『避難しなかった福島の人たちも放射線の悪影響はほぼ受けていないと思われる』: マサチューセッツ工科大学生物工学部ベビン・エンゲルワード准教授
▲ マサチューセッツ工科大学の MITニュース。見出しは「長期間にわたる放射線の被曝に関しての新しい見解」という意味。
米国のマサチューセッツ工科大学に関しては、科学系の「テクノロジーレビュー」というブログサイトの記事をたまに引用させていただくことがあります。
最近では、
・消えていく私の中の「宇宙人」と、消えていく「母なる太陽」
In Deep 2012年06月17日
で、 SETI と呼ばれる「地球外知的生命体探査」で、実は地球の探査では、これまで「エイリアンのシグナルを一切掴んでいない」ことが明らかとなった記事などを紹介したことがあります。これは、最新設備により、探査の範囲を数十億光年先まで拡げた結果でもあり、わりと衝撃的なものではあります。
また、昨年ですが、
・「地球は隠された月を持つ」という MIT の発表
In Deep 2011年12月23日
というような「地球は月を複数持っている」ということが報告されたり、といった、わりと刺激的な報告が多かったりします。
しかし、今回のマサチューセッツ工科大学の発表は、「 MIT ニュース」という、さらに公的な発表ニュアンスを持つ場所で発表されたものです。
どんな発表かというと、タイトルに書いた通りですが、もっとわかりやすく書きますと、
・福島の原発事故レベルでの放射線ではどれだけ長期間、その放射線を浴びても生体遺伝子( DNA )は損傷を受けない可能性が高い
というものです。
この「生体」というのはネズミですので、「ネズミと人間は違う」と言われれば、それまでですが、今回のマサチューセッツ工科大学の実験は、
「自然放射能の400倍にあたる放射線を複数のネズミに5週間にわたり照射した」
という、ある意味で過激なものです。
実験のネズミたちには気の毒なことをした・・・と書きたいところですが、そうでもないのです。
何しろ、ネズミたちは「 DNA にまったく何の損傷も受けなかった」のですから。
というか、良くも悪くも何の変化もなかったのです。
ちなみに、「DNA が損傷を受ける」という意味は、マサチューセッツ大学のベビン・エンゲルワード博士によればふたつの意味があり、
・ DNAの基礎物質(ヌクレオチド)の構造が変化してしまうこと
・ DNAの「2重らせん構造」が壊れてしまうこと
・ DNAの「2重らせん構造」が壊れてしまうこと
のふたつを言うらしいです。
上の図が DNAの「2重らせん構造」ですが、実際には「普通に暮らしていて」も、 DNA は、自然放射能から日々、損傷を受けていて、通常でも一日に1個の細胞内で1万回の損傷を受けているとされています。そして、その損傷は多くは、「DNA の修復機能」で修復されるのです。それでも修復できない場合に「完全な損傷」ということになります。
そして、今回の実験では上の
・ DNAの基礎物質(ヌクレオチド)の構造が変化
・ DNAの「2重らせん構造」が壊れてしまう
の「どちらも起きない」ことが確認されました。
大事なのは、「残った損傷が少し」だったのではなく、
まったくなかった。
ということです。
完全に修復の範囲内であったわけで、つまり、「自然環境にいるのと同じ」だったといえます。
影響ゼロ。
完全に「無影響」だったようです。
この記事は、今朝の Yahoo! ニュースにも、ほぼ完全な翻訳として掲載されていました。
・長期間にわたる放射線被曝についての新しい見解 =MITの研究が示した低線量被曝のDNAへの少ないリスク
Yahoo! ニュース 2012.06.27
私のほうは、原文を少し短めにして、また難しい言い回し等を易しくするなど、オリジナルで翻訳いたしましたので、そちらを掲載いたします。上の Yahoo! ニュースの記事のほうがきちんとした翻訳だと思いますので、完全版をお読みになりたい方は上の記事をどうぞ。
また、 In Deep の過去の放射能関係の記事は、記事下にリンクしておきます。
ちなみに、放射線の話題を取り上げるたびに私が言いたいことは以下の1点であり、私や世の中の主義や主張とは関係ないことを強く言っておきたいと思います(私に主義はないですが)。
それは、
「事故後から福島原発周辺にいる方々は放射線によっての体への被害はほぼ受けていないと思われますので、安心して下さい」
ということだけです。
(放射線以外の放射性の残留物等はまた別かもしれませんが)
下の記事に出てくるマサチューセッツ工科大学の生物工学を専門とするエンゲルワード教授という人は、福島のことにも言及していて、こう言っています。
「事故後に避難しなかった福島の方々も DNA の損傷はほぼないことが予測されます」。
そのまま安心して暮らしてくださればそれでいいのだと思います。
では、ここからです。
A new look at prolonged radiation exposure
マサチューセッツ工科大学 MIT News (米国) 2012.05.15
長期間にわたる放射線の被曝に関しての新しい見解
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者たちによる新しい研究は、アメリカ政府が原子力事故の際に規定した人々の退避や避難についての指針が、あまりにも古い考え方にとらわれているのではないかという示唆を提示した。
学術専門誌「エンビロンメンタル・ヘルス・パースペクティブ (Environmental Health Perspective) 」誌に発表された研究発表によると、複数のネズミに5週間にわたっておこなわれた「自然放射線の400倍の放射線」の照射実験で、そのネズミたちの DNA の損傷は観察されなかったのだ。
発表をおこなったのは、ベビン・エンゲルワード博士とジャクリーン・ヤンチ博士のふたりだ。
現在のアメリカの規制では、自然放射線の8倍のレベルの放射線が検知された場合は、そこに住む人は避難しなければならないことになっているが、今回の研究では、それらの移動にかかる経済的、精神的なコストはほとんど無意味なものになる可能性があるという。
マサチューセッツ工科大学の工学部で原子力科学を専門とするジャクリーン・ヤンチ博士は、
「その(アメリカ政府の決めた自然放射線の8倍という)数値が危険な水準であることを示すデータは存在しません」
と言う。
そして、「今回の論文が示しているのは、平均的な自然放射線との比較で400倍もの放射線であっても、遺伝子の損傷を検出できなかったということです。原子力発電所の事故や核爆弾が爆発した際、そこから避難するか、あるいは、そこにいても大丈夫なのかということを考える場合に、その区域にいる多くの人々の行動に、この研究は大きな影響を与える可能性があります」。
長期にわたる低線量の被曝の影響を測定した研究は現在に至るまで非常に少ない。今回の研究は自然放射線の400倍の水準という低い放射線量での遺伝子の損傷を測定した最初の研究になる。
マサチューセッツ工科大学で生物工学を専門とするエンゲルワード准教授は、以下のように語る。
「これまでの放射能の研究のほとんどは、対象に一回だけ短時間のあいだ放射能を浴びせるものでした。しかし、この方法の実験では、長期の被爆の条件下とはまったく異なる生物学的な結果となってしまうのです」
と述べる。
どの程度の量の放射線だと、生態に影響を与えるのか?
宇宙放射線や自然の環境の中にある放射性物質から自然放射線は発生する。これらの発生源は平均して1年分の1人当たりで、0.3センチグレイとなる。
ヤンチ博士は、
「低線量の放射線の被曝は自然なことであり、むしろ、生物にとって必要なことであるという主張をする人もいるほどです。問題は、どのくらいの量を越えると、私たちの健康に悪影響を与えるのかということです」
とは語る。
これに関しては、これまでの研究で、今回の研究の総被曝量10.5センチグレイの放射線が、一度にその量が照射された場合に DNA が損傷した例があった。
そして、今回の研究実験では、放射性ヨウ素を発生源にとして、実に5週間の期間にわたり分散してネズミに照射したのだ。
この研究での放射性ヨウ素から発した放射線は、日本の(震災で)損傷した福島原発から拡散する放射線と似た状況となった。
照射開始から5週間経過した後で、研究者たちは、現在利用できる設備の中で最も精度の高い検査技術を利用して、数種類の DNA の損傷を調べた。
こうした場合の DNA の損傷の型は主に2種類に分けられる。
ひとつは DNA の基礎物質(ヌクレオチド)の構造が変化してしまうこと、もうひとつは DNA の「2重らせん構造」が壊れてしまうことだ。
そして、今回の研究実験では、ネズミにどちらにおいても重要な変化は認められなかった。
DNA の損傷は、自然放射線のレベルでも通常に起こるもので、少なめに見積もってもひとつの細胞に1日あたりおよそ1万回生じている。
DNA が損傷しても、大半は細胞内にある DNA の修復システムの回復力によって修復される。研究者たちは、今回の研究での放射線量では細胞1個につき、1日あたり最大で更に 12倍程度に損傷が生じたと推測しているが、それらはすべてが修復されたと見られる。
今回の研究は5週間で終わったが、エンゲルワード博士たちは、それより長い実験期間でも同じ結果になると考えている。
「この実験で学んだのは、そもそも400倍のレベルの放射線ではそれほど細胞は損傷しないということ。そして、生物はすぐれた DNA の修復システムを持っているということです。私の推測では、(5週間以上の)長期間ずっと400倍の放射線を浴びせ続けても、その DNA にさほど重大な損傷を与えないと思います」。
米国マクマスター大学の医療物理学と応用放射線学が専門のダグ・ボレア教授は、以下のように言う。
「現況では、すべての放射線が人体に悪いものと信じられています。放射線はわずかの量でも体内に蓄積され、ガンなどのリスクが増えるかのように人々に信じられていますが、しかし、そしてそれは真実ではないという証拠が現在築き上げられているのです」。
しかし研究者らは、放射線の避難基準を見直すには、さらに多くの研究が必要と述べる。
エンゲルワード教授は、日本での原発での対応についてこのように付け加えた。
「震災後の日本では、10万人もの住民を避難させたにも関わらず、日本政府はもっと多くの人を避難させなかったことについて批判されました。しかし、私たちの研究から見ると、避難をしなかった福島の人々においても、過度の DNA の損傷はないことが予測できます。これは、私たちの実験室で最近開発された技術でテストできることです」。
翻訳はここまでです。
ちなみに、この世の中には、
・つらいことを多くしていく生き方
と
・ラクなことを多くしていく生き方
というのがあります。
そして、現在のシステムを真面目に生きていると、実は、小学校くらいから前者の(つらい)人生を送るように成長していくようにシステムは作られています。
「苦労」とか「努力」とか、あるいは「夢」というような単語を否定的な単語だと考える方は少ないのではないでしょうか。でも、現実にはこれらの言葉は 2000年くらい前に「作られた概念」であり、もともとの人間の生き方にはなかったものだと言われています。
「夢という概念も?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが、そうなんです。
もちろん、ここでいう夢とは、眠っている時に見るほうではなくて、目標だとか将来だとか、そういうほうの「夢」です。
「瞬間を生きる」という人間本来の存在の仕方を否定する方法として、編み出されたのが「夢」という概念だと今の私は思っています。「瞬間」というのは、言い方を変えれば、多次元宇宙と同義語ですが、そんな難しいことは別としても、「一瞬一瞬、人は違う考えと感情の中に生きている」という考え方でいいと思います。
でも、「夢」を持ったほうがいいとみんな感じているのなら、それでいいのだと思います。ただし、その「夢」がかなわなかった時の「存在しない夢」を必ず持ち合わせていないと、「実現してほしくなかった現実だけ」が残ります。そして、この世の中は不幸だらけになってしまいます。
そして、現実の世の中にはその実例がなんと多いこと!
個人個人の頭の中にある世界は「無数」であることを本人が誰でも一番よく知っているのに、その中から、「むりやり、ひとつの夢」を抽出することには無理があることも、実はみんな知っています。
だから、「夢をひとつに絞る」というのは本来は無理なんです。
とはいえ、話が脱線してしまいましたので、ここまでにしておきます。