2012年05月27日



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動き始めた「資本主義の自爆装置」: JPモルガンのCDSポジションは「12兆円」



積み上がる破綻博打(CDS)の額面はすでに 5000兆円規模に

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(訳者注) 久しぶりに「最近の資本主義」のことでも書こうかなと最近ずっと思っていたんです。理由は「そろそろシステムが崩壊する方向に向かっている」と誰でも感じているだろうと思うからです。ボーッとしている私でもそれは感じます。

ただ、その「そろそろ」というのがいつなのかがわからない。この「そろそろ」は 2008年頃から言われていることでもあり、その「そろそろ」が数ヶ月先なのか、あるいは 100万年後なのかが私のような経済音痴にはよくわからないのです。


ですので、最近の経済ニュースで、気になったものを翻訳してご紹介しておきたいと思います。

JPモルガンの「博打の掛け金額」のニュースです。

JPモルガンというのは、アメリカにある銀行みたいなそうではないような会社だかテキヤですが、最近、そこに関しての損失のニュースはお聞きになった方も多いかと思います。

日本語の記事にもたくさんなっています。

JPモルガン、デリバティブで評価損20億ドル (朝日新聞 2012年05月11日)

などです。

20億ドルというと、日本円で 1,600億円程度ですから、天下のJPモルガンには大したことはないだろうと思われるもしれないですが、この話は「裾野が広い」です。


しかも、その後の日本語の報道では「数字がボカされている」ことを知ります。

どの部分がボカされているかというと、JPモルガンの CDS ポジションが 12兆円にのぼるという部分です。


CDS の仕組みをよく知らないのですが、記事に出てくる数字を合わせるとそうなります。

ロイターでは「1000億ドル」(8兆円)となっています。仮に細かいところはちがっても、「最小で6兆円から最大で12兆円」となっていることは確かのようで、ひとつの銀行の「短期間でのギャンブル額」としてはかなりのものではないでしょうか。


しかし、日本語の記事ではどれだけ探しても、この「8兆円」とか「1000億ドル」という見出しを使った記事がなかったですので、ご紹介しておきます。データはアメリカの連邦準備理事会(FRB)のウェブサイトに公表されたものです。

ちなみに、今回問題となっている「 CDS 」というもものについて少し書いておきます。



2008年からくすぶり続ける「CDS爆弾の威力」はむしろ拡大している

この CDS (クレジット・デフォルト・スワップ)という金融商品はリーマンショックの 2008年以来、ずっと語られ続けてきたもののひとつで、知恵蔵から抜粋しますと、


企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。債務不履行のリスクに対してのプロテクションを商品として売買する。

対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。

国際スワップデリバティブズ協会によると、世界のCDS市場は2007年末には債務の額面残高62兆ドル規模に達したとされる。



というもので、「会社や、国家が破綻したらお金をもらえる」という保険的ギャンブルなんですが、上にある通り、2011年でその博打の総掛け金が、


5000兆円にもなっている


ということが問題なんです。

どんな国家予算も瞬時に吹っ飛んでしまうこの博打額。

そういうものの中に私たちの「経済」とか「金融」というものがあるということを私なども初めて知ったのが、2008年のリーマンショックの後で、それらを知る中で、「この世は実際にはほとんど現実ではない、という現実」を知ることになりました。

なぜかというと、「どこにも存在しない額面のお金の中で私たちは生きている」からです。

そんな中で明らかになった、JPモルガンの「ポジション12兆円」の事実。

これだけ巨額なポジションだと、場合によっては瞬時に数兆円の損失が出ても何の不思議もないですし、それ以上に、「ひとつ(ひとり)が巨大な損失を出している時には、同じような賭け方をして負けている人たちが必ずいる」というギャンブルの鉄則があります。

たとえば、競馬で、「今日は日本でその馬券で負けたのはキミだけだ」というようなことになることはほぼありません。

「同じ馬券の買い方で多数が負けている」。

それが現実で、 CDS 市場も同じだと考えます。

なので、今回の JPモルガンの 1,600億円の損失など、まったく氷山の一角というか、デリバティブ全体から見れば些細なもので、最悪、世界は今後、「数千兆円(×何百倍)」の損失を見る可能性だってあると思います(デリバティブの賭け方の特性から損失が元金をはるかに上回ることは十分あり得るので)。

最近は経済ニュースでは、他にも、額は小さいとはいえ、

世界の金持ちの損失、約2000億円(この金額は「先週の1週間だけ」の損失)
 ロイター 2012.05.26

フェイスブック:投資家ら提訴「上場で2000億円損失」
 毎日新聞 2012.05.24

など、「損失」という言葉がおどるものが多いです。

この「数千億」という単位が一桁上がり、二桁上がり、5桁上がったころに、私たちはこの世界の「存在しない現実」を知るのかもしれないです。

これらが拡大していった時、どんなことになるのか私にはわからないです。

では、ここから記事です。




Fed data expose $100 billion JP Morgan position
Reuter(米国) 2012.05.23

米連邦準備理事会がJPモルガンの 1,000億ドル(8兆円)のポジションのデータを公開した


米連邦準備理事会(FRB)のウェブサイトに公開された公式のデータから JPモルガンの取引についての詳細が明らかとなったが、その巨額な取引の実態に驚きの声もあがっている。

米国の銀行の四半期ごとにFRBに報告するデータによると、JPモルガンのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の第1四半期末時点でのポジションは、840億ドル(6兆7千億円)のネットロングだった。

これは2011年末時点の100億ドル(8,000億円)の8倍強にのぼる。

そのうちで、期間が1年かそれ以下の短期CDSは540億ドル(4兆3千億円)のネットショート。5年以上のCDSは1020億ドル(8兆1千億円)のロング。2011年9月末はそれぞれ36億ドル(2,800億円)、240億ドル(1兆9千億円)だった。いずれも、短い期間にポジションが急騰している。

 
これは、JPモルガンの規模の大きさを考慮しても、ポジションの変動が大き過ぎると指摘する専門家が多い。そして、このポジションの大きさから、これらを解消するには相当の時間がかかると指摘する。

 
これに先立ち、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は、デリバティブ取引で20億ドル(1,600億円)の評価損が発生したことを明らかにしており、同時に、投資戦略の調査を開始することを表明した。





(訳者注) 2008年に、アメリカで「世界はカーブしている」という著作がヒットしました。その本には、その2008年の時点で、世界には以下の「爆弾」が存在していて、爆発する準備が整ってきているという本でした。

その「爆弾」とは、


・サブプライムローン関連バブル
(1.5兆ドル 150兆円)

・新興国市場のバブル
(5兆ドル 500兆円)

・クレジットカードバブル
(2.5兆ドル 250兆円)

・商品先物バブル
(9兆ドル 900兆円)

・商業不動産バブル
(25兆ドル 2500兆円)

・外国為替デリバティブバブル
(56兆ドル 5600兆円)

・CDSバブル
(58兆ドル 5800兆円)



でした。

今回、一番下にある「CDSバブル」というもののうちの「小さな爆発」の瞬間を見ているのかもしれません。

全世界の GDP は当時で 5,000兆円くらいで、今はどうなのかわからないですけれど、上のバブルがすべて弾けると、「世界の金融市場にはペンペン草も残らない」と言えるのかもしれません。

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