2012年10月03日



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起きていることは「ポールシフトではなく地球の大陸移動」: 地球の極の物理的な移動が起きていることが地球物理学会で発表される



(訳者注) 今回は余計な前書きをなるべく書かずに翻訳に入ります。現在、「地球が大陸移動している」という研究発表に関しての報道です。


以前、 In Deep では地球のポールシフトに関しての記事をかなり取り上げていました。それらの過去のポールシフトの記事はページの一番下にリンクしておきますけれど、それらの記事では、「この数百年、地球の磁場はかなりのスピードで移動している」ということは事実だということがわかってきていた、ということを記していました。



▲ 過去 420年間の毎年の北極の磁場の移動距離のグラフ。過去記事「アメリカ大気局が発表した「驚異的」な近年のポールシフトの加速」より。


あるいは、

奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」
 In Deep 2012年04月21日

などということもあって、太陽のほうにも「異変」は起きているわけでした。



▲ 左が今までの太陽。右は国立天文台が発表した今後の太陽の磁場の予測。北極はポールシフトで磁場が反転したのに南極の磁場は移動せず、その結果、「4つの磁極」があらわれるという状態になることが予測されています。


しかし、今回の発表はいわゆるポールシフトとは違います。



磁場だけではなく、「大陸そのもの」が物理的に移動していた


ひらたくいうと、「現在、地球は大陸(外殻)が移動している」というものです。これは地質の科学用語で「真の極移動」と呼ばれる現象らしいですが、それが今現在の地球で起きているという発表です。

その記事にある図に、こちらで簡単な日本語を加えたものが下の図です。

True_polar_wander-2012.png


上の図の傾きは誇張されていますが、過去の真の極移動の際には「9度傾いた」とされているようです。

しかも、この発表がなされたのが、地球物理学分野での世界最大の学会であり、最高権威だと思われるアメリカ地球物理学会の発行する「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ/ Journal of Geophysical Research (JGR) 」という学会誌に発表されたもので、いわゆる「発行元」としては大きなところです。

もちろん、だからといって、その内容が正しいかどうかはわからないことですが、しかし、「大陸が移動している」というフレーズは、やはりショッキングなニュアンスが含まれているのは事実ですので、ご紹介しようと思いました。

この「真の極移動」という単語に関しては、極移動 - Wikipediaからの説明を、わかりやすい概念ではないですが、抜粋しておきます。


真の極移動

大陸移動を補正すると、地殻全体に対する極の移動が残る。これを真の極移動 という。大陸移動、氷床の盛衰、大規模な火山活動、大規模な天体衝突、地球内部の質量分布の再編などにより、固体地球の質量分布が変化し、真の極移動が起こる。



これが「今」起きているということのようです。

本文中にもありますが、「真の極移動」とは、


・地球の磁場の反転(ポールシフト)のことではない。
・プレート・テクトニクス理論のことではない。
・地球の歳差運動のことではない。


ということです。

では、早速、翻訳に入ります。

記事に出てくる馴染みのない言葉として、ドイツ・ヘルムホルツセンターというのと、地学用語のホットスポットがありますので、それらの説明を先にそれぞれ Wikipedia から抜粋しておきます。


ドイツ研究センターヘルムホルツ協会

ドイツ研究センターヘルムホルツ協会はドイツを代表する科学研究組織。




ホットスポット (地学)

ホットスポットとは、プレートより下のマントルに生成源があると推定されるマグマが吹きあがってくる場所、若しくはマグマが吹きあがってくるために(海底)火山が生まれる場所のことをいう。

1990年代まではほとんど位置を変えることはないと考えられていたが、J・A・タルドゥーノらの天皇海山列に関する研究により「ハワイ・ホットスポット」が南へ移動していたことが発見され、それまでの常識が大きく覆った。以来、地球科学のさまざまな分野に大きく波紋を広げている。




それではここからです。




Earth is undergoing true polar wander, scientists say
EarthSky 2012.10.01

地球では「真の極移動」が進行していると科学者たちは述べた

科学者たちは過去に起きた真の極移動に関して考えられる4つの可能性を確認するためのコンピュータモデルを開発した。その結果、「真の極移動が進んでいる」と彼らは言う。


earth_nasa-2012.gif


真の極移動として知られる地球物理学理論について、本日(10月1日)、ドイツとノルウェーに拠点を置く科学者たちのグループは新しい発表をおこなった。

この「真の極移動」とは、つまり、地球の固い外殻が押し流されることだ。そして、いくつかの大陸では、地球の回転軸と比較して、実際に緯度の変化が起きるとされる。

過去に起きた真の極移動の4つの可能性を確認するために、科学者たちは地球のマントルのホットスポットをコンピュータモデル化したものを用いた。科学者たちによると、このコンピュータモデルは、過去1億2000万年の期間に関しては正確に計算できるという。


True_polar_wander.jpeg

▲ 真の極移動のために変化した地球の回転軸を現した図。角度は誇張されている。今回の発表によると、地球の外殻は 100万年ごとに 0.2度ずつゆっくりと回転していた。


そして、その結果、研究者たちは「現在、地球では真の極移動が起きている」と結論づけた。

これらの研究結果は、2012年10月1日に発行された「 ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ( Journal of Geophysical Research ) 」で発表された。

研究グループには、オスロ大学のパーヴェル・ダブロアヴァイン博士( Pavel V. Doubro )と、トロンド・トルスヴィック博士( Trond H. Torsvik )、そして、ドイツのヘルムホルツ・センターのベルンハルト・シュタインバーガー博士( Bernhard Steinberger )が含まれる。

彼らが参照した過去の真の極移動は、今から 9000万年から 4000万年前までのあいだに二度起きたと考えられるものだ。

その際、地球の外殻は、地球の回転軸に対してほぼ9度前後に移動した。

さらに、今回の科学者たちの発表によれば、過去 4000万年の間、地球の外殻は、10万年で 0.2度の割合でゆっくりと回転していた。

なお、「真の極移動」とは以下のような現象とは違う。


・地球の磁場の反転、あるいは地磁気の反転。

・プレート・テクトニクス。

・地球の歳差運動。


といったものと、真の極移動とは違う。

真の極移動とは、地球物理学理論の中で地球に起こりうると考えられている地球のプロセスについての考え方である。

地球上で起きる極端に重いもの、たとえば、巨大火山や重い大陸などによって、この真の極移動の発生が示される可能性がある。地球の回転の中に存在する火山や大地、そして他の様々な要因がバランスを失った場合、ここで生じた余分な重さが赤道に沿った地点に再配置されるまで、地球は惑星自体を傾けて回転させると考えられている。

これが真の極移動の理論だ。

そして、これは地球の大陸の移動を引き起こす。しかし、プレートテクトニクス理論により、外殻の下にある地球の層であるマントルは対流的であるので、大陸は漂うことになる。

つまり、ゆっくりとそれは回転する。

研究チームは、地質学でいうホットスポットにもその例を見るという。
地質学でいうホットスポットは、プレートより下のマントルに生成源があると推定されるマグマが吹きあがってくる場所のことをいう。


hotspot_forming_volcano.png

▲ プレート運動とホットスポット。一定の場所でマグマが吹き上がるため、プレート移動によって海山が移動する


たとえば、ハワイ諸島はマントル上のホットスポットの上に形成されたと考えられている。

今回の研究グループのコンピュータ・モデルはホットスポットの位置をゆっくりと移動させることから真の極移動についての結論を導いた。





(訳者注) 過去のボールシフト関係の記事をリンクしておきます。2010年くらいまででも、かなりのスピードで極の移動は起きていましたが、今現在その状況がどうなっているのかはわかりません。

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[すでに起きているポールシフト]に関連した過去記事:

アメリカ大気局が発表した「驚異的」な近年のポールシフトの加速
2011年01月16日

米国フロリダのタンパ国際空港が磁極の移動(ポールシフト)の影響で滑走路の閉鎖へ
2011年01月08日