景に見る「私の中のパラダイス」
(2012年03月28日)
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[1年前の In Deep ]

2011年04月22日の記事

放射線の中で生き返った植物

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