2012年04月30日



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文字から見る「死」の意味(追記あり)



最近、北極の海底から「おびただしい量のメタンが噴出している」ということが NASA の調査で判明したことを知って、今後の地球の気象というのか気温というのか、そういうものが混沌化していきそうだなあと思って、そのことを書いていたのですが、その途中で、ちょっと全然関係ないことで気になることがありましたので、そのことを書いておきます。

気候の話と一緒に書くと、何が何だか訳がわからなくなりそうですので、北極のメタンの話を含めた話は後で書きます。その NASA のニュースリリースは、

Study Finds Surprising Arctic Methane Emission Source
( NASA ジェット推進研究所ニュース 2012.04.22)

にあります。
これは今日か明日、別の記事でご紹介したいと思っています。


さて、今回の話というのは「死」の話です。


ゴリラの言っていることからふと気になる「死」の実相

ニュースでもななんでもないのですが、知り合いが「手話のできるゴリラの話」をしていたんですね。それは「優しい唄歌い」というブログで記事になっているんですが、


ココはメスのローランドゴリラ。
生後3ヶ月で病気にかかっている時に、
パターソン博士と出会い手話を教わりました。
そしてなんと1000語もの単語を習得したココは、
手話でパターソン博士と会話ができるようにまでなりました。



というようなことが書かれてあります。

まあ・・・私自身はこういう「動物との素敵な交流」には興味ないんですね。

「ああ、そうですか」

という程度の感想しか持たないのですが(笑)、記事の後ろのほうに、このゴリラが、気に入った猫が死んだ時の手話のことが書かれてあるのですね。博士が、

「ゴリラは死ぬと、どこに行くの?」

と、そのゴリラに手話で訊いたところ、ゴリラは、手話で、

「Comfortable hole bye」

と(手話で)答えたのだそうです。

Comfortable は、「快適な」、「安寧な」、「心地良い」とかそっちの意味。
hole は、「穴のような空間」のいろいろな意味。
bye バイバイのこと。

要するに、

「サヨナラして心地のいい穴に行く」

と。

まあしかし、こういうのは研究者の勝手な解釈が介入したりするものだしなあ、と思いつつも、そのブログの最後に作者の方が、

大自然の中で生きる動物達は、人が思うよりも、「死」を優しい存在であると認識しているのかもしれません。


と書かれていて、そこには、「死」と、死の文字にカギ括弧がしてあって、この「死」という漢字が妙に目についたのですね。


そういや、死ってどういう漢字かを直視したことなかったかも」と、よく見てみました。

大きくして観察してみます。


d-1.png


うーむ・・・やはり、意味性が強いせいか、大きくすると迫力があります。

その構成を見てみました。


d-2.png


d-3.png


d-4.png


初めて気づきましたが、「死」という漢字は「一」と「タ」と「ヒ」で構成されていることがわかります。

「一」がどういう意味なのかわからないですが、数字の「一」というよりは、この「一」のラインの下に「タとヒがある」というように考えるほうが妥当なような感じもします。

「一」というライン、感覚的には、大地とか天とかか、あるいは「この世」とか、つまり普遍的な存在の「現実のライン」を指し示すと仮定すると、この世の縁の下の力持ちとして、「タ」と「ヒ」がいると。そんな感じを受けます。


では、「タ」と「ヒ」とは何なのか。


「タ」は、カタカナのタであった場合は「多い」の「多」のカタカナ化。

あるいは漢字だとした場合、朝と夕の「夕」というものがあります。
漢字の「夕」の由来は、漢字の成り立ちといサイトで見てみると、

  夕 → 月の変形

書かれてありました。
下のような変遷だそうです。

seki-yuu.gif


ちなみに、その「漢字の成り立ち」ページでは「死」は、


  歹 + 匕 → 人が倒れ骨だけになる


という非常に即物的な(苦笑)答えが書いてありましたが、それによると、「死」は「一」と「タ」と「ヒ」からできているのではなく、「歹と匕」が組み合わさった漢字だということのようです。


しかし、「人が倒れ骨だけになる」というだけの意味では、上に出てきたゴリラの死の世界である「気持ちのいい穴」という語感とずいぶんと意味が違う


・・・どうも、これではない・・・という感じがしてきます。


ちなみに、「」というのは読めなかったので調べてみると、「ガツ」と読むようです。

Wikipedia - 歹部を見てみると、こうあります。


歹部(がつぶ)は、漢字を部首により分類したグループの一つ。歹の字は肉を削り取った後に残った骨を意味する。偏旁の意符としては死や傷害に関することを表す。



人の骨のことなんですね。

Wikipedia には、例字として、「歹」を使った漢字として次のようなものが挙げられています。


死・歿・殆・残・殊・殉・殖・殲


上の例を見てわかるのは、「歹」の上の「一」が右端まで延びているのは、「死」だけだということです。

つまり、他の漢字では部首として使われているのがわかりますが、「死」では、「歹」は部首ではない、というニュアンスが感じられます。


部首としての「歹」なら、「死」ではなく、下のような漢字になっていたはずです。

d-5.png


これは・・・・・・偽装ですね(笑)

「歹」という人間の骨の意味を持たせているかのようにさせて、死の実相を隠している感じを受けます。漢字は数多くあれど、部首の一部を勝手に延ばしていい漢字がそんなにたくさんあるとも思えません。やはり、最初に書いたように、「一」の下に「タ」と「ヒ」があると考えるのが妥当だと思います。

しかし、「タ」は、「多」か、「月」かどちらかだとしても、「ヒ」がわからないです。
それを調べてみました。


「ヒ」の解読

ヒは、カタカナの「ヒ」だけかと思っていたのですが、漢字のつくりとしての「匕」はあって、上の「漢字の成り立ち」では、次のようになっています。

しりもちついて倒れた人の姿

hi.png


単に「倒れた」ではなく、「しりもちついて」というあたりが具体的ですが、しかし、これで、ますます「死 は 歹 + 匕 ではない」と確信できるように思います。

なぜなら、これでは死の意味が、「しりもちついて倒れて骨になる」というだけの意味になってしまう。いくら古代でも、人間の死の様相がそんな単純ではないことは(いや、むしろ古代であればあるほど)認識していたと思います。


そんなこともあり、漢字のつくりとしての「匕」は、死の「ヒ」ではないように感じます。


さて、この「ヒ」。


これが調べてみると、なかなか深いものです。

Wikipedia に ヒ(日) という項目がありました。


ヒ(日)

ヒ(日)は古代の神名や人名の語尾につけられる称号。天皇およびその伴造(ともがら)を表す天孫・天神系の称号として用いられた。地祇・国神系を意味するヌシと対照をなす称号である。「ヒ」はヒコやヒメの語源でもある。




うーむ・・・。

なかなか大げさなことになってきました。
天皇絡みとなってきましたね。

続けて、この「ヒ」が、新羅から伝わった際のこととして、次のようにあります。


解の古音は「日」の訓である。(中略)

解はハングルで 해と書き、hae(ヘ)と発音し「日、太陽」を意味する。



なるほど。

「解」という言葉と「太陽」という言葉は、同じ意味としての発祥だった気配が伺えます。

つまり、「太陽」というのは「解」のことのようです。

それをまとめて表現のするものが「ヒ」。日本では、歴代で八名の天皇の名前に「ヒ」がつけられているそうです(カミムスヒ、カチハヤヒ、イナヒ、ヒコオホヒヒなど)。


さて、ここでもう一度、「死」の漢字を大きくしてみてみる。

d-1.png

そして、ゴリラの言ったことを、こちらも大きく書いてみる。


Comfortable
hole
bye


気持ちのいい穴
バイバイする




うーん・・・。

まあ、これらの問題は、ちょっと調べて結論の出るようなものではないですが、最近の事故の報道だとか他にもいろいろな理由があって、「死とは何か」ということをもっともっと考えたいと思っています。




[追記]

読み返していて、ここまでのことを単純に考えてみると、

タ → 月(つき)

で、

ヒ → 太陽(ひ)

なら、「死」という文字は、大地、あるいはこの世(「一」)の下の月と太陽を示している
ような気が・・・。

つまり、下のような漢字はないですが(多分)、これと同じ意味かと。

d-11.png


ここに、過去記事の「地球は太陽そのもので、その太陽は4であり、かつ日本語の始まりを示すものかもしれない」などに出てくる中世の月と太陽のシンボルを当てはめれば、下のようなものになります。

d-101.png

ちなみに、上の右の「〇」の中に点があるのが太陽のシンボルで、これは今でも星座や占星術のシンボルとして使われていると思います。

そして、このマークは、日本の古文字のホツマ文字では「ア」を意味するそう。




ホツマ文字の一覧はこちらです。




ホツマ文字には「月」と同じマークはないですが、個人的には下の「カ」のマークが陰陽を表しているっぽくて、月っぽく見えます。

ka-moon.png


ア・・・カ・・・・。

ちなみに、日本語で「アカ」で始まる代表的な言葉といえば・・・・・赤ちゃん?

あ、月(ホツマ文字で「カ」)が最初だから、アカではなく、カアか。
かあちゃん・・・・・。


「死」とは「大地の下の母ちゃん」のことである

(笑)


うーむ・・・・・・。
ちょっと梶井基次郎的な混乱の様相を呈してきましたので、ここまでにしておきます。


いずれにしても、この「死」(し)は、私の「4と十字架をめぐる旅」の中の重要なテーマのひとつだと思っています。
--

[4と十字架をめぐる旅]に関係する過去記事:

地球は太陽そのもので、その太陽は4であり、かつ日本語の始まりを示すものかもしれない
2012年03月14日

十字架がこの世にできた理由
2011年09月13日