タイトルはまあどうでもいいです(笑)。これはまあ、日本語でもさんざん報道されているんですけど、7月4日に、欧州合同原子核研究所(CERN)から、ヒッグス粒子というものについて発表があるらしいんですよ。
たっくさんニュースになってます。
下のは、産経ニュース。
ヒッグス粒子 存在確実か 4日研究成果発表
msn産経ニュース 2012.07.03
すべての物質に重さ(質量)を与えている未知の素粒子「ヒッグス粒子」の最新の研究成果を日米欧の実験チームが4日、発表する。ヒッグス粒子が存在する確実な証拠が得られた可能性があり、「発見」と断定できる信頼度にどこまで迫れるか注目される。
発表するのは東大や高エネルギー加速器研究機構などが参加する日欧米の「アトラス」と、欧米中心の「CMS」の2チーム。実験施設があるスイスの欧州合同原子核研究所(CERN)で日本時間4日午後6時、統一見解を公表する。
このヒッグス粒子というのが何なのかは詳しいところが私にわかるわけもありませんが、ただ、私としては、
「もし本当にヒッグス粒子が見つかったのなら、今の私の人生の一部はそこで終わる」
ということは言えそうです。
このヒッグス粒子、詳しいことは上に書いたように全然わからないですが、その「重要性」は Wikipedia の下のあたりに書かれてあります。抜粋します。
ヒッグス粒子とは、素粒子に質量を与える理由を説明するヒッグス場理論からうまれた、理論上の粒子である。(中略)
ヒッグス粒子の存在が意味を持つのは、ビッグバン、真空の相転移から物質の存在までを説明する標準理論の重要な一部を構成するからである。もしヒッグス粒子の存在が否定された場合、標準理論(および宇宙論)は大幅な改訂を迫られることになる。
とあります。
この後半の部分ですね。
> (ヒッグス粒子が見つからなければ)ビッグバン理論と現在の宇宙論は大幅な改訂を迫られることになる。
というところが注目するところです。
これは、つまり、「ヒッグス粒子が見つかれば、ビッグバンがあった証拠となり、宇宙は有限であるという証拠になる」と言い換えられると思います。
ヒッグス粒子はビッグバン擁護の「最後(で唯一)の砦」だと言えそうです。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれないですが、私のこの In Deep のテーマはいくつかありますが、その中の最も大きなもののひとつが、
「ビッグバン理論が否定される日を夢見ている」
ということがあります。
ビッグバン理論とは一言でいえば、
現在の私たちが生きている宇宙というものは、無限ではなく、有限の単なる時間軸に沿ったつまらない日常の経過に過ぎない。
という理論です。
多次元宇宙だとか、無限の命だとか、命の再生だとか、そんなものはビッグバン理論下では存在しません。
でまあ、私としては、そういう宇宙はつまらないと思うのです。
宇宙は無限であり、そうあってほしい。
ジョルダーノ・ブルーノが言っていた通りに、宇宙は人間自身と共に永遠に広がっているもので、「端もない」し、まして、「宇宙の始まりなどない」ということだと思っています。
下に書きますが、仏様なんかも大体同じこと言っていました。
宇宙は永遠で無限みたいなもんだと。
しかし、明日、CERN が「ヒッグス粒子が見つかりましたよ」と「確実な発表」をおこなった場合は、(私にとっての)この世は終わりです。
アルマゲドンです。
もちろん、他の方には何の関係もないことです。
私にとっては、です。
私が夢にまで思い浮かべていた「無限の宇宙、そして人類そのものが宇宙である」という思想は、それこそ「宇宙の果て」にまでふっ飛んで消えていきます。
そう。この「宇宙の果て」というような宇宙に有限の広がりを設けたのも、ビッグバンであり、そのために必要だったのが「ヒッグス粒子」という想像上の物質でした。
進化論も、ミッシングリンクという「中間物」がいまだに見つかっていないですが、ビッグバンにも証拠としての物質はなかったはずです。計算以外は。そして、ヒッグス粒子が見つかれば、その証拠となり、ビッグバンは「あった」ということになります。
ということはそれで私の宇宙(のひとつ)は終わりですので、このブログでも、今後はビッグバンに関しての記事は書かないことになると思います。
ちなみに、「極めて見つかる可能性が高まった」という発表ではダメで、私の宇宙が終わるには、「見つかった」という断定の発表が必要です。
まあ、しかし、これだけ注目を受け続けていて、そこで事前に通告した上で発表するというのですから、見つかったのかもしれないですね。
昨年12月の過去記事でご紹介した、
・『神の粒子は存在しない』: CERN の発表
In Deep 2011年12月01日
あたりではちょっとホッとしていたんですけどね。
上の記事では、CERN の物理学者のポーリーン・ギャグノン博士という人が「ヒッグス粒子は存在しない可能性がある」と言っていました。
しかし、その後、見つかったのかもしれません。
ヒッグス粒子が見つかったとなると、なるほど、世の中がつまらない理由もわかります。もともとこの宇宙には「無限」という夢が存在しないという証拠になるのですから。
というわけで、ちょっとした日記となってしまいました。
後で、今日の翻訳の記事は書きますね。
ところで、もう少し日記を。
宇宙は私たちの中にあると信じていたい
あまり関係ないですが、ミュンヘン大学の最近の科学研究の論文発表の中に「人間の体の中では1秒間に 2500万個の新しい細胞が作られている」というリリースがあり、いろいろと考えたりしました。
・Neues aus der Welt der Mikrotubuli (ドイツ語)
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン 2012.07.02
この「新しい細胞」を「自分の分身」と考えてみると、下のようになると考えたのです。
・1秒間で2500万の「新しい自分の分身」が増えている。
・ということは1分間で 15億の自分が増えている。
・1時間で900億の自分が増えている。
・とすると、一日では、2兆1600億の自分が増えている
・1年では788兆の新しい自分がこの世に解き放たれている
ということになるなあ、と。
もちろん、同時に細胞は次々と死んでいきますから、一方的に増えるわけではなく、生まれ変わるという形、あるいは、「再生」かもしれないですが、そういうように、ものすごいサイクルの中で私たちの体の中では「命の再生産」がおこなわれているようです。
この1年間の約800兆の新しい「自分」を自分が生きた年齢にかけると、一生というのは、ずいぶんと「命の再生産」をしていることに気づきます。
そして、以前、「宇宙は人類そのものかもしれない」という概念に関して何回かふれたことがありました。
最近では、
・「宇宙は人間そのもの」という結論を夢想するとき
In Deep 2012年03月19日
というものがありました。
上の記事に、フレッド・ホイル博士が、お釈迦様の言葉を引用している部分を抜粋した部分があります。
『生命はどこからきたか』 第十五章より
フレッド・ホイル 1995年
紀元前六世紀に、ブッダの世界観はすでにコペルニクス革命以後に入っていた。彼は宇宙が、各々がわれわれの惑星系と似た数十億の ”小さな宇宙” から成り立っていると記している。ブッダの対話形式になっている古い仏教の教典のなかに無限の宇宙について述べられている。
「無数の太陽、無数の月、・・・、無数のジャムブディパス、無数のアパラゴヤナス、無数のウッタラクラス、無数のブッダビデバス」
ジャムブディパスとは当時の北インドの人々が知る限りの人の住んでいる地域を表す単語である。この対話から、ブッダが生命と意識が宇宙の構造に全体として結びついていて別々にできないものと捉えていたことは充分に明らかである。
お釈迦様とフレッド・ホイルの「無限の宇宙の夢」もヒッグス粒子の発見によって消えてしまうと思います。
想像上の物質に消されてしまう世界のあらゆる宗教と信仰。
まあしかし、それもまた今の私の生きている宇宙であり、その時代であるということなのかもしれません。
そして、これも確かに夢かもしれません。
悪夢も夢ですから。
藤圭子は1970年に「夢は夜開く」をヒットさせます。
その歌詞は、
十五 十六 十七と
私の人生 暗かった
過去はどんなに 暗くとも
夢は夜ひらく
とありますが、これは「開かない」ということになりそうです。
歌のラストは、
一から十まで 馬鹿でした
馬鹿にゃ未練は ないけれど
忘れられない 奴ばかり
夢は夜ひらく
馬鹿にゃ未練は ないけれど
忘れられない 奴ばかり
夢は夜ひらく
で終わりますが、やはり「開かない」ということのようです。
それがヒッグス粒子なのです(どんな粒子だ)。
まあ、明日、もしヒッグス粒子が見つかったと発表がありましたら、お酒を飲んで、
「ウィ〜、ヒッグス」
と酔っ払うのもいいかと思います(オチかよ)。
そして、今生きている「有限の宇宙」での暮らし方などを考えてみたいと思います。
このブログで「ビッグバンへの疑念」について記事を書くのも今日で最後になるかもしれないですので、これまでの In Deep の「ビッグバンの否定」についての過去記事をリンクしておきます。
ちょっと多くなりましたが、上から新しい記事の順番で記事で並べてみました。
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