2012年06月28日



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茶色の地球



(訳者注)NASA に MODIS という地球観測システムがあります。これは NASA の地球観測衛星 TERRA/AQUA(テラ/アクア)に搭載されているもので、地球の表面の状態や起きていることを子細に映し出すことができるものです。

MODIS はほぼ毎日、写真を公開していて、そこで驚くような光景に出くわすこともあります。


500キロメートルの長さの虹色の帯


下の写真は 6月20日に公開されたものですが、上空の渦を巻くふたつの雲の上に光輪、あるいはブロッケン現象などといわれる光学現象が起きているものです。中央やや左側に縦に虹色のラインが映っていることがおわかりかと思います。

USA5_tmo_01s.jpg


日本語はこちらで入れたものですが、雲の合間にポッカリと浮かび上がっているグアダルーペ島という島はメキシコ半島の沖合にあるようで、あるいは、「アメリカの左下」という言い方のほうがわかりやすいかもしれません。

地図では、下の「A」の場所にあります。

map-06-27-g.png


そのグアダルーペ島の上にだけ雲がなくて、そして、その下にふたつの雲の渦。これは、「カルマン渦」と呼ばれるものだそうで、力学の理論らしいです。 Wikipedia で説明されています。

ところで、上の光輪(英語で glory と書かれているところ)は、上の写真だけではその長さがわかりにくいのですが、もっと全域が写っている写真もあり、それを見ると、この「虹色の帯」はものすごい長さだということがわかります。

下の写真がさらに広域の写真で、そこに注釈を入れたものです。

glory-3.jpg


日本の本州の長さが大体 1,300キロメートルくらいとのことですので、その半分にも近い距離に「光輪」が延びていたようです。

しかし、このグアダルーペ島という島だけが浮かび上がっているという光景のほうこそ、なかなか珍しいかもしれないですね。


ところで、今回の本題というか、この MODIS をご紹介しようと思ったのは、最近撮影された「地球の写真」を見て思ったことがあったからでした。



茶色に浸食されていく地球


下の写真は5月26日に NASA から公開された「北極側から撮影した地球」です。


arctic_vir_2012147.jpg

THE VIEW FROM THE TOP (頂点から見た地球)(NASA MODIS 2012.05.26 )より。


これを見て最初に思ったのは、「やけに茶色いなあ」ということでした。


地球ってこんな茶色かったっけ?」と。


上の写真には注釈を入れていませんが、位置関係としては、下の写真の北極の位置をもう少し中央に持ってきたものと考えられるとよろしいかと思います。

full-earth.png


左下から中央、右へと貫く「巨大な茶色」は、アフリカ大陸から中東、そして、中国ということになります。アフリカ大陸の北部とか中東に砂漠が多いのはわかりますが、中国の茶色の多さにやや驚いた次第です。基本的に、大地の写真で完全な茶色というのは「緑がない」ということと同義と考えて問題ないと思われます。

「中国ってこんな茶色かったっけ?」と思い、何かないかと探してみましたら、下のような記事がありました。



緑がなくなった中国 18.2%が砂漠化=衛星写真
大紀元 2012.06.21

brown-china.jpg

「わが祖国は真っ黄色だ」。衛星から捉えた中国の姿に中国の市民から驚きの声が上がっている。写真に映し出された中国は緑の部分が少なく、大半が土に覆われている。当局の資料によると、国土面積の18.2%に当たる174万平方キロメートルはすでに砂漠化し、毎年3436平方キロメートルの国土が砂漠になっているという。

写真は各サイトに転載され、ネット利用者から「驚いた」「胸が痛い」との声が寄せられている。専門家は長年の干ばつと節度のない開発がもたらした結果だと指摘する。中国の資料によると、干ばつは天候関連災害の50%を占めているという。



とのこと。

MODIS の衛星写真を見ても、そんな感じですが、しかし、たとえば 100年前とかと比べられる写真があるわけでもないので、もともとこうなのかもしれないですし、そのあたりはわかりません。

地球全体の表面の様子が詳しくわかるようになったのは、わりと最近のことです。


ちょっと気になるのは、上の大紀元にある衛星写真では、中国だけではなく、その周辺のアジアの他の国々も「茶色が目立つ」ことです。

asia-2012-06.jpg


パッとみる限り、タイとビルマ(ミャンマー)の中央部は砂漠化しているように見えますし、台湾もフィリピンもインドネシア全域も緑が少ないように見えます。

韓国も・・・。韓国って首都部以外は緑の印象があるのですが、これを見ると全体が黄色いですね。日本列島も他の国ほどではないですが、西日本のほうはなんとなく茶色いです。

うーん・・・。

逆にコントラストとしてのロシアのグリーンがものすごい。


タイトルには「茶色の地球」と記したのですが、地球全体の話ではなく、やはり、環境はシフト(場所が移動)していっているのだと思います。


サハラ砂漠が昔、水と緑で溢れていたように、環境はわりと早いペースで変わっていきます。何十億年とかいう時間軸と比較すると、数千年とかの「瞬間的な間」に、緑だったところが砂漠になり、あるいは、砂漠だったところが草原になったり。

氷に閉ざされていた場所に花が咲いたり、今までいなかった魚が泳ぎ始める一方で、それまで、温暖だった地方が冷却化していき、海からは魚が消えていくということもあるのだと思います。

実際、少し前の記事、

強烈な気候変動の衝撃:氷が溶けた北極海で藻と植物プランクトンが大発生している
 In Deep 2012年06月09日

にありますように、藻が大発生するほど北極は現在暖かくなっているようです。



▲ 上記 In Deep 記事の現在(2011年)の北極の様子。氷が溶け、いたるところに池ができているようで、そこでは藻や海中植物等が繁殖しているようです。


そして、これらは悲劇というより、地球に住む者の宿命だとも思います。

私たち現代人類の歴史は数万年程度。「現代人類の歴史で初めて経験すること」ということは、これからだっていくらでもありそうです。

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