シリーズ:良い時代と悪い時代
(1) 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
(2) 天上の神々の地位
(4) 2013年 2月15日に世界各地で同時に太陽の光のように爆発した複数の隕石
(5) 米国で話題になっている巨大小惑星の衝突を検証してみました
(2) 天上の神々の地位
(4) 2013年 2月15日に世界各地で同時に太陽の光のように爆発した複数の隕石
(5) 米国で話題になっている巨大小惑星の衝突を検証してみました
▲ 2013年11月頃に、「月くらいの大きさに光る」と考えられている、近代の天体観測史上で最も明るく見える可能性のある彗星アイソンが夜空に見える時の想像図。月よりも大きく輝く可能性が指摘されています。発見されたは今年の9月で、つい最近のことでした。
最近、彗星絡みの話やフレッド・ホイル博士のことなどを多く取り上げていました。
今回のメインの記事は、いわゆる「パンスペルミア説」と関係しているものですが、米国のプリンストン大学の科学者が「地球の生命は宇宙の微生物として地球にやってきたものかもしれない」という検証結果の論文を書いたことが報道になっていましたので、ご紹介したいと思います。
読んでみると、違和感のある内容ではありつつも、フレッド・ホイル博士も亡き今、多少なりともこういうことが継続的に報道されるのも悪いことではないかとも思います。
ところで、彗星絡みといえば、来年、つまり 2013年に今の時代の私たちが見るものとしては「史上最大の明るさと大きさで見える可能性のある彗星」がやってきます。
超巨大彗星アイソンが告げるのはどのよう時代の幕開けなのか
上に載せた写真は 2013年11月28日前後の、そのアイソンと名付けられた彗星が見えた時の想像図ですが、もっと明るく見える可能性もあるようです。
ここ数日、アイソンの報道を多く見かけますが、WIRED の記事から抜粋しておきます。記事中の図の日本語はこちらで入れたものです。
史上最高の明るさ? 彗星「ISON」が接近中
WIRED 2012.10.10
1年後に地球と太陽の近くを通過し、史上最も明るい彗星になる可能性があるという「 ISON (アイソン、C/2012 S1 )」が発見された。
軌道から考えて、 ISONは太陽の極めて近くを通過し、2013年 11月には太陽面から 140万km以内に接近すると予想される。この時に高熱で表面が溶け、彗星からガスが放出されると考えられる。そして、2014年の1月までには、地球からの距離が約 6,000万kmになると見られる。
一部の推定では、こうした条件が重なって、 ISONは満月よりも明るく見え、史上最も明るい彗星になる可能性があるという。近日点通過前後の 2013年 11月28日には、視等級がマイナスになり、金星や満月の明るさを超える大彗星になる可能性が指摘されている。
こういうものが、うんと地球の近くに近づいて、彗星の分裂や爆発などの光景が見られれば、下の中世の絵画「最後の審判」のような光景も見られるのかもしれません。
▲ 十六世紀の「最後の審判」の図。ギリシャのアトス山にあるディオニシオン修道院のフレスコ画。過去記事「「良い時代と悪い時代」(1)」より。
もっとも、この巨大彗星アイソン自体の軌道は上のフレスコ画ほど地球の近くを通るわけではないようです。
あくまでも、「こういうものが」ということで、もしかすると、中にはアイソンほど巨大で、もっと地球に近づくような彗星だってあるかもしれません。上のアイソンだって発見されたのはほんの2週間ほど前。まだ、私たちが知らない彗星はたくさんあります。
巨大彗星の接近は、最近書いていた「良い自体と悪い時代」の中の、「悪い時代」では頻繁に起こっていたようです。彗星が地球表面に直接影響を与えなくとも、先日の記事、
・「良い時代と悪い時代」: 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
2012年10月06日
で抜粋したフレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』のエピローグに書かれていた下のようなことはあるのかもしれないです。
ツングースカ型の爆発は過去一万三〇〇〇年ほどのあいだに時折起こったに違いない。この時期の最初の頃は、元の彗星の分裂が激しく起こっていただろう。(中略)
実際、彗星がまき散らした塵が太陽光を錯乱するために、何年間も黄道帯全体が輝いたのが見られただろう。彗星の分裂や、彗星が長く美しい尾を引く姿は、古代の空ではごく普通に見られたことに違いない。神話、伝説、宗教がこのような経験を基にしていることは間違いない。
と、「何年間も黄道帯全体が輝いたのが見られただろう」とあるように、空の光り方が今とは当時は違ったという可能性があるようで、さらに「今後もそうなる可能性」は過去の歴史のサイクルを見ていると、多分(確実に)いつかはまたそういう時代になるのだと思います。
ところで、この「黄道帯」という言葉は馴染みがない場合もあるかもしれませんが、辞書的に書けば、「惑星から見て、天球上を恒星が1年かかって1周する大きな円の経路」となりますが、文字での説明より、占いなどで説明される「黄道十二宮」というような図を見たほうがわかりやすいかと思います。
▲ 西洋占星術 黄道十二宮より。
「何々座の時代」とかの 2000年くらいずつ移動していく「新しい時代」の概念もこの黄道の概念と結びついているようです。
現在はこの概念では、上の図では下の右よりにある「うお座」の時代で、これはちょうどイエス・キリストが生まれた頃からはじまったようです。現在はその隣の「みずがめ座」へと移行してます。なので、あと何百年か経てば、「みずがめ座の時代に生きる地球の人々」というようなことになっているのだと思います。
そして、約2万6000年かかって、また元の位置に戻ってくる。
すなわち、今から2万6000年後には今と同じようなうお座の時代となっている。
キリストの誕生という「象徴」から始まった「うお座」の時代は男性性の時代(権利、所有、戦争、物質、金銭、技術などの時代)でしたが、みずがめ座の概念は「女性性」であって、具体的にはこの「女性性の時代」がどういうものかはわかりづらいですが、まあ・・・多分少なくとも 500年後くらいにはそういう時代が完成しているのではないかと思う部分もあります。
その頃の人はその世界を見られるのでしょう。
そして、今の時代の私たちはほぼ全員このうお座の時代(キリストの時代)に死んでいきます。
ところで、最近、ウェブボットのクリフ・ハイのエッセイを引用することも多かったですので、ついでというのもなんですが、ここでも、彼のエッセイを引用しておきます。2008年のもので、すでに4年前のものです。
地球での生活、そして、ユージュアルサスペクツ
2008.11.09 ALTA レポート 909 P1 のクリフ・ハイの巻頭エッセイ
2012年 12月 21日、午前 11時 11分に太陽系は天の川銀河の黄道平面を通過する。これにより、太陽と地球は銀河中心と一直線で並ぶことになる。このため、地球にはかつてないほどの量のエネルギーが宇宙から降り注ぐことになるはずだ。
現在の太陽は、われわれが知っている太陽とは根本的に異なってきていることに注意しなければならない。黒点が太陽から消え、そのため太陽活動の停滞が予想されるにもかかわらず、太陽から放出されるエックス線やその他のエネルギーは過去最大になっている。磁束管と太陽とは正しい角度になければならないとされているが、これがいったいどういうことであるかまだ分かっていない。
(中略)
ただ言えることは、最近の太陽の異変は、約 26000年周期の歳差運動のサイクルが 2012年に終りに来ていることの証左である可能性が大きいということだ。6000年周期を一日に見立てた場合、過去 13000年間は、太陽系にとって歳差運動のサイクルのちょうどよい期間だったといえる。
2012年12 月21日午前11時11分、夜の時期が終り、歳差運動の次のサイクルの夜明け、つまり 13000年間続くことになる昼の時期に入るのだ。
春分点歳差が 26000年であるというのは実に興味深い。
なぜなら銀河中心までの距離もちょうど26000光年だからである。
さらに、太陽系は天の川銀河の渦巻腕に対して動いているということも興味深い。太陽系はこの運動で、銀河の渦巻腕と渦巻腕の間に存在する暗帯を周期的に横断することを意味している。さらに中米の古代文字は、渦巻腕をめぐる運動が歳差運動と一致していることをも示している。
ただ、太陽系が天の川銀河を移動しているということは、太陽系が分解しつつあるいて座 B の一部であるかないかにかかわらず、太陽系は銀河系の固定した部分ではないということを表しているのではないかとの議論も成り立つかもしれない。
もし太陽系が銀河系の一部であるなら、太陽系は銀河系を移動するなどということはあり得ず、銀河のひとつの渦巻腕に永久にとどまっているはずなのである。
ここに出てくる「歳差運動」というのは、地球の軸に対しての傾きの回転のようなことを指しますが、文字で説明するより、上の黄道十二宮の図を見ていただくとわかりやすいかと思います。
さて、そんなわけで、彗星と直接関係した話ではないですが、米国のプリンストン大学の研究者たちが、「地球の生命は隕石によって地球にもたらされた」という可能性についての論文を科学誌に発表したという記事をご紹介します
ここからです。
Are we the extraterrestrials? Scientists back theory that life was brought to Earth by space microbes
Daily Mail 2012.09.25
我々は地球外生物なのか?
研究する科学者たちは、他の恒星システムの惑星からやってきた岩の断片が地球に生命を運んできたと確信していると述べた。
地球上の生物が微生物によって地球にもたらされたという理論を科学者たちが追求している。
研究者たちによると、地球外の微生物が何百万年ものあいだ、宇宙空間を旅し、地球にまで生命をもたらしたのかもしれないと言う。
この学説は、古代に他の恒星システム(太陽系外ということ)から地球に飛来した岩石の断片調査と計算により導き出されたものだ。
科学誌『アストロバイオロジー ( Astrobiology)』で執筆した科学者たちによると、宇宙から遠い昔にやってきた古代の岩石にはその内部に微生物が存在していることがわかった。
宇宙空間には高水準の宇宙放射線が存在するが、宇宙空間では微生物は活動を停止(休眠)しており、そのため長い宇宙の旅で生き残ることができた可能性を研究は示唆する。
この研究のプロセスの基本的な考え方でもある「パンスペルミア説 (pan spermia / 汎芽胞)」として知られる説は、私たちの宇宙はすべて生命で満ち溢れているとする理論のひとつだ。
今回の研究を主導する米国プリンストン大学のエドワード・ベルブルーノ博士 ( Edward Belbruno )は、以下のように述べる。
「私たちの研究によれば、パンスペルミアの可能性はとても高いことを示します。そして、今回の論文がパンスペルミアを学術的に示した最初の文書かもしれません。そして、もし仮にこのパンスペルミア説が真実であるならば、この宇宙全体に生命が存在する可能性があります」。
さらに博士はこのように述べた。
「これは宇宙のどこでも起きる(起きた)可能性があります。惑星の大きな火山噴火、隕石、他の天体との衝突、など、惑星の断片が宇宙空間に飛ぶ可能性となる原因は様々に存在します」。
博士は、太陽系が若かったころ、他の太陽系との間で断片(隕石など)が交換されていた可能性があるという。そして宇宙をゆっくりと旅行した惑星の断片は、接近した惑星などの引力に捕らえられたと考える。たとえば、地球の引力などによって。
また、研究チームは、太陽が生まれた頃の惑星の破片の数をコンピュータでシミュレーションしたところ、その数は、1000万年〜9000万年の間に、10キロ程度の重さの断片が、少なくとも 10 ,000 ,000 ,000 ,000(10の12乗)から 「3 ,000 ,000 ,000 ,000 ,000 (3千兆)の15乗」個ほどの膨大な数に上ると考えられることを示した。
(訳者注)記事では「岩石の断片」というような感じとなっていますが、いわゆる「断片」は、軌道周期などの「動力」を持たないので、遠い宇宙空間を移動できるのかどうかは疑問に思います。
しかし、「彗星」は違います。
彗星はそのほとんどが軌道周期を持っており、ある意味では、「自主的に移動」しています。
さらに、彗星の内部に微生物が存在していれば、仮に彗星が大気を持つ惑星に突入しても、大きさにもよりますが、衝突と摩擦による熱から「内部」が守られる可能性があります。
このあたりは何年か前にクレアなひとときの「宇宙はすべて生き物からできている」に書いたことがあります。
そこに英国カーディフ大学のチャンドラ・ウィクラマシンゲ博士が、1986年に、シドニーのアングロ・オーストラリアン天文台にあるアングロ・オーストラリアン望遠鏡で観測した、「ハレー彗星の赤外線吸収スペクトル」のグラフを載せたことがあります。
下のグラフです。
この図が何を示しているかというと、「ハレー彗星と地球の大腸菌は、成分分析上で一致した」ということです。
この観測結果が「彗星は微生物の塊であるかもしれない」という推測につながっています。
また、隕石の場合にしても彗星の場合にしても、大気層に突入する際には表面は熱と衝撃によって、分子レベルで破壊されますので( DNA も残らないということ)、「守られる頑丈な外殻」は必要だと思います。そして、それが彗星の構造とメカニズムなのだと私は思っています。
あるいは、「摩擦熱の問題でそもそも微生物しか大気圏を突破できない」ということもあります。
このあたりも、上のクレアの記事に、フレッド・ホイル博士の『生命はどこからきたか』の中にある内容をまとめたものがありますので、そこから抜粋します。
彗星の破片は時速3万6千キロ(秒速10キロ)という超高速で移動しているものであり、また、地球はそれよりも早い公転スピードを持っている。そのスピードの中で、ある物質が惑星内に着陸するとなると、その摩擦で生じる衝撃によって、その物体は分子レベルでバラバラに破壊されてしまい、生物が生き残る可能性はない。
これは大気のない星では言えることで、かなり好条件でも、彗星に乗った微生物が生きたまま着地するのは不可能だと思われる。
しかし、一部の大気のある惑星、たとえば地球の高層圏などでは気体の密度が低いために、侵入した破片の速度は減速される。なので、分子レベルでの破壊は一応免れるので、「形」は残る。
しかし、それでも、「熱」の問題はある。
地球大気に秒速 10キロのスピードで物体が突っ込んできた場合、その摩擦熱は物体の大きさ(粒子の直径の4乗根)と比例する。その場合、物体が針の先くらいのものでも、摩擦温度は 3000度に達し、ほとんどの物質は残らない。あるいは生物なら生きられるものはいないはずだ。
可能性があるとすると、それより小さなものだ。
たとえば、細菌やウイルスくらいの大きさの粒子なら、突入した際の摩擦温度は約500度となる。
摩擦で加熱される時間は約1秒間と推定される。
この「1秒間の500度の状態」を生き残ることができない限り、生物は彗星に乗って地球に侵入してくることはできない。
そして、英国カーディフ大学で始まった実験では、大腸菌たちは、「1秒間の500度」をクリアしたのでした。
しかし、もっといえば、生命自体は「アミノ酸」が基幹となっています。
そういう意味では、微生物よりさらに根幹である「アミノ酸はどこから来たのか」ということも、ポイントだと思うのですが、これに関しては、国立天文台のページをリンクしておきます。
・宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見
国立天文台 2010年4月6日
このページにある国立天文台の 2010年の発見は、現在の地球での天文学の中で最も大きな発見のひとつだと思います。
▲ 国立天文台 / 生命をかたちづくるアミノ酸の謎より。
上の図はその国立天文台のページにある「アラニン」というものの図ですが、地球の生命のアミノ酸は、すべて実は左側の「左型」だけで構成されていて、これは地球生命学の最大の謎でした。
というか、今でも謎です。
それがもしかしたらわかるかもしれない、という大発見でした。
確かに徐々にではあっても、「宇宙はそのすべてが生命である」という(多分)事実に向かって、少しずつ前進しているような気はします。
そして、彗星がたくさん飛来する時代は確かに「悪い時代」ではあるけれど、同時に生命の進化と刷新が行われるときでもあるのかもしれないと私は思っています。
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[彗星とパンスペルミア]に関連した過去記事:
・『宇宙が生命を作り出している』ことの証明に近づく新たな観測結果
2011年08月31日
・宇宙塵自身が生命であることに言及した 100年前のノーベル賞学者の実験
2011年05月07日
・銀河系で生命を運ぶ浮遊惑星に関しての「宇宙の概念を変える」研究発表
2012年02月28日