2012年05月31日



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核保有を明記した「改訂・北朝鮮社会主義憲法」序文の全文訳



(訳者注) 先日、子グマとたわむれていた姿が大きく報道された金正日元国防委員長の息子さんですが、その北朝鮮では着々と文章レベルでの国防の改訂も進められているようです。

新しい北朝鮮の憲法では、序文で自らが「核保有国」であることを明記し、また、憲法全体に「金正日」の名前を入れ込んだ大幅な改訂を行いました。



▲ 動物園を視察中の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記。子グマとたわむれつつも、その1ヶ月前には、「核保有国」を明記した憲法に改訂した北朝鮮の三代目。


この「核保有国」明記のニュース自体は日本でも多く報道されているようです。
下は、産経ニュースのものです。


北朝鮮、憲法に「核保有国」明記  強硬路線鮮明に
MSN産経ニュース 2012年5月30日

朝鮮通信は30日、北朝鮮が4月の憲法修正で、同国を「核保有国」と明記したと報じた。昨年12月に急死した金正日総書記の業績として強調されており、金正恩第1書記を中心とした新体制も核保有を最大の外交カードとした強硬路線を継続することがあらためて鮮明になった。

最近、同国が運営するウェブサイト「ネナラ(わが国)」に全文が掲載された。



この「ネナラ」という北朝鮮の国営ウェブサイトには、日本語版もあるのです。

Naenara 日本語版

ところが、この中のどこを探しても、そんな表現は見つからない。

そこで、オリジナルである韓国語版を見ましたら、その記載がありました。どうやら、今のところ、「核保有国」と明記した憲法を掲載しているのは、オリジナルの韓国語版だけのようです。

nenara.jpg

▲ ネナラに掲載された新社会主義憲法の序文。


今回は、その全文を翻訳してご紹介しますが、核保有の下りに関しては、このようになっています。下線の部分です。


金正日同志は、世界の社会主義制度の崩壊と帝国主義連合勢力による悪辣な反共和国圧殺攻勢の中で先軍政治に金日成同志の崇高な遺産である社会主義の獲得物である栄誉を深く守護し、わが祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事大国に転換させ、剛性国家建設への輝かしい道を開いてくださったのだ。



具体的には、日本語版の北朝鮮憲法 序文には、北朝鮮の初代総書記であった金日成(キム・イルソン)の偉業を称える文章までしか掲載されていなくて、昨年亡くなった金正日(キム・ジョンイル)元国防委員長の名前はふれられていませんが、先月改訂された新しい北朝鮮憲法では、新たに憲法の序文に、金正日総書記の名前が加わっています。

たとえば、憲法の序文だけをみても、旧憲法と新憲法を比べると、次のように違っています。
ちなみに、「太字」の部分は、こちらでしたわけではなく、もともとのオリジナルでそうなっているものです。すべてにおいて、金日成と金正日の両名の名前は太字で示されています。


旧憲法 前文

朝鮮民主主義人民共和国は、偉大な領袖金日成同志の思想と指導を具現したチュチェの社会主義祖国である。




新憲法 前文

朝鮮民主主義人民共和国は、偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志の思想と指導を具現したチュチェの社会主義祖国である。




この序文に何度も出てくる「チュチェ」という言葉は、「主体」と書き、北朝鮮の社会主義の根本理念となっている思想で、下の3つの理念からなります。


1. 根本原理 (人間は世界と自分の運命の主人/主体である)
2. 人間の本質的特性 (人間は自主性と創造性と意識性を持った社会的存在)
3. 社会的運動の固有な合法則性



と、北朝鮮では規定されています。


それでは、ここから北朝鮮の憲法の序文全文です
以下のすべての名前の部分の「太字」も、オリジナルのままです。




조선의 정치 - 사회주의헌법 - 서문
ネナラ (北朝鮮国営サイト)


朝鮮民主主義人民共和国 社会主義憲法 序文


朝鮮民主主義人民共和国は、偉大な領袖金日成同志と、偉大な指導者金正日同志の思想と指導を具現したチュチェ(主体)の社会主義祖国である。

偉大な領袖金日成同志は、朝鮮民主主義人民共和国の創建者であり、社会主義朝鮮の始祖である。

金日成同志は不滅のチュチェ思想を創始し、その旗のもとに抗日革命闘争を組織、指導して栄えある革命の伝統を築き、祖国解放の歴史的偉業を成し遂げ、政治、経済、文化、軍事の各分野において自主独立国家建設の強固な基礎を築き、それに基づいて朝鮮民主主義人民共和国を創建された。

金日成同志は、主体的な革命路線を提示してくださり、複数の段階における社会革命と建設事業を賢明に指導して共和国を人民大衆中心の社会主義国としたて、自立、自衛の社会主義国として強化発展された。

金日成同志は国家建設と国家活動の根本原則を明らかにしてくださり、最も優れた国家社会制度と政治方式、社会管理体系を確立し、社会主義祖国の富強繁栄とチュチェ革命偉業の継承完成のための確固たる土台を築き挙げられた。

偉大な指導者金正日同志は、 金日成同志の思想と偉業を奉じて、わが共和国を金日成同志の国家として強化・発展させ、民族の尊厳と国力を最高の境地に上げ立てられた絶世の愛国者であり、社会主義朝鮮の守護者であられる。

金正日同志は金日成同志が創始した不滅のチュチェ思想、先軍思想を全面的に深化発展させてくださり、時代の指導思想と輝かしいチュチェの革命伝統を断固として擁護、固守し、これを純度に継承発展させて、朝鮮革命の命脈を堅固に続けられたのである。

金正日同志は、世界の社会主義制度の崩壊と帝国主義連合勢力による悪辣な反共和国圧殺攻勢の中で先軍政治に金日成同志の崇高な遺産である社会主義の獲得物である栄誉を深く守護し、わが祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事大国に転換させ、剛性国家建設への輝かしい道を開いてくださったのだ。

金日成同志と金正日同志は、 《以民為天》 を座右の銘にし、いつも人民たちと一緒にいらっしゃり、人民のために一生を捧げ、その崇高な人徳政治で人民たちの面倒をよく見、そして、全社会を一致団結した一つの大家庭として導かれた。

偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志は民族の太陽であり、祖国統一の碑である。

金日成同志と金正日同志は国の統一を民族至上の課題として掲げ、その実現のために様々に心血を注ぎ続けられた。

偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志は、朝鮮民主主義人民共和国の対外政策の基本的な理念を明らかにしてくださって、それに基づいて国の対外関係を拡大発展させ、共和国の国際的権威を高められた。

金日成同志と金正日同志は世界政治の元老として自主の新時代を開拓し、社会主義運動の発展のために、世界の平和と人民の間の親善のために精力的に活動し、人類の自主偉業に不滅の貢献をされた。

金日成同志と金正日同志は、思想理論と指導芸術の天才であられ、百戦百勝の鋼鉄の霊将であり、偉大な革命家、政治家で、かつ、偉大な人間であった。

金日成同志と金正日同志の偉大な思想と指導の業績は朝鮮革命の永遠の財宝であり、朝鮮民主主義人民共和国の基本的保証である。

朝鮮民主主義人民共和国と朝鮮人民は朝鮮労働党の指導のもとに、偉大な領袖金日成同志を共和国の永遠の主席として、偉大な指導者金正日同志を共和国の永遠の国防委員会委員長として、金日成同志と金正日同志の思想と業績を擁護固守し、継承発展させ、チュチェの革命偉業を最後まで完成に向かい進むのだ。

朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志の主体的な国家建設の思想と業績を法文化した金日成 - 金正日憲法である。





(訳者注) この最後の部分、「金日成 - 金正日憲法である」という部分は、前憲法では、

 > 金日成憲法である。

となっていました。この前憲法は、ネナラの日本語版の「社会主義憲法 序文」で読むことができます。


昨年の金正日国防委員長の死去以来、北朝鮮発表の文章をわりと多く、全文掲載してきましたので、それらの過去記事をリンクしておきます。

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