タイトルの「亀裂」というのは物騒な響きですが、最初、ロシアのニュースで見て、そのニュースの見だしからもらったものです。そのタイトルは、「太陽に出現した亀裂に関してわかれる科学者の意見」という下の報道でした。
▲ ロシアのニュースサイト ヴェスチ より。
このロシアのニュースの本文は下のような感じで始まるものです。
太陽の表面に、まるで太陽をふたつに分割するかのような恐ろしい黒い「亀裂」が発見された。この亀裂は、8月5日からの3日間のあいだに急速に発達し、長さ100万キロ近くまでの亀裂となった。
この亀裂は今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性があるとロシアの科学者たちは言う。
私は読んで意味がよくわからず、「なんだ? 太陽の亀裂って」と思って、遡って NASA の太陽の画像をたどっていくと、「ああ、このことか」と思い至りました。
下の画像は数日前の 8月5日に撮影された、太陽の画像です。
太陽の中央にある黒いラインのことを「亀裂」というような表現で表していたようです。
しかしまあ、「亀裂」というのは、意味としては「穴」のことで、割れていっていることを現しますが、この黒のラインは表面上に「出現」したものですので、亀裂という意味ではないとおもわれます。これは、英語とロシア語の言葉の表現上の問題でもあるのかもしれないですが、そこまでわからないです。
一般的には、これらは「フィラメント」と呼ばれていて、 In Deep の過去記事でも、印象的なフィラメントが現れた時には紹介したことが何度かあります。
フィラメントは珍しいものではないですが、上のものは、長さが約100万キロ(地球の直径の約 80倍)に達する巨大さと、あとは「かなり黒色のフィラメントである」ことは珍しいと思われます。
太陽フィラメントについての In Deep の過去記事を写真と共にいくつかリンクしておきます。
文字のようなフィラメント(2011年11月)
巨大な円形を描いたフィラメント(2010年10月)
顔の形を描いたフィラメント(2010年12月)
他にも過去記事に数多くあるように、太陽表面のフィラメント自体はそれほど珍しい現象ではないのですが、では、なぜ上記記事で、ロシアの科学者たちが、
> 今後数ヶ月の間に、地球上の生命に悪影響を与える可能性がある。
というようなことを言っているかというと、フィラメントが巨大になった場合、「通常とは違う発生過程による太陽フレア」が発生することがあることが確認されているからだと思います。
これは、「黒点がない状態でも発生する太陽フレア」で、 NASA など米国の天文学会ではこの現象をハイダーフレアと呼んでいますが、一般的な言葉なのかどうかは不明です。かつて、スペースウェザーがこのことを取り上げたときの記事を抜粋します。
翻訳記事で、元記事はSOLAR FILAMENTです。
太陽フレアの原因ともなりうる巨大なフィラメントが地球の方向面で成長中
In Deep 2010年05月20日
太陽は今日も無黒点でしたが、活動していないわけではありません。現在、非常に長い磁気フィラメントが、太陽の北方面に伸びています。この長さは、端から端まで10万キロメートルもの長さがあります。
このような形のフィラメントは、不規則に成長して爆発することが知られていて、その無黒点での爆発は、ハイダーフレアと呼ばれています。もし、今そのハイダーフレアが起こった場合、フィラメントの向きが地球に向いていることから、地球も多少の影響を受ける可能性があります。
というものです。
そのため、場合によっては、非常に巨大な太陽フレアが地球に向かって放出される可能性があるため、科学者たちはそのようなことに言及するのだと思われます。
しかし、私はこれらの「巨大な太陽フィラメント」に関して、今年になってから、他のことを感じるようになっています。
「龍の年」である2012年の今年のはじめに「龍」と「ヘビ」に関して、かなりの数の記事を書いたのですが、それらを書いている中で、この太陽フィラメントという存在は、もっとも、その龍やヘビといったものの動きと似ている動きをしていることに気づきます。
龍やヘビの関係の過去記事は記事下にリンクしておきます。
今回の 8月5日の太陽フィラメントなんかは格別に「ヘビ」っぽいんですが、その日のスペースウェザーの記事を見てみましたら、まさに「太陽のヘビ」というタイトルで紹介されていました。
しかも、その「ヘビ」の英語はスネークではなく、サーペント( Serpent )とスペースウェザーは表記していました。
これは旧約聖書に出てくる「悪としてのヘビ」の意味の英単語で、今年はじめころの In Deep でも、この「サーペント」の単語には妙にこだわった記憶があります。Serpent の辞書での意味は、
1 蛇 (snake)
2 悪魔;サタン〈《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉(Satan)
3 陰険な人, 狡猾な人, 悪意のある人
4 蛇花火
5 セルパン:蛇の形をした木管楽器
6 《天文》へび(蛇)座(Serpens)
というようなことになっています。
この2番目に「《聖書》創世記3:1-5;黙示録20:2〉」とありますが、このあたりについて、過去記事の、
・ヘビとウロボロスとケツァルコアトルと月と太陽をめぐる旧約聖書『創世記』への疑問のようなもの
In Deep 2012年04月08日
という記事で取り上げたのが最初だったと思います。
まあ、このことだけではないですが、一度関心をもったことに関しては何度も何度も関わることになるというような傾向が私のブログにはありますので、今後も「サーペント」、あるいは「旧約聖書への疑問」との関わりは続いていきそうです。
いろいろと「中から出てくる」2012年
全然関係ないですが、数日前、タイ北部の町で、「仏像のお腹の部分が突然崩壊して、その中から別の仏様の顔が出てきた」という出来事があり、そのお寺には今、参拝者の人々が列をなしているそうです。下がその仏様の写真です。
▲ タイのローカル紙 カオソッドより。
なんかスゴイですよね。
上の記事はタイ語の記事なんですが、タイのニュースもおもしろいものがいろいと貯まっていますので、そのうちまとめて翻訳してご紹介できるかもしれません。
なんというか・・・こう、「良いものも悪いものも、いろんなものがどんどんと表面に出てくる」というような感じのニュースが最近は多い感じがします。
2012年というのはそういう年なのですかね。
そんなわけで、また次第に内容が混沌としそうですので、8月5日のスペースウェザーの記事をご紹介して今回は括りたいと思います。
SUN SERPENT
Space Weather 2012.08.05
太陽のヘビ
世界中の天文家たちが、現在、太陽の表面に出現している巨大な太陽フィラメントに注目している。このフィラメントの長さは、地球から出発して月にまで届くであろうほどの巨大さだ。
このフィラメントはその大きさのため、アマチュア天文家たちの望遠鏡でも十分に観測できる。
下の写真は、アマチュア天文家のリチャード・フリートさんがイングランドのウィルトシャーにある自宅の望遠鏡から撮影した写真だ。
このフィラメントは数十億トンのプラズマで満たされており、太陽風と大気の中にある巨大構造のため、安定していいないように見える。
そのため、このフィラメントが崩壊する際に「ハイダーフレア」という巨大な太陽フレアを誘発する可能性がある。