2012年11月11日



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数十億年前の「太陽系への彗星の爆撃状態」と同様の現象を NASA のスピッツァー宇宙望遠鏡が観測



kuiper-belt.png

▲ この図で「太陽系外縁天体領域」と書かれてあるのが一般的に「カイパーベルト」と呼ばれている領域。現在の天文学では「彗星の生産場所」と考えられています。理科年表オフィシャルサイトより。
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彗星活動の変化がわりと急速に進んでいる

最近ということでもなく、このブログでは「彗星」というものについてよく取り上げます。古来から彗星は、「聖霊」のようなものと同一視されたり、あるいは、その爆撃(地球への衝突)で地球の様相を一変させたりしてきました。あるいは、地球に水と炭素(生命の素)を運んだのも彗星である可能性も広く言われています。

彗星に対しての現在の学問上での一般の認識はともかく、パンスペルミア説という「宇宙が生命(あるいは DNA やアミノ酸)をばらまいている」ような概念を普通に考えている私は、彗星は宇宙の生命領域の拡大と、「その惑星の生命の刷新」の役割を担う物や現象の中で最大級の存在だと考えています。

過去記事の、

「良い時代と悪い時代」: 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
 2012年10月06日

の前後などに取り上げた「535年」に起きたことや、あるいは、最近では、

2013年の巨大彗星アイソンのこと。そして宇宙から地球に降り続ける生命のこと
 2012年10月11日

で取り上げたツングースカの大爆発などのような「大規模な事故」の意味は、事故ではなく、惑星(たとえば地球)の生態系に直接的な影響を与えるものだと思っています。

「直接」というのはウイルスやバクテリオファージのように「細胞そのものを変質させていまう」というような働きを含めたことです。あるいは、 DNA の構造自体を変質させる物質(そんなものがあるのかどうかはわからないですけれど)。

これらの作用により、「生命が完全に変化する」ことは可能で、いわゆる「進化」というものはこのような過程を経て発生していたことだと、少なくとも私は考えています。


そして、何億年に1度、何万年に1度、あるいは何百年に1度・・・など、その「間隔」については何とも言えないですが、地球が周期的に彗星の爆撃時代を経験していたのは事実で、現代人類の登場以降で、その最大の時期は1万3千年くらい前だったと考えられているようです。

そして、それらよりは小さなものとはいえ、最も近代の事例として、私個人は「西暦 535年に地球のどこか(多分、インドネシアから中国にかけての領域)の上空でこの2千年の間で最大の彗星の空中爆発が起きた」と考えています。

先日、「エンケ彗星の覚醒」という記事で最近の活発な流星群活動のことを書きましたが、今回は少し規模の大きな話で、 2011年に NASA が確認した「太陽系外の領域で、大規模な彗星の衝突活動が起きている」というようなものです。

地球で数十億年前に起きていた「後期重爆撃期」という「彗星による大爆撃時代」と同じうなことか、他の太陽系でも起きているというようなことだと思います。

今回はその記事をご紹介させていただきます。


ところで、「カイパーベルト」というのは聞き慣れないものですが、領域のことで、この記事の一番上に載せた図にある「太陽系外縁天体領域」と日本語で書かれてあるのがカイパーベルトで、今の天文学でどのように考えられているかを少し抜粋しておきます。 goo辞書からです。


カイパーベルト

海王星軌道の外にある、小惑星や氷・ちりなどが密集した領域。彗星の供給源であるとして、オランダ生まれの米国の天文学者カイパーが1950年代に提唱したもの。



というもので、そして、観測技術が進んだ現在は、このカイパーベルトには、彗星だけではなく、「どうも様々な奇妙なものがある」ことがわかってきています。

たとえば下のもの。



「カイパーベルト」の奇妙なやつ

下の写真は「 2001 QG298 」という名称がつけられている天体ですが、カイパーベルトにあるものです。

2001-QG298.jpg

Daily Galaxy より。


2004年にカナダのクイーンズ大学の科学者たちが発見したもので、「奇妙な形の物体」として報じられましたが、今でも「奇妙」なままの存在で、何なのかわかっていません。




将来の地球の状態に結びつく(かもしれない)現在の木星や土星の出来事

いろいろなものがありそうなカイパーベルトなんですが、仮にこのカイパーベルトや、あるいは今回の翻訳記事に出てくる場所( Eta Corvi )などが実際に彗星の生産場所だとすると、それらでの彗星活動が激しくなった時に太陽系内に影響を与えるとすると、太陽系の縁(へり)に近いところから衝突などの影響を受ける様子が目撃されるのではないかと思います。


下の図は、惑星間の距離は別として、太陽系の惑星の順序としての位置とその大きさを表したものです。


solar-system.jpg

太陽系図鑑より。


こう見てみると、太陽系の外側からどんどんと彗星が太陽系内に「投げつけられた」ように突入してきた場合、「縁(へり)に近くてサイズの大きな惑星」に最初に彗星群が衝突していくと思われます。

地球から観測できる範囲で、それらに該当する(最初に「異変」が目撃されるという意味)のは上の図からいって、観測の難しい海王星以外としては「土星」と「木星」、そして「天王星」ということになると考えられます。

その木星、土星、天王星は最近、どうやら「天体の猛爆撃」を受けているわけですが、下のような写真屋、あるいは記事というものは、十分に上に書いたような「太陽系の外側で起きているのかもしれないこと」を彷させるものがあります。

あくまで、それぞれの惑星で実際には何が起きたのかはわかっていないということを前提に写真を載せておきます。



木星



▲ 過去記事木星で巨大な光のフラッシュが観測されるより。これは2010年のものですが、この後、何度も何度も木星での「何らかの衝突によるもの」と見られる大爆発が観測されています。


土星



▲ 2010年12月から2011年8月までの土星で起きたスーパーストーム(大嵐)の変化の様子。「火星に何が起きた?: 太陽系の激変が続く中で「火星の大気から検出されなくなったメタン」」より。


天王星



▲ 過去記事太陽系が荒れているより。


この天王星の「白い点」については、気象現象だと考えられる一方で、「天王星のあちこちで天体の衝突が起きている」という可能性も言われます。




木星と太陽の間の惑星や天体(火星、地球、月、金星、水星など)は、サイズ的にそれよりかなり小さい上に、太陽系の縁からも遠いので、影響を受けにくい場所にある(すなわち、基本的には安全な場所にある)のだとは思います。

しかし、太陽系の縁や外側などの場所で、仮に「彗星の動き」の変化が起きているのならば、そのうち、上のそれぞれの惑星も影響を受けてくることになるのだろうとは思います。

その徴候としては、やはり木星などの観測での異変を見続けることかと思います。



位置的に「最も安全な場所」に配置されていた「水星」

それにしても、水星という惑星が観念的な意味では「人類にとって、もっとも重要な惑星」ということは何度かふれたことがありますが、その水星は「太陽系の中で最も彗星の爆撃を受けにくい天体」だということを上の太陽系の図で気づきました。

もう1度上の載せますね。彗星を主体に考えると、地球の位置の絶妙さを含めて、なんとなく太陽系の感慨深い惑星配列などを思います。

solar-system.jpg


その「水星が重要」ということにに関しては、過去記事の、

水星の真実(3): 「水星は他の惑星とはまったく違う起源を持つ」可能性があることが無人探査機のデータによって明らかに
 2012年09月21日

などをご参照していただれば幸いです。
長い記事なんですが、中段より下のほうに「この世は「水星」によって存在しているという中世神秘学の理論」から始まる段落があり、そこにいろいろと書いています。


ちなみに、太陽系の縁から最も遠い天体は太陽ですが、太陽はサイズが大きいですので頻繁に彗星の突入を受けています。



▲ 2011年7月5日に太陽に突入した彗星。この「彗星の太陽へのダイビング」はわり見られることらしいですが、ここ2年ほどは多いと思います。


というわけで、ここから NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が発見した「最近の彗星の活動」の様子についての記事です。記事に出てくる「イータ・コルヴィ( Eta Corvi )」というのは NASA が名付けたもので、「彗星の嵐」が起きている領域を説明したもののようです。




The Raging Comet Storm of Star System Eta Corvi
Daily Galaxy 2012.11.10


イータ・コルヴィのすさまじい彗星の嵐


comet-storm-02.jpg


NASA のスピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線検出器は、太陽系と似た他の恒星システムの外で、1つまたは複数の彗星がズタズタに引き裂かれたことを示す兆候を 2011年に検出した。

これは、数億年から数十億年前の太陽系に起こった「後期重爆撃期」という天体衝突の時期と同様の現象の可能性がある。

スピッツァー宇宙望遠鏡は北部の空に輝く「イータ・コルヴィ」と呼ばれる領域を発見した。そして、イータ・コルヴィの周辺からの光をスピッツァー宇宙望遠鏡によって分析した。すると、その領域は、抹消した巨大彗星と同じ要素を有していた。これは、構成物であるこの塵が、惑星とひとつ以上の彗星の間に衝突が起きたことを示唆している。

イータ・コルヴィ全体のシステムの端にある大きな冷えたリングは、彗星の母体が蓄積されている環境のようだ。私たちの太陽系には、他にカイパーベルトと呼ばれる領域を持ち、イータ・コルヴィと類似していると考えられる。

また、アルマハータ・シッタ隕石がカイパーベルトの由来である可能性をスピッツァー宇宙望遠鏡は示した。



アルマハータ・シッタ隕石とは、2008年10月7日に地球の大気圏に突入し、スーダンのヌビア砂漠上空37km付近で爆発した流星体。推定直径2mから5m、推定質量約8トン。

Wikipediaより。



約 40億前から始まった後期重爆撃期の彗星の衝突は 38億年前まで続いた。

月のクレーターなどに影響を与えた後、後期重爆撃期の彗星の衝突は、地球に水と炭素を与えたと考えられている。この期間、後の地球の生命に関しての重要な要素を地球は得たとも考えられ、地球の生物形態の決定に関与していた可能性もある。

comet-storm-02.jpg

▲ イータ・コルヴィ周辺の彗星活動の想像図。


ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所の上級研究員キャリー・リッセ( Carey Lisse )博士は、次のように言う。

「私たちはこのイータ・コルヴィがもたらす " 彗星の雨あられ " について、さらに研究しなければならないと思っています。なぜなら、それが地球の生命の開始と関係がある可能性もあるのです」。





(訳者注) 今回の話題は結果として、パンスペルミア説とも関連してくるものなのですが、最近、1970年代のソ連が「月で微生物の化石を発見していた」という2000年10月のニュース(英語)の存在を知りました。

実際、月にはこれまであまりにも多くの「地球からの観測船や宇宙船」などが接触していて、その地球からの物体に付着した微生物は、火星の上でなら瞬間的に化石になることもあるのだそうで、それらの「微生物の化石の由来」を知ることは多分無理なのですが、しかし、写真が残っているものですので、いずれご紹介したいと思います。



  
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