2012年05月09日



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ペルー続報: 政府により立ち入り禁止となったペルーのイルカ大量死現場周辺の海岸



地元の漁業組合によると、実際のイルカの死亡数は昨年11月から「3千頭以上」になるという話も
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(訳者注) 今回の記事は 5月1日の、

800頭以上の死亡したイルカが漂着したペルー北部で、今度は推計1,500羽以上のペリカンの大量死

の続きとなるものです。

ペルーのイルカとペリカンの大量死のニュースは、今では世界的なニュースとなっていて、今朝の米国のニューヨークタイムスでも非常に大きな報道として、現在の状況を報じていました。

今回はそのニューヨークタイムズの記事をご紹介します。

ちなみに、その前に、最近、世界でどのくらい「海洋生物の大量死」が発生しているかを並べてみたいと思います。
多くが魚です。

下のは5月に入ってからの最近1週間程度の間の大量死報道です。

例年、夏になると魚の大量死のニュースは多く出ますが、時期が例年より異常に早いと私は思います。また、クウェートですとか、今まであまり魚の大量死を聞いたことのない地域での大量死報道も目立ちます。

そのほとんどが「原因は調査中」となっていて、つまり原因はわかっていません。

見出しはすべて日本語にしました。
日付けは報道された日です。


2012年5月の主な魚の大量死報道

クウェート / 5月6日

クウェート湾沿岸での魚の大量死が漁師たちを怯えさせている
 Kuwait Times 2012.05.06

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米国アーカンソー州 / 5月8日

公園で連続して発生している魚の大量死
 Blytheville Courier News 2012.05.08
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フィリピン / 5月1日

レイテ島で続いている魚の大量死の調査が始まる
 Business Mirror 2012.05.01
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インド / 5月4日

コーチ市のムタール川で魚の大量死の発生がパニックを引き起こした
 Deccan Chronicle 2012.05.04

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米国テキサス州 / 5月3日

ヒューストン湖での魚の大量死に関連し、当局は周辺住民に注意を喚起
 ABC 2012.05.03

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ここから米国ニューヨークタイムスのペルーの大量死に関しての記事です。




Dead Dolphins and Birds Are Causing Alarm in Peru
New York Times (米国)2012.05.08


イルカと鳥類の大量死に関して住民に注意を喚起するペルー当局

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▲ 5月6日にリマの海岸で見つかったアオアシカツオドリ。ペルーの海岸ではこのような海鳥も数多く死んでいる。原因は餓死ではないかとペルー当局は言う。そして、イルカの死はウイルスによるものだろうとしている。


昨年末以来、ペルー北部の海岸に大量の死んだイルカが打ち上げられ続けており、今年、その数は数百頭に上った。その後、ペリカンや海鳥などの鳥類も数多く死亡した姿で発見されているが、現時点ではペルー政府はその原因を突き止められていない。

ペルー政府は、イルカの大量死とペリカンの大量死には相関関係はないとしている。

イルカはウイルス感染により大量死したと見ており、海鳥に関しては、エサであるアンチョビ(カタクチイワシ)の生息数が減っており、そのために餓死したのではないかと考えているという。

しかし、イルカの大量死の調査開始から3ヶ月を経過しているのにも関わらず、ペルー政府は原因についての結果をいまだに発表していない。この件に関して、科学者たちの一部では何か公衆衛生上の問題が含まれているのではないかと懸念している。

また、一部の環境保護団体は、ペルー沖での石油探査が生態系に影響していると主張するものや、あるいは、生体毒素(生物の生産する毒素)や、農薬が食物連鎖に影響しているのではないかと言う人たちもいる。

ペルー政府が今年2月に調査を開始して以来、少なくとも公的には、877頭のイルカと、1,500羽以上のペリカンやカツオドリなど鳥類の死体が発見されている。多くは、ペルー北部のピウラとランバイェケ地域、そして、エクアドルとの国境沿いで見つかっている。

また、陸で死亡したと見られる海鳥のほとんどはランバイェケからリマにかけて発見されている。

ペルーの漁業組合のフランシスコ・ニケン・レンテリアさんは、「40年間、漁業に携わっているが、こんな光景は見たことがない」と語る。

そして、

「いったい今、何が起きているのか。まったく心配になる出来事だ」

と言う。


政府はイルカとペリカンの死亡の関係性を否定している。

連邦政府の海洋研究所は、イルカの大量死は、多くの場合がウイルスによるものだとしており、また、ペルー環境庁は、ペリカンとウミドリの死亡原因は、エサであるカタクチイワシの不足から来たものだろうという。


そして、一方で、政府は、大量死の現場が首都のリマに近いこともあり、先週末、保健省を通し、住民たちに「海洋生物の大量死の原因がわかるまでリマ周辺の海岸に近づかないように」という通達を発令した。

同時に、ペルーの人たちが大好きな料理であるセビチェ(ナマ魚のマリネ)を食べないように勧告した。また、海岸で死亡した海洋生物を発見した場合は、触らないこと。あるいは、処分する場合は、手袋とマスクを着用すること奨励した。


ペルーの海は、地球上で最も豊かな海洋生物の生息地のひとつだ。

南極海から北へ流れる海流は豊富なプランクトンを含み、そのため、ペルー沖は、特にカタクチイワシでは世界最大の漁場となっており、また、それをエサとする魚、イルカなどの海洋生物と、海鳥が多く棲息する。


それ以前からさらに多くのイルカの大量死を見ていた漁師たち

ペルー沖で海底の石油探査をおこなっている BPZ エネルギー社の海底調査が大量死と関係しているのではないかと主張している環境保護団体があるが、しかし、ペルー政府の環境省は、イルカの解剖結果から耳器官や内臓器官への損傷が見当たらないため、海底調査との関連はないとした。


漁業組合のレンテリアさんは、以下のように言う。

「ペルー政府は、イルカの大量死の数を過小評価しているんだよ。私たちは、昨年の11月以来、ペルーの海岸で少なくとも 3,000頭のイルカが死んでいるのを見つけている」。

このレンテリアさんの話について、ペルー環境副大臣のキジャンドリア氏は、「そのような数(3,000頭)のイルカの死亡の証拠はない」と述べた。


フランスの海洋研究者ソフィー・ベルトラン博士は、今回の死亡の原因の一端は、カタクチイワシの調査でわかるかもしれないと述べる。イルカもペリカンも他の海鳥もカタクチイワシをエサにしているためだ。

また、ベルトラン博士は、「ペルーの研究者は原因として生体毒素を除外しているが、原因の可能性としては大きいと思う。ただ、それをすべて試験するのは難しいことかもしれない」と言う。






(訳者注) 記事に出てきたペルーの「セビチェ」という料理は、魚介類を使ったマリネですが、魚介類を生(刺身の状態)で使う料理で、日本でいえば「海鮮サラダ」といった感じのものです。

5_1.jpg

生で魚を食べる習慣のあまりない地方でのフレッシュな魚の料理だけに、とても人気があります。これもペルー当局から「食べないように」とされてしまったようです。


ところで、最近書いている「気温の変化」などとも関連して、これらの海洋生物の大量死を見てみると、「海流の変化」と「海水温度の変化」というものがそこには必ず関係しているように思います。

海流が様々な気候を作り生物の多様な環境を作っていることは事実で、その変化というのは、まさに「地球の大変化」に結びつくことだと考えています。

私たち人類も含めて、生き物は海に生かされていることは事実です。

でも、その海というものが「どのようにできたのか?」
それは今でもわからないのです。

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[大量死]に関係する過去記事:

新年のノルウェーでの魚の大量死で思い出す「メキシコ湾の原油流出と海流の関係」
2012年01月04日

イルカが伝えてくれること: 米国とペルーだけで 300頭以上の死亡したイルカが打ち上げられた 2012年2月
2012年02月17日

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[1年前の In Deep ]

2011年05月09日の記事

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