2012年08月04日



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2012年8月は「人類による宇宙線の発見」から100年目



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(訳者注) 1936年にノーベル物理学賞を受賞したヴィクトール・フランツ・ヘス博士。受賞は「1912年の宇宙線の発見」に対してのものでした。

宇宙線は 1912年の8月に、人間によって初めて確認されたのでした。

今回はその話なのですが、最初に、本題と関係ないものですが、目に入ったニュースがありましたので短く紹介しておきます。「最近の福島県内の子どもたちからほとんどセシウムが検出されなかった」というニュースです。

以前、「セシウムは14歳以下の子どもの甲状腺ガンと「関係ない」ことが示される WHO の2006年調査論文」という記事を書いたことがありますが、そこで、仮にセシウムが検出され続けたとしても、


・事故の頃に生まれた赤ちゃんに甲状腺ガンの心配はない。
・14歳までの子どもに甲状腺ガンの心配はない。


と書いたのですが、今回の報道では、影響どころか驚くべきことに「セシウムそのものがほぼ検出すらされなかった」(検出率 0.1パーセント)ということでした。なぜ驚いたのかというと、セシウムの半減期(物質の影響がなくなる期間)は 30年ですから、環境には存在していると思いますので。

(もちろん WHO の論文通りなら、環境に存在していても子どもたちの健康に「影響はない」です)

ところが、子どもたちの体からは「検出すらされなかった」と。
報道を貼っておきます。


原発事故:福島の子供 セシウム検出0.1%に
毎日新聞 2012年08月03日

福島県内の幼児や児童約6000人を対象に今年4〜6月に実施した内部被ばく検査の結果を解析したところ、放射性セシウムが検出されたのは約0.1%だったことが、東京大医科学研究所の調査で分かった。幼児や児童では、取り込んだセシウムが代謝などで体外に出て30〜60日程度で半減する。東京電力福島第1原発事故から1年以上が経過し、現在は事故直後に取り込んだセシウムの影響がほとんど残っていない。

担当の坪倉正治医師は「今回の結果は、事故後もセシウムによる内部被ばくが続いていたチェルノブイリ原発事故の被災地と違い、事故後の日常生活ではセシウムの取り込みがほとんどなく、大半の子どもで慢性的な内部被ばくが非常に低いレベルにあることを示している」と説明する。



いずれにしても、ますます福島の子どもたちに「ほぼ何の問題もない」ことが次々とはっきりしてくるのは、「安心」の意味でも良いことですし、あと、以前のセシウムの記事を私が書こうと決めた原動力となった(他の地域の人々からの)「偏見」とか、そういうものが消えていくキッカケになればいいなとは思います。

もう少し涼しくなったら、最近仕事をやめた昔からの友人がいて、彼と福島を回る予定です。できれば、温泉にでもしばらく滞在したいですが、そんな予算もないので、野宿でもしてこようかと思っています。


さて、ここから本題ですが、宇宙線に関しての前振りがここから長くなってしまいました。



人類が宇宙線と向き合って 100年目の夏に思うこと


私が以前のブログから今の In Deep へとつないできた「大事な存在」のひとつが宇宙線でした。

私の中には、「宇宙線がこの世のほぼすべてのものを形成している」という考えがありますが、その私の考え方はともかくとして、先に、今回ご紹介する記事のことを説明しておきます。

今回のニュースを読むまで知らなかったんですが、今年2012年は「宇宙線がはじめて発見されてから 100年目」の年なのだそうです。つまり、発見されたのは 1912年のことだそう。

しかも、発見されたのは 8月 7日頃の、ちょうど今頃だったようです。ロシアのメディア「ボイス・オブ・ロシア」に記事としてあったのですが、ロシアのメディアらしく、宇宙線の「ソ連時代の研究」などについてふれられている珍しい記事でしたのでご紹介しようと思いました。

ちなみに、その100年前に最初に宇宙線を発見したのはオーストリア人のヴィクトール・フランツ・ヘスという人(後にアメリカに移住)で、この宇宙線の発見の功績で、ノーベル物理学賞を受賞したのだそう。

そのことも知りませんでしたので、 Wikipedai から抜粋しておきます。


ヴィクトール・フランツ・ヘス(Victor Franz Hess)

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▲ 宇宙線を発見したヴィクトール・フランツ・ヘス(1883年6月24日 - 1964年12月17日)。

オーストリア生まれで、後にアメリカ合衆国に移住した物理学者。
1936年、宇宙線を発見した功績でノーベル物理学賞を受賞した。

当時検電器に蓄えられた電荷が自然放電するのは、地球内部からの放射線によるものと考えられていたが、1912年、ヘスらは気球に乗って高度と放射線の強さの関係を測定した。上空に行くほど放射線強度が増加することを見出して、放射線が宇宙起源であることを示した。



この 100年前には、単に「宇宙から来る放射線」程度の認識だった宇宙線も、次第にその「存在」は大きくなっていきます。

今回のボイス・オブ・ロシアの記事では、「科学者たちは宇宙線を『宇宙の放浪者』(Wanderers of the Universe)と呼んできた」という文章から始まりますが、少なくとも、日本の科学者たちが宇宙線に持つ「感覚」は、「放浪者」という程度の扱いのものではありません。

たとえば、日本で宇宙線の研究として古い歴史を持つ研究機関のひとつに、東京大学の「東京大学宇宙線研究所」があります。

その東大宇宙線研究所の「宇宙線について」というページの中にある部分をそのまま抜粋します。色もオリジナルのページのままです。


宇宙線を調べると何が分かるのか

宇宙線を調べるのは、そこに物質に働く力の根源や宇宙の成り立ちについての情報がたくさん隠されているからです。前文部大臣の有馬朗人先生は、当研究所の神岡グループに次の言葉を贈ってくださいました。

「宇宙線は天啓である」

この言葉が宇宙線の本質を示しています。宇宙線とはまさに天からの啓示であり、そこには物質の根源のミクロの問題から宇宙のマクロの問題までの情報が詰まっているのです。



東京大学の科学者たちをして、「天啓」という言葉をそのページに赤い色で書き記させるほどの存在である宇宙線


そして、これらの科学的な研究とは関係ないこととはいえ、私自身は、最近、個人的に「宇宙線がこの世を形成している仕組み」というものを何となく曖昧ですが、想像したりします。

その「この世が形成されている仕組み」は、今までブログで書いてきたことの集大成にも当たることで、いつかまとめたいとも思っていますが、多分それには時間がかかりすぎて、その前に私は死ぬでしょう。

なので、このような記事の断片からでも、ご想像いただけると幸いだと思っています。



存在は何もかも「瞬間」だけの概念の世界かもと思ったり

そういえば、昨日 8月3日に、アメリカのワシントン大学から出されたニュースリリースで、

・地球が消滅するメカニズム

について言及している論文の概要がありました。

ご紹介したいとも思うのですが、その内容は私には難しく、少し時間がかかるかもしれません。リンクをご紹介しておきますので、おわかりになる方はお読みいただければと思います。

Vaporizing the Earth (地球の蒸発)
 ワシントン大学 (米国) ニュースリリース 2012.08.03

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かつて、B級SF映画などでは、「地球を消滅させてやる」と言って出てくるような宇宙人が登場したりしたものですが、「それはあり得る」みたいです。


上の理論とは違う話ですが、「この世が一瞬で消える、あるいは出現する」という概念に関しては、実は宇宙線でも説明できると思っています。

どんなに堅い鉱物でも、巨大な地質物質でも、その構成要素を極限まで小さく見ていけば、分子だの原子だの陽子だ、あるいはその核だの何だのといった「極限的に小さなレベル」になっていくわけですが、「では、それらはどうして結合して『モノ』として成立しているのか?」ということの根本的な理由は今でもわかっていないはずです。

粒子がモノになる必要がどうしてあるのか。


宇宙線は「地球の中を貫通していくほど」の小さくて、そして非常に高いエネルギーを持つ粒子であるということは、「宇宙線は地球のすべての存在の構成要素の中を通過しつつも、その構成要素に強烈な影響を与えているはず」ですけれど、だったら、「宇宙線に意志があるなら」という前提としてですが、

この世から「粒子の結合」というイベントを消してやる

ということもできるような気がしたりしたことがあります。

つまり、「この世はなくなる」わけです。

でも、この世はこのように存在しています。

この世は今存在しています。

つまり、それがすべてだと思います。

この世は今のこのように「在る」ことが「この世が在る」ことの何よりの証明となっているということで・・・まあ、何だか変な論調になっていますが、この前の「日常にある天体の奇跡」という記事の途中で、


実際のところ、私たちが今存在していること自体がオカルトで、「この世が存在していること自体に合理性がない」ということは、科学者たちの中でも、ある程度認めている人が増えています。

つまり、「私たちっていうのは何だかよくわからない」と。



という部分につながる話でもあります。

概念としては 400年前にジョルダーノ・ブルーノというイタリアの科学者の書いたものの中でこの「全体である宇宙線」を感じる部分を以前、記事に抜粋したことがあります。

「人間は最初 宇宙線だった」:埴谷雄高さんの1994年の言葉
2012年03月17日

という記事の中ですが、ふたたび部分的に抜粋しておきます。




bruno-07.png『無限、宇宙および諸世界について』第二対話より
ジョルダーノ・ブルーノ 1585年

この無限にして巨大なるものは、何ら特定の形態ももたず、外物に作用する感覚も持っておらぬにもかかわらず、一つの生き物なのです。

世界は生命体であり、そのなかには無限の動力と無限の動的主体が、上に述べたようなありかたで、はっきりと存在しているのですから。





この時代には宇宙線(のような概念)は別の用語で現されていましたが、用語はともかく、

「無限にして巨大なるもの」
「何ら特定の形態をもたず」
「外物に作用する感覚も持っておらぬにもかかわらず、一つの生き物」


というこの性質は宇宙線そのものだと私には感じます。
そして、ブルーノは「それがすべて」だと言っているようにも感じられます。


というわけで、「宇宙線発見100年記念」の報道記事をご紹介します。

下の記事を読んで初めて知ったのですが、遠い惑星の表面の観測(組成を調べる)にも宇宙線の計測でおこなっているのですね。




Centennial anniversary of cosmic rays discovery
Voice of Russia 2012.08.03

宇宙線発見 100周年


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それは「宇宙の放浪者」とも呼ばれており、私たちの宇宙の中で最も精力的なプロセスの軌跡を描いている。その名称を「宇宙線」という。今年 2012年8月は、オーストリアの科学者ヴィクター・フランシス・ヘスによって宇宙線が発見されてから 100年目を迎えた。


現在、宇宙に関しての実験と研究の中で、宇宙線に関してのものが非常に多い。

ちなみにこの「宇宙線」( Cosmic Ray )という用語はやや紛らわしい部分があり、本来は、非常に高いエネルギーをもち、宇宙から地球に絶えず高速で降り注いでいる原子核や素粒子から成る。「宇宙線」という言葉は、米国の物理学者ロバケート・ミリカンによってつくられた造語だ。

1920年代には、宇宙線の放射線の性質についての議論があった。一部の科学者たちは、高エネルギーの光子を示すとして、また、他の科学者たちの中は、荷電粒子と関係しているとした。

ソビエト連邦時代の科学は、宇宙線探求の最古の歴史を持つ。1920年代にはソ連の科学者ドミトリー・スコベルツィンは、ロッフェ物理技術研究所で電離放射線の測定を行っている。その後、この研究はセルゲイ・ヴェルノフに引き継がれ、モスクワで研究が続けられた。

セルゲイ・ヴェルノフは、「宇宙線を宇宙空間で直接観測する試み」を初めておこなった学者としての栄誉を持つ。彼は衛星に機材を搭載し、宇宙線のエネルギーのスペクトルと元素の組成を研究した。


そのような長い研究の歴史を持つ宇宙線だが、不思議なことに、今に至ってもなお宇宙線についての神秘は解き明かされていない。


宇宙線のエネルギーは凄まじいもので、それは CERN の LHC (大型ハドロン衝突型加速器)で作られるエネルギーを数桁上回るほどの高エネルギーを持つ。そのような異常に高いエネルギーがどうして宇宙に存在し得るのかは明らかになっていない。

超新星爆発が宇宙線の主要な要因であるという仮説があるが、しかし、このプロセスも正確なメカニズムは確立されてはいない。

しかも、宇宙線は均一なものではないのだ。

今日、科学者たちは、太陽宇宙線、銀河宇宙線など、構成要素の違ういくつかの宇宙線を選別できる。現在の理論では、超新星爆発で生み出されるとされるのは後者の銀河宇宙線だ。

しかし、銀河系の外からやってくる「異常な宇宙線」もある。


現代科学は、この宇宙線の起源と、その高エネルギーの加速のメカニズムを説き明かすことに懸命となっている。

そして、宇宙線を理解することは、宇宙そのものを理解することにも繋がる。
たとえば、惑星の表面の観測するために、中性子の分光計で宇宙線の小片を測ることで観測をなし得る。あるいは、その惑星の組成についての情報も中性子のエネルギーのスペクトルが示す。

ロシアの中性子探知機 HEND と LEND は、それぞれ火星と月で「水」を発見したが、これはこの宇宙線の中性子の観測によるものだ。


そして、最終的に,宇宙線はいまだに実験よって人類が見つけることができていない「理論モデル」の証拠へと肉薄する可能性がある。

そのひとつが「暗黒物質」の検索と関連することだ。


しかし、これは「我々の存在する宇宙のあやうさ」の理解にも繋がることかもしれない。





(訳者注) 過去記事の宇宙線関係の記事で、個人的に好きなものをリンクしておきます。

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[宇宙線]に関連した過去記事:

太陽と宇宙線と人類の関係の中で浮かび上がる 1900年代ロシア宇宙主義の科学
2012年06月22日




私たち人類も他のあらゆる生命たちも「宇宙線にコントロールされている可能性」を感じて
2012年06月13日

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[1年前の In Deep ]
2011年08月05日の記事

複数のCME(コロナ質量放出)が結合した強力な磁気の雲が地球にやって来る

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[2年前の In Deep ]
2010年08月03日の記事

南京虫の異常増殖に対しニューヨークで南京虫対策の特別キャンペーン

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