明日6月6日に金星の太陽面の通過というイベントが直前となっていますが、前回の2004年の金星の太陽面通過の際に「金星の表面に現れた現象」の話をご紹介します。
2004年に金星が太陽を通過した際、金星の周囲に光のアーク(弧)が観測されました。
下の写真のものです。

これが今回も見られるかもしれないという米国の科学報道です。
その前に、以前からどうしても書いておきたいとことがあったので、そのことにふれておきます。それは日食と地球と月と太陽の関係の話です。
これは昨年以来ずっと気になっていたことなんですが、しかし、うまく説明することができないまま今日に至っています。
私たちは毎日の朝と夜の奇跡の中で生活している
どの部分がどう奇跡なのかというと、たとえば、私の言葉よりも、日食に関して詳しく書かれている「月と太陽の偉大な一致」という科学サイトのページをご覧いただきたいと思いますが、その中にある次のフレーズなどでもその一端はおわかりになると思います。
まず、前提として、
太陽の直径 1,392,000キロメートル
月の直径 3,476キロメートル
ということ(月は太陽の約 400分の1の直径)
太陽の地球からの距離 149,598,000キロメートル
月の地球からの距離 384,400キロメートル
ということ(距離の差は約 400倍)。
このふたつの数値を念頭に抜粋部分をお読みいただきたいと思います。
月と太陽の概要より
月の直径は太陽の1/400で、月の平均距離は太陽の1/389です。そこで、月と太陽は地球上から見ると同じ大きさに見えます。もし月の直径が273kmも小さかったり、もう少し地球から遠かったら、我々は皆既日食を決して見ることができなかったのです。
月の大きさも地球の衛星としては異常な大きさです。普通、木星ほどの巨大惑星が月ほどの大きさの衛星を従えているものです。
こうして惑星レベルで比較すると、皆既日食が起こること自体が非常に驚異的で珍しい現象なのです。
とあります。
文字ではその実感がおわかりになりにくいかもしれないですので、適当に図を作ってみました。
まず、「太陽」と「月」の直径の差。

太陽の直径が約140万キロメートル。
月の直径は約 3,500キロメートル。
その大きさの差は 約 400倍。
そして、地球からの「月」と「太陽」の距離の図。
横に描くのは長さ的に無理でしたので、縦にしました。

地球から月までの距離は約 38万キロメートル。
地球から太陽までの距離は約 1億5000万キロメートル。
その距離の差は 約400倍。
つまり、この共に「400倍」という差が存在するからこそ、皆既日食や金環日食のような現象を私たちは地球から見ることができるのです。
さらに、この差というのはもっともっと日常的な大きなことも含んでいます。
In Deep の今年の過去記事で、
・地球と太陽の組成はまったく違うものというオーストラリア国立大学の研究発表
In Deep 2012年04月06日
というものを書いたことがあります。その前振りで私は日記のようなものを書いていますが、その日、私は、自分の目で初めて「太陽と月が見た目には同じ大きさである」ことを気づいたのですが、実際に同じなのです。
その理由が、上の「距離と大きさの400倍の差」によるものです。


▲ 上記の記事で載せた私の部屋から見えた夜の月と、昼の太陽。これを見て、私はアイヌ語における月と太陽の意味。つまり、太陽は「昼の太陽」で、月は「夜の太陽」とアイヌが表現していた意味を知るのでした。
しかし、私はどうして、こんなことを「奇跡」とまで言うのか。
それは私たちが教わってきた「宇宙の成り立ちが正しいのなら」まさしくその偶然は奇跡なんです。奇跡すぎるわけです。
つまり、宇宙はある日適当にできて、適当な物理の法則で適当にガスや宇宙塵などが集まって、適当に銀河ができて、適当に恒星(太陽)が作られ、そして、そこに適当に惑星が作られて、そこに適当に月など衛星ができていくという現在の宇宙論。すべては偶然でしかないという現在の科学。
そんな中で私たちが明らかに目にする日食や「月と太陽が同じ大きさ」だというような奇跡。
この「奇跡」に対しての科学的答えは極めて簡単です。
「うーん、不思議に思えても、それは全部偶然だから」。
だけで答えが終わってしまいます。
そうでしょうか?
ホントーにそうなんでしょうか。
ホントーに単なる偶然でここまでの様々な「目に見える状況」が存在しているのでしょうか。
・・・という話ですね。
しかし、だからといって、「これは偶然ではない」となった場合も、今の世の中ではややこしいんですよ。
神様が出て来たり、宇宙の計画だとか、多次元宇宙とか、いろいろと「その人々の立場に応じたオカルトが登場したりする」のです。
宇宙の存在が偶然などではない、ということは私も思います。
しかし、最近私は、じゃあ、宇宙とは何なのか・・・ということに関しては、「私たち人類は一生わからなくていい」と強く考えるようになりました。
私たちは「偶然などひとつも存在しない世界に生きている」ということだけを思っていれば、それであとは日々普通にメシ喰ってクソして寝ればそれでいいのだと思います。
正直、ビッグバンだの進化論というような言葉はもう見たくもないですが、一方で、様々な神々しいスピリチュアルな立派な言葉も同じくらい聞きたくありません。
それは私がパンクスである以上、「キレイな言葉が嫌いだから」ということと、そしてそれ以上に、科学もオカルトもどちらも「宇宙の存在を小さくしている」ように思えるからです。
この世で最も大きな存在。それは「わからないこと」だと最近思います。
そして、出来うるなら「わからないまま死んでいきたい」。
最近そう思います。
というわけで、前置きが長くなりましたが、金星の話題です。
これもなかなかおもしろいですよ。
The Mysterious Arc Of Venus
金星の神秘的なアーク
下は 2004年の金星の太陽面通過の際、フランスのトゥールーズで、アマチュア天文家によって撮影された金星からの丸いアーク(弧)の写真だ。

米国ウィリアムズ大学で天文学を教えるジェイ・パソコフ教授は、その時のことを思い出してこのように言う。
「2004年の金星の太陽面通過の時、はじめてアークを見た時には驚きました。それは、金星が太陽へ移動し始めたすぐ後に、明るい縁が金星の淵の周辺に現れはじめたのです。」
今では、研究者たちは当時、何が起きたかについて理解している。
太陽によってバックライトで照らされた金星の大気が、金星の雲の最上部より上の大気の層を通過し、屈折し、それが望遠鏡と観測衛星からアークが見られた原因となった。
しかし、一方で、このアークの観測は、太陽系第二の惑星である金星の最も謎の部分にも触れることになった。
「私たちの地球の姉妹惑星といえる金星の大気がどうして、地球とは異なって進化したかについて、私たち科学者はまだ理解していません」と、パリ天文台のトーマス・ワイドマン氏は述べる。
地球と金星は、共に太陽から同程度の距離で、惑星の素材も同じ材質で作られており、サイズに関しては、ほとんど双子といっていい惑星だ。それなのに、地球と金星は非常に違う大気の構成に包まれている。
金星の大気は、地球のほぼ 100倍あり、主に、二酸化炭素から構成されている。220マイル時ほどの速度で金星の周囲をめぐり、それらの温室ガス効果によって、金星表面は、高さ20キロメートルほどまで摂氏 480度ほどの高温だ。
人間が金星に降り立った場合、窒息した後に干上がって、そして燃えるだろう。
どうして金星がこのようになったのか、まだまったくわかっていない。

▲ 2004年の金星のアーク。周辺の輝きは、この弧の温度と大気の状態を示してくれる。
2004年の金星の太陽面通過の際は、急速に出現して変化していくアークに対応しきれなかったが、今回は、すべてにおいて観測の準備は整っている。
2012年6月5日から6日の金星の太陽面通過の観測に関しての世界的な観測ネットワークが組織されており、この現象は世界で一斉にモニターされる。
また、日本の観測衛星「ひので」と NASA の観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー( SDO )も宇宙からデータを収集する。
金星の太陽面通過への観測の準備は完成している。