今回の記事は、昨日の記事で書きましたように、ドイツ研究センターを中心とした国際研究チームが、人工衛星からの観測で、地球のコアなどに急速な変化が起きているという論文を発表したことに関してのものです。
記事には図やアニメーションがありますが、キャプションでの説明があまりなく理解は難しいですが、たとえば、下のような図を示すアニメーションなどがあります。下のは、単位のところに nT (ナノテスラ)という単位が見えますので、磁場(多分、磁場の加速の度合い)の変化だと思われます。
意味の詳しいところはわからないにしても、2004年から2009年という間だけでも、地球の磁場(あるいは磁場の加速度や減速度)は、地球全体で変化していることがわかります。
発表した研究チームの中心であるのドイツの研究機関は、この磁場の変化は「地球のコア(内核と外核を含む地球の中心部)の変化と関係がある」と言います。そらには、地球の重力の変化とも関係しているようです。
なので、今回のデータでは、「(地球の)核と磁場と重力は連動して変化する」ということのようです。
ところで、このことで思い出すことがひとつあります。
太陽系全体のことです。
木星の大規模な激変と思い出して
今回の記事は地球での話ですが、「惑星の大規模な範囲での急速な変化」ということに関しては、現在、木星で進行している大変化を彷彿とさせるものがあります。過去記事で、木星の衛星イオのことに少しふれましたが、木星本体も急速に変化していて、その変化の面積は地球よりはるかに巨大です。
ご紹介すると以前書いてから、なかなか機会がなかったですので、今回の地球の変化の前に木星の変化について簡単にご紹介しておきます。
オリジナル記事は、米国のデイリーギャラクシーの、
・Jupiter Undergoing Cataclysmic Changes
Daily Galaxy 2012.10.17
です。
それはこのような出だしで始まる記事です。
劇的な変化を遂げている木星
NASA ジェット推進研究所の上級研究員グレン・オートン氏は次のように述べる。
「今、私たちが目撃している木星の変化は、木星全体におよぶ巨大なものです。以前にも、木星の変化については観測されていましたが、現在、私たちは最新の観測機器により木星の変化の詳細を観測しました」。
「この数十年、ここまでの変化は観測されていませんでした。そして、今までにない領域でも変化が起きているのです。同時に、私たちは木星にこれほど頻繁に物体が衝突している光景を見たことがありません」。
「私たちは、今、どうしてこのようなことが起きているのへの理解を得ようとしているところなのです」。
という始まりで、つまり、 NASA の上級研究員の人の驚きの言葉で始まっているのですが、そのあたりは、NASA が発表している木星の変化の写真を見ればわかります。
▲ What's Causing Turmoil On Jupiter, Planetary Changes, Bombardmentsより。
上の図は、2009年から2012年の木星の表面の様子です。
木星の表面には2本の「赤道縞」と呼ばれる太い線があります。木星の表面は、アンモニアの結晶やアンモニア水硫化物と考えられている雲に覆われているとされ、その表面が近年、大規模な変化を見せているのです。
この木星の変化については、過去記事でもふれたことがあります。
下の記事では、2010年に上にある「赤道帯のひとつが消失した」ことと、巨大な上昇気流の雲(プルーム)のことについて書いています。
・木星の異常気象: 壮絶な高さのプルームが観測される
2010年11月23日
▲ 上記記事より。2010年に、下のほうの太い線が消滅したことがわかります。2011年にまたその線が出現しましたが、今度は上のほうの線にも変化が見られます。
こういうことが「驚くべきこと」といえるのは、前例のない変化であると同時に、「木星の巨大さ」ということも関係しているように思います。下の図は、木星と、太陽系の他の惑星の大きさを比べたものです。
▲ 木星と他の太陽系の惑星の大きさの比較。
上の「赤道帯」にしても、その太さ自体が地球より大きな距離を持つようなものであり、それが「急速に変化したり、時には消えたりしている」ということが、「劇的」という表現とも結びついているように思います。
また、上の NASA の研究員の言葉にある、
> 木星にこれほど頻繁に物体が衝突している光景を見たことがありません。
についても、この数年は確かにものすごいものがあって、「地球の大きさと同じか、それより大きな爆発」が何度も起きています。
これについても過去記事で何度か取り上げましたので、リンクしておきます。
・この13ヶ月間で3回目となる木星での爆発
2010年08月23日
・木星で巨大な光のフラッシュが観測される
2010年06月06日
▲ 2010年8月20日に、熊本在住の天文家の立川正之さんが撮影して米国スペースウェザーが発表した「木星の爆発」の様子。
これらの爆発は、小惑星などを含むなんらかの衝突という見解が一般的となっていますが、どれもこれも、これが地球だったら「地球そのものが壊れてしまうほどのレベル」の大爆発で、本当に何かの衝突なのかどうかはともかく、何らかの大きな現象が「連続して」起きていることは確かのようです。
先頃の記事、
・「良い時代と悪い時代」
2012年10月06日
にならえば、木星は3年くらい前から「悪い時代」に入っているようで、地球規模での大爆発が数ヶ月に一度起きているようです。
そして、上の「良い時代と悪い時代」の一連の記事にありますように、かつて、この地球にも同じような時代があったと考えられます。
では、「地球のコアと磁場と重力の急速な変化」に関しての記事です。
記事はとても難しい内容で、うまくご紹介できていないように思いますが、とりあえずこの時点でアップいたします。
ちなみに、記事に出てくる「 CHAMP 衛星」という衛星の名前をはじめて聞いたのですが、衛星重力ミッション − 衛星による自由落下重力測定というページによりますと、
000年7月に打ち上げられたCHAMP(CHAllenging Minisatellite Payload)は,衛星に搭載したGPS受信機で精密軌道決定を行っており,歴史上初めて,衛星そのものによる重力場測定を可能とした。
CHAMPで採用されたこのような重力場の測定方法は,高高度のGPS衛星(高度20000km)から高度数100kmの低軌道衛星を追跡することから,High Low Satellite to Satellite Tracking(H-L SST)と呼ばれている(下の図)。
▲ H-L SSTのイメージ。
というものだそう。
GPS を使って、正確な「重力場測定」というものをおこなっているようです。
ではここからです。
Rapid Changes In The Earth's Core, The Magnetic Field And Gravity Seen By Satellites
Ideas, Inventions And Innovations 2012.10.22
人工衛星から目撃された地球のコアと磁場、そして重力の急速な変化
大西洋からインド洋に伸びる領域における地球磁場の 10年のスケールでの変化は、この領域における重力の変化と密接な関係を持っている。
このことから、地球の外核(地球の核のうちの内核の外側の部分)の変化のプロセスは、地球の重力プロセスへと反映していると結論づけることができる。
これは、米国科学アカデミー紀要 ( PNAS ) の最新号で、ドイツとフランスの地球物理学者たちの研究チームにより示された結果だ。
下の図は、(A)がコアの磁界の永年変化の鉛直方向下向きの構成要素(放射状で示される)で、(B)は、それを球面として表したものだ。
地球の磁場の主要なフィールドは、外核の液体鉄の流れによって生成される。 地球の磁場は、私たち人間を宇宙からの放射線粒子から保護している。 したがって、外核内のプロセスを理解することは地上の防御シールドを理解する重要な事柄でもある。
そして、この理解への鍵は、地球磁場そのものを測定することにある。
地球の液体の外核の流れが、大規模な質量の変換と関係しているという事実に関連する重力の微細な変化の測定によって、今回、2つの独立した動きが示された。
地球の重力と磁場の変動のこのように接続していることに関して、最初の証拠を提供することに研究チームは成功した。
下の図にあるのは、この 10年間の地球の表面に関するアニメーション(GRIMM-3モデルから得られた)から表した地球磁場の垂直下への構成要素の加速の進行を示す。
この図は、(地球磁場の垂直下への力が)加速する領域が 2003年から2008年の間にインドからインド洋の南西部に移動したことを示している。その間、2006年には大西洋の中央部で(地球磁場の垂直下への力が)減速して、その後、急速に消滅した。
研究チームは CHAMP 衛星での測定値を使用した。
この衛星での地球の重力フィールドの正確な測定値は、衛星重力ミッション GRACE ( Gravity Recovery and Climate. Experiment )から用いられているもので、このミッションは、ドイツ地球科学研究センター( GFZ )の後援によるものだ。
下の図は、地球の反転(ポールシフト)の前の通常の期間の磁場フィールドだ。チューブは磁力線で、その磁力線が中心に向かっている時を青で表し、中心から離れていく時を黄色で表している。この図から、磁力線の密集した一群が地球の中心の内部にあることがおわかりだと思う。
人工衛星は、地上、空中の水や氷、そして大地など、すべての重力を機械的に測定している。
なお、外核の流れの大規模な再分配を測定するためには、測定されたすべての重力の割り当てをフィルタリングする必要がある。同様に、外核のより小さな変化を捕えるために、 磁気の外皮、電離層と磁気圏の割り当てを、人工衛星で測定される完全な磁場信号から除外する必要がある。
ドイツ地球科学研究センターの CHAMP 衛星と、衛星重力ミッションに用いられるデータ記録はこの測定を可能にした。
ここまでです。
何度読み返しても難解。自分でもどうしても理解できないところもあります。しかし、これでも極力平易に書いたつもりですが・・・。
もう少しわかりやすくご紹介したかったのですが、このあたりが限界です。
結局、上の内容ですが、間違っているかもしれないですけれど、きわめて簡潔に上の内容をまとめると、
・地球の磁場と地球の重力の変化は連動している
・それらの変化と地球のコア(核)の変化は連動している
・それらは連動して急速な変動を遂げている
ということのように思います。
そして、これらの変化の実際の影響というものについての言及はないわけですが、そのあたりに関しては、「磁場や重力」と「環境」や「人間の心身」との間に何らかの関係があるのかどうかということでもありそうで、それらはまた今後、他のニュースなども合わせてご紹介できることもあるかもしれません。
今後、最近の記事の内容として続いていた「複合的な地球の(急速な)変化」ということについて、過去の地球の歴史から考えてみたいとも思っています。
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今回の記事と関連した過去記事:
ドイツの科学研究法人が「急速なポールシフトと気候変動と超巨大火山の噴火が同時に発生していた」ことを証明
2012年10月18日
起きていることは「ポールシフトではなく地球の大陸移動」: 地球の極の物理的な移動が起きていることが地球物理学会で発表される
2012年10月03日
私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
2012年07月13日
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[1年前の In Deep ]
2011年10月26日の記事
巨大な磁気嵐がもたらしたアメリカ全域での「赤い空」
▲ 2011年10月24日の米国ミズーリ州インディペンデンスでの夜の空。