2012年07月02日



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[最高警報発令中] アメリカ北東部の大規模停電で NASA の中央データ管理施設の一部が機能停止



code-red.jpg

▲ 7月2日現在、NASA のゴダード宇宙飛行センターのウェブサイトに表示されている「コード・レッド」(最高レベルの警報)表示。この翻訳は記事内に記しました。
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(訳者注) 昨日の米国の BBS の書き込みに、「 NASA の太陽関係のほとんどのウェブサイトやリアルタイムデータがダウンしてるぞ」というものがあったんですね。

アメリカの悪天候などのニュースを知っていたので、「もしかして」と、NASA のデータセンターがあると考えられる場所を見てみました。


NASA で多くの観測リアルタイムデータや、それに関してのニュースを統括して発表するのは、いつも NASA のゴダード宇宙飛行センターというところですので、データセンターもそこにあると思われます。

念ため、 Wikipedia を見てみました。


ゴダード宇宙飛行センター

メリーランド州グリーンベルトに位置する、NASAの衛星の管制・通信に関するフィールドセンターである。

ゴダード宇宙飛行センターは、ハッブル宇宙望遠鏡、エクスプローラー計画、ディスカバリー計画、地球観測システム、INTEGRAL、SOHO、RXTE、Swiftを含む、地球、太陽系、銀河に関する、NASAの多くのミッションや国際共同ミッションを管理している。



とのこと。
ここで間違いないと思います。

そのゴダード宇宙飛行センターのあるグリーンベルトという場所は下の地図の「A」の場所です。

outage-map-01.png


そして、7月1日の時点で、米国北東部では 数百万世帯が停電となっており、非常事態宣言が発令されていますが、下の図は、今回の嵐が襲った場所に関しての図です。

noaa-06-26.jpeg


青い点が強風等の観測された場所です。

どうやら NASA のデータセンターは今回の嵐と停電の影響を完全に受けてしまったようです。

このアメリカの今回の「悪天候とその後の大規模停電」については今朝のロイターの記事を引用しておきます。


米東部の暴風雨で少なくとも12人死亡、300万世帯超で停電
ロイター 2012年07月01日

r-0701.jpeg

首都ワシントンを含む米東部で暴風雨が発生し、30日までに少なくとも12人が死亡、300万世帯以上が停電に見舞われている。ワシントンやオハイオ州、バージニア州、ウェストバージニア州の当局は、非常事態宣言を発令した。

オバマ米大統領も同日、米連邦緊急事態管理局(FEMA)に対し、復旧支援を命じた。停電の復旧には1週間かかる場合もあるとみられている。




7月2日現在、ゴダード宇宙飛行センターのウェブサイト自体は表示されますが、太陽観測に関してのいくつかはダウンしたままです。SOHO の太陽観測データ のみ先ほど復帰したようです。

また、ゴダード宇宙飛行センターのウェブサイトには、現在、トップページに下の「レッドアラート(警報)マーク」が表示されています。

この記事のトップに貼ったのがそのスクリーンショットです。

上の「コード・レッド」は通常だと、「最高レベルの警報」を意味します。
書かれてある文字を訳しておきます。


現在の状況: コード・レッド

code-red-100.jpg

2012年06月30日(土曜日)より発令中。

NASA ゴダード宇宙飛行センターのある施設は、メリーランド州グリーンベルトに位置しており、今回の嵐の中心地だった。そのため、施設全体の停電のため、現在、最高警報レベルの下でオペレーションが行われている。現在、施設の職員たちは、緊急時以外の義務を免除されている。電力が復旧した際にこのメッセージは更新され、すべてのに職員にメールが配信される。



とのことです。

今回の嵐で被害を受けたり、停電となった地域は、アメリカ東海岸のワシントンDCなどを中心とした、いわゆる「中枢部」といえる場所です。非常事態宣言の意味はそこにもあるでしょうし、NASA 以外にも深刻な影響を受けた大規模設備はたくさんあるはずです。

さて、しかし、問題となるのは、数百万世帯が停電していて、その復旧には、1週間程度の時間がかかるという点です。

何が問題かというと、先日書きました、

太陽活動が弱くなる中で「異常な高温」 を記録し続けるアメリカ
 In Deep 2012年06月29日

という問題なのです。アメリカの歴史的な猛暑の中で、多くの民間の人たちが冷房設備はもちろん、医療、衛生等においてのあらゆる電気手段を失った状態にあると推定できるのです。




歴史的な暑さの中での停電に見舞われた文明国アメリカ


実は上の記事以降、米国の多くの地域ではさらに気温が上がっています。

米国のクリスチャン・サイエンス・モニター紙では、「この6月の地獄のような暑さはいつ終わるのか?」という記事を6月30日にリリースしていますが、それによりますと、上記記事にも出て来た米国カンザス州では、気温が 48度まで上昇したそう。華氏表記だと 118度です。

Death Valley heat in Kansas? How the end of June got so hot


今回停電となったワシントン周辺の気温も、嵐の来る直前には下のようになっていました。東京新聞の6月30日の記事です。


米で記録的猛暑、死者も テネシー州で42度超
東京新聞 2012.06.30

米東部と南部の広い地域で29日、記録的な猛暑となり、南部テネシー州ナッシュビルでは観測史上最高の42・7度を計測した。東部の首都ワシントンなどでも40度に達し、6月の気温として過去最高となった。

暑さが原因とみられる死者も出ており、南部アーカンソー州で同日までに39歳の建設作業員が、中西部ミズーリ州で幼児を含む3人が死亡した。




これは嵐と停電の前であり、少なくとも電気による環境施設は存在していた時でこの状況ですので、きわめて広範囲での停電となり、電気が失われている現状では、どのようなことになっているのかは想像できません。


被害地域が大規模なので、場所によっては、どこまで行っても冷房も冷たい水もないという状況で、しかも、被害は、交通、病院、緊急通信等のあらゆる範囲に広がっているようです。

非常事態宣言が出されていることと、今回は FEMA (緊急事態管理局)に直接の復旧支援命令を出していますので、ある程度、早いペースで復旧は進むのだと思いますが、それにしても、ふと思い出すのが、やはり In Deep の少し前の過去記事なのでした。

それは、

海外メディアで相次ぐ「超巨大火山の噴火からのサバイバル」に関する記事
 In Deep 2012年06月25日

という記事で、翻訳紹介した記事の中に、プレッパー(社会や環境異変のために準備をしている人たち)として、米国ニューヨークの消防士のジェイソン・チャールズさんという人が登場します。

この人は 9.11の際の救助にも参加したプロの消防士の方ですが、そのチャールズさんがこう言っています。

「私は、アメリカ政府の危機対応を信用していない。カトリーナへの政府の対応を思い出せば、それはわかる」。


カトリーナとは2005年に米国を襲って大きな被害を出した巨大ハリケーンです。

そのカトリーナの際にも、 今回同様に FEMA が危機対応にあたりましたが、十分に機能したとはいえないようです。そのあたりについては、いろいろな資料がありますが、東京海上 日動リスクコンサルティングの危機管理グループが 2005年に発行した「ハリケーン「カトリーナ」に対する米国政府・州政府等による対応の問題点について」などが参考になるかもしれません。


いずれにしても、今回、「大停電という災害」を嵐によって経験した米国ですが、この「停電」というキーワードは、今後も「それぞれ違う理由」で繰り返し世界の至るところで噴出してくる可能性はあります。

日本もそうです。

しかも、今回の米国の悪天候由来のこの災害は、「まだ6月だというのに起きた」ということは考えたいところです。本格的な自然災害のシーズンは普通だと、まだ先です。


いずれにしても、天候に関しては世界中でまさに「荒れ狂って」います。日本にしても、その荒れた天候から完全に逃れることは難しいのではないかと思います。

プレッパーになるのもよいでしょうし、私のように傍観を決め込むのもいいでしょうが、大事なことは、「何をするにしても、するかしないかは、周囲に流されるのではなく、自分で決める」ということだと思います。

それはとても大事なことだと思います。

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