2012年05月29日



In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




ドイツで太陽光発電量の世界記録を達成: 約20機の原子力発電機と同等のエネルギーを生産



(訳者注) 今年は、日本での電力不足がいわれています。そして、この「何となく今年だけの問題のように聞こえる」電力不足という問題は、根本的な代替えがない限り、永遠に続くはずです。

正直、もはや、「反対」とか「賛成」の議論を越えて、冷静に「電気の生産」という現代文明の根幹の部分での将来を考えてもいいのではないかなとは思います。

そういう中、2022年までに段階的に原発での発電からリサイクル発電に全面的な移行を予定しているドイツで、5月25日から5月26日の間、太陽光発電での発電量での世界記録を樹立したというニュースが海外で伝えられています。

その発電量は実に 22ギガワット

この電力量がどのくらい大きなものかというと、たとえば、発電量を試算、比較してみたというサイトによると、福島の第一原子力発電所の2009年度のデータでは、福島第一原子力発電所の発電機6機の合計出力が約5ギガワットということです(正確には4.7)。

つまり、少なくとも今回のドイツの太陽光発電システムでは、その数倍のエネルギー生産に成功したということは言えそうです。

私自身は太陽光発電が最もいいと思っているわけではないですが、ここまで莫大な発電量を得られるなら、(暫定的には)あまり問題はないのでは? とも思います。

また、ドイツは緯度的にも日本より北であって(太陽光発電には日本より不利なはず)、国土面積にもそれほど差があるわけではなく、今回の「偉業」は日本でも可能なことではありそうです。

参考までに両国の面積と大体の緯度です。


日本  377,914平方キロメートル(60位) 北緯30〜55度

ドイツ 357,021平方キロメートル(61位) 北緯48〜55度


日本とドイツは、国土面積で世界 60位と 61位に並び、緯度の一部は重なるという「地理的に似たもの国家」であることがおわかりかと思います。


ちなみに、今年の電力不足は世界全体で起きています。お隣の韓国でも現在すでに厳しくなっているようで、「店舗のエアコン無駄遣いに最大20万円の過料 /ソウル (朝鮮日報 2012年05月24日)」というような、電力不足絡みのニュースをよく目にします。

韓国の電力不足も、一部の原発の稼働停止が関係しています。

また、事情は違いますけれど、ミャンマーの首都ヤンゴンでは「電力不足に抗議しての市民デモ」が起きています。


そんな中での、ドイツの今回の太陽光発電の記録。

ちなみに、記事を読む限りは「最大の敵は費用」のようです。開発費用が莫大にかかるのです。ドイツでは、国民の税金のうち 4000億円相当がリサイクル・エネルギー開発に割当されています。税金からの歳出としては小さな額ではないと思われます。

今の日本でこれをやるとすると、大幅な増税や、他の部分での歳出カットが求められるはずで、なるほど、簡単にはいかないということはわかります。

とはいえ、いろいろとありつつも、少なくともドイツではここまで来たようです。


ちなみに、このニュースを最初に大きく報道したのは米国のロイター通信ですが、一般紙で一斉に報道されたのはロシアの各メディアでした。今回は、ロシアの代表的な英字メディア「RT」より。




Going nuclear-free: Germany smashes solar power world record
RT (ロシア) 2012.05.27

ニュークリア・フリー(脱原子力発電)への道: ドイツで太陽光発電量の世界記録が樹立される


german-solar-01.jpg

▲ ドイツ・ボッシュ社の太陽発電用の太陽パネル。ドイツ東部のアルンドスタタットに設営されている。


ドイツの太陽光エネルギー発電所で、5月25日から26日の間に、これまでの太陽光発電での発電量としては最大となる 22ギガワットを記録した。

これは20カ所程度の原発が最大出力で稼動しているときに得られるエネルギー量に等しく、ドイツ全体の1時間あたりの電力必需量のほぼ半分に相当する。


ドイツは太陽エネルギーに関しての世界的リーダーで、ドイツ政府は 2022年までに原子力発電を段階的にとりやめ、すべての発電をリサイクル・エネルギー発電に移行する方針を固めている。

ドイツ北東部にある「再生可能エネルギー産業研究所( IWR )」の責任者は、5月26日には、送電網に供給される太陽エネルギーが、ドイツ全体のエネルギー割り当ての50パーセントに達したと述べた。

「かつて、ここまでの発電量を達成したことはありませんでした。この数週間の間で、発電量が20ギガワット近くに達するようになったのです」と言う。

ドイツ政府は、日本の福島第1原発の事故以来、原子力エネルギーを退ける方針を固めたが、原子力発電を完全にとりやめることができるかどうかは疑問の声も出続けている。

しかし、今回の発電量記録によって、ドイツが太陽光発電で電気供給の大きな部分を占めることができる可能性を示したと考えられる。その他の部分として、若干の火力発電と、天然ガスによるエネルギー生産が併用されるという。

しかし、ドイツの消費者団体は、太陽エネルギー発電の増大は、ドイツの電気料金の引き上げに繋がると反論の声を上げている。メルケル政権はリサイクル・エネルギーに大量の資金を投入しているが、ドイツでは 50億ドル(4000億円)が納税者から太陽発電エネルギーに拠出されているとドイツ環境省のデータは示す。

メルケル政権は、開発費用を削減とようとしたが、議会に阻止された。



環境に優しいエネルギーの将来への障害とは


german-solar-03.jpeg

ドイツでは、太陽光の他にも、原子力発電から抜けるための様々なリサイクル・エネルギー発電の計画を進めている。

ドイツ政府は、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電を併用しようとしている。

しかし、莫大な投資が続けられているにも関わらず、次の冬には、広範囲の停電も予測されている。その理由は送電線への負担だ。風力や太陽光エネルギーは自然環境に左右されるため、出力が安定していない。そのために、送電線網に多くの重圧を加えると専門家は言う。

確かに、ドイツのリサイクル・エネルギー生産は単に順調なだけではなく、さまざまなハードルが存在している。それでも、なお、リサイクル・エネルギーの世界的リーダーであるドイツの動向に各国が注目している。





(訳者注) 上に出てきた「バイオマス発電」というのは、動植物(微生物など)などから生まれた生物資源によるエネルギー生産の総称です。

ドイツではバクテリアを使った「太陽光直接変換計画」というものも進んでいて、これは一昨年あたりに記事にしたことがあります。リサイクル・エネルギー関係のリンクを下に記しておきます。

--
[再生産可能なエネルギー生産]の関連記事:

ドイツで「バクテリアを使った太陽光の直接エネルギー変換プロジェクト」が始動
2010年10月02日

宇宙のバクテリアを用いての強力な発電実験に成功した英国の研究チーム
2012年02月29日

--
[1年前の In Deep ]
2011年05月30日の記事

太陽の 150倍の質量を持つ「浮遊星」が天の川銀河で発見される

--
[2年前の In Deep ]
2010年05月28日の記事

続発する誘拐により崩壊したイエメンの観光産業

Sponsored link


・ In Deep も» 人気ブログランキングに登録しました。よろしければクリックして下さると幸いです。