2012年09月13日



2015年10月7日に In Deep は http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。




カリフォルニアの異臭は「アメリカのメッカ」から放たれたものか、あるいは違うのか



mecca.jpg

▲ 米国カリフォルニア州メッカ。今回の異臭騒動の元と報道されるソルトン湖があります。写真は「メッカへようこそ」の看板。
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昨日の、

赤く染まるユーラシア大陸最大の川とカリフォルニアの周囲 100キロに漂う9月11日の腐臭
 In Deep 2012年09月12日

という記事の中で、カリフォルニアの広範囲で「異臭」が漂っているというようなニュースを取り上げたのですが、今朝になり、いろいろとわかってきました。興味深い部分もありますので、何かの推定や結論を出すという意味ではなく、いくつか知り得たことをご紹介しておきます。

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群発地震に続く異臭と、メッカに位置するソルトン湖という存在


まず、「異臭の範囲」なんですが、昨日の上の記事では百数十キロ程度というようなことでしたが、その後、AFP 通信の報道がありました。一部抜粋します。


地震の予兆? カリフォルニアの異臭騒ぎ、原因は…
AFP 2012.09.12

afp-solton.jpg

▲ 米カリフォルニア州メッカの南に位置する同州最大の湖、ソルトン湖の湖面

米カリフォルニア州で10日、卵の腐ったような臭いが約240キロメートルに及ぶ広い範囲で確認され、専門家による調査の結果、付近の湖で死んだ魚や藻類が原因であることが判明した。

10日に強烈な刺激臭を当局に通報した人は200人に上り、同州で長く発生が懸念されている巨大地震の予兆となる何らかの地熱現象ではないか、との憶測がインターネット上を駆け巡った。

だが、南海岸大気質管理地区の専門家らが翌11日に行った発表によれば、臭いの元は同州南部サンディエゴから東に数時間の距離にあるソルトン湖にほぼ間違いないことが分かった。



今回の異臭の範囲なんですが、非常に大ざっぱに表すと、下の緑の丸の部分となります。赤い部分はカリフォルニア州。★はソルトン湖の大体の場所。

Map_CA.png


そして、上の AFP にある「240キロの範囲」という範囲ですが、上の地図だとそれほど広くは感じないかもしれないですが、日本で見てみると相当な広範囲にわたることがわかります。

下は関東の地図に200キロのスケールをつけたものです。

map-tokyo.png


240キロの範囲だと、複数の都県がそっくり入る広さとなり、こうなると、上の報道の、


> 臭いの元は同州南部サンディエゴから東に数時間の距離にあるソルトン湖にほぼ間違いないことが分かった。


という部分に対して、どうも疑問というのか、不思議な部分を感じます。

たとえば、どこでもいいのですが、仮に「東京湾で見たこともない数の魚の大量死」があったとしても(ここでは風向きを無視します)、その匂いが群馬の前橋とか静岡県まで届くものだろうかというような単純な疑問です。上の関東の地図を見ると、240キロというのは大体そういうことになります。

それと、もう一度、アメリカのほうの地図をご覧いただきたいのですが、匂いの感じたほうから見ると、ソルトン湖は「東」にあります

世界の風というのは「どの方向に進んでいる」のかというと、少なくとも北半球では、一律で、

arrow-right.jpg

です。

西から東。
地図でいえば、左から右。

世界全体で見れば「風」は下の矢印の方向に進みます。

jet-01.jpg

▲ 日本経済新聞 「偏西風、異例の長期蛇行 世界に異常気象もたらす」より。


もちろん、小さな範囲ですと、いろいろな風向きがあるわけですが、今回くらいの大規模な範囲での匂いの原因がソルトン湖なら、「ソルトン湖の右側(東側)で、さらに多くの異臭の報告があるはず」だと思われます。

風と逆走して200キロ以上に漂うような匂いなら、風下だとその何倍もの範囲で匂いの報告があるはずだからです。下の地図だと〇で囲んだあたりです。

arizona-m1.jpg


しかし、報道ではそれはあまりないようなのです。

ただ、米国の BBS などを見ますと、テキサス州から「匂いを感じた」というものもありましたので、全貌が明らかになるのはもう少し先かもしれません。

ちなみに、カリフォルニア州の人たちが今回の異臭騒動に敏感になっているのは、最近続いている群発地震と関係しているかもしれません。

私は偶然、カリフォルニアの群発地震が始まった日(日本時間の 8月27日)に USGS (アメリカ地質調査所)のサイトを見ていまして、やや驚いたものです。

下の表は群発地震が始まった8月26日(日本時間8月27日)の1日の地震のデータの一部です。

eq-100.jpg

データはマグニチュード2.5以上のものだけで、その規模の地震が「数分おきに発生していた」ということがおわかりかと思います。

なお、カリフォルニアのローカルメディアの BBS には、多数の「異臭」に関する報告が載せられていますが、人によってはかなり神経質になっているようで、AFP の記事にあるような地震のことだけではなく、あるいは中には「イエローストーンの噴火の予兆では」というような書き込みまであります。そのことに関して書いている人たちは「腐臭は硫黄臭ではないのか」ということを書いています。

確かに、報道にある「卵の腐ったような臭い」と硫黄の匂いというのはリンクする気もします。


いずれにしても、今回の広い範囲の異臭がソルトン湖のものだというのなら、偏西風と逆に進むような強い天候(ハリケーンや竜巻のような)が必要だと思うのですが、そういう天候が当日あったのかどうかということかもしれません。

そのような天候がなかったのなら、この異臭はソルトン湖の匂いではないかもしれません。

それに、「ソルトン湖の腐敗」は今に始まったものでもなく、ソルトン湖の匂いがどのような範囲に広がるかは「その範囲」に関しての経験則のようなものがあると思います。さらに、昨日の ABC ニュースにあった異臭のプロであるはずの地元の大気質管理地区の職員も「このような匂いは経験がない」と言っていることが書かれていて、つまり、「日常的な出来事とはいえない面もある」と感じます。


この「ソルトン湖」という湖、私は今回のことを記事にするまで知らなかったのですが、非常に「いわくつき」の湖のようで、これは下にナショナルジオグラフィックのリンクを示しておきますので、興味のある方はそちらをお読み下さい。そのページの「特集関連の豆知識」というところにまとめられています。

特集:ソルトン湖
 ナショナルジオグラフィック 2005年2月号


それにしても、このソルトン湖のある場所が「メッカ (Mecca)」という地名だったというのがまた何とも。カリフォルニアにそういう地名の場所があるんですね。

そして、その「アメリカのメッカ」の今の現実は下のような感じらしいです。

Salton-Sea-Fish.jpg

The Blazeより。カリフォルニア州メッカのサルトン湖に夥しく散らばる魚の死骸。すべてティラピア。この湖の水では、今ではティラピアくらいしか生きられないのだそうです。



というわけで、カリフォルニアの異臭の報道の続きに関してでした。

関係ないですけど、昨日の記事は「中国の赤い川」と「メッカの異臭」だったのですが、

「なんか、それと関連するものがあったなあ・・・」

と思い出していましたら、そういうタイトルのレコードを持っていたんです。キャバレー・ボルテールという英国のバンドの「レッド・メッカ ( Red Mecca ) 」という文字通りのアルバムでした。
30年くらい前にリリースされたものだと思います。

red-mecca.jpg

十代の時にリリースされたレコードを、30年後に奇妙な事件で思い出すとは。



実家も洪水に巻き込まれて

そういえば、最近、洪水の記事ばかり書いていたら、私の北海道の実家の町も洪水になってしまいました。

岩見沢で観測史上最大の降水 7900人に避難勧告
北海道新聞 2012.09.12


iwamizawa-2012-09.jpg

▲ 9月12日の北海道岩見沢市の様子。


北海道でも場所によるでしょうけれど、岩見沢あたりは基本的に豪雨の被害とか洪水被害は少なく、やはり珍しいと思います。私が洪水として記憶にあるのは、まだ北海道にいた頃ですので 32年くらい前だと思いますが、その頃に洪水が発生したのを覚えていますが、それ以来だと思います。

実家に電話してみると、気の毒なのが農家の方々でした。

うちの実家は商売の関係で農家の人たちとの交流が結構あるのですが、実は今年の岩見沢の稲作は「近年希に見る豊作」だったんです。

そしてもう何ともいえないのですが、洪水は 9月11日の夜から始まったのですが、一部の農家では今年の稲刈りは「 9月12日から始める予定」だったのだそうです。今朝の新聞にも出ていました。


実り一転、農家落胆 稲、大豆…冠水「品質落ちる」
北海道新聞 2012.09.13

11日夜から12日朝にかけて南空知を襲った集中豪雨は、基幹産業の農業にも打撃となった。岩見沢市や空知管内長沼町では水稲や大豆などの農作物が冠水する被害が発生。今年は好天のため作柄は良好とみられていただけに、収穫の準備をしていた生産者たちは「品質が落ちてしまう」と落胆している。



実家と電話で話していて、「岩見沢は冬の大雪といい、自然災害でだけ全国報道されるね」と言うと苦笑していましたが、実際、自然災害は怒る相手もないわけで、それだけにいろいろと切なさがあります。

それでも、空や大地を恨んでも仕方ないし、これからの地球の予測などは誰にもできないですし。


前回の記事などで書きましたデヴィッド・キースという人の著作『西暦535年の大噴火』を読んでいて、この本の最後はこうしめられています。


太陽黒点活動、流星や彗星の衝突、地球軌道の定期的な小変化、そして地球の回転軸のわずかな変化。こういったことはいずれも、気象と人類史を一変させる力を持っている。

だが、以上のうちのどの要素が今後の人類の運命を決定するかは、実際に起こってみなければわからない。



私も、確かにそう思ったりします。

「実際に起こってみなければわからない」。

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[アメリカ西海岸]に関連した過去記事:

太平洋上に出現した3つの「渦」: アメリカ数州で非常事態宣言と大統領災害宣言が発令
2010年12月23日




太陽活動が弱くなる中で「異常な高温」 を記録し続けるアメリカ

2012年06月29日



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