2012年09月21日



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水星の真実(3): 「水星は他の惑星とはまったく違う起源を持つ」可能性があることが無人探査機のデータによって明らかに



関係過去記事:







 


最近は暗いニュースや、どんよりした気分になるニュースが多かったですが、今回の「水星は他の惑星とまったく違う起源と組成を持っているかもしれない」というようなタイトルのニュースを見た時には、「うひょひょ」と、思わず、きんどーさん的な笑みがこぼれました。


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きんどーさんは顔や体型など本当に私と似ているのですが、そのことは今回は置いといて(永遠に置いとけ!)私は、9月というのは暑さから解放されるせいなのか、どうも「突然」というように宇宙の方向への興味が増大します。

最近・・・まあ、昨日もですが、寝ようとすると、一晩中、頭の中で「雨と宇宙線と微生物の関係」のことについての概念のようなものが鳴り響き、「おー、また秋の発狂シーズンがやってきたか」と思います。

確か昨年も、あるいは一昨年も、その前もそうだったと記憶しています。
この時には頭痛が付随します。

寝れば夢にジーサンが出て来て妙なことを呟き、眠らないと眠らないで頭の中が上のようなこと(雨と宇宙線と微生物の関係のようなこと)で埋め尽くされて発狂寸前になります。



ところで、この「雨」なんですけど、昨日半分眠った状態で、「ああ、そうか」と気づいたことがあります。実は雨に当たるだけで私たちは「おびただしい数の生命の洗礼を受けている」ということについてです。ちょっと書かせてください。




ほんの数秒、雨に当たるだけで、私たちは数億個とか数兆個の単位の「生命」を体に浴びている


まず「雨」というのは「そのたった一粒でさえも大量の生命(死骸や各種の有機物も含めて)」と考えるのが妥当みたいなんです。

まあ、「雨は生き物の死骸の塊である」とかを書くと何ともオカルトな感じなんですが、しかし、これは多分かなり事実で、その流れとして、まず「雨」というものがどうしてできるかという一般的な科学ですが、「晴れ,曇り,雨の日の違いは何?」というページから引用させていただくと、


雨雲になるための条件は?

雨は雲粒が成長して重力で落下してくる現象です。雲粒がどれだけ成長して雨滴になるのか。代表的な大きさで比べると、雲粒は10μmで、雨滴は1000μmですから、100倍の違いです。したがって、1個の雨粒は100万個の雲粒が集まって形成される計算になります。



ということで、雨は「雲粒」という、まあ水滴とか氷結とかチリみたいなものが、何百万個も集まって「一粒の雨粒」が作られるんですが、その場合に雨粒の中心となる「核(コア)」が必要のようなんですね。

要するに、いくら「粒」が集まっても、その中心となるものがないと雨にはならないのです。

その「中心となる物質が存在して」はじめて雨が作られはじめます。この中心となる物質は「氷晶核」というような言い方をされているみたいですが、上の「100万個」などの粒の中心となるものです。


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雨の成因より。



しかし、この中心となり得る物質は何でもいいわけではないのです。

人工降雨などでは、ヨウ化銀という非常に特殊なものを使いますが、この中心となり得る物質については非常に興味深い事実があります

それは、たとえば、上の図を拝借した雨の成因というページの「雨粒への成長」というセクションにもサラリと書かれていますが、


高い空にはあまり氷晶核となるような物質はない。



という事実があるのです。

つまり、「地上に降る雨ができる高い空には、本来は雨の中心(氷晶核)となり得るような物質があまりないと考えられている」わけです。

でも、実際に雨は降る。

ということは・・・やはり、氷晶核となる物質はあるわけです。

それがないと雨は降らない。

つまり、「高い空にはあまり氷晶核となるような物質はない」のではなく、「わかっていない」というほうが妥当かと思われます。

これは「雲ができる仕組み」がいまだに現代の科学では明確には解明されていないのと同様に、雨についても非常にわかっていないということもあります。




さて・・・さてさてさて(うるせー)、しかし、この雨の中心となる「氷晶核」を最も効率よく作る物質は本当は知られているのです。

それは「有機物」です。

これは、フレッド・ホイル博士の著作『DNA は宇宙を流れる』の解説で、東京大学理学部物理学科卒の翻訳家でジャーナリストの小沢元彦さんという方が、注釈として以下の説明を書かれていますので、抜粋します。


一般には、風にのって運ばれた土壌および鉱物塵粒子などが氷晶核となると言われている。しかし、ほとんどの鉱物は氷晶核としては不活性であり(氷晶核として働かないということ)、例外的に、粘土類のケイ酸塩鉱物がマイナス18℃の大気中で氷晶を作ることが研究によって明らかになっている。なお、人工氷晶核として利用されるヨウ化銀はマイナス4℃でも活性を示す。

氷晶核として最も有効な形状は六万晶系の結晶であるが、表面構造の方がさらに重要であり、結晶構造は核の細かい表面構造を決める部分的要因であるにすぎないと言われている。ある種の複雑な有機物が高い温度で氷晶核として活性化する(たとえばステロイド化合物の場合、マイナス1℃)という事実は、人工降雨研究者の間ではよく知られている。



難しい言い回しなんですが、極めてぶっちゃけて要約すると、「無機物よりもバクテリアのような有機物のほうが氷晶核として有用である可能性がある」ということが言えそうなのです。


しかし、雨が作られるような高層の高い上空に有機物や、ましてバクテリアなどいるのか、というと「いるんです」。これはもう、フレッド・ホイル博士の著作からの受け売りで、抜粋ではなく箇条書きにしますが、


1982年、ケルフ・ジャヤウェーラ博士とパトリック・フラナガン博士というふたりの著名な科学者が、南極海上空7キロで、10種類のバクテリアと31種類の菌類の胞子を発見した。


ということに始まって、その後も高層大気の生物の研究は続いています。

In Deep の過去記事でも、

宇宙のバクテリアを用いての強力な発電実験に成功した英国の研究チーム
 In Deep 2012年02月29日

というニューカッスル大学の研究チームがアメリカ化学会の会報に発表した論文についての報道を紹介したことがありますが、これなど、

「上空 30キロメートルの成層圏で発見されるバクテリアが、生物電池に極めて適していることを発見した

というもので、上空 30キロというと、これはもはや地上から微生物が上昇できる高さではないと考える方が妥当な感じがします。なぜなら、その場所は「成層圏」と呼ばれる場所で、すでに「対流圏」という大気の流れの上にある場所なのです。



▲ 成層圏の位置。


対流圏を越えて、物質や微生物が「上に」上がっていくということは極めて難しいと思うのですが、でも、その高層大気には「たくさんの微生物」がいます。

それらの生物がどこから来たのかということに関しては、現在の科学界では「それは考えないようにしよう」という流れとなっていますので、まあ、どこから来たものでもいいです。宇宙からでも、他の次元でも、とりあえず何でもいいです。

でも、いる。


いずれにしても、雨の降ってくる高い上空には、「雨の核となるような無機物などの物質はほとんどない」けれども、「雨の核となり得る有機物やバクテリアで満ちている」と考えることにはあまり無理がないはずです。

ということは、つまり、

雨は何もかも生物で作られている

という可能性があります。

一粒の雨粒に100万単位での「チリ」(有機物か微生物)が集まっている雨に、「ちょっとでも濡れるだけで、私たちは何千億、何兆もの有機物で体を洗われている」という意味が、これで通じるのではないかと思います。

あと、少し上の話とは違うものですが、過去記事で、

インドの大学の研究で多種の微生物が雨と共に空から降っていることが判明
 In Deep 2010年10月31日

というものもありました。

いずれにしても、オカルトに見えるような話でも、道筋をつけて考えてみると、それはまったくオカルトではないことがわかることが多いです。

私はいわゆるオカルトには最近はほとんど何の興味もないですが、目に見えている現象の真実は、ますます「奇蹟」に見えています。


というわけで、また話が逸れましたけれど、今回の「水星」。

これは In Deep というより、私が「宇宙と人間の存在」というものを勉強する歴史の中での中枢に位置し続けたのが水星でした。これまでどんな感じで「水星」を取り上げたのかを少しご紹介してから、今回の翻訳に入ろうと思います。




この世は「水星」によって存在しているという中世神秘学の理論


最初は昨年の、

突如スポットを浴び始めた「水星」
 In Deep 2011年10月01日

という記事に遡りますが、エメラルド・タブレットと呼ばれる中世神秘学とアルケミーの「奥義」とされるものが描かれている図版には、

「太陽と月の仕事を完成させるのが水星」

という図式の絵が描かれています。
エメラルド・タブレットの下の部分です。



ここは説明としては、


2つの手の上には、7つの惑星が描かれている。

そこには、太陽と月が彼らの生命の物質を聖杯に注いでいる光景が描かれている。太陽と月は、このように逆の性質のものを結びつける。

その聖杯は、両性具有を意味する水星で支えられている。
水星は男性と女性の両方の性質を持つのだ。
これも、別の方向としての、「逆にあるもの同士を結びつける」ことをあらわす。

太陽と月が水星を用いて偉大な仕事を成し遂げる錬金術のシステムだ。



というような説明となっています。

しかし、そんなオカルティズムだけでは、「だからどうした」と私も思っていたのですけれど、 NASA の探査機メッセンジャーの調査で、「水星は特別な惑星だ」ということがわかってきているのです。

それは「 水星の真実: 探査機メッセンジャーの撮影で水星の「何か」がわかるかもしれない(2)」という記事にありますが、水星はそれまで、科学者たちから「死んだ惑星」と考えられていたのですが、そんなことはないことがわかってきたのでした。

しかも、水星には下の写真のように「色」がある。



▲ NASA の水星探査機メッセンジャーが送信してきた水星の写真。右のカラー写真は11種類の波長の違うフィルターから NASA が構築した「真実に近い色」の水星の疑似カラー写真。

そして、今回の記事は、アメリカの財団法人であるカーネギー研究所の科学者が、メッセンジャーのデータ解析の中で、「水星の組成は地球や月と全然違う」ということを示していたことを明らかにしています。

2012年という年は、人類科学史の中で、水星が動き始めた年だということは言えそうです。


ちなみに、前回の水星の記事の中でご紹介した、水星のデータ解析を発表したマサチューセッツ工科大学のマリア・ズベール博士も、今回のカーネギー研究所のシャショーナ・ウィーダー博士も共に「女性」なんです。だからどうしたというわけではないのですが、水星の真実に近づいた人物が「女性だった」ということには何となく思うところがあります。


本来なら今は水瓶座の時代のはずで、「女性性の世界」へ突入していく段階にあるはずなのに、それがまったく見えない男性性の様相ばかりの現在。


だからこそ「この世の存在の真実を知る水星」に世界で最初に迫ったふたりが女性だったということは、やはり意味があると私は思います。

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(もういいって)


では、ここから記事です。
米国 CNN の報道です。






 



Mercury probe points to different origin for 1st planet
CNN (米国) 2012.09.18


水星探査機は、水星が他の惑星とは違う起源であることを示した


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NASA の水星探査機メッセンジャーから送られたX線データは、水星の表面のマグネシウムと硫黄のレベルを調査している。そして、そのデータからは、水星が他の惑星とまったく違った組成であることを示すと科学者たちは言う。

探査機メッセンジャーは、この1年6ヶ月のあいだ、水星からデータを送信し続けてきている。

そのX線のデータからは、水星の表面は、水星の北部にある火山噴火での岩の噴出を通し、地球や月などとは違った組成の平野であることを示す。

米国ワシントンにある財団法人カーネギー研究所のシャショーナ・ウィーダー博士は以下のように述べる。

「探査機メッセンジャーによる水星探査のミッションの前までは、科学者たちは、水星は月などと同じような惑星であるだろうと予測していました。しかし、水星の表面の低いレベルのカルシウムの量は、軽い素材が融解してできた月の表面とは、水星で起きたことは違うことを示します」。

「このデータは、酸素が極度に少ない水星のような環境で、水星に固着した前駆体としての物質の手がかりを私たちに与えてくれるものです」。

水星表面の硫黄濃度は、地球のおよそ 10倍におよぶと博士は言う。

そして、巨大な惑星を作るための鉄のコアが、水星の表面ではごくわずかしか見つからないという。

水星北部は火山が多い平野で、その地域は他の場所とは異なっている。そのクレーターからの年代分析は、現在の水星表面は10億年以上の年月があるという。

この研究成果は、科学専門誌「地球物理研究ジャーナル /Journal of Geophysical Research 」の最新号に掲載された。


水星の大きさは地球の約5パーセントで、太陽の周囲を 88日周期で回っている。

そして、その自転は非常にゆったくりとしていて、一周するのに地球での 58日分の時間がかかる。NASA によると、水星の表面気温は摂氏 425度に達する。