相変わらずいろいろなニュースがこの世にはあって、下の写真は、ボスニアで発掘された2体の「巨人」の頭蓋骨だそうです。
・・・・・というのはウソで、上の写真は 2009年に「写真エフェクト・コンテスト」に出品された合成写真作品の一枚です。
2009年に運営を停止した、米国の Worth1000 という会員制サイトで 2002年から2009年まで続けられていた写真やイラストレーションのコンテストがあり、この2009年の写真エフェクトのテーマは、「ジャイアント・マン」でした。今はログインしないと見られないですが、アーカイブに残されています。
上の写真の作者はケヴィン・アンダーソンさんという人によるフォトショップでの合成です。まあ、パッとみても、ふたつの頭蓋骨の下のマルの部分の「壊れ方」が同じで、フォトショップのコピペをベースに作っていることがわかります。
いずれにしても、このコンテストの「ジャイアント・マン」のテーマの際には数々の傑作が作られました。下の写真に添えられたストーリーは「1934年にニュージーランドで農民が巨人の頭蓋骨を発見」というもの。
これは、ノリット(Norrit )というアーティストによるもので、ノリットさんは他にも、幻想的な光景を含む様々な合成写真作品を作っています。
下の「日本の観光地」の写真も、別の年にコンテストに出品されたノリットさんによる作品です。
ちなみにインターネット上に「巨人の骨」として出回る写真の一部はこの時のコンテストの写真であるものが多いです。下のものなどはすべて2009年のコンテストの出品作品です。
何の関係もない前振りでしたが、写真というものは、映像も含めて今の時代ではすでにリアルとフェイクの差を見た目から判断することは難しくなっています。なのでまあ、自分の感性だけで見て判断するのもいいのではないかとも思います。
ところで、上で「ニュージーランド」という言葉が出て来ていますが、今回はこのニュージーランドのことを書いておきます。
火山噴火などに関係した話です。
ニュージーランドと「海底火山」の関係
ニュージーランドの最近の一連の出来事は 8月6日の火山の噴火から始まり、一昨日の「ニュージーランド近郊の太平洋上に、ベルギーの国土面積ほどもある「軽石が島のように群生した」巨大な漂流物が発見された」という報道に続きます。
どれも日本語の報道になっていますので、最初にその報道をそれぞれ短く抜粋しておきます。
ニュージーランドの火山が115年ぶり噴火、国内線が欠航
ロイター 2012.08.07
▲ 噴火したトンガリロ火山。
ニュージーランド北島中部のトンガリロ山が6日夜、115年ぶりに噴火した。
トンガリロ山は標高1978メートルで、最後に噴火したのは1897年。ニュージーランド地質・核科学研究所のスティーブ・シャーバーン氏は、トンガリロ山の活動は断続的だったことから、噴火の規模が大きかったことは予想外だったと述べた。
南太平洋上に白い巨大物体が浮遊、海底火山噴火が原因の「軽石」か
CNN 2012.08.11
ニュージーランド海軍は9日、南太平洋上に浮かぶ1万平方マイル(約2万6000平方キロメートル)以上の巨大な軽石を発見した。ちなみに米国ロードアイランド州の面積は約1200平方マイルだ。
軽石を目撃した水兵は「過去18年間に海でこれほど奇妙な物は見たことがない」と語った。
火山学者のヘレン・ボストック氏は、この軽石は海底火山の噴火でできたと見ており、今後噴火した火山を特定するための調査が行われるが、最近この付近では海底火山「モノワイ」の活動が確認されており、軽石はモノワイの噴火によって生成された可能性があるという。
というものです。
下の「軽石の島」についてのニュースはニュージーランドの報道では、その海上に広がる面積が「ほぼベルギーの国土面積と同じくらい」と表現されていました。
こちらの報道には映像もあります。
正直いって、写真を見ても映像を見ても、どのような状態なのか今ひとつわからないのですが、いずれにせよ、それだけ広大な面積を漂うほどの膨大な軽石が海底から噴出しているということは確かなようです。
そして、その「原因」。
上の CNN の報道の火山学者は、モノワイ(Monowai)という海底火山によって生成されたものではないかと言っていますが、だとすると、海底火山モノワイはそれまでも活動を続けていたわけですので、可能性としては次の二つとなるように思います。
・海底火山モノワイの活動が「突如」として活発化あるいは激化した
か、
・この軽石の原因は海底火山モノワイからのものではない
のどちらかになると思われます。
なぜなら、ひとつの国家ほどの面積を形成するほどの軽石の群生が、完全には散らばらずに集まって漂っているということは、海流(海面の流れ)が軽石を個体が散らされていく以上の速度と威力で「強烈な噴出」が起こっているという状態が起きているような気がします。
地震学者の言う海底火山ではなく、別のものである可能性もあるように思います。
何しろ、海底の火山というのは知られていないものが多く、深海などにあるものでは知られていないものの方が多いのではないでしょうか。
2年以上前に、北マリアナ諸島のサリガン島という島の近くで海底爆発が起きたのですが、その際に、米国気象局は「噴火した海底火山は、米国気象局の知らなかった新しい火山だった」と発表しています。
過去記事にあります。
・北マリアナ諸島で噴火した海底火山は米国気象局の知らない未知の火山だった
In Deep 2010年06月01日
この「海底爆発」のすごさは、2009年に爆発した、南太平洋で噴火した海底火山の動画などでおわかりかと思います。下の動画は、当時のAP通信の映像ニュースです。
2009年の南太平洋での海底火山噴火
しかし、今回のニュージーランドの軽石では、このように海上に向かって噴煙が上がっているわけでもないわけで、つまり、「海底で何が起きているのか」は実際には誰にもわかりません。
そして、現在、多くの地質学者たちがこの一連のニュースに注目しているようなのですが、どうして多くの科学者たちがこのニュージーランドに注目するかというと、ニュージーランドは「地球の中にいくつかある最大級のスーパー火山を持つ地帯」のひとつだということもあるように思います。
今回はこのことを振り返って記しておきます。
地球の7つの超巨大火山
2005年にオーストラリアにあるモナシュ大学という大学の教授、レイ・キャス( Ray Cas )博士が、大学のニュースリリースに、「超巨大火山の噴火での地球の壊滅的な被害」というタイトルの文章を掲載し、そして、「その時期が迫っているのではないか」と記しました。
下がオリジナルのページです。
・Super-volcanoes greatest hazard on earth(英語)
モナシュ大学 ニュースリリース 2005.03.31
この中でキャス教授は、
「スーパー火山の噴火が起こった場合、膨大な量の岩石と灰が放出され、有毒ガスが広範囲に拡散する。死者は数十万から数百万人に達し、気候や食料生産に深刻な影響を及ぼす。スーパー火山の噴火が起きる可能性がある地域としては、ナポリやニュージーランド、インドネシア、南米および北米。インドネシアではトバ山だ。スーパー火山の噴火を上回る地球の脅威は小惑星の地球衝突くらいだ」
と書いているのですが、まあ、やや大げさな部分はともかく、可能性として挙げている地域の中に「ニュージーランド」があるのがおわかりだと思います。
地球には「7大超巨大火山(スーパー・ボルケーノ)」というものがあり、教授はそれを指しているのだと思いますが、その世界7大超巨大火山は、
1.セージア渓谷 (イタリア)
2.イエローストーン (米国)
3.薩摩硫黄島 (日本)
4.トバ火山 (インドネシア)
5.ニュージーランド北島のカルデラ群 (ニュージーランド)
6.シャツキー海台 (太平洋の日本側)
7.オントンジャワ海台 (ソロモン諸島)
2.イエローストーン (米国)
3.薩摩硫黄島 (日本)
4.トバ火山 (インドネシア)
5.ニュージーランド北島のカルデラ群 (ニュージーランド)
6.シャツキー海台 (太平洋の日本側)
7.オントンジャワ海台 (ソロモン諸島)
だそうです。
それぞれのわかっている部分は下のような感じです。
1.イタリア・セージア渓谷
場所:イタリア・アルプス
最後の大噴火:約2億8000万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍
最後の大噴火:約2億8000万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍
2.米国イエローストーン
場所:米国
最後の大噴火:64万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍
最後の大噴火:64万年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ1000倍
3.薩摩硫黄島
場所:日本・鹿児島
最後の大噴火:7300年前
噴火の規模:雲仙普賢岳の1回の火砕流噴の数十万倍
最後の大噴火:7300年前
噴火の規模:雲仙普賢岳の1回の火砕流噴の数十万倍
4.インドネシア・トバ火山
場所:インドネシア・スマトラ島
最後の大噴火:約7万4000年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ3000倍
最後の大噴火:約7万4000年前
噴火の規模:セントヘレンズ山の大噴火のおよそ3000倍
5.ニュージーランド北島のカルデラ群(タウポ)
場所:ニュージーランド・北島
最後の大噴火:西暦150年頃
噴火の規模:不明
最後の大噴火:西暦150年頃
噴火の規模:不明
となっています。
6番目と7番目の「シャツキー海台」と「オントンジャワ海台」は今は海底なのですが、詳細はほとんどわかっていません。このうち、シャツキー海台というのは、日本とハワイの間あたりの太平洋上にあります。
そして、この場所は、日本の茨城大学の地質情報活用プロジェクトにより研究されています。
茨城大学地質情報活用プロジェクトの2009年9月27日の記事から抜粋します。
みなさんは大規模海台というものを御存知でしょうか?
今から約一億年くらい前の白亜紀、地球全体で火山活動が活発になり、様々な場所で火山活動が起こりました。(中略)
現在私たちは、白亜紀のはじめに太平洋の海底に噴出した大規模海台「シャツキー海台」を調査しています。この海台は日本の本州ほどの大きさがあり、玄武岩でできています。実は、このような大規模海台の形成メカニズムはまだ分かっていません。
シャツキー海台は水深が3000m以上ある海底にあるので一般的な地質調査のように野外を歩いて調査するわけには行きません。洋上の船からドリルを下ろして海底を掘り、その石を調べるのです。
要するに、「地球の地質活動が活発になる時期」というのは、地表だけではなく、海底でも活動が活発化するもののようで、特に1億年ほど前には、太平洋あたりは、とんでもなく激しい地層の活動を繰り返していたようです。
そして、地殻活動の変化と、「海水面の変化」などにより、地球の形というのはそれなりに変わっていく時もあるものなのかもしれません。
今回のニュージーランドの海底での異変がこのまま収まるのかどうかはよくわからないですが、地球の地殻変動の時期というのは、大きなスパンでは同じような時期に集中する傾向があるようですので、その意味もあって、ニュージーランドは注目を集めているのかもしれません。
いつの日かの地球
先日、「北極で嵐が起き、急速に氷が溶けている」ということがありました。
・きわめて珍しい「北極での嵐」の発生により深刻な氷の溶解が進行中
地球の記録 2012年08月13日
もしかすると、すべての環境の状況が相互に影響し合いつつ進行する「巨大な地球の変貌」というものの中に私たちが今いる可能性もないではないのかもしれません。
もちろん、そうではないかもしれないですが、地球の地層などは、「時間軸が存在している世界である限り、地質の大変化はいつかは起きる」ということを示しています。
そして、それは思いの他、早いペースで発生して進行すると私個人は思います。
地球の地質環境の変化の根幹は、下のようなものではないかと考えることがあります。
順番ではなく、これらが相互に影響するというような意味です。
・天候と海流の変化による「地球の氷の消滅」
・それによる海水面の上昇
・ポールシフトによる変化
・地熱(地下の放射性崩壊)の変化による地球の気温の変化
・地表と海底の大規模な地質活動
・それによる海水面の上昇
・ポールシフトによる変化
・地熱(地下の放射性崩壊)の変化による地球の気温の変化
・地表と海底の大規模な地質活動
多分、私たちはある程度のその進行状況をリアルタイムで見ているような気がします。
近いうちに「全世界での氷の溶解」について書いてみたいと思います。